異世界で四神と結婚しろと言われました

浅葱

文字の大きさ
111 / 653
第1部 四神と結婚しろと言われました

111.念願のお風呂です!

しおりを挟む
 護衛も兼ねて、ということだが一緒に入ってくれなければ意味がない。
 香子は黒月にも裸になってくれるように言った。黒月は仕方ないというように裸になった。湯あみの際は一応浴衣として白くて薄い着物を羽織る。黒月がそれを羽織る前に香子はその裸を目に焼き付けた。

(背は高いしプロポーションも抜群……)

 香子は侍女に浴衣を羽織らされ、湯に浸かってから自分の胸を掴んだ。
 それを見た侍女たちが目を逸らす。

『花嫁様、何をしていらっしゃるのか……』

 黒月がため息交じりに聞く。

『え? だって黒月さん未成年なのに胸あっていいなぁって思って……』
『そういうのはあまり関係ないと思いますが』

 香子は首を傾げて黒月の胸元を見た。見れば見るほど羨ましい胸である。

『あのー……触っちゃだめですか?』

 そう聞くと黒月はうろんげな眼差しを香子に向けた。残念ながら許可はおりないようである。

(えー、女同士なんだからいいじゃーん)

 侍女たちは香子の科白に動揺しないようにするので必死だったが、もちろんそんなことを香子が覚えていて言っているはずがない。

『そういうことをおっしゃられるなら我は出ますが……』
『ごめんなさい、もう言いません』

 でも視線は黒月の胸から離れないのだからとても正直だ。

『未成年とは聞きましたけど黒月さんて今いくつなんです? どう見ても私より年下に見えないんですけど……』

 そう言うと、黒月は困ったような顔をした。
『……人の成人年齢と四神、眷族の成人年齢は違います……』
『え!? 違うんですか!?』

 それは初耳だと香子が食いついたのに黒月は引き気味になった。

『……はい。四神の成人年齢は百歳で、我ら眷族の成人年齢は五十歳です』
『えーーーーーーーっっ!?』

 ということはやっぱり香子よりも年上であることは間違いらしい。侍女たちもそれには驚いたようで声を出さないようにするのに必死だった。

『ってことはー……私よりは年上、なんですか?』
『はい、今年で四十になります』
『え』

 四十歳と聞いて人間の四十歳を思い浮かべてしまうのは仕方ないだろう。自分の母親が四十歳だった時どうだったかなと記憶を漁ってみたが、自分は確か母曰く遅めに産まれてきた子だったので母親が四十歳の頃というのは香子が小学校中学年の頃である。

(覚えてないなー)

 と考えてから、眷族も四神も寿命が非常に長いということを思い出した。だが確か玄武のところの眷族は混血が進んでいる為寿命が短くなっているのはなかったか。

(寿命が縮んでるのに成人年齢は変わらないって、基準はなんだろう?)
『どういう基準で成人年齢が定められているんですか?』
『子が成せるか否かです』
(……ってことはこのプロポーションで初潮がまだなんですか!?)
『すいません黒月さん、たいへん失礼ですがその、男性経験は?』
『……先に出ます』

 明らかに不愉快という顔をした黒月の腕に香子は慌ててしがみつく。

『ごめんなさいごめんなさい、もう聞きません! たいへん失礼しました!』

 どう考えてもこんな真面目な女性が男性経験なんてあるはずがなかった。だがこのプロポーションで未通というのは香子的に考えられなかったのだ。

(玄武様を一途に思ってたんだから悪いこと言っちゃったなー)

 この好奇心いっぱいの性格をどうにかしないとそのうち嫌われてしまうだろう。香子が後悔しているのがわかったのか黒月は嘆息した。

『……そう言う花嫁様の男性経験はどうなのですか?』
(わーい、ガールズトークだー!)

 どうやら付き合ってくれるようである。意外と早く訪れた好機に香子はにまっとしてしまった。
 もちろん侍女たちも一字一句聞き逃すまいと耳をそばだてた。
 香子は最初の彼氏からのことを思い出しながら指折り数えはじめる。

(えーと、最初の彼氏と、中国行ってからでしょー? えーと、えーと……)
『四人、てとこですかね』

 そう言うと黒月はなんともいえない顔をした。

(あれ? これって素直に答えちゃいけないところだった?)

 侍女たちはそれに顔を真っ赤にしていたが、香子にはそこまで見えてはいなかった。
しおりを挟む
感想 94

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

蝋梅
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

英雄魔術師様とのシークレットベビーが天才で隠し通すのが大変です

氷雨そら
恋愛
――この魔石の意味がわからないほど子どもじゃない。 英雄魔術師カナンが遠征する直前、フィアーナと交わした一夜で授かった愛娘シェリア。フィアーナは、シェリアがカナンの娘であることを隠し、守るために王都を離れ遠い北の地で魔石を鑑定しながら暮らしていた。けれど、シェリアが三歳を迎えた日、彼女を取り囲む全ての属性の魔石が光る。彼女は父と同じ、全属性の魔力持ちだったのだ。これは、シークレットベビーを育てながら、健気に逞しく生きてきたヒロインが、天才魔術師様と天才愛娘に翻弄されながらも溺愛される幸せいっぱいハートフルストーリー。小説家になろうにも投稿しています。

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

喪女なのに狼さんたちに溺愛されています

和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です! 聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。 ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。 森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ? ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。

処理中です...