96 / 653
第1部 四神と結婚しろと言われました
96.自覚? ※R13
しおりを挟む
玄武は不器用なのだろうと香子は思う。神様をつかまえて不器用というのも失礼だろうが、香子に対してどういう風に接したらいいのか考えあぐねているように見えた。
この国の前提条件だと後宮に入るのは女性の憧れらしい。家が貧しいとか、権勢欲が強いとかならありかもしれないが、みながみな憧れているとは思えないのだが。
(一般的なイメージかな?)
皇帝というのは雲の上の人というイメージから出てきたものなのだろう。
だからといって香子まで皇帝に憧れるものと思われているのは不本意この上ない。ぶっちゃけ誰がそう勘違いしていてもいいが、四神にそう思われているのだけは絶対に嫌だった。
(って、あれー?)
自分を優しく包み込むように見つめる玄武を見返しながら、香子は自分の心境を顧みる。
そしてぼんっと音がしたかと思えるぐらい赤くなった。
(……うそ……)
まだ四神と出会って五日ぐらいしか経っていないと言ったのは香子である。
それなのに、それなのに。
『香子?』
声をかけられて香子は思わず玄武の胸に顔を伏せた。玄武の低い体温が火照った頬に心地いい。
きっとこれは吊り橋効果に違いないと香子は思う(ちょっと錯乱中)
好みのイケメンたちに迫られてどきどきしているうちに恋をしてしまったのだと勘違いしているだけ。しかも彼らの目的はただ香子と付き合うだけでなく、”結婚して子供を産ませたい”なのである。
香子の目標は大学卒業と同時に結婚をすることだった。しかし世の中そうそううまくいくはずはない。大学時代に何人かと付き合ってはみたが結婚まで考えた相手は正直一人もいなかった。
これは高校の時に付き合っていた彼氏の影響も無視できないと香子は思う。香子はメンクイで、しかも背の高い男性にしか目がいかなかった。その初めてできた彼氏は香子の理想そのものであったから、「香ちゃんは俺と結婚するんだよ?」という科白が刷り込まれてしまったのかもしれない。高校の時の彼氏は学校の先輩で、卒業からしばらくして自然消滅してしまったが、別に嫌いで別れたとかいうことではないのでなんとなく基準が最初の彼氏になってしまうのは否めないだろう。
だから香子は今時の娘にしては”結婚”という言葉に非常に弱いのだった。
『具合でも悪いのか?』
心配そうに声をかけられて、伏せた顔を大きな手が優しく上向かせる。
(だめだめっ! バレちゃう!)
香子はいやいやするように首を振ろうとしたが、その時にはもう玄武の視線に捕えられていた。玄武がはっとしたような表情で香子を見つめる。
『香子、そなたもしや……』
こういう時は何も聞かないでほしいと香子は思う。女心はなかなかに複雑なのだ。
(玄武様だから……? それとも……)
目の前にいるのが玄武だからこんなにどきどきしてしまうのだろうか。それとも四神なら誰でもいいのか香子にはまだ判別がつかない。
そんな香子の戸惑いを看て取りながら、玄武は鷹揚に笑んだ。
『香子、愛している……』
そう言って潤んだ目尻に、頬に、鼻に口づけをする。
『……あ……』
戸惑って震える口唇に、優しい口づけが降りてくる。玄武の腕は逃がさぬとばかりに力強く香子を抱きしめ、うっすらと開かれた唇をはんだ。
(私は、誰が好きなの……?)
四神の気持ちは嬉しいと思う。欲張りと言われようがその気持ちが他の女性に移るなど耐えられない。それならば全員を受け入れなければいけないと思うのだが、まだ戸惑いの方が強くて想いがまずは誰に向いているのかわからない。
(玄武様か、朱雀様には違いないんだけど……)
するりと入り込んできた舌に、甘く自分の舌を絡め取られながら香子は震えた。
玄武と香子はそれからしばらくの間口づけあっていた。
この国の前提条件だと後宮に入るのは女性の憧れらしい。家が貧しいとか、権勢欲が強いとかならありかもしれないが、みながみな憧れているとは思えないのだが。
(一般的なイメージかな?)
皇帝というのは雲の上の人というイメージから出てきたものなのだろう。
だからといって香子まで皇帝に憧れるものと思われているのは不本意この上ない。ぶっちゃけ誰がそう勘違いしていてもいいが、四神にそう思われているのだけは絶対に嫌だった。
(って、あれー?)
自分を優しく包み込むように見つめる玄武を見返しながら、香子は自分の心境を顧みる。
そしてぼんっと音がしたかと思えるぐらい赤くなった。
(……うそ……)
まだ四神と出会って五日ぐらいしか経っていないと言ったのは香子である。
それなのに、それなのに。
『香子?』
声をかけられて香子は思わず玄武の胸に顔を伏せた。玄武の低い体温が火照った頬に心地いい。
きっとこれは吊り橋効果に違いないと香子は思う(ちょっと錯乱中)
好みのイケメンたちに迫られてどきどきしているうちに恋をしてしまったのだと勘違いしているだけ。しかも彼らの目的はただ香子と付き合うだけでなく、”結婚して子供を産ませたい”なのである。
香子の目標は大学卒業と同時に結婚をすることだった。しかし世の中そうそううまくいくはずはない。大学時代に何人かと付き合ってはみたが結婚まで考えた相手は正直一人もいなかった。
これは高校の時に付き合っていた彼氏の影響も無視できないと香子は思う。香子はメンクイで、しかも背の高い男性にしか目がいかなかった。その初めてできた彼氏は香子の理想そのものであったから、「香ちゃんは俺と結婚するんだよ?」という科白が刷り込まれてしまったのかもしれない。高校の時の彼氏は学校の先輩で、卒業からしばらくして自然消滅してしまったが、別に嫌いで別れたとかいうことではないのでなんとなく基準が最初の彼氏になってしまうのは否めないだろう。
だから香子は今時の娘にしては”結婚”という言葉に非常に弱いのだった。
『具合でも悪いのか?』
心配そうに声をかけられて、伏せた顔を大きな手が優しく上向かせる。
(だめだめっ! バレちゃう!)
香子はいやいやするように首を振ろうとしたが、その時にはもう玄武の視線に捕えられていた。玄武がはっとしたような表情で香子を見つめる。
『香子、そなたもしや……』
こういう時は何も聞かないでほしいと香子は思う。女心はなかなかに複雑なのだ。
(玄武様だから……? それとも……)
目の前にいるのが玄武だからこんなにどきどきしてしまうのだろうか。それとも四神なら誰でもいいのか香子にはまだ判別がつかない。
そんな香子の戸惑いを看て取りながら、玄武は鷹揚に笑んだ。
『香子、愛している……』
そう言って潤んだ目尻に、頬に、鼻に口づけをする。
『……あ……』
戸惑って震える口唇に、優しい口づけが降りてくる。玄武の腕は逃がさぬとばかりに力強く香子を抱きしめ、うっすらと開かれた唇をはんだ。
(私は、誰が好きなの……?)
四神の気持ちは嬉しいと思う。欲張りと言われようがその気持ちが他の女性に移るなど耐えられない。それならば全員を受け入れなければいけないと思うのだが、まだ戸惑いの方が強くて想いがまずは誰に向いているのかわからない。
(玄武様か、朱雀様には違いないんだけど……)
するりと入り込んできた舌に、甘く自分の舌を絡め取られながら香子は震えた。
玄武と香子はそれからしばらくの間口づけあっていた。
55
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
黒騎士団の娼婦
星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
英雄魔術師様とのシークレットベビーが天才で隠し通すのが大変です
氷雨そら
恋愛
――この魔石の意味がわからないほど子どもじゃない。
英雄魔術師カナンが遠征する直前、フィアーナと交わした一夜で授かった愛娘シェリア。フィアーナは、シェリアがカナンの娘であることを隠し、守るために王都を離れ遠い北の地で魔石を鑑定しながら暮らしていた。けれど、シェリアが三歳を迎えた日、彼女を取り囲む全ての属性の魔石が光る。彼女は父と同じ、全属性の魔力持ちだったのだ。これは、シークレットベビーを育てながら、健気に逞しく生きてきたヒロインが、天才魔術師様と天才愛娘に翻弄されながらも溺愛される幸せいっぱいハートフルストーリー。小説家になろうにも投稿しています。
【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。
櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。
夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。
ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。
あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ?
子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。
「わたくしが代表して修道院へ参ります!」
野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。
この娘、誰!?
王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。
主人公は猫を被っているだけでお転婆です。
完結しました。
小説家になろう様にも投稿しています。
喪女なのに狼さんたちに溺愛されています
和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です!
聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。
ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。
森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ?
ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる