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第2部 嫁ぎ先を決めろと言われました
115.二人きりになるとどうしても甘いのです ※R13
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『朱雀兄の匂いがする』
当り前のように寝台に腰掛けた青龍は香子を抱きしめてそう言った。犬か、と香子は思う。
『ずっと一緒に移動していたのですから当り前でしょう』
『そういうことではない』
青龍はそう言いながら腕の中の香子をくんくんと嗅ぐ。だからいつから龍というのは犬になったのかと香子は眉を寄せた。
(神さまの、青龍のイメージがああああ)
香子にとって四神はもう残念な神さまたちである。それでもイメージというものがあるだろう。香子は頭を抱えたくなったが、至近距離に青龍がいるのでできそうもない。なので香子は自分を嗅いでいる青龍の頭を抱きしめた。
『えい』
なんだか気恥ずかしくて声も出してみる。青龍の動きが一瞬止まったが、次の瞬間には更にきつく抱きしめられた。
『……かわいいことをする』
『え』
香子は床に優しく押し倒された。無表情が基本である青龍の黒い瞳に色が浮かぶ。
『香子』
『……は、はい?』
あ、まずい、と香子は思った。相変わらず学習能力がないようである。
『この後晩餐会があるのではないか? それなのに我を誘惑するとは……』
香子はぶんぶんと首を振る。誘惑なんてしていない。四神のツボとか、こういうことをすると香子に惚れた男がどうするのかをまだ理解していないだけである。しかしそこが大問題だった。
『んんっ……』
顎に手を添えられたらもう首を振ることなんてできない。青龍の秀麗な面が近づいてき、優しく口唇が重ねられた。すぐに口を開かされ逃げを打つ舌を絡め取られる。青龍の舌は蛇のように先が分かれていて長い。けれど決して細くはなくそれなりの弾力を持って香子の口腔を舐め回した。青龍の舌が二股に分かれていると知ったのはつい最近で、それまではただただ翻弄されるばかりだった。今でも口付けをされるとふにゃふにゃになってしまう香子だが、青龍の特徴を知れたことが嬉しかった。
『ん……あ……』
『香子、晩餐会は欠席だ』
やっと甘い口付けから解放されて口元で囁かれる。香子はハッとした。
『そ、それは嫌です……』
『何故? 天壇には行った。もういいだろう』
『今日だけですから……大祭はまだ続くみたいですけど、晩餐会が終わった後は、そのう……』
自分から言い出すのはやはり恥ずかしい。つかこんなこと言わせんな! と香子は思う。
『朱雀兄とそなたを独占してもよいのか?』
『こ、今夜からのことについてはそちらで相談してください!』
香子の顔は真っ赤だった。恥ずかしさをごまかすように、香子はぷりぷりしながら青龍の胸を軽く叩く。
『……わかった。今宵は食べられるだけ食べるように。明日も沢山用意させよう』
青龍は目に見えて機嫌がよくなった。胸を叩く香子の手を取り、その指先に口付ける。
『香子、愛している』
清流を思わせる涼やかな声が真摯に愛を告げる。爽やかなのに艶もあるとか青龍の声はどうなっているのかと香子は思う。
(やっぱりどなたかと結婚したら床から出してもらえなくなるのかな……)
エロマンガのような展開を想像して香子は頬がカッと熱を持つのを感じた。
それから床に寝転がったまま香子は青龍に沢山口付けられた。甘やかされているという自覚はある。外出したことで疲弊した精神もやっと落ち着いてきた。あれぐらいで、と思われるかもしれないが大衆の熱気だけでなく朱雀や青龍の本性を見たことで香子の頭はキャパオーバーだった。いつも通りのまったりした甘い時間を過ごし香子は復活した。
日はまだそれほど傾いているかんじではなかったが寝室の向こうから声がかかる。
北京の、夏の日照時間は長い。時間的にはもう夕方なのだろう。
半分寝ていたのかもしれない。紅児にお茶を出されてそれを一口飲むと頭がはっきりしてきた。青龍を見送って、香子は侍女たちによってまた美しく着飾らせられた。
晩餐会の衣裳はどちらかといえば淡い色合いだったが、緑色の絹に朱雀と青龍が金糸で刺繍されている見事なものだった。ところどころに刺繍されている赤い牡丹の花がアクセントになり朱雀を思わせる。春の大祭用の衣裳の為どうしても色や刺繍は限定されてしまうがどれも素晴らしいと香子は浮かれてしまう。
(こういう時しか着ないとかもったいないなぁ……)
準備が整い、迎えに来てくれたのは朱雀だった。朱雀の衣裳は変わっていないが、それが似合うのだからいいのだと香子は思う。
何度だって惚れ直す。
口に出したらとんでもないことになるからそうそう言わないけれど。
『参ろうか』
『はい』
香子の姿をまじまじと見てから朱雀は抱き上げた。
『そなたは何を纏っても美しいな』
『もう! 私が着ている衣裳は最高級なんですよ? キレイに見えなかったらおかしいです!』
香子は熱くなる頬をごまかすように朱雀に言った。朱雀が喉の奥でククッと笑った。
晩餐会が終われば香子たちは四神宮に籠もる。その前にごちそうごちそう! と香子は戻ってきてからのことについては文字通り後回しにした。
ーーーーー
「貴方色に染まる」30話辺りです。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/977111291/934161364
当り前のように寝台に腰掛けた青龍は香子を抱きしめてそう言った。犬か、と香子は思う。
『ずっと一緒に移動していたのですから当り前でしょう』
『そういうことではない』
青龍はそう言いながら腕の中の香子をくんくんと嗅ぐ。だからいつから龍というのは犬になったのかと香子は眉を寄せた。
(神さまの、青龍のイメージがああああ)
香子にとって四神はもう残念な神さまたちである。それでもイメージというものがあるだろう。香子は頭を抱えたくなったが、至近距離に青龍がいるのでできそうもない。なので香子は自分を嗅いでいる青龍の頭を抱きしめた。
『えい』
なんだか気恥ずかしくて声も出してみる。青龍の動きが一瞬止まったが、次の瞬間には更にきつく抱きしめられた。
『……かわいいことをする』
『え』
香子は床に優しく押し倒された。無表情が基本である青龍の黒い瞳に色が浮かぶ。
『香子』
『……は、はい?』
あ、まずい、と香子は思った。相変わらず学習能力がないようである。
『この後晩餐会があるのではないか? それなのに我を誘惑するとは……』
香子はぶんぶんと首を振る。誘惑なんてしていない。四神のツボとか、こういうことをすると香子に惚れた男がどうするのかをまだ理解していないだけである。しかしそこが大問題だった。
『んんっ……』
顎に手を添えられたらもう首を振ることなんてできない。青龍の秀麗な面が近づいてき、優しく口唇が重ねられた。すぐに口を開かされ逃げを打つ舌を絡め取られる。青龍の舌は蛇のように先が分かれていて長い。けれど決して細くはなくそれなりの弾力を持って香子の口腔を舐め回した。青龍の舌が二股に分かれていると知ったのはつい最近で、それまではただただ翻弄されるばかりだった。今でも口付けをされるとふにゃふにゃになってしまう香子だが、青龍の特徴を知れたことが嬉しかった。
『ん……あ……』
『香子、晩餐会は欠席だ』
やっと甘い口付けから解放されて口元で囁かれる。香子はハッとした。
『そ、それは嫌です……』
『何故? 天壇には行った。もういいだろう』
『今日だけですから……大祭はまだ続くみたいですけど、晩餐会が終わった後は、そのう……』
自分から言い出すのはやはり恥ずかしい。つかこんなこと言わせんな! と香子は思う。
『朱雀兄とそなたを独占してもよいのか?』
『こ、今夜からのことについてはそちらで相談してください!』
香子の顔は真っ赤だった。恥ずかしさをごまかすように、香子はぷりぷりしながら青龍の胸を軽く叩く。
『……わかった。今宵は食べられるだけ食べるように。明日も沢山用意させよう』
青龍は目に見えて機嫌がよくなった。胸を叩く香子の手を取り、その指先に口付ける。
『香子、愛している』
清流を思わせる涼やかな声が真摯に愛を告げる。爽やかなのに艶もあるとか青龍の声はどうなっているのかと香子は思う。
(やっぱりどなたかと結婚したら床から出してもらえなくなるのかな……)
エロマンガのような展開を想像して香子は頬がカッと熱を持つのを感じた。
それから床に寝転がったまま香子は青龍に沢山口付けられた。甘やかされているという自覚はある。外出したことで疲弊した精神もやっと落ち着いてきた。あれぐらいで、と思われるかもしれないが大衆の熱気だけでなく朱雀や青龍の本性を見たことで香子の頭はキャパオーバーだった。いつも通りのまったりした甘い時間を過ごし香子は復活した。
日はまだそれほど傾いているかんじではなかったが寝室の向こうから声がかかる。
北京の、夏の日照時間は長い。時間的にはもう夕方なのだろう。
半分寝ていたのかもしれない。紅児にお茶を出されてそれを一口飲むと頭がはっきりしてきた。青龍を見送って、香子は侍女たちによってまた美しく着飾らせられた。
晩餐会の衣裳はどちらかといえば淡い色合いだったが、緑色の絹に朱雀と青龍が金糸で刺繍されている見事なものだった。ところどころに刺繍されている赤い牡丹の花がアクセントになり朱雀を思わせる。春の大祭用の衣裳の為どうしても色や刺繍は限定されてしまうがどれも素晴らしいと香子は浮かれてしまう。
(こういう時しか着ないとかもったいないなぁ……)
準備が整い、迎えに来てくれたのは朱雀だった。朱雀の衣裳は変わっていないが、それが似合うのだからいいのだと香子は思う。
何度だって惚れ直す。
口に出したらとんでもないことになるからそうそう言わないけれど。
『参ろうか』
『はい』
香子の姿をまじまじと見てから朱雀は抱き上げた。
『そなたは何を纏っても美しいな』
『もう! 私が着ている衣裳は最高級なんですよ? キレイに見えなかったらおかしいです!』
香子は熱くなる頬をごまかすように朱雀に言った。朱雀が喉の奥でククッと笑った。
晩餐会が終われば香子たちは四神宮に籠もる。その前にごちそうごちそう! と香子は戻ってきてからのことについては文字通り後回しにした。
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「貴方色に染まる」30話辺りです。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/977111291/934161364
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