異世界で四神と結婚しろと言われました

浅葱

文字の大きさ
582 / 653
第4部 四神を愛しなさいと言われました

130.愛が深すぎてあっぷあっぷしています ※R15

しおりを挟む
 わかっているつもりでわかっていなかった。
 そう、言葉の上では理解したつもりでいたのだと、香子はやっと気づいた。
 四神の愛はどこまでも深い。
 更に白虎は嫉妬もするのだ。
 香子の口を吸い、胸を吸い、そして白虎は下も甘く舐める。
 このまま抱かれてしまうのかと、香子はぼんやり思った。それはそれでかまわないとも。


『白虎さま……白虎さまぁ……』

 口を開けば甘い声が漏れる。肉厚の長い舌で舐められてしまえば、すぐに陥落してしまいそうだと香子は思った。

『あっ……』

 白虎が本性を現わした。ふるり、と香子の身体が震える。それは本能的な恐れだった。

『香子……どうか……』

 白虎は本性を現わすと更に声が低くなる。前足が香子の足を押さえた。怖い、と香子は思う。

(でも……)
『白虎さま……玄武様か、朱雀様を……』
『ああ……』

 抱かれてもかまわない。だけどまだ今は付き添いがいないと難しい。

『……呼んだ。香子シャンズ、よいか?』
『……はい』

 返事をすれば、香子はすぐに身体をうつ伏せにされた。

『あああっ……!?』

 いつ玄武が来たのかはわからなかった。昼間からとか、恐れとか、恥ずかしさとか、そんなことはもうどうでもよかった。
 香子はそうして、白虎の愛に溺れた。


 ……正気に返れば、流されたとしか言いようがない。

『香子、大事ないか?』

 白虎はまだ本性を現わしたままだった。香子を舐めながら気遣うように問う。香子は裸で、隠すものがない状態だったから白虎に抱きついた。

『……だいじょうぶ、ですけど……』

 ものすごく恥ずかしいと香子は思った。

『香子……香子……』

 なんというか、これ以上ないほど舐められて香子はどうしたらいいのかわからなかった。

『……おなか、すきました……』
『そろそろ夕飯の時間だ』

 ベッドの側で椅子に腰かけている玄武が教えてくれた。

『うー……着替え、とか。でもその前に……何か食べたいです……』

 こういうことははっきり言わないと四神もわからない。察してもらうのは無理だと思った方がいいので、香子もしっかり要求は伝えるようにしている。

『軽い物を用意させよう。しばし待て』
『はい……』
『我も腹が減ったな……』

 白虎が呟く。それはそうだろうと香子は思った。
 白虎との交わりは決して穏やかではない。思い出して、香子は真っ赤になった。
 おなかがすきすぎて動けないので、香子は観念して白虎の腕の中にいた。時折、『おなかすいたよぉ』と泣きながら。
 やがて白雲に声をかけられて、香子は肉まんと野菜まんにかぶりついた。

餡儿餅シャルビン(中国版のおやきのようなもの)が食べたい……』

 四神宮で出される肉まんと野菜まんも十分おいしいのだが、香子からすると皮の詰まったかんじと具材が足りないのだ。ようは、香子は元の世界にいた時そんなに上品な物はほとんど食べていなかった。日本の肉まんは別物だと香子は思っているので、そちらについては考えていない。

『餡儿餅ですか。伝えておきましょう』

 白雲に言われて香子ははっとした。今すぐ食べたいというわけではない。

『あの、ええと……』
『伝えるだけです』
『でも……』
『香子、落ち着け』

 白虎に言われて、香子は椅子になっている白虎を睨んだ。

『誰のせいですか!?』
『……我のせいなのか?』
『この空腹はどう考えたって白虎様のせいでしょう!?』

 己も同意した結果なのだがそのことには目をつぶり、香子は白虎に八つ当たりした。

『……確かにそうだな』

 胃が少し落ち着いたので、香子は部屋に戻ることにした。玄武が運んでくれるという。

『玄武様、あのぅ……私、自分の足で……』
『ならぬ』

 玄武は口元に笑みを履いた。珍しいこともあるものだと、香子は目を丸くした。しかしその目が笑っていないことにも香子は気づいてしまった。
 玄武は香子を白虎の腕から受け取ると、一瞬きつく香子を抱きしめた。

『……香子。今宵は、覚悟しておけ』
『お、お手柔らかにお願いします……』

 香子もそうなることはわかっていたが、実際に言われると腰が引けてしまう。引けたところでがっしりと囚われてしまっているから逃げ場は絶対にないのだが。
 玄武は香子を一旦部屋で降ろしてくれた。そのまま居間で香子を待つことにしたらしい。髪型も衣裳も乱れている香子を、侍女たちは嬉々として着替えさせ着飾った。

『……夕飯を食べるだけなのだけど……?』
『花嫁様はとてもお綺麗なのですから、更に美しくしなくてはいけません』
『化粧のしがいはないですが、こちらの紅はいかがでしょうか?』

 侍女たちはたくさん口紅を用意している。とても楽しそうなので、香子は嘆息しつつも好きなようにさせていた。
 香子からすると、香子を着飾らせて何が楽しいのかさっぱりわからない。
 そうして玄武の瞳の色に合わせた淡い緑色の衣裳を着せられて、香子は玄武に差し出された。

『……お待たせしました』
『そなたは何を着ても美しいな』

 玄武をそう言って、香子をふわりと抱き上げた。侍女たちが『きゃあ……』と控えめに声を上げる。
 香子は玄武の胸に顔を伏せた。
 できることなら、香子も『きゃあ』と周りで声を上げる側にいたかったと思ったのだった。
しおりを挟む
感想 94

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

蝋梅
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

英雄魔術師様とのシークレットベビーが天才で隠し通すのが大変です

氷雨そら
恋愛
――この魔石の意味がわからないほど子どもじゃない。 英雄魔術師カナンが遠征する直前、フィアーナと交わした一夜で授かった愛娘シェリア。フィアーナは、シェリアがカナンの娘であることを隠し、守るために王都を離れ遠い北の地で魔石を鑑定しながら暮らしていた。けれど、シェリアが三歳を迎えた日、彼女を取り囲む全ての属性の魔石が光る。彼女は父と同じ、全属性の魔力持ちだったのだ。これは、シークレットベビーを育てながら、健気に逞しく生きてきたヒロインが、天才魔術師様と天才愛娘に翻弄されながらも溺愛される幸せいっぱいハートフルストーリー。小説家になろうにも投稿しています。

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

喪女なのに狼さんたちに溺愛されています

和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です! 聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。 ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。 森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ? ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。

処理中です...