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第1部 四神と結婚しろと言われました
59.やっぱり白酒は最高です
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青龍は一旦香子を部屋に帰してくれた。
『湯を使っておけ。後ほど参る』
(それは今夜ここで青龍様が一緒に寝るということですか、ああそうですか)
香子はなんだか気が遠くなりそうな自分をどうにか立て直すのに必死だった。おかげで侍女たちがこっそりとほくそ笑んでいたことに全く気付かなかった。
侍女たちに浴室に案内され、これでもかと体を磨かれる。香油を全身に塗りこまれマッサージを受けるともうどうにでもしてという気分になる。丹念に世話をされて着せかけられたのは薄絹の夜着で。その上からガウンのようなものを着せられ部屋に戻った。
(うわぁ……これはまるで初夜のような……)
香子はガウンの下の自分の格好を見ながらなんとも情けない気持ちになった。あからさまに透けているかんじではないが、見る人が見れば淫靡な格好と言えないこともない。
寝室のテーブルには香子のバッグが丁寧に置かれていた。そういえば縫ってもらったのだったと確認するとかなりキレイに仕上げられていた。自分でやったとしたらこうはいかなかっただろうと思うととても嬉しくなる。
(明日お礼言わないと)
棚に一旦しまった物を思い浮かべて、辞書をまだ返してもらっていなかったことも思い出した。
(明日確認しよう……)
なにかメモ帳というか紙が欲しい。でもこの国で紙は貴重品だろうか。
(ボールペンとかシャーペンなんて便利な物はないよねぇ……)
筆は苦手なんだけどと思いながら香子はため息をついた。
一応なにかあった時用に小さいメモ帳とボールペンは一本入れてあったからそれにメモする。かえすがえすももう一つの手荷物が惜しくなる。
(存在抹消と同時にあの時飛行機に積んであった荷物もまとめて持ってきてくれないかなぁ)
勝手なことを考えながらお茶を入れて飲もうとした時、扉が開いた。
「……あ……」
青龍だった。白い夜着に青い長袍を引っかけただけの姿だが、ひどく婀娜っぽく見える。
『女性というのはとかく支度に時間がかかるものなのだな……』
苦笑したように言いながら床の横の卓に酒瓶を置いた。陶器でできているものなので中身は窺えない。
『酒杯はありませんが……』
どうしようかと香子はどぎまぎして寝室の中を見回す。
『これでいい』
そう言って青龍が手に取ったのは茶杯だった。そして香子が何か言うのを待たず、手酌し一気に中身を煽った。
『そなたも飲むか?』
卓の隣の椅子に腰かけて悠然と聞かれる。
『中身はなんのお酒ですか?』
あまりお酒には強くないので思わず聞き返す。
『白酒だが』
『では少しいただきます』
そう言って香子は自分で茶杯に瓶の中身を少し注いだ。口に含んでその辛い、ツーンとした味を楽しむ。
『おいしいですけど、かなり強いお酒ですね。青龍様はお酒に酔われないんですか?』
『そうだな……これ一瓶ぐらいでは酔わぬな』
青龍からはそれほど酒の匂いがしないから、香子と飲む為にわざわざ持ってきてくれたのかもしれない。
白酒はいろいろ種類があってよくわからないが、紹興酒よりは香子の好みである。ちなみに日本で好まれる紹興酒は黄酒(醸造酒)である。白酒は蒸留酒で紹興酒よりもアルコール度数は高い。
(あれ? でも白酒って確か宋代初期に出てきたんじゃ?)
『あの……この白酒っていつ頃から生産されはじめたんですか?』
『さぁな……我の生まれる少し前からだと聞いているから、大体三百年ぐらい前から出回っているはずだが』
(三百年前というと清の中期ぐらいってことだよね)
ちょうど元の世界で白酒の生産が増えた頃と一致する。香子がうんうんと頷いてもう一口飲む。やはり強い。
すでに香子の顔は真っ赤だった。
青龍は水のように飲んでいるがいくらなんでも真似はできない。
『そなたは酒に弱そうだな』
『はい、でも白酒は好きです』
何よりも香りがいい。
香子が微笑んで答えると、青龍は目を細めた。そして香子の手から杯を取り上げ自分が煽る。
「……あっ……!?」
香子は慌てて青龍の手から杯を取り返そうとしたがすでに遅かった。恨めしそうに青龍を見上げると、いつのまにかその顔が近付いてきていて。
そしてどちらからともなくお互いの口唇が重なった。
『湯を使っておけ。後ほど参る』
(それは今夜ここで青龍様が一緒に寝るということですか、ああそうですか)
香子はなんだか気が遠くなりそうな自分をどうにか立て直すのに必死だった。おかげで侍女たちがこっそりとほくそ笑んでいたことに全く気付かなかった。
侍女たちに浴室に案内され、これでもかと体を磨かれる。香油を全身に塗りこまれマッサージを受けるともうどうにでもしてという気分になる。丹念に世話をされて着せかけられたのは薄絹の夜着で。その上からガウンのようなものを着せられ部屋に戻った。
(うわぁ……これはまるで初夜のような……)
香子はガウンの下の自分の格好を見ながらなんとも情けない気持ちになった。あからさまに透けているかんじではないが、見る人が見れば淫靡な格好と言えないこともない。
寝室のテーブルには香子のバッグが丁寧に置かれていた。そういえば縫ってもらったのだったと確認するとかなりキレイに仕上げられていた。自分でやったとしたらこうはいかなかっただろうと思うととても嬉しくなる。
(明日お礼言わないと)
棚に一旦しまった物を思い浮かべて、辞書をまだ返してもらっていなかったことも思い出した。
(明日確認しよう……)
なにかメモ帳というか紙が欲しい。でもこの国で紙は貴重品だろうか。
(ボールペンとかシャーペンなんて便利な物はないよねぇ……)
筆は苦手なんだけどと思いながら香子はため息をついた。
一応なにかあった時用に小さいメモ帳とボールペンは一本入れてあったからそれにメモする。かえすがえすももう一つの手荷物が惜しくなる。
(存在抹消と同時にあの時飛行機に積んであった荷物もまとめて持ってきてくれないかなぁ)
勝手なことを考えながらお茶を入れて飲もうとした時、扉が開いた。
「……あ……」
青龍だった。白い夜着に青い長袍を引っかけただけの姿だが、ひどく婀娜っぽく見える。
『女性というのはとかく支度に時間がかかるものなのだな……』
苦笑したように言いながら床の横の卓に酒瓶を置いた。陶器でできているものなので中身は窺えない。
『酒杯はありませんが……』
どうしようかと香子はどぎまぎして寝室の中を見回す。
『これでいい』
そう言って青龍が手に取ったのは茶杯だった。そして香子が何か言うのを待たず、手酌し一気に中身を煽った。
『そなたも飲むか?』
卓の隣の椅子に腰かけて悠然と聞かれる。
『中身はなんのお酒ですか?』
あまりお酒には強くないので思わず聞き返す。
『白酒だが』
『では少しいただきます』
そう言って香子は自分で茶杯に瓶の中身を少し注いだ。口に含んでその辛い、ツーンとした味を楽しむ。
『おいしいですけど、かなり強いお酒ですね。青龍様はお酒に酔われないんですか?』
『そうだな……これ一瓶ぐらいでは酔わぬな』
青龍からはそれほど酒の匂いがしないから、香子と飲む為にわざわざ持ってきてくれたのかもしれない。
白酒はいろいろ種類があってよくわからないが、紹興酒よりは香子の好みである。ちなみに日本で好まれる紹興酒は黄酒(醸造酒)である。白酒は蒸留酒で紹興酒よりもアルコール度数は高い。
(あれ? でも白酒って確か宋代初期に出てきたんじゃ?)
『あの……この白酒っていつ頃から生産されはじめたんですか?』
『さぁな……我の生まれる少し前からだと聞いているから、大体三百年ぐらい前から出回っているはずだが』
(三百年前というと清の中期ぐらいってことだよね)
ちょうど元の世界で白酒の生産が増えた頃と一致する。香子がうんうんと頷いてもう一口飲む。やはり強い。
すでに香子の顔は真っ赤だった。
青龍は水のように飲んでいるがいくらなんでも真似はできない。
『そなたは酒に弱そうだな』
『はい、でも白酒は好きです』
何よりも香りがいい。
香子が微笑んで答えると、青龍は目を細めた。そして香子の手から杯を取り上げ自分が煽る。
「……あっ……!?」
香子は慌てて青龍の手から杯を取り返そうとしたがすでに遅かった。恨めしそうに青龍を見上げると、いつのまにかその顔が近付いてきていて。
そしてどちらからともなくお互いの口唇が重なった。
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