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第3部 周りと仲良くしろと言われました
93.それは理屈ではないのです
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熱は与えられなかったから、ありありと朱雀の愛撫に感じさせられて香子はたくさん啼かされてしまった。
(やっぱり朱雀様は意地悪だぁ……)
すっごく恥ずかしかったし、香子はとろとろに溶かされてしまった。朱雀はテクニシャンだと香子はしみじみ思う。
事後の気だるさのまま世話をされるのもいたたまれなかった。しかし最後まで抱かれているのとそうでないのとでは、香子も気の持ちようが違った。
『そなたと共にいると抱きたくなってしまう。たまらぬな』
朱雀にしれっと言われ、香子は頭痛がしてきた。
『なんですかそのパブロフの犬は』
『パブロフの犬とはなんだ?』
『あー、えーと……条件反射みたいなものです』
(そっか。単語としては「パブロフの犬」ってのは知ってても相手が知らなかったらわからないよね)
そういうのが難しいと香子は思う。召喚された時に言葉はわからないわ、四神以外とは会話ができないなんてどんなハードモードだと香子は内心悪態をついた。香子は中国の大学を卒業したぐらいなので日常会話ぐらいなら問題はないし、中国の時代劇もはまって見ていたからそういった会話も苦にならない。それに香子は中国歴史も個人的に好きだったので、中国歴史関係の書籍はかなりの数を読んでいた。故に、張錦飛と歴史の話をするのも大好きである。
(まぁでも私の前の花嫁はその時代の中国人だったらしいから、言葉が通じない人は召喚されないのかな。そうだったらいいな)
花嫁なんて名称なんだから大事にしてほしいものだと香子は思った。
昼食の後、紅児の休みの日が決まったと紅夏が伝えにきた。意志の疎通ができているようでけっこうな話である。香子としては妹を取られるような複雑な心境だが、四神の眷属に限って浮気などはありえないのでそこらへんは信用できる。
『紅夏』
『なにか?』
『エリーザの話をよく聞くようにしてね。貴方の想いだけで突っ走らないようにして』
『言われなくても大丈夫です』
釘は刺したが糠に釘だったかもしれないと思い、香子はムッとした。ともあれ紅児の休みの日はわかったのでそれに合わせて手配を頼まなければならないだろう。
『趙に香山に行くこと、伝えておいてくれる?』
『承知しました』
『夕玲にもし会えたら後で老仏爺に手紙を書きたいって伝えておいて』
『……承知しました』
言うだけ言ってから紅夏を送り出し、香子はため息をついた。
『疲れただろう。しばし休もうか』
『……お茶ぐらい飲ませてください』
朱雀の言う休むは絶対休むことではないと思う。朱雀はククッと喉の奥で笑うと、香子のしたいようにさせた。余裕というのかなんといえばいいのか、香子は朱雀を椅子にしたままゆっくりと茶を啜った。
『おいしい……』
朱雀の手が優しく香子の髪を撫でた。毎回キレイに整えられている赤い髪も、四神の手によって崩されてしまう。わざと少しだけ垂らされている長い髪を手に取り、朱雀はそれにそっと口づけた。香子はそれに頬を染めた。
『香子、そなたに触れたい』
『……触れているではありませんか』
『そなたに熱を与えたい』
『昼からは嫌です。せめて夜にしてください』
『つれないものよ』
朱雀は喉の奥でククッと笑う。香子はそっと息をついた。明るい時間は嫌なのだ。何か、別のことができるだろうと香子は考えてしまう。嫁いだならば、愛欲の日々になってもしかたないと理解しているが、香子にはまだやりたいことがあった。
『贈物が見たいかも』
『そなたに贈られたものか』
『はい』
『そなたは猫眼石にしか興味はないのだろう?』
『そうですね。おかげで最近いただける数が多くなって嬉しいです』
『そういうものなのか。宝飾品はさっぱりわからぬな』
『朱雀様は光物とか興味ないんですか?』
『興味はないな』
『ふうん。なんか好きそうに見えたんですけど』
『その根拠はなんだ?』
『なんとなく?』
香子は首を傾げて答えた。そんな他愛のない会話も香子は好きだった。もちろんただおしゃべりだけでは済まなかったが、有意義な時間を過ごせたと香子は思った。
夜、いつも通り玄武と朱雀と過ごした。
翌朝、玄武の口づけを受けたら、
『香子、今日は我と過ごしてくれまいか』
と言われてしまった。その香子を窺うような緑の目に、香子は笑んだ。
『かまいませんが……昼間は抱かないでくださいね?』
『何故?』
『私が嫌だからです』
明るい時間は嫌なのだからしょうがない。
『そなたにはかなわぬな』
玄武は柔らかく笑んで、香子に従った。そんな日々を送るうちに、紅児の休日を迎えた。香山に行くと伝えるのは紅夏がすることだから、香子は前の日は何も伝えることができなくて内心身もだえていた。
紅児が少しでも楽しんできてくれればいい。香子は香山の紅葉を見た時のことを思い出し、それをこれから見るであろう紅児のことを思って目を細めた。
『……なんで紅夏なのよぅ』
『かようなことを言うと、また余計なことを言われてしまうのではないか?』
香子をだっこした白虎が笑う。香子はまた、ムッと不機嫌そうな表情を浮かべた。
(やっぱり朱雀様は意地悪だぁ……)
すっごく恥ずかしかったし、香子はとろとろに溶かされてしまった。朱雀はテクニシャンだと香子はしみじみ思う。
事後の気だるさのまま世話をされるのもいたたまれなかった。しかし最後まで抱かれているのとそうでないのとでは、香子も気の持ちようが違った。
『そなたと共にいると抱きたくなってしまう。たまらぬな』
朱雀にしれっと言われ、香子は頭痛がしてきた。
『なんですかそのパブロフの犬は』
『パブロフの犬とはなんだ?』
『あー、えーと……条件反射みたいなものです』
(そっか。単語としては「パブロフの犬」ってのは知ってても相手が知らなかったらわからないよね)
そういうのが難しいと香子は思う。召喚された時に言葉はわからないわ、四神以外とは会話ができないなんてどんなハードモードだと香子は内心悪態をついた。香子は中国の大学を卒業したぐらいなので日常会話ぐらいなら問題はないし、中国の時代劇もはまって見ていたからそういった会話も苦にならない。それに香子は中国歴史も個人的に好きだったので、中国歴史関係の書籍はかなりの数を読んでいた。故に、張錦飛と歴史の話をするのも大好きである。
(まぁでも私の前の花嫁はその時代の中国人だったらしいから、言葉が通じない人は召喚されないのかな。そうだったらいいな)
花嫁なんて名称なんだから大事にしてほしいものだと香子は思った。
昼食の後、紅児の休みの日が決まったと紅夏が伝えにきた。意志の疎通ができているようでけっこうな話である。香子としては妹を取られるような複雑な心境だが、四神の眷属に限って浮気などはありえないのでそこらへんは信用できる。
『紅夏』
『なにか?』
『エリーザの話をよく聞くようにしてね。貴方の想いだけで突っ走らないようにして』
『言われなくても大丈夫です』
釘は刺したが糠に釘だったかもしれないと思い、香子はムッとした。ともあれ紅児の休みの日はわかったのでそれに合わせて手配を頼まなければならないだろう。
『趙に香山に行くこと、伝えておいてくれる?』
『承知しました』
『夕玲にもし会えたら後で老仏爺に手紙を書きたいって伝えておいて』
『……承知しました』
言うだけ言ってから紅夏を送り出し、香子はため息をついた。
『疲れただろう。しばし休もうか』
『……お茶ぐらい飲ませてください』
朱雀の言う休むは絶対休むことではないと思う。朱雀はククッと喉の奥で笑うと、香子のしたいようにさせた。余裕というのかなんといえばいいのか、香子は朱雀を椅子にしたままゆっくりと茶を啜った。
『おいしい……』
朱雀の手が優しく香子の髪を撫でた。毎回キレイに整えられている赤い髪も、四神の手によって崩されてしまう。わざと少しだけ垂らされている長い髪を手に取り、朱雀はそれにそっと口づけた。香子はそれに頬を染めた。
『香子、そなたに触れたい』
『……触れているではありませんか』
『そなたに熱を与えたい』
『昼からは嫌です。せめて夜にしてください』
『つれないものよ』
朱雀は喉の奥でククッと笑う。香子はそっと息をついた。明るい時間は嫌なのだ。何か、別のことができるだろうと香子は考えてしまう。嫁いだならば、愛欲の日々になってもしかたないと理解しているが、香子にはまだやりたいことがあった。
『贈物が見たいかも』
『そなたに贈られたものか』
『はい』
『そなたは猫眼石にしか興味はないのだろう?』
『そうですね。おかげで最近いただける数が多くなって嬉しいです』
『そういうものなのか。宝飾品はさっぱりわからぬな』
『朱雀様は光物とか興味ないんですか?』
『興味はないな』
『ふうん。なんか好きそうに見えたんですけど』
『その根拠はなんだ?』
『なんとなく?』
香子は首を傾げて答えた。そんな他愛のない会話も香子は好きだった。もちろんただおしゃべりだけでは済まなかったが、有意義な時間を過ごせたと香子は思った。
夜、いつも通り玄武と朱雀と過ごした。
翌朝、玄武の口づけを受けたら、
『香子、今日は我と過ごしてくれまいか』
と言われてしまった。その香子を窺うような緑の目に、香子は笑んだ。
『かまいませんが……昼間は抱かないでくださいね?』
『何故?』
『私が嫌だからです』
明るい時間は嫌なのだからしょうがない。
『そなたにはかなわぬな』
玄武は柔らかく笑んで、香子に従った。そんな日々を送るうちに、紅児の休日を迎えた。香山に行くと伝えるのは紅夏がすることだから、香子は前の日は何も伝えることができなくて内心身もだえていた。
紅児が少しでも楽しんできてくれればいい。香子は香山の紅葉を見た時のことを思い出し、それをこれから見るであろう紅児のことを思って目を細めた。
『……なんで紅夏なのよぅ』
『かようなことを言うと、また余計なことを言われてしまうのではないか?』
香子をだっこした白虎が笑う。香子はまた、ムッと不機嫌そうな表情を浮かべた。
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