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第3部 周りと仲良くしろと言われました
113.どんなに抱かれていても恥ずかしさは消えないものです
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白虎に我慢をさせたのは悪かったとは香子も思っている。
だがどうせ今夜は白虎も共に過ごすのだからいいではないかとも思った。
本性を現す時間が長ければ長いほど本性に引きずられるのはわかっていたので、夕飯の際、『今宵は白虎様も共に』と声をかけてしまった。
白虎の目が一瞬見開かれた。そして口元がわずかにクッと上がる。
『……よいのか?』
『私と過ごしてはいただけませんか?』
ついそんな風に言ってしまった。
『是非もない』
白虎の表情はいつものそれに戻ってしまったが、その金色の瞳はしっかりと香子を見つめていた。そして、
『……そなたが愛しくてたまらぬ』
ため息混じりに白虎は呟いた。給仕の為に控えている侍女たちは内心身もだえる。これがあるから四神宮に仕えるのはたまらないと侍女たちは思っているが、そんなことは香子も知らない。
香子自身が白虎にノックアウトされていた。
(こ、このぉ……ううう、この美形にはかなわない……)
惚れた弱みもあり、香子が四神に勝てるはずもなかった。(そもそも勝負ではない)
白虎も共に、となると明日の朝は寝起きが遅くなるだろうということを、香子は入浴中に思い至った。
(ってことはー……下手すると午前中いっぱいは部屋に戻れないよね)
いつもなら特に気にすることはないが、紅児のことがある。ただ香子の部屋で立っているだけだと余計なことを考えてしまうかもしれないと香子は思った。
茶室で今日のことを説明はしたが、詳しくは紅夏に聞いているはずである。紅夏がきちんとフォローしていればいいが、それはさすがに確認できない。
そういえば、と香子は思い出した。
『ねえ、私宛に来ている贈物とかって今はどうしているの?』
肩に湯をかけてくれる侍女に聞いた。
『花嫁様への贈物は定期的に仕分けをさせていただいております』
『差配は趙がしているのかしら?』
『はい』
『じゃあ、趙に伝えて。明日の午前中に贈物の仕分けをしてほしいと。その際にエリーザを混ぜてほしいの』
『かしこまりました』
湯あみには二人ほど侍女が付き添っている。一人がしずしずと出ていき、少ししてから戻ってきた。今日は黒月は浴室の外で控えている。黒月は香子の守護なので離れることはない。故に侍女も一人黒月と共に外にいる。香子の世話をするには何人侍女がいても足りないのだ。
それでも女官である延夕玲や侍女頭である陳がいるのでどうにか四神宮は回っていた。
入浴後はいつも通りである。今夜香子を部屋に迎えに来たのは白虎だった。優しく抱き上げられて玄武の室へ移動する。どうして三神共にでなければいけないのかは香子が一番よくわかっている。
白虎を愛しいと思えど、やはりその本性に抱かれるのは怖いのだ。
(いずれ、慣れる時がくるのかしら?)
三神に身を委ねながら、香子はそんなことを思った。
翌朝は香子が予想していた通り、起床時間は遅くなった。
抱かれている時はすぐにわけがわからなくなってしまうが、朝になると昨夜の痴態をほとんど思い出してしまうのは勘弁してほしいと香子は思う。すでに白虎は己の室に戻ったようで、目の前には玄武がいた。気配がないことから、朱雀も室に戻ったのだろう。
ちょっと恥ずかしいけれど香子は玄武の胸に顔をすり寄せた。
『あっ……』
玄武の腕が優しく香子を抱き寄せる。
どこで鍛えているのかと思うほど逞しい腕の中に囚われて、香子は身を震わせた。
玄武のことは好きだ。ここで空腹を感じなければまた抱いてほしいと思ってしまうぐらい実は好きなのである。
ぐ~~っと盛大におなかが鳴り、香子は激しい空腹を覚えた。それと同時に玄武から離れなければいけないのが残念だった。
『準備をするよう伝えてはいる。しばし待て』
『……はい』
おなかが鳴る音を聞かせるのは、最初の頃はとても恥ずかしかったが、香子も今は慣れた。ただもう少し床でごろごろしたいなと思っても、空腹で寝ていられないというのももったいない気がする。
青龍に愛撫されるのも嫌いではないが、できればこういう穏やかな時間もほしい。甘さが滲む時間というのだろうか。
そんなことをぼうっと香子が思っている間に朝食の準備が整ったようだった。
玄武にお世話をされ、玄武の黒い長袍を羽織らされて抱き上げられる。そのまま居間に移動して朝食をいただいた。いつものことだがあれもこれもとてもおいしいと、香子はしっかり食べた。もう昼食も近い時間だというのに、である。
この時間に食べたから昼食はいらないとは決してならない。
昼食は昼食でしっかり食べる。本当にこの身体はどうなっているのかと思ったところで、香子はハッとした。
昨夜香子は白虎と朱雀とも交わった。二神は朝食はどうしたのだろうか。
『玄武様、今更な質問なのですが……』
『如何した?』
『白虎様と朱雀様は……その……』
『ああ』
玄武は香子が聞きたいことを気づいてくれたようだった。
『香子は今日昼食もとるだろう』
『はい』
『それで大丈夫だ』
『……わかりました』
空腹は空腹だが香子ほどではないらしいということはわかり、香子はほっとした。
だがほっとしてから、四神はしょうがないではないかと少しもやもやしたのだった。
ーーーーー
「貴方色に染まる」85,86話辺りです。
だがどうせ今夜は白虎も共に過ごすのだからいいではないかとも思った。
本性を現す時間が長ければ長いほど本性に引きずられるのはわかっていたので、夕飯の際、『今宵は白虎様も共に』と声をかけてしまった。
白虎の目が一瞬見開かれた。そして口元がわずかにクッと上がる。
『……よいのか?』
『私と過ごしてはいただけませんか?』
ついそんな風に言ってしまった。
『是非もない』
白虎の表情はいつものそれに戻ってしまったが、その金色の瞳はしっかりと香子を見つめていた。そして、
『……そなたが愛しくてたまらぬ』
ため息混じりに白虎は呟いた。給仕の為に控えている侍女たちは内心身もだえる。これがあるから四神宮に仕えるのはたまらないと侍女たちは思っているが、そんなことは香子も知らない。
香子自身が白虎にノックアウトされていた。
(こ、このぉ……ううう、この美形にはかなわない……)
惚れた弱みもあり、香子が四神に勝てるはずもなかった。(そもそも勝負ではない)
白虎も共に、となると明日の朝は寝起きが遅くなるだろうということを、香子は入浴中に思い至った。
(ってことはー……下手すると午前中いっぱいは部屋に戻れないよね)
いつもなら特に気にすることはないが、紅児のことがある。ただ香子の部屋で立っているだけだと余計なことを考えてしまうかもしれないと香子は思った。
茶室で今日のことを説明はしたが、詳しくは紅夏に聞いているはずである。紅夏がきちんとフォローしていればいいが、それはさすがに確認できない。
そういえば、と香子は思い出した。
『ねえ、私宛に来ている贈物とかって今はどうしているの?』
肩に湯をかけてくれる侍女に聞いた。
『花嫁様への贈物は定期的に仕分けをさせていただいております』
『差配は趙がしているのかしら?』
『はい』
『じゃあ、趙に伝えて。明日の午前中に贈物の仕分けをしてほしいと。その際にエリーザを混ぜてほしいの』
『かしこまりました』
湯あみには二人ほど侍女が付き添っている。一人がしずしずと出ていき、少ししてから戻ってきた。今日は黒月は浴室の外で控えている。黒月は香子の守護なので離れることはない。故に侍女も一人黒月と共に外にいる。香子の世話をするには何人侍女がいても足りないのだ。
それでも女官である延夕玲や侍女頭である陳がいるのでどうにか四神宮は回っていた。
入浴後はいつも通りである。今夜香子を部屋に迎えに来たのは白虎だった。優しく抱き上げられて玄武の室へ移動する。どうして三神共にでなければいけないのかは香子が一番よくわかっている。
白虎を愛しいと思えど、やはりその本性に抱かれるのは怖いのだ。
(いずれ、慣れる時がくるのかしら?)
三神に身を委ねながら、香子はそんなことを思った。
翌朝は香子が予想していた通り、起床時間は遅くなった。
抱かれている時はすぐにわけがわからなくなってしまうが、朝になると昨夜の痴態をほとんど思い出してしまうのは勘弁してほしいと香子は思う。すでに白虎は己の室に戻ったようで、目の前には玄武がいた。気配がないことから、朱雀も室に戻ったのだろう。
ちょっと恥ずかしいけれど香子は玄武の胸に顔をすり寄せた。
『あっ……』
玄武の腕が優しく香子を抱き寄せる。
どこで鍛えているのかと思うほど逞しい腕の中に囚われて、香子は身を震わせた。
玄武のことは好きだ。ここで空腹を感じなければまた抱いてほしいと思ってしまうぐらい実は好きなのである。
ぐ~~っと盛大におなかが鳴り、香子は激しい空腹を覚えた。それと同時に玄武から離れなければいけないのが残念だった。
『準備をするよう伝えてはいる。しばし待て』
『……はい』
おなかが鳴る音を聞かせるのは、最初の頃はとても恥ずかしかったが、香子も今は慣れた。ただもう少し床でごろごろしたいなと思っても、空腹で寝ていられないというのももったいない気がする。
青龍に愛撫されるのも嫌いではないが、できればこういう穏やかな時間もほしい。甘さが滲む時間というのだろうか。
そんなことをぼうっと香子が思っている間に朝食の準備が整ったようだった。
玄武にお世話をされ、玄武の黒い長袍を羽織らされて抱き上げられる。そのまま居間に移動して朝食をいただいた。いつものことだがあれもこれもとてもおいしいと、香子はしっかり食べた。もう昼食も近い時間だというのに、である。
この時間に食べたから昼食はいらないとは決してならない。
昼食は昼食でしっかり食べる。本当にこの身体はどうなっているのかと思ったところで、香子はハッとした。
昨夜香子は白虎と朱雀とも交わった。二神は朝食はどうしたのだろうか。
『玄武様、今更な質問なのですが……』
『如何した?』
『白虎様と朱雀様は……その……』
『ああ』
玄武は香子が聞きたいことを気づいてくれたようだった。
『香子は今日昼食もとるだろう』
『はい』
『それで大丈夫だ』
『……わかりました』
空腹は空腹だが香子ほどではないらしいということはわかり、香子はほっとした。
だがほっとしてから、四神はしょうがないではないかと少しもやもやしたのだった。
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「貴方色に染まる」85,86話辺りです。
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