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第4部 四神を愛しなさいと言われました
65.どこまでも甘くて溺れてしまいそうです
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無事、侍女たちに手伝ってもらい入浴はできた。
香子が一人きりになれる空間というのはまずないが、侍女たちがそれなりに気を遣ってくれているので助かっている。
生まれた時から傅かれているわけではないので、人が側にいるということが時にはストレスにもなるのだ。
(大分それでも、四神には慣れてきたかも……)
香子は四神を好きだと思う。誰が一番かと聞かれるとまだ難しい。ただ、やはり最初に抱かれた相手というのは特別に思えてしまう。
(やっぱり、玄武様なのかなぁ……)
二人きりで、と考えるとまだ不安は残るが一番安定しているのは玄武だと香子は思うのだ。香子を抱いている間は意地悪だが、いろいろ気がつくのは朱雀である。フォローもしてくれるし、と香子は考える。
はっきり言って白虎は怖い。香子を抱く時は必ず本性を現わすのだ。恐ろしいなんてものではなかった。しかしあのもふもふも捨てがたいと思ってしまう。香子はどこまでも欲張りな己にため息をついた。
では青龍はどうなのかといえば、毎回抱かれる時間は長いものの香子はやはり憎からず思っている。抱かれているというのもあるだろう。
(やっぱりこうやって抱かれてると情は移るよね……)
香子は自分がチョロインだという自覚はある。だからこそ己の判断が信用できないのだ。
お湯が気持ちいいと香子は思った。湯を掬って顔を洗う。大陸の寮ではシャワーしかなかった。上に固定のシャワーヘッドがついているだけの浴室である。もちろん浴槽などはない。おかげで十分に身体を洗うことはできていなくて、旅行先や一時帰国の時に風呂は堪能していた。
香子はもう人ではないからのぼせるということもないが、そろそろ四神も焦れているだろうと出ることにした。
自ら抱かれる為に出るなんて、やっぱり恥ずかしい。
しかしいつまでも浸かっているわけにもいかないのだった。
侍女に身体を拭いてもらい、睡衣(寝巻)を着せられた上に長袍を羽織らされる。真冬である。湯冷めしないようにと足早に部屋へ戻らなければならないのだが、浴室から出たら青龍が待っていた。
『香子』
『青龍様?』
『行くぞ』
問答無用で抱き上げられて、そのまま青龍の室に連れていかれるのかと慌てたが、そうではなかった。香子が支度を整えるのは待ってくれるらしい。部屋に運ばれて、香子が侍女たちに身だしなみを整えられる間、青龍は居間で待っていた。
(あーもう、だめかも……)
待ちたくないけど待ってくれるなど胸のときめきが押さえられないではないかと、香子は内心身もだえた。
最初はあんなに敵意のようなものを向けられていたというのに、変わるものである。それとも、やはり香子は花嫁であるから青龍には抗えないのだろうか。そんなことまで香子は考えてしまった。
睡衣は薄手のものだ。長袍を羽織っているとはいえ、その恰好で髪型などを整えられるのも少し恥ずかしい。頬の熱が全く去らなくて困ってしまう。
『花嫁様、口を少し開いて下さいませ』
侍女に言われてその通りにした。紅をさされる。
口づけをされれば、その紅は四神の唇をほんのりと染めるのだ。それが色っぽくて、思い出しただけで香子はぶるりと震えた。
身だしなみを整えた香子は侍女たちによって青龍に渡された。
『そのままでも美しいが……こうして大切に整えられたそなたは更に魅力的だ』
青龍に言われて、香子はどう返したらいいのかわからなかった。もう照れていることしかできない。
抱き上げられて青龍の室へと運ばれる。そのまま寝室へ連れていかれて、香子は顔中に口づけられた。
(愛しい……)
『んっ……』
唇を優しく塞がれて香子はうっとりする。その間に気配が増えたような気がした。玄武と朱雀が訪れたようである。
彼らに抱かれるのだと思ったら、身体の奥が甘く疼いた。
そうしてまた長い夜が始まった。
正月の間の過ごし方も、そんな風にしていつもとはそれほど変わらなかった。
もう一度ぐらい張錦飛が来たが、香子の字が上達しないのを見て苦笑していた。なんといっても最近の四神は香子をずっと離さないのである。書の練習をしようにもするヒマもなかったのだ。
ほっほっほと張に笑われて、やっぱりバルタン星人かなと香子は思ったりもした。
『仲睦まじいのが一番ですぞ。花嫁様に不満がなければそれが一番でしょう』
『そうですね……申し訳ありません、せっかく来ていただいているのに……』
『四神は花嫁を全力で愛すものらしいですからな。お嫌でなければ囚われてしまうのもいいでしょう』
『……はい……』
もし四神に囚われたら、愛欲の日々まっしぐらであることぐらい香子は理解している。
(それはまだちょっと……勘弁してほしいんだよねぇ)
我がままを言っている自覚はあるが、香子にはまだやりたいことが沢山あるのだ。
張と歴史談義もしたいし、字もうまくなりたいし、唐の国の各地を回りたいしと欲は尽きない。誰かに嫁げば今よりは動きやすくなると聞いたが、二人きりになった四神の誰かが香子を離すとは到底思えない。
(気がついたら抱かれ続けて十年とか経ってそう……)
それを考えるとなかなか決められないでいるのだった。
ーーーーー
エールとっても嬉しいです。ありがとうございまーす!
香子が一人きりになれる空間というのはまずないが、侍女たちがそれなりに気を遣ってくれているので助かっている。
生まれた時から傅かれているわけではないので、人が側にいるということが時にはストレスにもなるのだ。
(大分それでも、四神には慣れてきたかも……)
香子は四神を好きだと思う。誰が一番かと聞かれるとまだ難しい。ただ、やはり最初に抱かれた相手というのは特別に思えてしまう。
(やっぱり、玄武様なのかなぁ……)
二人きりで、と考えるとまだ不安は残るが一番安定しているのは玄武だと香子は思うのだ。香子を抱いている間は意地悪だが、いろいろ気がつくのは朱雀である。フォローもしてくれるし、と香子は考える。
はっきり言って白虎は怖い。香子を抱く時は必ず本性を現わすのだ。恐ろしいなんてものではなかった。しかしあのもふもふも捨てがたいと思ってしまう。香子はどこまでも欲張りな己にため息をついた。
では青龍はどうなのかといえば、毎回抱かれる時間は長いものの香子はやはり憎からず思っている。抱かれているというのもあるだろう。
(やっぱりこうやって抱かれてると情は移るよね……)
香子は自分がチョロインだという自覚はある。だからこそ己の判断が信用できないのだ。
お湯が気持ちいいと香子は思った。湯を掬って顔を洗う。大陸の寮ではシャワーしかなかった。上に固定のシャワーヘッドがついているだけの浴室である。もちろん浴槽などはない。おかげで十分に身体を洗うことはできていなくて、旅行先や一時帰国の時に風呂は堪能していた。
香子はもう人ではないからのぼせるということもないが、そろそろ四神も焦れているだろうと出ることにした。
自ら抱かれる為に出るなんて、やっぱり恥ずかしい。
しかしいつまでも浸かっているわけにもいかないのだった。
侍女に身体を拭いてもらい、睡衣(寝巻)を着せられた上に長袍を羽織らされる。真冬である。湯冷めしないようにと足早に部屋へ戻らなければならないのだが、浴室から出たら青龍が待っていた。
『香子』
『青龍様?』
『行くぞ』
問答無用で抱き上げられて、そのまま青龍の室に連れていかれるのかと慌てたが、そうではなかった。香子が支度を整えるのは待ってくれるらしい。部屋に運ばれて、香子が侍女たちに身だしなみを整えられる間、青龍は居間で待っていた。
(あーもう、だめかも……)
待ちたくないけど待ってくれるなど胸のときめきが押さえられないではないかと、香子は内心身もだえた。
最初はあんなに敵意のようなものを向けられていたというのに、変わるものである。それとも、やはり香子は花嫁であるから青龍には抗えないのだろうか。そんなことまで香子は考えてしまった。
睡衣は薄手のものだ。長袍を羽織っているとはいえ、その恰好で髪型などを整えられるのも少し恥ずかしい。頬の熱が全く去らなくて困ってしまう。
『花嫁様、口を少し開いて下さいませ』
侍女に言われてその通りにした。紅をさされる。
口づけをされれば、その紅は四神の唇をほんのりと染めるのだ。それが色っぽくて、思い出しただけで香子はぶるりと震えた。
身だしなみを整えた香子は侍女たちによって青龍に渡された。
『そのままでも美しいが……こうして大切に整えられたそなたは更に魅力的だ』
青龍に言われて、香子はどう返したらいいのかわからなかった。もう照れていることしかできない。
抱き上げられて青龍の室へと運ばれる。そのまま寝室へ連れていかれて、香子は顔中に口づけられた。
(愛しい……)
『んっ……』
唇を優しく塞がれて香子はうっとりする。その間に気配が増えたような気がした。玄武と朱雀が訪れたようである。
彼らに抱かれるのだと思ったら、身体の奥が甘く疼いた。
そうしてまた長い夜が始まった。
正月の間の過ごし方も、そんな風にしていつもとはそれほど変わらなかった。
もう一度ぐらい張錦飛が来たが、香子の字が上達しないのを見て苦笑していた。なんといっても最近の四神は香子をずっと離さないのである。書の練習をしようにもするヒマもなかったのだ。
ほっほっほと張に笑われて、やっぱりバルタン星人かなと香子は思ったりもした。
『仲睦まじいのが一番ですぞ。花嫁様に不満がなければそれが一番でしょう』
『そうですね……申し訳ありません、せっかく来ていただいているのに……』
『四神は花嫁を全力で愛すものらしいですからな。お嫌でなければ囚われてしまうのもいいでしょう』
『……はい……』
もし四神に囚われたら、愛欲の日々まっしぐらであることぐらい香子は理解している。
(それはまだちょっと……勘弁してほしいんだよねぇ)
我がままを言っている自覚はあるが、香子にはまだやりたいことが沢山あるのだ。
張と歴史談義もしたいし、字もうまくなりたいし、唐の国の各地を回りたいしと欲は尽きない。誰かに嫁げば今よりは動きやすくなると聞いたが、二人きりになった四神の誰かが香子を離すとは到底思えない。
(気がついたら抱かれ続けて十年とか経ってそう……)
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