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第1部 四神と結婚しろと言われました
43.庭園に行くことになりまして(趙視点)
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趙文英が四神宮に戻ると、もう昼の時間にさしかかっていた。
西洋の城というのは基本聳え立つように作られているが、この国の王城は基本平屋建てで横方向に広い。四神宮はあまり人目に触れぬようにと北東の外れにあった。その為何か趙だけでは判断できない事柄があると面倒ともいえた。
(お食事を召し上がるのは基本白香様だけだが、朝食も遅かったことだしどうされるおつもりだろうか)
侍女を捕まえて聞くと、ちょうどその昼食のことで悩まれている様子だという。趙は礼を言うとまっすぐ茶室に向かった。
『趙文英戻りました』
茶室の前で声をかけると赤い髪の眷族が扉を開けた。中に入るよう促され、拱手する。
『趙さん!』
香子の嬉しそうな声が上がる。
『遅くなりまして申し訳ありません。王城の北にある景山には出入り自由と伺ってまいりました』
『景山?』
香子がそれに首を傾げた。それに説明を付け加える。
『王城の北側には広い庭園がございますが、その中央に景山と呼ばれるそれほど高さのない山がございます。私どもはそれら北の庭園を総称して景山と呼んでおります』
『……それってもしかして人工の山ですか?』
その科白に趙は衝撃を受けた。香子は元の世界にいた時歴史に詳しかったということは知っていたが、いくら元の世界でもそうだったのかもしれないとは思えどそこまで詳しいとかえって恐ろしくもある。
『……はい、元々は小さな丘でありましたが、こちらの王城改修の際に出た泥土を積み上げまして山を形成したものです』
『……なんというか、元の世界の景山と状況は同じですね……』
それを聞いて趙はほっとした。やはり香子のいた世界にも同じようなものがあったらしい。
『行かれるのでしたら、昼食はどうされますか? 簡単なものでよろしければあちらでご用意することも可能ですが』
香子は少し悩むような顔をした。
『うーん、その景山でお茶を飲んだりする場所はあるのですか?』
『四阿はございますので休憩所としてもお使いいただけるようです』
お茶をするとなると一応こちらから湯と急須、茶杯は持っていくことになる。香子はまた少し考えるような表情をしながら言った。
『昼食に……肉まんと野菜まんと春巻を用意してもらっていいですか? お茶の準備も、申し訳ないですけどお願いします』
趙は目を丸くした。簡単な物と言っても前菜、主菜の数が少なくなり、スープがつかないというだけの話なのだが香子の申し出はなんとも庶民的である。料理は大ぶりの籠にまとめて入れて趙が運ぶ予定でいたが、この分だと自分で持つと言い出しかねない。
『……本当にそれだけでよろしいのですか?』
改めて尋ねると、
『それ以上あっても食べられないと思うので』
と当たり前のように返ってきた。そんな香子を四神が優しい眼差しで見守っているのがわかる。
(花嫁というのも伊達ではないか……)
趙も思わず口元に笑みを浮かべた。
『それでは準備をして参りますので、ご用意をお願いします』
拱手して茶室を辞した。途中香子の部屋付きの侍女に出かける旨伝え、一旦謁見の間辺りまで戻る。侍女たちに昼食やお茶の指示をしていると、何故か先ほどまで一緒にいた王が駆けるようにしてやってきた。
『どうかしたのか?』
不思議に思って尋ねると、王は趙の目の前で立ち止まった。
『趙は景山に入ったことがないだろう。案内と荷物持ちは多い方がいいと思って中書令に許可をもらってきたんだ』
趙は目を丸くした。ここのところ驚くことが多い。
『っていうのは建前で、実は四神と花嫁が見たいんだ』
趙の驚いた顔を見て王はニヤリと笑った。趙が眉をひそめる。
『見世物ではないのだぞ』
『だが案内役はいた方がいいだろう?』
それは確かだったので趙は仕方なく頼むことにした。
西洋の城というのは基本聳え立つように作られているが、この国の王城は基本平屋建てで横方向に広い。四神宮はあまり人目に触れぬようにと北東の外れにあった。その為何か趙だけでは判断できない事柄があると面倒ともいえた。
(お食事を召し上がるのは基本白香様だけだが、朝食も遅かったことだしどうされるおつもりだろうか)
侍女を捕まえて聞くと、ちょうどその昼食のことで悩まれている様子だという。趙は礼を言うとまっすぐ茶室に向かった。
『趙文英戻りました』
茶室の前で声をかけると赤い髪の眷族が扉を開けた。中に入るよう促され、拱手する。
『趙さん!』
香子の嬉しそうな声が上がる。
『遅くなりまして申し訳ありません。王城の北にある景山には出入り自由と伺ってまいりました』
『景山?』
香子がそれに首を傾げた。それに説明を付け加える。
『王城の北側には広い庭園がございますが、その中央に景山と呼ばれるそれほど高さのない山がございます。私どもはそれら北の庭園を総称して景山と呼んでおります』
『……それってもしかして人工の山ですか?』
その科白に趙は衝撃を受けた。香子は元の世界にいた時歴史に詳しかったということは知っていたが、いくら元の世界でもそうだったのかもしれないとは思えどそこまで詳しいとかえって恐ろしくもある。
『……はい、元々は小さな丘でありましたが、こちらの王城改修の際に出た泥土を積み上げまして山を形成したものです』
『……なんというか、元の世界の景山と状況は同じですね……』
それを聞いて趙はほっとした。やはり香子のいた世界にも同じようなものがあったらしい。
『行かれるのでしたら、昼食はどうされますか? 簡単なものでよろしければあちらでご用意することも可能ですが』
香子は少し悩むような顔をした。
『うーん、その景山でお茶を飲んだりする場所はあるのですか?』
『四阿はございますので休憩所としてもお使いいただけるようです』
お茶をするとなると一応こちらから湯と急須、茶杯は持っていくことになる。香子はまた少し考えるような表情をしながら言った。
『昼食に……肉まんと野菜まんと春巻を用意してもらっていいですか? お茶の準備も、申し訳ないですけどお願いします』
趙は目を丸くした。簡単な物と言っても前菜、主菜の数が少なくなり、スープがつかないというだけの話なのだが香子の申し出はなんとも庶民的である。料理は大ぶりの籠にまとめて入れて趙が運ぶ予定でいたが、この分だと自分で持つと言い出しかねない。
『……本当にそれだけでよろしいのですか?』
改めて尋ねると、
『それ以上あっても食べられないと思うので』
と当たり前のように返ってきた。そんな香子を四神が優しい眼差しで見守っているのがわかる。
(花嫁というのも伊達ではないか……)
趙も思わず口元に笑みを浮かべた。
『それでは準備をして参りますので、ご用意をお願いします』
拱手して茶室を辞した。途中香子の部屋付きの侍女に出かける旨伝え、一旦謁見の間辺りまで戻る。侍女たちに昼食やお茶の指示をしていると、何故か先ほどまで一緒にいた王が駆けるようにしてやってきた。
『どうかしたのか?』
不思議に思って尋ねると、王は趙の目の前で立ち止まった。
『趙は景山に入ったことがないだろう。案内と荷物持ちは多い方がいいと思って中書令に許可をもらってきたんだ』
趙は目を丸くした。ここのところ驚くことが多い。
『っていうのは建前で、実は四神と花嫁が見たいんだ』
趙の驚いた顔を見て王はニヤリと笑った。趙が眉をひそめる。
『見世物ではないのだぞ』
『だが案内役はいた方がいいだろう?』
それは確かだったので趙は仕方なく頼むことにした。
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