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第4部 四神を愛しなさいと言われました
58.ずっと気になっているのです
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白虎は香子を抱いたまま己の室に向かい、そのまま寝室に入ろうとしたところで香子に腕を軽く叩かれた。
『白虎様、ちょっとお話がしたいです』
『……それは急ぎか?』
普段から低いのにもっと低い音に聞こえて、香子はビクッとした。それに白虎が気づいてハッとする。
『そなたを怯えさせるつもりはなかった……』
『……わかっています。忘れる前に話したいだけです。だめですか?』
『かまわぬ』
香子は寝室には運ばれたが、白虎は香子を横抱きにしたまま床に腰掛けた。白虎は香子の話を聞くことにしたらしい。
『私たちには直接関係はないのですけど……』
香子は前置きをして、最近思っていることなどを聞いてもらうことにした。
『前々から気になっているのですが、四神の眷属が誰かを”番”と認識するのは成人してからなのですよね?』
『ああ、そのようだな』
四神の眷属の成人は五十歳である。黒月は成人まであと約十年はある。その成人年齢というのは、子を成す機能が身体に備わる年齢だということは香子も理解していた。
(男性なら精通で、女性なら初潮をその年に迎えるってことだよね)
だから紅夏は紅児のことを成人だと思ったわけである。まだ紅児は成人していないが、そろそろ誕生日を迎える。
(そうだ。エリーザの結婚式もしないと)
そう思ってから、思考があっちこっちに飛んでいることに香子は気づいた。
(いけないいけない)
香子は軽く首を振る。今回気になっているのは黒月のことだ。そして長城に張錦飛を連れて行くことができるかどうかの件についてである。
『疑問なんですけど、眷属の場合、未成年が恋をすることはないのですか?』
『……我にはわからぬな』
『白雲を呼んでも?』
『わかった』
確かにこの話題であれば四神の眷属に聞いた方が早いだろう。四神は眷属の生態などに興味はない為、そもそもの話として四神に聞くこと自体が間違いである。
『お呼びと伺いました』
白雲は寝室の入口まで足を踏み入れた。そこから一歩も動く気はなさそうである。
『ごめんなさい。どうしても気になってしまったの。眷属は未成年の頃も恋をするものなのかしら?』
白雲の視線がほんのわずかだけ下がった。何か記憶を辿っているようである。
『……我にはそのようなことはありませんでしたが、そういった例はあったかと。具体的には誰とは申せません』
『眷属は未成年の時でも恋をすることがあるってことね~。ありがとう』
白雲はすぐに辞した。
『眷属の恋が如何したのか』
白虎がイライラしていることに香子は気づいた。
『しつこいんですけど、趙と黒月の関係が気になるんです。恋に発展してるのかなって』
『? 他人の恋路など関係あるまい』
『私は気になるんですー。あ、そうだ。長城に張老師を連れて行っていいかどうか皇帝に聞いてほしいです』
『……聞かなくてもよかろう』
『そんなわけにいかないんですよ。長城は軍事施設なんですから。いくら四神の神官と言ったって、張老師を連れてっていいかどうかわからないじゃないですか』
『何故連れて行きたいのか』
『歴史的建造物なんですよ。張老師は四神の神官であると同時に歴史学者でもあるんです。長城は絶対見たいはずです!』
『……考慮するよう伝えておこう』
白虎はよくわからないようであったが、香子の頼みを聞いた。香子は内心グッと拳を握りしめた。ただし、念話のみだと白虎が一方的に皇帝に伝えるだけだ。皇帝が四神の要請を無視することはありえないが、返事などは少し遅くなるだろう。すぐにでも、と思うのならば四神に直接行かせた方が早いのだが、香子もそこまでさせる気はなかった。
『ありがとうございます!』
香子は嬉しくなって白虎にぎゅっと抱きついた。
『そなたはほんに……』
白虎は苦笑すると、そのまま香子を床に優しく横たえた。
『あああ……』
香子は思わず声を上げてしまった。こうなることはわかってはいても恥ずかしいものである。そしてそれを恥ずかしいと思ってしまう己の反応に、香子は身もだえた。
『……まだ日が高いですから……んっ……』
白虎の唇が香子のそれに重なった。香子は観念して力を抜く。触れ合っているのだからと、香子は心の中で白虎に話しかけた。
〈昼間ですから抱かないでください〉
〈……善処しよう〉
それは聞く気がないやつ! と香子はツッコミたかったが、これ以上刺激して抱かれても困ってしまうので白虎の首に腕を回した。
「んんっ……」
四神にこうやって触れられるのは香子も好きだ。
そうして香子は夕飯の時間まで白虎に触れられた。途中白虎が耐えられなくてなって本性を現し、その姿のまま香子を愛撫した。
もふもふに包まれて愛撫をされるのは香子としてもいたたまれない。でも白虎が触れたいのだからと、香子は拒まなかった。
夕飯の席で香子の側に控えているのは延夕玲と他の侍女たちである。
黒月は夕飯を食べないと身体の維持ができないので、四神宮に仕える人たち専用の食堂にいるはずである。
白虎に散々触れられてぐったりしたけれど、香子はどうしても黒月と趙のことが気になってしかたなかった。
他人の恋路はいい娯楽なのである。
ーーーーー
未成年の眷属が恋をするかどうか以前も聞いたことがあるかもしれないのですが香子は忘れています。
香子、他人の恋路が気になりすぎ問題。
『白虎様、ちょっとお話がしたいです』
『……それは急ぎか?』
普段から低いのにもっと低い音に聞こえて、香子はビクッとした。それに白虎が気づいてハッとする。
『そなたを怯えさせるつもりはなかった……』
『……わかっています。忘れる前に話したいだけです。だめですか?』
『かまわぬ』
香子は寝室には運ばれたが、白虎は香子を横抱きにしたまま床に腰掛けた。白虎は香子の話を聞くことにしたらしい。
『私たちには直接関係はないのですけど……』
香子は前置きをして、最近思っていることなどを聞いてもらうことにした。
『前々から気になっているのですが、四神の眷属が誰かを”番”と認識するのは成人してからなのですよね?』
『ああ、そのようだな』
四神の眷属の成人は五十歳である。黒月は成人まであと約十年はある。その成人年齢というのは、子を成す機能が身体に備わる年齢だということは香子も理解していた。
(男性なら精通で、女性なら初潮をその年に迎えるってことだよね)
だから紅夏は紅児のことを成人だと思ったわけである。まだ紅児は成人していないが、そろそろ誕生日を迎える。
(そうだ。エリーザの結婚式もしないと)
そう思ってから、思考があっちこっちに飛んでいることに香子は気づいた。
(いけないいけない)
香子は軽く首を振る。今回気になっているのは黒月のことだ。そして長城に張錦飛を連れて行くことができるかどうかの件についてである。
『疑問なんですけど、眷属の場合、未成年が恋をすることはないのですか?』
『……我にはわからぬな』
『白雲を呼んでも?』
『わかった』
確かにこの話題であれば四神の眷属に聞いた方が早いだろう。四神は眷属の生態などに興味はない為、そもそもの話として四神に聞くこと自体が間違いである。
『お呼びと伺いました』
白雲は寝室の入口まで足を踏み入れた。そこから一歩も動く気はなさそうである。
『ごめんなさい。どうしても気になってしまったの。眷属は未成年の頃も恋をするものなのかしら?』
白雲の視線がほんのわずかだけ下がった。何か記憶を辿っているようである。
『……我にはそのようなことはありませんでしたが、そういった例はあったかと。具体的には誰とは申せません』
『眷属は未成年の時でも恋をすることがあるってことね~。ありがとう』
白雲はすぐに辞した。
『眷属の恋が如何したのか』
白虎がイライラしていることに香子は気づいた。
『しつこいんですけど、趙と黒月の関係が気になるんです。恋に発展してるのかなって』
『? 他人の恋路など関係あるまい』
『私は気になるんですー。あ、そうだ。長城に張老師を連れて行っていいかどうか皇帝に聞いてほしいです』
『……聞かなくてもよかろう』
『そんなわけにいかないんですよ。長城は軍事施設なんですから。いくら四神の神官と言ったって、張老師を連れてっていいかどうかわからないじゃないですか』
『何故連れて行きたいのか』
『歴史的建造物なんですよ。張老師は四神の神官であると同時に歴史学者でもあるんです。長城は絶対見たいはずです!』
『……考慮するよう伝えておこう』
白虎はよくわからないようであったが、香子の頼みを聞いた。香子は内心グッと拳を握りしめた。ただし、念話のみだと白虎が一方的に皇帝に伝えるだけだ。皇帝が四神の要請を無視することはありえないが、返事などは少し遅くなるだろう。すぐにでも、と思うのならば四神に直接行かせた方が早いのだが、香子もそこまでさせる気はなかった。
『ありがとうございます!』
香子は嬉しくなって白虎にぎゅっと抱きついた。
『そなたはほんに……』
白虎は苦笑すると、そのまま香子を床に優しく横たえた。
『あああ……』
香子は思わず声を上げてしまった。こうなることはわかってはいても恥ずかしいものである。そしてそれを恥ずかしいと思ってしまう己の反応に、香子は身もだえた。
『……まだ日が高いですから……んっ……』
白虎の唇が香子のそれに重なった。香子は観念して力を抜く。触れ合っているのだからと、香子は心の中で白虎に話しかけた。
〈昼間ですから抱かないでください〉
〈……善処しよう〉
それは聞く気がないやつ! と香子はツッコミたかったが、これ以上刺激して抱かれても困ってしまうので白虎の首に腕を回した。
「んんっ……」
四神にこうやって触れられるのは香子も好きだ。
そうして香子は夕飯の時間まで白虎に触れられた。途中白虎が耐えられなくてなって本性を現し、その姿のまま香子を愛撫した。
もふもふに包まれて愛撫をされるのは香子としてもいたたまれない。でも白虎が触れたいのだからと、香子は拒まなかった。
夕飯の席で香子の側に控えているのは延夕玲と他の侍女たちである。
黒月は夕飯を食べないと身体の維持ができないので、四神宮に仕える人たち専用の食堂にいるはずである。
白虎に散々触れられてぐったりしたけれど、香子はどうしても黒月と趙のことが気になってしかたなかった。
他人の恋路はいい娯楽なのである。
ーーーーー
未成年の眷属が恋をするかどうか以前も聞いたことがあるかもしれないのですが香子は忘れています。
香子、他人の恋路が気になりすぎ問題。
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