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第3部 周りと仲良くしろと言われました
68.事後の空腹はどうにかならないかと思うのです
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……香子は全く床から出られなかった。
それもほぼ二日は床の住人だった。大怪我をして動けなかったとかそういう話ではない。
夕方頃、香子は目覚めた。青龍の腕の中である。しかも全身絡みつかれているような状態で、足の間には何やら不穏な気配もした。
カーッ! と香子の頬が一気に赤くなった。
『青、青龍様……』
『香子、如何した?』
『あの……おはようございます……放してください……』
裸で絡みつかれているのがとても恥ずかしくて香子はお願いした。青龍は香子を抱きしめ直した。そして嬉しそうに目を細める。
『おはよう。だめだと言ったら?』
香子はぱくぱくと口を動かした。なんだか最近青龍が意地悪だと香子は思う。そのまま甘い雰囲気になりそうだったが、ぐ~きゅるるるる~~~! という盛大な腹の音で遮られた。
『……おなか、すきましたぁ~~……』
香子の目に涙が浮かぶ。青龍と抱き合った後の空腹は耐えがたい。ほぼ一日抱かれているので、途中で水分補給はされているもののほぼ食べていないのである。それでも玄武や朱雀が共にいるのでサポートはしてくれるから、抱かれている途中で空腹を訴えて泣くという状態にはなっていなかった。
『しばし待て』
後ろから玄武のバリトンが響いた。そういえばここは玄武の室だった。玄武が食べ物の手配をしてくれたらしい、香子はほっとした。
そしてそれほど時間を置かずに、前菜などが届けられた。玄武の膝の上で香子は一心不乱に食べ物を食べた。野菜の和え物や皮蛋豆腐、干豆腐を細切りにしたものを香味野菜と和えたものなど、その日簡単に用意できるものから持って来られたのを食べ尽くす。それらを食べている間に作られた炒め物や揚げ物がどんどん運ばれてきて、香子はほぼ一日ぶりの食事を楽しんだ。
『は~……おいしい……』
春巻を一本食べてから香子は自分の頬に手を当ててしみじみ呟いた。
『春巻が好きなのだな』
青龍が楽しそうに言う。
『春巻だけじゃなくて全部好きです。全部おいしいです。特に春巻が好きなだけです~』
しかも普通の春巻だけじゃなくて海老春巻も用意されているのである。中華料理の食材で使う干し海老ではなく、凍石のおかげで海産物の輸送が容易となったのでぷりっぷりの海老がふんだんに使えるようになったのだ。おかげで四神宮の厨師たちは海産物の調理方法を日々学んだりとてんてこまいである。だがそれは嬉しい悲鳴だった。香子はあれが食べたいこれが食べたいとは言うが決して強要しない。香子はできればこれが食べたいな~、でも食材が手に入らないとか、調理方法がわからなかったら聞かなくていいからと言う。貴人特有の傲慢さがない香子の為ならば! と厨師たちは燃え上がり、何がなんでも香子の希望を叶えようと日々奮闘しているのだった。
話を元に戻そう。
春巻を満足するまで食べ、小龍包をあちちと言いながら食べ、肉まんも野菜まんもこれだよこれと言いながら食べた香子はやっとおなかが落ち着いた。香子は自分のおなかに手を当てて聞いてみる。まだ食べられそうだった。
(毎回すごい量食べてるけど、これらの食べ物はどこに消えているのかしら?)
食べた直後はおなかぽっこりになるのだが、一時間もすれば平らになってしまうのである。それだけ四神と抱き合うというのはエネルギーを使うものなのかもしれない。そして香子に精を注いだことで、青龍たちも上品ではあるがすごい量を食べていた。玄武と朱雀も食べているということはそういうことである。
(青龍様に抱かれながら玄武様と朱雀様に抱かれた? なんか記憶が曖昧なんだよねぇ……)
聞いたらたいへんなことになりそうなので、疑問に思っても香子は聞いたりしない。さすがにそれぐらいは学んだようだった。
『今何時ですか?』
『申か、酉かその辺りだろう』
玄武が答えた。
夕方か夜かというところである。朝昼を食べ損ねた分大量に食べていたようだと香子は納得した。
『じゃあ、これが夕飯ですかね』
『そなたが望むなら夜食を用意させることは可能だろう』
玄武に言われたが香子は首を振った。四神宮に仕えている者たちに負担はかけたくなかった。とはいえ小腹がすくことはあるかもしれない。
『簡単なお菓子のようなものだけ、夜食用に用意してもらうことはできるかしら?』
香子の要望に応える為、室の隅に控えていた侍女が『諾(はい)』と答えて室を出ていった。もちろん控えている侍女は一人だけではないので、お茶を淹れてくれたりと至れり尽くせりである。最後に水餃子が出てきて香子は更にご機嫌になった。
やっとおなかがいっぱいになり、食後のお茶を飲んでいる時に気づいた。
『あれ……』
『如何した?』
『私、今夜って、もしかして……』
もしかしなくても誰かさんと約束をしたことを香子は思い出した。さーっと顔が青くなる。
確かに好きだけど、でもでも、と香子はおろおろした。
『ああ、今宵は白虎と交わるのだろう?』
玄武に言われて終わった、と思った。逃げることはできないらしい。
『我が共に参る故心配するな』
朱雀にダメ押しされて、香子は遠い目をしたくなった。
嫌なわけではないけれど、白虎の姿とか、快感に翻弄されるのがつらい。
『はい……』
白虎のことを思い出したのが、ごはんを食べ終えてからでよかったと香子は思った。
それもほぼ二日は床の住人だった。大怪我をして動けなかったとかそういう話ではない。
夕方頃、香子は目覚めた。青龍の腕の中である。しかも全身絡みつかれているような状態で、足の間には何やら不穏な気配もした。
カーッ! と香子の頬が一気に赤くなった。
『青、青龍様……』
『香子、如何した?』
『あの……おはようございます……放してください……』
裸で絡みつかれているのがとても恥ずかしくて香子はお願いした。青龍は香子を抱きしめ直した。そして嬉しそうに目を細める。
『おはよう。だめだと言ったら?』
香子はぱくぱくと口を動かした。なんだか最近青龍が意地悪だと香子は思う。そのまま甘い雰囲気になりそうだったが、ぐ~きゅるるるる~~~! という盛大な腹の音で遮られた。
『……おなか、すきましたぁ~~……』
香子の目に涙が浮かぶ。青龍と抱き合った後の空腹は耐えがたい。ほぼ一日抱かれているので、途中で水分補給はされているもののほぼ食べていないのである。それでも玄武や朱雀が共にいるのでサポートはしてくれるから、抱かれている途中で空腹を訴えて泣くという状態にはなっていなかった。
『しばし待て』
後ろから玄武のバリトンが響いた。そういえばここは玄武の室だった。玄武が食べ物の手配をしてくれたらしい、香子はほっとした。
そしてそれほど時間を置かずに、前菜などが届けられた。玄武の膝の上で香子は一心不乱に食べ物を食べた。野菜の和え物や皮蛋豆腐、干豆腐を細切りにしたものを香味野菜と和えたものなど、その日簡単に用意できるものから持って来られたのを食べ尽くす。それらを食べている間に作られた炒め物や揚げ物がどんどん運ばれてきて、香子はほぼ一日ぶりの食事を楽しんだ。
『は~……おいしい……』
春巻を一本食べてから香子は自分の頬に手を当ててしみじみ呟いた。
『春巻が好きなのだな』
青龍が楽しそうに言う。
『春巻だけじゃなくて全部好きです。全部おいしいです。特に春巻が好きなだけです~』
しかも普通の春巻だけじゃなくて海老春巻も用意されているのである。中華料理の食材で使う干し海老ではなく、凍石のおかげで海産物の輸送が容易となったのでぷりっぷりの海老がふんだんに使えるようになったのだ。おかげで四神宮の厨師たちは海産物の調理方法を日々学んだりとてんてこまいである。だがそれは嬉しい悲鳴だった。香子はあれが食べたいこれが食べたいとは言うが決して強要しない。香子はできればこれが食べたいな~、でも食材が手に入らないとか、調理方法がわからなかったら聞かなくていいからと言う。貴人特有の傲慢さがない香子の為ならば! と厨師たちは燃え上がり、何がなんでも香子の希望を叶えようと日々奮闘しているのだった。
話を元に戻そう。
春巻を満足するまで食べ、小龍包をあちちと言いながら食べ、肉まんも野菜まんもこれだよこれと言いながら食べた香子はやっとおなかが落ち着いた。香子は自分のおなかに手を当てて聞いてみる。まだ食べられそうだった。
(毎回すごい量食べてるけど、これらの食べ物はどこに消えているのかしら?)
食べた直後はおなかぽっこりになるのだが、一時間もすれば平らになってしまうのである。それだけ四神と抱き合うというのはエネルギーを使うものなのかもしれない。そして香子に精を注いだことで、青龍たちも上品ではあるがすごい量を食べていた。玄武と朱雀も食べているということはそういうことである。
(青龍様に抱かれながら玄武様と朱雀様に抱かれた? なんか記憶が曖昧なんだよねぇ……)
聞いたらたいへんなことになりそうなので、疑問に思っても香子は聞いたりしない。さすがにそれぐらいは学んだようだった。
『今何時ですか?』
『申か、酉かその辺りだろう』
玄武が答えた。
夕方か夜かというところである。朝昼を食べ損ねた分大量に食べていたようだと香子は納得した。
『じゃあ、これが夕飯ですかね』
『そなたが望むなら夜食を用意させることは可能だろう』
玄武に言われたが香子は首を振った。四神宮に仕えている者たちに負担はかけたくなかった。とはいえ小腹がすくことはあるかもしれない。
『簡単なお菓子のようなものだけ、夜食用に用意してもらうことはできるかしら?』
香子の要望に応える為、室の隅に控えていた侍女が『諾(はい)』と答えて室を出ていった。もちろん控えている侍女は一人だけではないので、お茶を淹れてくれたりと至れり尽くせりである。最後に水餃子が出てきて香子は更にご機嫌になった。
やっとおなかがいっぱいになり、食後のお茶を飲んでいる時に気づいた。
『あれ……』
『如何した?』
『私、今夜って、もしかして……』
もしかしなくても誰かさんと約束をしたことを香子は思い出した。さーっと顔が青くなる。
確かに好きだけど、でもでも、と香子はおろおろした。
『ああ、今宵は白虎と交わるのだろう?』
玄武に言われて終わった、と思った。逃げることはできないらしい。
『我が共に参る故心配するな』
朱雀にダメ押しされて、香子は遠い目をしたくなった。
嫌なわけではないけれど、白虎の姿とか、快感に翻弄されるのがつらい。
『はい……』
白虎のことを思い出したのが、ごはんを食べ終えてからでよかったと香子は思った。
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