異世界で四神と結婚しろと言われました

浅葱

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第1部 四神と結婚しろと言われました

63.贈られてきた物を見てみます

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 米线だけでもけっこうな量だったのに、それに加えていろんなものが出てきて、やっぱり香子は朝から食べすぎてしまった。

(ううう……ごはんがおいしすぎるのがいけない……)

 ホテルのバイキングでは一応気持ち悪くなるまでは食べないスキルを手に入れていた香子だが、目の前に出された物に関してはつい手が出てしまう傾向にあるらしい。
 一応そっとおなかを押さえているのを四神に見られているのもいたたまれない。

『香子は本当においしそうに食べるな』

 朱雀に言われて『本当においしいですから!』と即答した。そこではたと辞書の所在に気付く。

『そういえば朱雀様、私の辞書はどこですか?』

 唐突な問いに朱雀は目を丸くした。

『ああ……我が預かっている。後ほど持ってこよう』

 香子はほっとした。中日辞典がないと意味がどうしてもわからない時があるのだ。頭の中で日本語と中国語がきれいに分離しているせいかもしれない。そういう意味では中国語を日本語に訳すのはとても骨が折れる。

(まぁもう訳す必要もないんだけどねー……)

 とはいえ本当に日本語と似た言語を話す国というのはないのだろうか? 香子は新たな疑問に首を傾げた。
 ただこれは四神と眷族しか知らない極秘事項である。侍女たちが控えている食堂でできる質問ではなかった。
 食後のお茶をいただいた後予定通り謁見の間へ移動する。今日は当り前のように玄武に抱き上げられた。
 四神はみな体格がいいが、それぞれ抱かれ心地が違う。玄武に抱き上げられていると安定しているかんじだ。朱雀の時は抱きしめられるような形で、それはそれで包み込まれているような安心感がある。青龍は……まだちょっと緊張していてわからない。
 謁見の間にはすでに趙文英ジャオウェンインがおり、いろいろな物が所狭しと並べられていた。
 長方形のお盆に乗せられたそれらは遠目で見ても高価であることがわかる。

『四神、白香様におかれましてはご足労いただきまして誠に……』
『挨拶はよい。そこにあるのは香子宛の物に間違いないか』

 朱雀が遮って言う。

『はい、全て白香様への贈り物でございます』

 香子は眉を寄せた。これだけの物が一日二日で届いたというなら、これから先どうなってしまうのだろう。

『四神宛のはどうしたんです?』

 玄武に顔を向けて尋ねると、『眷族に選別させて領地へ送る手配をした』という答えが返ってきた。
 領地に送った物がその後どうなるのか気にならないこともないが、それよりも目の前の物をどうにかしなければいけない。

『失礼します』

 白雲と青藍が進み出て、一つ一つ品物を確認していく。どうやら怪しげなものはなかったらしく、趙に頷いた。
 遠目で見る限り、装飾品や着物ばかりだ。

(こんなにもらってどうするんだっつーの)
『近くで見てみるか?』

 玄武に聞かれて頷いた。
 普段なら博物館のようなところでしかお目にかかれない品が並んでいるのである。どちらかといえば美術品を見るような気持ちで香子はそれぞれの品物を見た。

(これは珊瑚かな……翡翠っぽいのも……これは猫目石では!)

 珊瑚も翡翠も高価な品だが、香子の目を引いたのはキャッツアイをふんだんに使ったネックレスやブレスレットだった。

『ううう……』

 キャッツアイは欲しい。使わなくても欲しい。
 香子は中国に行って初めてキャッツアイを見た時心を奪われてしまったのである。以来偽物と知りつつ安物のキャッツアイのネックレスやブレスレットを買い漁っていた。
 贈り物に使われるぐらいだから目の前のキャッツアイは本物に違いない。
 香子の目の色が変わったのを、玄武は面白いものを見るような目で見つめた。

『何か気に入ったものでもあったか?』
『猫目石のものは全部手元に置きたいです……他のは、どうでもいいですけど』

 香子の希望が汲まれ、キャッツアイが混じっている装飾品は全て香子の部屋に収納することになった。香子が思った通り贈り物の大半は着物や装飾品で、趙の指示により香子に合いそうなものを侍女が選び、残りは保留することにした。
 どちらにしろ香子に贈られた物の処遇は彼女自身で考えなければならない。箪笥の肥しにするには高価すぎる。香子は頭痛になりそうだと思った。
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