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第1部 四神と結婚しろと言われました
104.朝ごはんを食べると好奇心が頭をもたげます
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しばらくして、玄武が言った通りまたいろいろな料理が運ばれてきた。
先ほどとは違い一度お茶を飲んでワンクッション置いたせいか、今度は落ち着いて食べることができた。朝ということもあり饅頭や油条(中国式揚げパン)、お粥に、付け合わせのザーサイや見たこともない漬物のような小皿が並んだ。香子の横で珍しく玄武も饅頭やお粥に手をつけていたのが印象的だった。
(おなかすいたのかな……?)
食べ方はとても上品で、つい香子はじっと玄武を見つめてしまう。香子の視線に気づいたのか、玄武は優しい眼差しを向けてきた。
(あーもう、何してても素敵すぎる……)
『あの……食事されるなんて珍しいですね……』
『ああ……そなたに精を注いだ故な』
そう言われて香子は赤くなった。
『あ、あの……玄武様はもちろん今まで誰かとその……性交したことはあるんですよね……?』
なんだか恥ずかしくて微妙な言い回しになってしまったことは否めない。その問いに玄武は首を傾げた。
『……嗜み程度に人の娘を抱いたことはあるが、それがどうかしたのか?』
『いえ、その時もおなかがすいたのかなって……』
『それはない。我らが精を与えることができるのは花嫁に対してのみだ』
そうきっぱりと答えられて、もう香子はどうしたらいいのかわからなくなった。
(じゃあ何? やっぱり私以外には四神の子を産んだりすることはできないの……?)
『そ、それはどういう構造なんですか? わざと精を与えないのか、それとも……』
玄武は難しそうな表情をした。どう説明すればいいのかがわからないらしい。
『うまく言えないのだが……我らが本来の姿を現すのはそなたに対してのみ。つまり……』
香子は首を傾げた。玄武の本来の姿というのは亀なはずである。
(って、どこが亀に……)
そこまで考えて香子は全身を真っ赤に染めた。
そんなもの、香子が受け入れるモノに決まっているではないか。
『わ、わかりました! もういいです! へんなこと聞いてすいませんでした!』
香子は泣きそうになりながら玄武の口を両手で塞いだ。それに玄武は笑んだ。
別に香子は逃げ道を探していたわけではない。いろいろと浮かんだ疑問を片っ端から聞いていただけなのだ。
やがておなかいっぱいになると香子は眠くなってきた。そんな香子の様子を察して、玄武は抱き上げると再び寝室に香子を運んだ。
『眠いー……』
『体が馴染むまでに時間がかかるのだろう。ゆっくり休むといい』
玄武の優しい声に従いたくなるが、朝から眠ったら夜また眠れなくなりそうである。
『午後……景山に行きたいです……』
うとうとしながらそれだけ告げると、玄武の腕の中で香子は眠りについた。
玄武はそんな香子を愛しくてならない、というようにいつまでも見つめていた。
香子が熟睡したのを確かめて、玄武は残りの三神と念話を試みた。
『香子は今眠っているが、午後は景山に行きたいそうだ』
それに苦笑するような感情が流れ込んでくる。
『昨夜の今日でですか……相変わらず行動的ですな』
朱雀の応えに玄武もまた苦笑した。
『それでは一応趙とやらに伝えておきましょう』
白虎の応え。
『……何かありましたらお声掛けを』
青龍はあくまで一歩下がった応えである。
当然ながら香子が昼まで目覚めることはなかった。
先ほどとは違い一度お茶を飲んでワンクッション置いたせいか、今度は落ち着いて食べることができた。朝ということもあり饅頭や油条(中国式揚げパン)、お粥に、付け合わせのザーサイや見たこともない漬物のような小皿が並んだ。香子の横で珍しく玄武も饅頭やお粥に手をつけていたのが印象的だった。
(おなかすいたのかな……?)
食べ方はとても上品で、つい香子はじっと玄武を見つめてしまう。香子の視線に気づいたのか、玄武は優しい眼差しを向けてきた。
(あーもう、何してても素敵すぎる……)
『あの……食事されるなんて珍しいですね……』
『ああ……そなたに精を注いだ故な』
そう言われて香子は赤くなった。
『あ、あの……玄武様はもちろん今まで誰かとその……性交したことはあるんですよね……?』
なんだか恥ずかしくて微妙な言い回しになってしまったことは否めない。その問いに玄武は首を傾げた。
『……嗜み程度に人の娘を抱いたことはあるが、それがどうかしたのか?』
『いえ、その時もおなかがすいたのかなって……』
『それはない。我らが精を与えることができるのは花嫁に対してのみだ』
そうきっぱりと答えられて、もう香子はどうしたらいいのかわからなくなった。
(じゃあ何? やっぱり私以外には四神の子を産んだりすることはできないの……?)
『そ、それはどういう構造なんですか? わざと精を与えないのか、それとも……』
玄武は難しそうな表情をした。どう説明すればいいのかがわからないらしい。
『うまく言えないのだが……我らが本来の姿を現すのはそなたに対してのみ。つまり……』
香子は首を傾げた。玄武の本来の姿というのは亀なはずである。
(って、どこが亀に……)
そこまで考えて香子は全身を真っ赤に染めた。
そんなもの、香子が受け入れるモノに決まっているではないか。
『わ、わかりました! もういいです! へんなこと聞いてすいませんでした!』
香子は泣きそうになりながら玄武の口を両手で塞いだ。それに玄武は笑んだ。
別に香子は逃げ道を探していたわけではない。いろいろと浮かんだ疑問を片っ端から聞いていただけなのだ。
やがておなかいっぱいになると香子は眠くなってきた。そんな香子の様子を察して、玄武は抱き上げると再び寝室に香子を運んだ。
『眠いー……』
『体が馴染むまでに時間がかかるのだろう。ゆっくり休むといい』
玄武の優しい声に従いたくなるが、朝から眠ったら夜また眠れなくなりそうである。
『午後……景山に行きたいです……』
うとうとしながらそれだけ告げると、玄武の腕の中で香子は眠りについた。
玄武はそんな香子を愛しくてならない、というようにいつまでも見つめていた。
香子が熟睡したのを確かめて、玄武は残りの三神と念話を試みた。
『香子は今眠っているが、午後は景山に行きたいそうだ』
それに苦笑するような感情が流れ込んでくる。
『昨夜の今日でですか……相変わらず行動的ですな』
朱雀の応えに玄武もまた苦笑した。
『それでは一応趙とやらに伝えておきましょう』
白虎の応え。
『……何かありましたらお声掛けを』
青龍はあくまで一歩下がった応えである。
当然ながら香子が昼まで目覚めることはなかった。
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