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アナニーを禁止された俺と恋人たちの日々(続編)
50.美形ストーカーはどうなってしまうのか
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うちに上げる前に岡と安田に軽くLINEを入れた。
「美形ストーカー野郎がうちに来てる」と。
「まず手ぇ洗えよ。インフル怖いからな」
「お邪魔します」
なんか律儀なんだよな。コートとジャケットを玄関のハンガーにかけ、エアコンをつけた。
「……随分寒いですね」
「昨夜は岡んちに行ってたからな。って、今日も岡んちに行けばよかったのか」
そうしたら美形は待ちぼうけだ。俺の帰宅を待って風邪を引いて鼻を啜る美形。想像したらなんか笑える。
「……その可能性もありましたね。会えてよかったです」
そう言って美形は笑んだ。俺は無言で買ってきたペットボトルを開けた。
「水ぐらいしか出せないんだがどうするんだ?」
コーヒーあったっけ。そういえば昨日安田が淹れてくれたから粉ぐらいはあるんだろう。でも探してまで淹れてやる気にはなれなかった。
「本当に何もないんですか?」
冷蔵庫を開けて中を見せると美形は眉を寄せた。最近は岡の家にいることが多いから本気で何もない。ビールは昨日飲んでしまったし、入っているのは水の入ったペットボトルが一本と、卵、そして安田が買ってきたチョコレートぐらい。あとはキレイなものだ。あ、買ってきた明日の朝用の弁当を入れておかないと。
「長井さん、本当にここに住まわれてるんですよね……?」
「ああ」
お菓子は戸棚に入ってるし、特に困ることもない。ああでも風邪とか引いた時とか困るか。でも男の一人暮らしなんてこんなものだろう。
「……身体に悪いですよ?」
「わかってる」
お前に言われるまでもない。ただどうやっても料理のセンスがないらしいのだから仕方ないだろう。今はコンビニで弁当が買えるしスーパーで総菜だって買える。
「長井さん……」
「ん?」
なんでコイツは近寄ってくるんだ? 手を握られそうになったが嫌なので軽く振り払う。
「私が貴方のごはんを作りたいです。だめですか?」
何を言ってるんだコイツは。頭に?が大量に浮かぶ。そうしてあることに思い至った。
「……お前、岡の元カレと付き合ってるとか嘘だろ?」
「……え……」
美形が驚いたように目を見開いた。まるで何故わかったのかとでもいうように。
「それか、付き合ってはいたけどフられたとかそんなところか?」
「……だったら、どうするんです……?」
コイツはただの甘ったれにしか見えない。美形にまっすぐ見つめられた。その縋るような目をやめろ。
「どうもしねえよ」
「なっ……」
キィ……と音がした。随分早かったなと俺は口元を緩める。視線は玄関の方には向けず、美形を見てニヤリとしてやった。
「……っ……!?」
美形が息を飲む。その腕を後ろから岡が捻り上げた。
「……っあっ……!?」
「……なんで人の彼氏の家に貴方が上がり込んでいるんです? 僕の許可のない間男は認めませんよ?」
間男を許可するって辺りが岡だよなと思う。
「なっ……なんで……!?」
美形はあんまり頭がよくないらしい。俺が岡に連絡をしないとでも思ったのだろうか。
「俺を口説いてメロメロにするなんて宣言してるヤツを、なんの保険もなしに家に上げると思ってたのか?」
「こ、こういう時は恋人に連絡をためらうものでしょう!」
「なんで? お前がどうしても家に上げろってしつこく言ったんだろ。もしかして頭沸いてる?」
「なっ、なっ、なっ、なっ……!」
頭に血が上っているのか顔が真っ赤になっている。ゆでだこかトマトか。美形が台無しだ。
「うるさいですよ」
「……くっ……!」
腕を外そうとするがしっかりきめられているらしく、美形は痛みに耐えるような顔をした。
「先輩、これどうしますか?」
「投げ捨ててこいと言いたいところなんだが……なんかしつこそうだよな」
「そうですね……。なんかとてもあほっぽいんですけど、この人ベンチャー企業の社長みたいなんですよ。けっこう金持ってるんでいろいろ面倒くさそうなんですよねー」
「あ、あほとはなんですか!」
美形が抗議する。うるさい。
「あー、そっかー……」
このまま放逐するのも面倒だというならどうしたらいいだろうか。そこまで思ってふと、ある考えが浮かんだ。
「なぁ、コイツ……俺をメロメロにさせるとか言ってたんだよな?」
「そんなこと言ってました」
「じゃあ逆に、コイツが俺にメロメロになったらどうするんだ?」
扉がまた開く音がした。
「わりぃ、遅くなった。やっぱ岡が先かー」
「安田さん、この紐でこの人の両腕と両足を縛って寝室の床に転がしてください」
「お? 仕置きか?」
岡の察しがよすぎる。今来てくれた安田が楽しそうに言った。
「なっ、それは犯罪ですよ!」
「ストーカー野郎に言われたくねーよ」
美形の抵抗むなしく、両腕を後ろで縛られ、両足も縛られ、美形は寝室の床に転がされた。
「こんなこと許されると思っているんですか!?」
「騒ぐなら口も塞ぐけど? 面白がって買ったボールギャグとかあるんだよなー」
と言ったら黙った。
「で、どうするんだ?」
安田に聞かれて俺はニヤリとした。
「お前ら、俺のオナニーに付き合え」
と、その前に中を洗うのが先だ。
ーーーー
というわけで2番辺りになりました。
みなさんにそこまで嫌われる美形(笑)
でも作者はけっこうこういうあほの子好きなんです(笑)
「美形ストーカー野郎がうちに来てる」と。
「まず手ぇ洗えよ。インフル怖いからな」
「お邪魔します」
なんか律儀なんだよな。コートとジャケットを玄関のハンガーにかけ、エアコンをつけた。
「……随分寒いですね」
「昨夜は岡んちに行ってたからな。って、今日も岡んちに行けばよかったのか」
そうしたら美形は待ちぼうけだ。俺の帰宅を待って風邪を引いて鼻を啜る美形。想像したらなんか笑える。
「……その可能性もありましたね。会えてよかったです」
そう言って美形は笑んだ。俺は無言で買ってきたペットボトルを開けた。
「水ぐらいしか出せないんだがどうするんだ?」
コーヒーあったっけ。そういえば昨日安田が淹れてくれたから粉ぐらいはあるんだろう。でも探してまで淹れてやる気にはなれなかった。
「本当に何もないんですか?」
冷蔵庫を開けて中を見せると美形は眉を寄せた。最近は岡の家にいることが多いから本気で何もない。ビールは昨日飲んでしまったし、入っているのは水の入ったペットボトルが一本と、卵、そして安田が買ってきたチョコレートぐらい。あとはキレイなものだ。あ、買ってきた明日の朝用の弁当を入れておかないと。
「長井さん、本当にここに住まわれてるんですよね……?」
「ああ」
お菓子は戸棚に入ってるし、特に困ることもない。ああでも風邪とか引いた時とか困るか。でも男の一人暮らしなんてこんなものだろう。
「……身体に悪いですよ?」
「わかってる」
お前に言われるまでもない。ただどうやっても料理のセンスがないらしいのだから仕方ないだろう。今はコンビニで弁当が買えるしスーパーで総菜だって買える。
「長井さん……」
「ん?」
なんでコイツは近寄ってくるんだ? 手を握られそうになったが嫌なので軽く振り払う。
「私が貴方のごはんを作りたいです。だめですか?」
何を言ってるんだコイツは。頭に?が大量に浮かぶ。そうしてあることに思い至った。
「……お前、岡の元カレと付き合ってるとか嘘だろ?」
「……え……」
美形が驚いたように目を見開いた。まるで何故わかったのかとでもいうように。
「それか、付き合ってはいたけどフられたとかそんなところか?」
「……だったら、どうするんです……?」
コイツはただの甘ったれにしか見えない。美形にまっすぐ見つめられた。その縋るような目をやめろ。
「どうもしねえよ」
「なっ……」
キィ……と音がした。随分早かったなと俺は口元を緩める。視線は玄関の方には向けず、美形を見てニヤリとしてやった。
「……っ……!?」
美形が息を飲む。その腕を後ろから岡が捻り上げた。
「……っあっ……!?」
「……なんで人の彼氏の家に貴方が上がり込んでいるんです? 僕の許可のない間男は認めませんよ?」
間男を許可するって辺りが岡だよなと思う。
「なっ……なんで……!?」
美形はあんまり頭がよくないらしい。俺が岡に連絡をしないとでも思ったのだろうか。
「俺を口説いてメロメロにするなんて宣言してるヤツを、なんの保険もなしに家に上げると思ってたのか?」
「こ、こういう時は恋人に連絡をためらうものでしょう!」
「なんで? お前がどうしても家に上げろってしつこく言ったんだろ。もしかして頭沸いてる?」
「なっ、なっ、なっ、なっ……!」
頭に血が上っているのか顔が真っ赤になっている。ゆでだこかトマトか。美形が台無しだ。
「うるさいですよ」
「……くっ……!」
腕を外そうとするがしっかりきめられているらしく、美形は痛みに耐えるような顔をした。
「先輩、これどうしますか?」
「投げ捨ててこいと言いたいところなんだが……なんかしつこそうだよな」
「そうですね……。なんかとてもあほっぽいんですけど、この人ベンチャー企業の社長みたいなんですよ。けっこう金持ってるんでいろいろ面倒くさそうなんですよねー」
「あ、あほとはなんですか!」
美形が抗議する。うるさい。
「あー、そっかー……」
このまま放逐するのも面倒だというならどうしたらいいだろうか。そこまで思ってふと、ある考えが浮かんだ。
「なぁ、コイツ……俺をメロメロにさせるとか言ってたんだよな?」
「そんなこと言ってました」
「じゃあ逆に、コイツが俺にメロメロになったらどうするんだ?」
扉がまた開く音がした。
「わりぃ、遅くなった。やっぱ岡が先かー」
「安田さん、この紐でこの人の両腕と両足を縛って寝室の床に転がしてください」
「お? 仕置きか?」
岡の察しがよすぎる。今来てくれた安田が楽しそうに言った。
「なっ、それは犯罪ですよ!」
「ストーカー野郎に言われたくねーよ」
美形の抵抗むなしく、両腕を後ろで縛られ、両足も縛られ、美形は寝室の床に転がされた。
「こんなこと許されると思っているんですか!?」
「騒ぐなら口も塞ぐけど? 面白がって買ったボールギャグとかあるんだよなー」
と言ったら黙った。
「で、どうするんだ?」
安田に聞かれて俺はニヤリとした。
「お前ら、俺のオナニーに付き合え」
と、その前に中を洗うのが先だ。
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というわけで2番辺りになりました。
みなさんにそこまで嫌われる美形(笑)
でも作者はけっこうこういうあほの子好きなんです(笑)
応援ありがとうございます!
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