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第4部 四神を愛しなさいと言われました
44.新年の晩餐会に参加します
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女性の支度は時間がかかるもの。
香子自身もそれは実感していた。
衣裳の着替えは構わないし、紅をさされるのも当然だとは香子も思っているが、この頭が重いのにはとても慣れない。
(どなたかに嫁いだ後、髪型はもう少し自由にさせてもらってもいいかしら?)
そう考えてしまうぐらいである。髪を結い上げられるだけでなく飾りや簪をこれでもかと差されるのだ。それでも基本的に香子は四神に抱かれて移動するから、四神に刺さらないようにと一応髪飾りは控えめにされている方だった。
(なんで重いのがわかってるのにこんな風にしちゃったのかなぁ)
しきたりだのなんだのというのは厄介だと香子は内心嘆息した。
やがて身支度を整えた玄武が迎えに来て、香子の胸はどきどきした。
いつもより刺繍が多い黒の長袍が美しい。髪もきっちり結い上げられて、しっかり冠の中に収められている。
玄武が素敵すぎて、香子は頬を染めた。真正面から見るのがはばかられるほどだったので、香子はつい目を逸らしてしまった。
『香子、如何した?』
(どうしたもこうしたも玄武様が素敵すぎるんですー!)
『な、なんでも……』
『似合わぬか?』
思いがけないことを聞かれて、香子は玄武をまじまじと見た。やはり玄武は美しい。
(うっ……)
『に、似合ってます! すっごく似合ってて素敵すぎるから近寄らないでください!』
香子は両手を前に出した。
『かようなこと、できるはずがなかろう』
玄武に即却下され、香子はそのまま玄武に抱き上げられた。
『香子、そなたはいつも綺麗だが、今日は特に美しいな』
『ああうう……』
香子は両手で顔を覆った。
香子の動揺はそれだけでは済まなかった。新年の晩餐会は四神が集まる。玄武の腕に抱かれたまま、朱雀、白虎、青龍に囲まれて香子は泣きそうになった。みんなばっちり決めていて、素敵すぎて香子は心臓が止まるかと思った。
そんな香子の目がハートになる場面もあったが、本番は晩餐会である。今回は眷属たちも全員付き従った。それと、延夕玲も一緒である。女官は増える予定だが、しばらく選定には時間がかかるらしかった。
そうして、香子は玄武に抱かれたまま晩餐会の会場に入った。今回はきちんと背もたれのある長椅子が用意されており、そこに玄武は香子を抱いたまま腰掛けた。
何故か朱雀、白虎、青龍の椅子も長椅子だった。香子が誰に抱かれてもいいようにという配慮のようで、香子はまた頬を染めた。
ボワアアーーン! ボワアアーーン! と銅鑼が鳴らされる。
皇帝と皇后が会場に入ってきた。みな一斉に立ち上がり、
『皇上、万歳万歳万々歳! 皇后娘娘、千歳千歳千々歳!』
と挨拶をする。
『平身』(なおれ)
『謝皇上!』(皇帝陛下、ありがとうございます)
この会場は広く、主たる重鎮や他国からの賓客なども来ている。もちろん皇帝の愛妾も一部参加している。それらの面々が一斉に声を上げたことから、香子は目を白黒させた。
(じ、時代劇ぃ……)
四神は皇帝が出てきたところで立ち上がったりも、そのように挨拶もしない。だから余計に香子はTVドラマを見せられているような感覚であった。
皇帝がなにやら偉そうなことを話していたが、香子は早くごはん食べたいなとしか思っていなかった。
やがて皇帝が腰掛けると中央で舞などが始まる。それらを見ながら香子は新年のごちそうに舌鼓を打った。
清蒸魚(魚の姿蒸し)はとても大きかった。これは昨夜も四神宮で出されたごちそうである。晩餐会の魚は昨夜のものよりも一回り以上も大きかった。
さすがに魚は黒月が更に取り分け、玄武と香子に渡した。
『香子は魚が好きであったな。好きなだけ食べるといい』
『ありがとうございます』
白身なのにしっかりとした魚がおいしい。前菜や炒め物も豪華であったが、その他に水餃子、春巻、長寿麺、お餅と沢山のごちそうが運ばれ、香子はできるだけ食べ過ぎないように気を付けながらしっかり味わって食べた。
(この上品な春巻もおいしいし、途中で切れてない麺もなんかこしがあっておいしいし、お餅は揚げられてるし最高!)
食べることに夢中になっている香子を、四神は愛しくてならないというように見つめている。もう会場の中心で行われている演目になど目も向かなかった。
(やっぱ中華料理たまらん!)
この料理のおかげで香子はがんばってこられたといっていい。もう元の世界に帰れないという絶望も、一目親兄弟に会いたかったという願いも、中国という国が好きだからこそやってこられたのだ。当然ながら四神への愛情もある。
『香子、これも食べるか?』
朱雀や白虎、青龍も香子の餌付けに余念がない。
ここでは食事をするだけで、誰かが挨拶に来るということもない。
香子は思う存分新年のごちそうを堪能した。
大きな肉の塊もあり、それは白虎が豪快に食べていた。香子もおそるおそる一口食べさせてもらったが、脂が口の中で蕩けるようでとてもおいしかった。さすがは宮廷料理である。
そうして香子はぽんぽんになったおなかを擦りつつ、上機嫌で四神宮に戻ったのだった。
香子自身もそれは実感していた。
衣裳の着替えは構わないし、紅をさされるのも当然だとは香子も思っているが、この頭が重いのにはとても慣れない。
(どなたかに嫁いだ後、髪型はもう少し自由にさせてもらってもいいかしら?)
そう考えてしまうぐらいである。髪を結い上げられるだけでなく飾りや簪をこれでもかと差されるのだ。それでも基本的に香子は四神に抱かれて移動するから、四神に刺さらないようにと一応髪飾りは控えめにされている方だった。
(なんで重いのがわかってるのにこんな風にしちゃったのかなぁ)
しきたりだのなんだのというのは厄介だと香子は内心嘆息した。
やがて身支度を整えた玄武が迎えに来て、香子の胸はどきどきした。
いつもより刺繍が多い黒の長袍が美しい。髪もきっちり結い上げられて、しっかり冠の中に収められている。
玄武が素敵すぎて、香子は頬を染めた。真正面から見るのがはばかられるほどだったので、香子はつい目を逸らしてしまった。
『香子、如何した?』
(どうしたもこうしたも玄武様が素敵すぎるんですー!)
『な、なんでも……』
『似合わぬか?』
思いがけないことを聞かれて、香子は玄武をまじまじと見た。やはり玄武は美しい。
(うっ……)
『に、似合ってます! すっごく似合ってて素敵すぎるから近寄らないでください!』
香子は両手を前に出した。
『かようなこと、できるはずがなかろう』
玄武に即却下され、香子はそのまま玄武に抱き上げられた。
『香子、そなたはいつも綺麗だが、今日は特に美しいな』
『ああうう……』
香子は両手で顔を覆った。
香子の動揺はそれだけでは済まなかった。新年の晩餐会は四神が集まる。玄武の腕に抱かれたまま、朱雀、白虎、青龍に囲まれて香子は泣きそうになった。みんなばっちり決めていて、素敵すぎて香子は心臓が止まるかと思った。
そんな香子の目がハートになる場面もあったが、本番は晩餐会である。今回は眷属たちも全員付き従った。それと、延夕玲も一緒である。女官は増える予定だが、しばらく選定には時間がかかるらしかった。
そうして、香子は玄武に抱かれたまま晩餐会の会場に入った。今回はきちんと背もたれのある長椅子が用意されており、そこに玄武は香子を抱いたまま腰掛けた。
何故か朱雀、白虎、青龍の椅子も長椅子だった。香子が誰に抱かれてもいいようにという配慮のようで、香子はまた頬を染めた。
ボワアアーーン! ボワアアーーン! と銅鑼が鳴らされる。
皇帝と皇后が会場に入ってきた。みな一斉に立ち上がり、
『皇上、万歳万歳万々歳! 皇后娘娘、千歳千歳千々歳!』
と挨拶をする。
『平身』(なおれ)
『謝皇上!』(皇帝陛下、ありがとうございます)
この会場は広く、主たる重鎮や他国からの賓客なども来ている。もちろん皇帝の愛妾も一部参加している。それらの面々が一斉に声を上げたことから、香子は目を白黒させた。
(じ、時代劇ぃ……)
四神は皇帝が出てきたところで立ち上がったりも、そのように挨拶もしない。だから余計に香子はTVドラマを見せられているような感覚であった。
皇帝がなにやら偉そうなことを話していたが、香子は早くごはん食べたいなとしか思っていなかった。
やがて皇帝が腰掛けると中央で舞などが始まる。それらを見ながら香子は新年のごちそうに舌鼓を打った。
清蒸魚(魚の姿蒸し)はとても大きかった。これは昨夜も四神宮で出されたごちそうである。晩餐会の魚は昨夜のものよりも一回り以上も大きかった。
さすがに魚は黒月が更に取り分け、玄武と香子に渡した。
『香子は魚が好きであったな。好きなだけ食べるといい』
『ありがとうございます』
白身なのにしっかりとした魚がおいしい。前菜や炒め物も豪華であったが、その他に水餃子、春巻、長寿麺、お餅と沢山のごちそうが運ばれ、香子はできるだけ食べ過ぎないように気を付けながらしっかり味わって食べた。
(この上品な春巻もおいしいし、途中で切れてない麺もなんかこしがあっておいしいし、お餅は揚げられてるし最高!)
食べることに夢中になっている香子を、四神は愛しくてならないというように見つめている。もう会場の中心で行われている演目になど目も向かなかった。
(やっぱ中華料理たまらん!)
この料理のおかげで香子はがんばってこられたといっていい。もう元の世界に帰れないという絶望も、一目親兄弟に会いたかったという願いも、中国という国が好きだからこそやってこられたのだ。当然ながら四神への愛情もある。
『香子、これも食べるか?』
朱雀や白虎、青龍も香子の餌付けに余念がない。
ここでは食事をするだけで、誰かが挨拶に来るということもない。
香子は思う存分新年のごちそうを堪能した。
大きな肉の塊もあり、それは白虎が豪快に食べていた。香子もおそるおそる一口食べさせてもらったが、脂が口の中で蕩けるようでとてもおいしかった。さすがは宮廷料理である。
そうして香子はぽんぽんになったおなかを擦りつつ、上機嫌で四神宮に戻ったのだった。
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