異世界で四神と結婚しろと言われました

浅葱

文字の大きさ
89 / 653
第1部 四神と結婚しろと言われました

89.ちょっとキレちゃったみたいです ※R13

しおりを挟む
 一瞬で四神宮の前に着く。侍女たちが一瞬ぎょっとしたような顔をしたが、すぐに表情を取り繕った。

(これは悲鳴上げてもいいと思う……)

 香子は侍女たちに同情した。玄武はそれに一瞥もせずまっすぐ自分の室へ向かう。

(……ん……?)

 なんだかその様子に不穏なものを感じて首を傾げた時、玄武はすでに室に足を踏み入れていた。扉がパタンと閉まったと同時ぐらいに口唇を塞がれる。

「……んっ、んーーっ!」

 玄武は少し開かれていた口唇にすぐに舌を差しこみ、驚きで縮こまった香子の舌を甘く絡め取った。唾液を絡めるような甘い口づけに香子は背筋がぞくぞくとするのを感じる。
 一応人前ではしないということを守ってはくれたのだろうが、二人きりでこれでは刺激が強すぎると香子は思う。

(昼間から盛らないでーーーー!)

 あーんなことやこーんなことは夜だから雰囲気に流されてできるのであって、昼間は論外である。
 けれど玄武の口づけ自体は嫌いではない。優しくあやすような口づけは危険だとわかっていてもずっとされていたいと思ってしまう。

(かなり毒されてきたかも……)

 いつのまに寝室に移動していたのか、ベッドに横たえられ覆いかぶさってくる玄武から引き続き口づけを受ける。
 そして何故か玄武の手が漢服の合わせをくつろげ始め、ここでようやく香子は貞操の危機に気付いた。

「んーっ、んーっ!」
(昼間からは絶対にやだーーーーーー!)

 両手は押さえられていない為必死で玄武を押しのけようとする。その間にも玄武の舌は口腔内の性感帯を刺激し、漢服の合わせからその大きな手を差し入れた。

「……んんっ……!」

 きゅっと的確に乳首を摘まれて香子の体がびくん、と大きく跳ねる。押しのけようとする手も与えられる快感に力をすぐ失ってしまう。どうせ本気で抗えないと知っているから両手は自由にされているということに気づくと、無力な自分が嫌になった。

(このままされちゃうのは絶対やだーーーーーーー!)

 なんだかもう雰囲気的に寸止めしてくれるような気がしない。朝食の前に話したことは一体なんだったのだろうと香子は泣きたくなった。
 くりくりと乳首を刺激されはじめた時、扉を勢いよくダンダンダンッッ!! と叩く音がした。

『玄武様! いくらなんでも花嫁様を襲ったりしていませんね!? 玄武様!!』

 怒鳴るような黒月の声に玄武がはっとしたように顔を上げる。そして泣きそうに潤んだ瞳をした香子を見、何故か確認するように乳首を再度きゅっとつまんだ。

『やぁんっ……玄武様のばかっ! 色狼(エッチ)!』

 香子は精いっぱい腕を伸ばして玄武を押しのけようとしながら叫んだ。

『……香子シャンズ、すまぬ……』

 玄武はやっと手を抜き、漢服の合わせ目を直すと香子を抱き起した。そしてこわれ物を扱うように優しく香子を抱きしめる。

『……どうして?』

 香子の問いに玄武は香子を抱き上げた。寝室を出、未だ叩かれ続ける扉を開けると黒月が必死の形相でそこに立っていた。

『……黒月、助かったぞ、礼を言う』

 玄武の言葉に黒月はぽかんと口を開けた。少し離れたところで三神と眷族たちがこちらを窺っていたが、香子が無事とわかると何事もなかったかのように散っていった。つまり玄武の行動は他の者たちからすると想定内だったということである。

(もー、わけわかんないよー……)

 誰かに詳しく説明してほしいと玄武の腕の中で脱力すると、立ち直った黒月が、

『お茶をお入れします』

 と元の無表情で言った。近くに控えていたらしい侍女がお湯を運び、再び玄武の室に入る。侍女たちは心得たものだが香子としてはやっぱりいたたまれない。
 居間の長椅子に玄武が香子を抱いたまま腰掛ける。
 いい香りのするお茶を入れてもらい、香子はほうっとため息をついた。そこで皇帝の元で出されたお茶を思い出す。いったいどうしてあんな質の悪いお茶を出されたのだろう。香子が考えるように首を傾げると、

『花嫁様、もう少し自覚をお持ちください』

 黒月から厳しい言葉がかかった。
しおりを挟む
感想 94

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた

いに。
恋愛
"佐久良 麗" これが私の名前。 名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。 両親は他界 好きなものも特にない 将来の夢なんてない 好きな人なんてもっといない 本当になにも持っていない。 0(れい)な人間。 これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。 そんな人生だったはずだ。 「ここ、、どこ?」 瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。 _______________.... 「レイ、何をしている早くいくぞ」 「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」 「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」 「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」 えっと……? なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう? ※ただ主人公が愛でられる物語です ※シリアスたまにあり ※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です ※ど素人作品です、温かい目で見てください どうぞよろしくお願いします。

処理中です...