異世界で四神と結婚しろと言われました

浅葱

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第3部 周りと仲良くしろと言われました

67.苦労は買ってでもしろとは思いませんが(主に趙視点)

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 香子はずっと青龍を受け入れていた。それと同時に何故か朱雀や玄武とも身体を重ねていたような気がした。
 でも朱雀の”熱”を受けてからは記憶があいまいで、ただひたすらに気持ちよくさせられていたということしか覚えていない。
 なんだかありえないところに彼らを受け入れていたような気がするが、気持ちよさしかなくてそれがなんなのかはわからなかった。
 素直に受け入れて感じていればいい。何度も青龍と口づけを交わしながら、香子は脳まで溶けてしまうような快感を味わった。
 香子が四神の愛を受け入れている間、四神宮の前にある謁見の間の横にある詰め所では、趙文英が困っていた。

「すまん……たかが使節の申し出ではあるのだが……」

 中書省に勤める、四神宮との連絡役である王英明が頭を下げた。

「オロス王からの口利きもあると言われたのでしたっけ……」

 趙が困っている原因は、オロスの西、シーザンの北に位置するボースーという国からの使者による謁見の申し出だった。玄武、白虎との謁見を希望しており、オロス王もそれに同席したいと言っているらしい。

「オロス王が直接言ってこないところが嫌らしいですね」
「あまり交流はないが元々からめ手を使ってくる国だ。……どうする?」
「白雲殿に聞いてみましょう。無理だとは思いますが」
「だよなぁ……」

 大唐の皇帝の申し出にすら応えようとしない神々である。そもそも四神を呼び出そうとすること自体が不遜なのだ。
 趙は侍女に白雲への言付けを頼んだ。趙は未だ四神宮に足を踏み入れる許可をもらってはいない。もちろん今ここにオロス王やボースーからの使者が突撃してきたならば四神宮に駆け込んでいるだろうが、ことはそれほど逼迫している状態ではなかった。
 侍女が運んでくれたお茶を王と飲みながら、趙は遠い目をしたくなった。
 昨夜から今日は一日香子は床から出られない。青龍と共に過ごすということは青藍から報告を受けていた。なんでも青龍との交わりは一日がかりであると聞かされ、それはそれで知りたくなかったと趙は思った。その青龍の見張りとして玄武と朱雀も共に過ごすらしいとも聞いていた。だから今動けるのは白虎しかいない状態だが、その白虎も絶対に四神宮から出てくることはないということを趙は知っていた。
 しばらくして白雲がやってきた。

「お呼びだてしてしまい、申し訳ありません」
「困ったことでも?」

 眷属はいつでも単刀直入だ。建前や挨拶は特に必要なく、だが趙や王はそういうわけにもいかないのでどうしても前置きが長くなってしまう。趙はそれでもできるだけ簡潔に伝えようとはしていた。

「ボースーの使者から謁見の申し込みがきているそうです。白虎様と玄武様に」

 白雲の眼光が鋭くなった。

「お断りを。白虎様はともかく玄武様は今手が離せませぬ」
「……失礼ですが、白虎様だけであれば受けていただけるのでしょうか」
「花嫁様から口添えがない限りはありえません。花嫁様は明日の昼まで身体が空きません」

 趙は頭を抱えたくなった。そんなことは聞きたくなかった。身体が空かない、は文字通り身体が空かないという想像ができてしまうからだ。

「……そうですか……」

 絶対に無理だと知っていても一縷の望みに縋りたくなる王の気持ちが、趙は痛いほどわかった。
 白雲が無表情で嘆息した。

「そういったことは全て断るようにと伝えてあるはずではないのか?」

 王がすかさず答えた。

「はい、お断りはしているのです。ただ、今回の申し込みについてはオロス王も共にとおっしゃられ、こちらではその……」
「皇帝は何をしているのか?」

 白雲の疑問は最もだと趙も内心頷いた。

「それが……陛下に、ではなくこちらへ話を持ち込まれてしまったのでなんらかの対応を取らざるを得ないのです。申し訳ありません」

 皇帝が直接問われればそこで断れるが、わざわざ中書省を通して正式に謁見の申し込みをしてきたから四神宮に問い合わせをしなければいけなかったという話だ。

「……面倒な話のようだ。どちらにせよ返事も明日の昼まではできぬ。お断りをする前提で話をするように」
「承知しました」
「……万が一こちらに乗り込んでくるようなことがあれば、王であっても切って捨てよう」
「ははっ!」

 それをはっきり言えるのは四神の眷属であるからだ。王は急いで戻っていった。
 趙は胸を撫で下ろした。

「白雲殿、ありがとうざいます」
「……礼には及ばぬ」

 そう言って、白雲はじっと趙を見つめた。

「? 私の顔に、何か?」
「また何かあれば声をかけるように。相談ぐらいは聞こう」
「ありがとうございます」

 以前趙は黒月のことを白雲と話した。そのことについて白雲も気にかけてくれているのだろうと趙は推察する。四神宮に戻る白雲の背を眺めながら、明日の昼までの花嫁の予定を思い出した。
 張錦飛が明日訪れるような連絡が入っている。明日の昼、花嫁がまともに書の練習をできるのかどうか考えて調整するのも趙の仕事だ。

「これも聞いておけばよかったな……」

 白雲を再び呼び出すのは憚られる。ならば誰が適任かと考えて、青藍に声をかけるよう侍女に頼んだ。
 四神宮の主官は主に連絡係である。だがその連絡や調整ができなければ四神と花嫁の快適な生活は成り立たない。苦労も多いが、趙は花嫁を見つけたのが自分でよかったと思った。



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「貴方色に染まる」75、76話辺りです。
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