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第4部 四神を愛しなさいと言われました
57.四神の嫉妬は強すぎると思うのです
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張錦飛が帰った後、香子はさっそく聞きたいことをメモに取った。
そして白虎にこれこれこういうことを皇帝に聞きたいと伝えることにする。質問内容は主に長城に関してのことである。
皇帝はさすがに知らないだろうが、優秀な文官が山ほどいるはずだと香子は容赦なく投げることにした。もし北京の近くに視察可能な長城があれば張も連れて行けるのではないかと思ったのだ。
山海関などはどうだろうと香子は考える。海の要衝ではあるが、海から敵が攻めてくるとは考えにくい。この国は四神によって守られているから、そういった外からの脅威とは無縁だ。
(花嫁がいないことで、かなり気候とかは厳しくなってたみたいだけど……)
それもどうなのだと香子は思う。
神の守護を受けるということは、そういうデメリットも享受しなければいけないのだろうか。困るのはいつだって老百姓(庶民)だというのに。
(上がひどい目に遭うならいいんだけど、民にしわ寄せがいくのが納得いかないよね~)
『香子、如何した?』
低いバスの声が香子の耳を震わせた。
香子は顔を上げる。
『白虎様』
白虎は張が帰ったことを知って香子を探しにきたようだった。
茶室である。
『お茶を飲みませんか?』
『ああ、いただこう。して、如何した?』
白虎はごまかされなかった。香子は笑む。延夕玲が新しい茶器を用意した。それをお茶で洗い、お茶を淹れて白虎の前に出す。
『請(どうぞ)』
白虎は無言で茶を啜った。その目が聞いている。香子は苦笑した。
『……大したことではありません。この国は四神によって守護されているのですよね?』
『ああ、そうなるな』
『なのに花嫁がいないだけで気候等に影響が出るのは何故でしょうか? どうしても代替わりしなければならない理由があるのですか?』
『……我は知らぬ。そういうものだと知っているだけだ』
『なるほど』
天皇が作ったプログラムがそうなっているだけで、実際には特に理由などもないのかもしれないと香子は思う。物事には全て理由があると考える方がおかしいと香子は思っている。”なんとなく”というのが理由になるならそれも理由ではあるのだが。
白虎がフッと笑みを浮かべた。
『そなたは施政者でもないというのにいろいろなことを考えるな』
『……頭の中が暇なのですよ』
香子は苦笑しながら、白虎の表情の変化に萌えていた。
四神は表情が動かないのが普通だ。それが時折こうして笑みなどを浮かべると破壊力抜群である。青龍も大分表情が出てきたが、四神はみなそれこそ人ならざる美貌を有しており、基本は無表情だ。それが不快そうに眉を寄せたり、口元に笑みをはいたりするともう香子の胸が高鳴ってしまう。
だから返事ができた私えらい、などと香子は内心思っていた。
(四神が麗しすぎるのがいけないんだよね。萌えまくってる私は悪くない……)
四神のデザインをしたのは誰なんだろうとか、どうでもいいことを考えつつ、香子はどうにか平静を保とうとした。
白虎の茶杯が空になっているのを見てお茶を淹れる。
『この小さい茶杯というのも慣れぬな』
『そうですね。白虎様だと一口ですものね』
香子はそう言って自分の茶杯にもお茶を注ぐ。
『お茶の味を楽しみ、優雅な時間を過ごすという考え方であれば、これはとても有意義ですよ』
いくら表で強風が吹いていても、と思ってから香子ははっとした。
この強風では、趙文英は大丈夫だろうかとまた考えてしまった。ちら、と黒月を窺う。黒月は平然と部屋の隅で控えていた。
(行かせたらいけないのかなぁ)
余計なお世話かもしれないのだが、香子はどうしても黒月と趙の関係が気になってしかたがない。黒月から迫るというのはまずありえないから、趙にがんばってもらいたいものである。
『香子』
お茶を淹れようとした手を、白虎にやんわりと掴まれた。
『茶はもうよい。それよりも』
『あっ……』
茶器を取られ、卓に置かれる。そうして白虎は立ち上がり、香子を抱き上げた。
『参るぞ』
『……えー……』
『……ここでもよいのならばかまわぬが』
香子は白虎の金の瞳を見て断念した。その瞳の中に燃える何かが見えたような気がした。それは嫉妬の炎だったのだろうか。
(なんか最近、四神の察しがよすぎるんですけどー……)
何が変わったというわけでもないはずだが、香子が他の人間のことを考えるとすぐにこれである。求められるのが嫌ではないから香子としてはかまわないのだが、指示ぐらいはしておきたかった。
『黒月』
『はい』
『趙の様子を見てきてくれる? 今日も風が強いから』
『……かしこまりました』
黒月が眉を寄せるのを、香子は見てしまった。それは不快ということなのか、それとも些か照れているのか香子には判別がつかなかった。
『報告は如何いたしましょう』
『……白雲に伝えよ』
白虎の声が更に低くなる。昼間なのにーと香子は思った。
『かしこまりました』
誰も助けてくれないのはいつものことだ。香子も諦めて白虎の胸に頬を寄せた。逞しい胸筋にうっとりする。
なんだかんだいって、香子もまた四神が好きでたまらないのだった。
ーーーーー
エールとっても嬉しいです。ありがとうございますー!
どこまでもだらだら続いていますが、第四部で完結予定なので最後までお付き合いいただけると幸いですー。
そして白虎にこれこれこういうことを皇帝に聞きたいと伝えることにする。質問内容は主に長城に関してのことである。
皇帝はさすがに知らないだろうが、優秀な文官が山ほどいるはずだと香子は容赦なく投げることにした。もし北京の近くに視察可能な長城があれば張も連れて行けるのではないかと思ったのだ。
山海関などはどうだろうと香子は考える。海の要衝ではあるが、海から敵が攻めてくるとは考えにくい。この国は四神によって守られているから、そういった外からの脅威とは無縁だ。
(花嫁がいないことで、かなり気候とかは厳しくなってたみたいだけど……)
それもどうなのだと香子は思う。
神の守護を受けるということは、そういうデメリットも享受しなければいけないのだろうか。困るのはいつだって老百姓(庶民)だというのに。
(上がひどい目に遭うならいいんだけど、民にしわ寄せがいくのが納得いかないよね~)
『香子、如何した?』
低いバスの声が香子の耳を震わせた。
香子は顔を上げる。
『白虎様』
白虎は張が帰ったことを知って香子を探しにきたようだった。
茶室である。
『お茶を飲みませんか?』
『ああ、いただこう。して、如何した?』
白虎はごまかされなかった。香子は笑む。延夕玲が新しい茶器を用意した。それをお茶で洗い、お茶を淹れて白虎の前に出す。
『請(どうぞ)』
白虎は無言で茶を啜った。その目が聞いている。香子は苦笑した。
『……大したことではありません。この国は四神によって守護されているのですよね?』
『ああ、そうなるな』
『なのに花嫁がいないだけで気候等に影響が出るのは何故でしょうか? どうしても代替わりしなければならない理由があるのですか?』
『……我は知らぬ。そういうものだと知っているだけだ』
『なるほど』
天皇が作ったプログラムがそうなっているだけで、実際には特に理由などもないのかもしれないと香子は思う。物事には全て理由があると考える方がおかしいと香子は思っている。”なんとなく”というのが理由になるならそれも理由ではあるのだが。
白虎がフッと笑みを浮かべた。
『そなたは施政者でもないというのにいろいろなことを考えるな』
『……頭の中が暇なのですよ』
香子は苦笑しながら、白虎の表情の変化に萌えていた。
四神は表情が動かないのが普通だ。それが時折こうして笑みなどを浮かべると破壊力抜群である。青龍も大分表情が出てきたが、四神はみなそれこそ人ならざる美貌を有しており、基本は無表情だ。それが不快そうに眉を寄せたり、口元に笑みをはいたりするともう香子の胸が高鳴ってしまう。
だから返事ができた私えらい、などと香子は内心思っていた。
(四神が麗しすぎるのがいけないんだよね。萌えまくってる私は悪くない……)
四神のデザインをしたのは誰なんだろうとか、どうでもいいことを考えつつ、香子はどうにか平静を保とうとした。
白虎の茶杯が空になっているのを見てお茶を淹れる。
『この小さい茶杯というのも慣れぬな』
『そうですね。白虎様だと一口ですものね』
香子はそう言って自分の茶杯にもお茶を注ぐ。
『お茶の味を楽しみ、優雅な時間を過ごすという考え方であれば、これはとても有意義ですよ』
いくら表で強風が吹いていても、と思ってから香子ははっとした。
この強風では、趙文英は大丈夫だろうかとまた考えてしまった。ちら、と黒月を窺う。黒月は平然と部屋の隅で控えていた。
(行かせたらいけないのかなぁ)
余計なお世話かもしれないのだが、香子はどうしても黒月と趙の関係が気になってしかたがない。黒月から迫るというのはまずありえないから、趙にがんばってもらいたいものである。
『香子』
お茶を淹れようとした手を、白虎にやんわりと掴まれた。
『茶はもうよい。それよりも』
『あっ……』
茶器を取られ、卓に置かれる。そうして白虎は立ち上がり、香子を抱き上げた。
『参るぞ』
『……えー……』
『……ここでもよいのならばかまわぬが』
香子は白虎の金の瞳を見て断念した。その瞳の中に燃える何かが見えたような気がした。それは嫉妬の炎だったのだろうか。
(なんか最近、四神の察しがよすぎるんですけどー……)
何が変わったというわけでもないはずだが、香子が他の人間のことを考えるとすぐにこれである。求められるのが嫌ではないから香子としてはかまわないのだが、指示ぐらいはしておきたかった。
『黒月』
『はい』
『趙の様子を見てきてくれる? 今日も風が強いから』
『……かしこまりました』
黒月が眉を寄せるのを、香子は見てしまった。それは不快ということなのか、それとも些か照れているのか香子には判別がつかなかった。
『報告は如何いたしましょう』
『……白雲に伝えよ』
白虎の声が更に低くなる。昼間なのにーと香子は思った。
『かしこまりました』
誰も助けてくれないのはいつものことだ。香子も諦めて白虎の胸に頬を寄せた。逞しい胸筋にうっとりする。
なんだかんだいって、香子もまた四神が好きでたまらないのだった。
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エールとっても嬉しいです。ありがとうございますー!
どこまでもだらだら続いていますが、第四部で完結予定なので最後までお付き合いいただけると幸いですー。
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