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第3部 周りと仲良くしろと言われました
98.皇太后のところへ行ってきます
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白虎はやれやれというように香子のしたいようにさせてくれた。
(癒し、大事!)
こんなに甘えていていいのだろうかと香子も思うのだが、気持ちがなかなか収まらないこともある。どうせ今夜は白虎にも抱かれるのだからと香子は開き直ることにした。
(あー……でも夜はなぁ……)
昨夜のことを思い出して、香子は赤面した。青龍にはさすがに抱かれなかったが、いっぱい甘えてしまった気がする。香子は自分が思っていたより万里の長城が好きだったようだ。戻ってきてからは玄武と朱雀に甘えた。今度は朱雀が連れて行ってくれるらしい。玄武はさすがに空を飛べないから少し残念そうだったけど、誰かと結婚してからデートしようなんて話にはなったりした。
四神の誰かとの結婚はあくまで便宜上のもので、やはり香子が四神全員の花嫁であることに変わりはないようだった。香子もそれには気づいていたのだが、あまりそういうことをはっきりさせたくなかったので今まで考えないようにはしていた。それが現実味を帯びてきたことで疲れてしまったのである。
なので今はもふることしかできなくなってしまった。
ちなみに、夜目は利くようにはなったが、朝起きて「目がっ、目がぁああーーー!」な状態にはならなかったので香子はほっとした。夜目が利くことで昼間が眩しくていられなくなったら本末転倒である。それこそモグラになってしまうだろう。
昼食の時間だと呼ばれて、やっと香子はしぶしぶ白虎の毛から顔を上げた。もっともふりたかったがしょうがない。
『香子、そなたの手が変な動きをしているぞ』
白虎に呆れられてしまった。
『……もっと癒されたいです……』
『我は夜の営みで癒されるが』
『……あれは癒しとは違います……』
すごく気持ちいいけどとても疲れるし、それに恥ずかしいと香子は思う。香子の顔は夜のことを思い出したことで真っ赤になった。
昼食時、香子は四神の顔を恥ずかしくて見られなかった。昨日甘え倒したということもあるし、夜は白虎も共に過ごすということがなんともいえず……なのである。ちょっと顔を上げれば青龍が相好を崩しているのを見てしまい、香子は内心身もだえた。
(もー……私メンクイなんだからどうにかしてほしい……)
四神は元々あまり表情が動かないのに、香子の前ではそれなりに表情があるから余計に困るのだ。ときめきが高じて早めに心臓が止まってしまいそうである。
食べ終えて食休み後は出かける準備をしてもらった。今日は白虎と玄武が共に慈寧宮へ行くことになっている。皇太后は香子が白虎の腕の中にいることを好んでいるようなので、白虎に抱かれたまま出かけた。
今日はお茶を飲みながら静宜園(香山公園)へ向かう計画を立てるのだ。
『花嫁様、よういらした。花嫁様の好きな点心も用意しましたぞ』
慈寧宮に着くと、皇太后がにこにこ顔で香子たちを迎えてくれた。会えば会うほど皇太后はフレンドリーになっているような気がするが、相手は皇太后なので香子もあまり羽目を外さぬよう気を付ける必要はあった。
『老仏爺、この度は私のわがままを聞いてくださりありがとうございます』
白虎に抱かれたまま挨拶するのもいつものことだ。本当は下ろしてもらって、きちんと立って挨拶がしたいと香子は思っているが、四神は絶対に香子を放してくれないのだからしかたない。そこらへんはもう開き直るしかなかった。
皇太后は目を丸くした。
『花嫁様のわがままなどかわいいものじゃ。わがままというのはのぅ、冬に茘枝(ライチ)を食べさせよと言うことぐらいじゃろう』
『そ、そんなことは言えません……』
楊貴妃じゃないんだからと香子は苦笑した。楊貴妃がライチを好んだというのは有名な話である。だがライチは中国でも南方の原産で、保存がきかない。楊貴妃はこれを中国の華南地方から当時の都であった長安(現在の西安)まで早馬で運ばせたなんて話もある。ライチの旬の時期は初夏から盛夏にかけてであり、冬にライチを食べさせよなんて言うのは不可能ではないかと香子は思った。
『花嫁様はほんに欲がないのぅ』
それは欲とは関係ないのでは、と香子は思ったがツッコミはしなかった。これはもうそういう会話なのである。皇太后はほ、ほと笑った。
今日のお茶は紅茶だった。キーマンティーのようで、安定しておいしいと香子は顔を綻ばせた。寒くなってきたから紅茶を飲むようになったのかもしれない、とそこで気づいた。いくら暖石があっても皇太后にとって冬の寒さは堪えるだろう。
『老仏爺は、新年にはいつもこちらへ戻ってきていらっしゃるのでしたっけ』
『そうじゃ。移動も寒くてたいへんなのじゃが、今年はこのまま新年までおるから寒い中の移動をせずともよい。花嫁様には感謝しなくてはのぅ』
『いえいえ、感謝されるようなことではございません……』
あんまり皇太后に持ち上げられて香子は困ってしまった。
『江緑、あまり香子をからかうでない』
白虎が皇太后に声をかける。それでやっと香子は自分がからかわれていることに気づき、へらりと笑みを浮かべたのだった。
『からかうなどと……花嫁様のおかげで都へ上る大義名分ができたのですぞ』
『全く……女子(おなご)の会話は理解できぬ。静宜園の話はせぬのか』
『もちろんいたしますとも。短気な男は嫌われますぞ』
皇太后はまた笑って白虎を黙らせたのだった。
ーーーーー
12/25 「茶縁~君を想う」をアマゾンkindle(アンリミ対応しています)&ペーパーバックで販売開始しました。
現代中国(2001年頃)を舞台とした中国の青年と日本からの留学生の恋愛物語です。
香子もそんな風に留学生活を過ごしていました。
もし興味がありましたらどうぞ~。
(癒し、大事!)
こんなに甘えていていいのだろうかと香子も思うのだが、気持ちがなかなか収まらないこともある。どうせ今夜は白虎にも抱かれるのだからと香子は開き直ることにした。
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昨夜のことを思い出して、香子は赤面した。青龍にはさすがに抱かれなかったが、いっぱい甘えてしまった気がする。香子は自分が思っていたより万里の長城が好きだったようだ。戻ってきてからは玄武と朱雀に甘えた。今度は朱雀が連れて行ってくれるらしい。玄武はさすがに空を飛べないから少し残念そうだったけど、誰かと結婚してからデートしようなんて話にはなったりした。
四神の誰かとの結婚はあくまで便宜上のもので、やはり香子が四神全員の花嫁であることに変わりはないようだった。香子もそれには気づいていたのだが、あまりそういうことをはっきりさせたくなかったので今まで考えないようにはしていた。それが現実味を帯びてきたことで疲れてしまったのである。
なので今はもふることしかできなくなってしまった。
ちなみに、夜目は利くようにはなったが、朝起きて「目がっ、目がぁああーーー!」な状態にはならなかったので香子はほっとした。夜目が利くことで昼間が眩しくていられなくなったら本末転倒である。それこそモグラになってしまうだろう。
昼食の時間だと呼ばれて、やっと香子はしぶしぶ白虎の毛から顔を上げた。もっともふりたかったがしょうがない。
『香子、そなたの手が変な動きをしているぞ』
白虎に呆れられてしまった。
『……もっと癒されたいです……』
『我は夜の営みで癒されるが』
『……あれは癒しとは違います……』
すごく気持ちいいけどとても疲れるし、それに恥ずかしいと香子は思う。香子の顔は夜のことを思い出したことで真っ赤になった。
昼食時、香子は四神の顔を恥ずかしくて見られなかった。昨日甘え倒したということもあるし、夜は白虎も共に過ごすということがなんともいえず……なのである。ちょっと顔を上げれば青龍が相好を崩しているのを見てしまい、香子は内心身もだえた。
(もー……私メンクイなんだからどうにかしてほしい……)
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『老仏爺、この度は私のわがままを聞いてくださりありがとうございます』
白虎に抱かれたまま挨拶するのもいつものことだ。本当は下ろしてもらって、きちんと立って挨拶がしたいと香子は思っているが、四神は絶対に香子を放してくれないのだからしかたない。そこらへんはもう開き直るしかなかった。
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『そ、そんなことは言えません……』
楊貴妃じゃないんだからと香子は苦笑した。楊貴妃がライチを好んだというのは有名な話である。だがライチは中国でも南方の原産で、保存がきかない。楊貴妃はこれを中国の華南地方から当時の都であった長安(現在の西安)まで早馬で運ばせたなんて話もある。ライチの旬の時期は初夏から盛夏にかけてであり、冬にライチを食べさせよなんて言うのは不可能ではないかと香子は思った。
『花嫁様はほんに欲がないのぅ』
それは欲とは関係ないのでは、と香子は思ったがツッコミはしなかった。これはもうそういう会話なのである。皇太后はほ、ほと笑った。
今日のお茶は紅茶だった。キーマンティーのようで、安定しておいしいと香子は顔を綻ばせた。寒くなってきたから紅茶を飲むようになったのかもしれない、とそこで気づいた。いくら暖石があっても皇太后にとって冬の寒さは堪えるだろう。
『老仏爺は、新年にはいつもこちらへ戻ってきていらっしゃるのでしたっけ』
『そうじゃ。移動も寒くてたいへんなのじゃが、今年はこのまま新年までおるから寒い中の移動をせずともよい。花嫁様には感謝しなくてはのぅ』
『いえいえ、感謝されるようなことではございません……』
あんまり皇太后に持ち上げられて香子は困ってしまった。
『江緑、あまり香子をからかうでない』
白虎が皇太后に声をかける。それでやっと香子は自分がからかわれていることに気づき、へらりと笑みを浮かべたのだった。
『からかうなどと……花嫁様のおかげで都へ上る大義名分ができたのですぞ』
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皇太后はまた笑って白虎を黙らせたのだった。
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香子もそんな風に留学生活を過ごしていました。
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