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第1部 四神と結婚しろと言われました
88.固い話は苦手なのです
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香子はバイトぐらいはしたことがあるがまだ本格的に働いたことはない。だから福利厚生等はほとんどわからない。
ただ先日四神の前で話したようなことであれば説明できないこともなかった。
『私のいた世界では、仕事をすれば給金がもらえるのは同じでしょうが、その他に時間外労働ですとか、特別な仕事をすれば更にその分の給金が上乗せされていました』
『ほほう……』
中書令、王、趙がそれを記録する。
そして四神宮に勤めている人たちの現状を説く。
『つまり仕事量が増えるからその分上乗せする、ということか』
『はい。それから販売や分配、寄付するにあたっての事務等の人件費も不要品販売で得た利益から出していただければと思っています』
『そうすると寄付する分が減ってしまうがそれでもいいのか?』
所詮は不要品の処分をどうするかで思いついたことなのでこだわってはいない。ただ溜めこんでおくよりはいいかなと思っただけの話である。
『うーん、正直言うと思いつきを言っただけなので深く考えていないのです。言っちゃ悪いですけど、贈り物をするってことはなんらかの下心があるわけでしょう? だからただもらいっぱなしにするよりは、活用してどこそこに寄付しましたとか礼状を出せば下手な考えは起こさせないですむかなと』
みな目を丸くした。香子は首を傾げる。またなにかおかしなことを言っただろうか。
香子の椅子代わりになっていた玄武の腕が動き、香子をきつく抱きしめる。茶器を持っていなくてよかったと香子は思った。
『……大学に通っていたと聞いた』
皇帝が考えるような表情で呟くように言った。
『卒業はしてきましたが』
それが何か? と再び首を傾げる。
(そんなあほなこと言ったかしら?)
でも自分を抱きしめる玄武の腕はとても優しいし、みなに呆れたような色もない。
『そなたの国の教育制度はどうなっている?』
話が随分と飛んだなーと思いつつ素直に答える。
『ええと、七歳になる年に小学校に入ります。小学が六年、その後中学三年までが男女共に義務教育。その後に高等学校三年、大学が四年あります。通うかどうかは家の経済状況や子どもの学力レベルによります。ただ大体の者は高等学校までは通いますし、大学に行く者も増えてはいます』
『男女共に最低九年も学ぶことができるのか』
『はい』
中国でも六・三・三制だから間違ったことは言っていないと思う。日本では大卒の人は珍しくもなんともないが、中国ではまだ一部である。都市部ならそれほど珍しくはなくても農村部となるとまだまだ少ない。
『その高等学校や大学というのも女子は通うことが可能なのか?』
『はい、試験はありますしお金もかかりますからそれさえクリアできれば誰でも通うことは可能です』
『……そなたの世界は随分と進んでいるようだな』
やっぱり女子が学校に行くというのは珍しいのだろう。そうなると識字率は随分と低いのではなかろうか。
『こちらの国の制度などはわからないので私にはなんとも言えません』
遅れていると考えるのはたやすいが、これで国が回ってきているのだから間違っているとは思えない。
『興味深い話であった。またそなたの世界の話を聞かせてもらいたいと思うのだが如何だろうか』
皇帝の言葉に、香子は自分を抱きしめている玄武を見やる。
ようは四神が耐えられるかどうかにかかっている。玄武は香子の意図を理解して苦笑した。
『我らが必ず同席するという条件でならそなたの好きにするといい』
それに香子は頷く。いくらなんでも四神のいないところで話をする気にはなれなかった。
香子は皇帝に向き直った。
『かまいませんけど、そんなに難しい話はできませんよ?』
香子が知っているのは中国の歴史・お茶・経済状況や簡単な地理ぐらいのものである。日本人であることは知られていないから日本のことを話す必要がないのは助かる。何度も言うようだが香子は日本のことの方がよくわかっていないのである。
『もちろん雑談程度で構わぬ』
『それならかまいません』
香子が頷くと皇帝は満足したような顔をした。
不要品の販路や寄付先等のリストは明日にでも用意してくれるらしい。
皇帝の執務室を出るといきなり景色がぶれた。帰りまで歩く気はなかったようだった。
せめて趙か王に一言言ってしかるべきだろうと香子は嘆息した。
ただ先日四神の前で話したようなことであれば説明できないこともなかった。
『私のいた世界では、仕事をすれば給金がもらえるのは同じでしょうが、その他に時間外労働ですとか、特別な仕事をすれば更にその分の給金が上乗せされていました』
『ほほう……』
中書令、王、趙がそれを記録する。
そして四神宮に勤めている人たちの現状を説く。
『つまり仕事量が増えるからその分上乗せする、ということか』
『はい。それから販売や分配、寄付するにあたっての事務等の人件費も不要品販売で得た利益から出していただければと思っています』
『そうすると寄付する分が減ってしまうがそれでもいいのか?』
所詮は不要品の処分をどうするかで思いついたことなのでこだわってはいない。ただ溜めこんでおくよりはいいかなと思っただけの話である。
『うーん、正直言うと思いつきを言っただけなので深く考えていないのです。言っちゃ悪いですけど、贈り物をするってことはなんらかの下心があるわけでしょう? だからただもらいっぱなしにするよりは、活用してどこそこに寄付しましたとか礼状を出せば下手な考えは起こさせないですむかなと』
みな目を丸くした。香子は首を傾げる。またなにかおかしなことを言っただろうか。
香子の椅子代わりになっていた玄武の腕が動き、香子をきつく抱きしめる。茶器を持っていなくてよかったと香子は思った。
『……大学に通っていたと聞いた』
皇帝が考えるような表情で呟くように言った。
『卒業はしてきましたが』
それが何か? と再び首を傾げる。
(そんなあほなこと言ったかしら?)
でも自分を抱きしめる玄武の腕はとても優しいし、みなに呆れたような色もない。
『そなたの国の教育制度はどうなっている?』
話が随分と飛んだなーと思いつつ素直に答える。
『ええと、七歳になる年に小学校に入ります。小学が六年、その後中学三年までが男女共に義務教育。その後に高等学校三年、大学が四年あります。通うかどうかは家の経済状況や子どもの学力レベルによります。ただ大体の者は高等学校までは通いますし、大学に行く者も増えてはいます』
『男女共に最低九年も学ぶことができるのか』
『はい』
中国でも六・三・三制だから間違ったことは言っていないと思う。日本では大卒の人は珍しくもなんともないが、中国ではまだ一部である。都市部ならそれほど珍しくはなくても農村部となるとまだまだ少ない。
『その高等学校や大学というのも女子は通うことが可能なのか?』
『はい、試験はありますしお金もかかりますからそれさえクリアできれば誰でも通うことは可能です』
『……そなたの世界は随分と進んでいるようだな』
やっぱり女子が学校に行くというのは珍しいのだろう。そうなると識字率は随分と低いのではなかろうか。
『こちらの国の制度などはわからないので私にはなんとも言えません』
遅れていると考えるのはたやすいが、これで国が回ってきているのだから間違っているとは思えない。
『興味深い話であった。またそなたの世界の話を聞かせてもらいたいと思うのだが如何だろうか』
皇帝の言葉に、香子は自分を抱きしめている玄武を見やる。
ようは四神が耐えられるかどうかにかかっている。玄武は香子の意図を理解して苦笑した。
『我らが必ず同席するという条件でならそなたの好きにするといい』
それに香子は頷く。いくらなんでも四神のいないところで話をする気にはなれなかった。
香子は皇帝に向き直った。
『かまいませんけど、そんなに難しい話はできませんよ?』
香子が知っているのは中国の歴史・お茶・経済状況や簡単な地理ぐらいのものである。日本人であることは知られていないから日本のことを話す必要がないのは助かる。何度も言うようだが香子は日本のことの方がよくわかっていないのである。
『もちろん雑談程度で構わぬ』
『それならかまいません』
香子が頷くと皇帝は満足したような顔をした。
不要品の販路や寄付先等のリストは明日にでも用意してくれるらしい。
皇帝の執務室を出るといきなり景色がぶれた。帰りまで歩く気はなかったようだった。
せめて趙か王に一言言ってしかるべきだろうと香子は嘆息した。
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