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第4部 四神を愛しなさいと言われました
139.初めてのことが多いです
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玄武は館の中の庭、大きな池の周りをゆっくりと歩いた。
香子は玄武の腕に抱かれたまま、池の周りに生えている草の中から咲いている赤や黄色の花を見つけ、綺麗だなと思ったりした。
池の中には小さな魚が見えた。
そういえば玄武は池に浸かっていた時間がそれなりに長かったのではないだろうかと香子は思い、首を傾げた。
『香子、如何した?』
『いえ……玄武様がこちらの池に入ると、魚たちはどうするのかと思いまして』
素朴な疑問である。いちいち他の池に移したりはしないだろうと香子は思う。
『魚がいたのか』
『おります。大きい魚は定期的に捕って食べています』
黒流が淡々と言う。
『そんなに大きく育つのですか?』
『ここの気候は一年中変わりませんので、魚もそれなりの大きさに育ちます。花嫁様は魚料理を好まれると聞いております。どうぞ楽しみにしていてくださいませ』
『……ありがとう』
きっと黒月だけではなく、玄武もいろいろ伝えてくれたのだろうと思ったら、香子は胸が甘く苦しくなるのを感じた。
(これがキュン死……)
玄武は香子のことがわからないから言葉にしてほしいと言うが、その実香子のことをよく見ている。人と四神にはお互い理解できない部分はあるし、どうしても譲れない部分はあるが寄り添ってくれようとする玄武を香子は改めて好きだと思う。
香子は玄武の胸に頬を寄せた。
(最初から、玄武様のこと好きだもんね……)
もちろん朱雀のことも同じような熱量で香子は想いを寄せている。だから余計に、どうしたらいいのかわからないのだ。
『香子』
『え?』
抱き上げられている身体を少し持ち上げられた香子は、その口唇を塞がれた。
『んんっ!?』
玄武の舌が香子の口腔内を舐めると、香子は身を震わせた。
眷属たちが見ているのに、と香子の顔が恥ずかしさで真っ赤になった。玄武の口づけは巧みで香子はすぐに息が上がってしまう。
トン、トンと抗議の意味も籠めて、香子は玄武の胸を叩いた。
『んっ……はぁ……』
『香子が愛しすぎる』
『……っ……!?』
香子は口唇を解放されたことで文句を言おうとしたが、とても嬉しそうに玄武に言われてしまえば何も言うことができなくなってしまった。
『……外では嫌です』
玄武の胸に顔を埋めて、香子はどうにかそれだけ伝えた。
『……そなたが愛しくてたまらぬ』
『~~~~っっ!』
人の話を聞け、と香子は内心ツッコミを入れた。玄武が苦笑する。そういえばこうしてくっついていると、香子の心情も相手に伝わるのであったということを香子はやっと思い出した。どうも己はうかつが過ぎると、香子は内心反省した。
『……我はそんなそなたが好ましい』
『……勝手に人の心を読まないでください……』
くっついているのだからしかたないのだが、玄武が香子を下ろしてなどくれようはずがない。そうでなくても玄武の領地で玄武の腕から降りるわけにはいかないので、照れ隠しにどこかへ逃げることもできなかった。
『あ……』
視線を池に向ければ、池の中を蛇が泳いでくるのが見えた。身体を揺らすようにして泳いでくる姿は優雅である。
『蛇がいますね』
『そのようだ』
蛇は岸に上がると、玄武の前で一瞬鎌首をもたげた。そしてつぶらな瞳を香子に向ける。
『何用か?』
玄武が蛇に問うた。
蛇は頭を下げ、しずしずと草の中へ消えていった。
『? どうかしたのですか?』
『香子に礼を言いたかったようだ』
『そんな!』
蛇に礼を言われるようなことはしていないと香子は思う。それもまた玄武の領地の気候がらみであったが、香子は首を傾げることしかできない。玄武の領地は特に寒いので、香子が思っているよりも何倍も領民やそこに住まう生き物たちは感謝していた。
『私は何もしていません』
『花嫁様の存在そのものが尊いのです』
黒流にさらりと言われて、香子はやっぱり困ってしまった。玄武が池の周りの散策を再開した。
『あれ?』
玄武が歩を進める度に、花が一輪、また一輪と咲いていくのを見て、香子は目を丸くした。植物までも香子を歓迎しているようだった。
『今、花が咲きませんでしたか?』
『……ちょうど花が咲く時だったのだろう』
『……ですかねえ……』
もう突っ込んでもしょうがないと香子はため息を吐く。花に罪はない。むしろ玄武が領地に戻ってきたことを歓迎しているのだろうと思うことにした。
そうして玄武は池をぐるりと回った。改めて池の全体を見れば、周りにいろとりどりの花が咲いていてとても綺麗だった。最初からこんなに咲いていただろうかと香子は首を傾げた。
『綺麗……』
香子は思わず呟いた。
『……他の方の領地では、このようなことはありませんでした』
『そうか。何かしたいことはあるか?』
『そうですね……街へ出たいです。玄武様の領地が、どのようなところか知りたいです』
『わかった。……手配せよ』
『はっ』
眷属たちが外出の準備を整えている間、香子は玄武にねだって館内の庭園を見せてもらった。館自体も大きいが、庭園もとても広い。そしていろんなところに池があり、更には温泉もあるようだった。
『火山が近くにあるのですか?』
『はい、五大連池と呼ばれる火山地帯がございます。見に行かれますか?』
黒流に聞かれ、香子は首を振った。
『いいえ、温泉があると聞いたから火山があるのではないかと思ったの』
そう言うと、黒流はとても嬉しそうに笑んだ。
『……玄武様、おわかりですね?』
『……そなたに言われずとも』
『?』
二人の会話の意味がわからなくて、香子は不思議そうな顔をした。
『準備が整ったようだ。参ろうか』
『はい』
外出の準備ができたらしい。街はどんなかんじなのだろうと香子はわくわくするのを感じた。
ーーーーー
絶対にゲットしろと圧をかけられる玄武様(笑)
香子は玄武の腕に抱かれたまま、池の周りに生えている草の中から咲いている赤や黄色の花を見つけ、綺麗だなと思ったりした。
池の中には小さな魚が見えた。
そういえば玄武は池に浸かっていた時間がそれなりに長かったのではないだろうかと香子は思い、首を傾げた。
『香子、如何した?』
『いえ……玄武様がこちらの池に入ると、魚たちはどうするのかと思いまして』
素朴な疑問である。いちいち他の池に移したりはしないだろうと香子は思う。
『魚がいたのか』
『おります。大きい魚は定期的に捕って食べています』
黒流が淡々と言う。
『そんなに大きく育つのですか?』
『ここの気候は一年中変わりませんので、魚もそれなりの大きさに育ちます。花嫁様は魚料理を好まれると聞いております。どうぞ楽しみにしていてくださいませ』
『……ありがとう』
きっと黒月だけではなく、玄武もいろいろ伝えてくれたのだろうと思ったら、香子は胸が甘く苦しくなるのを感じた。
(これがキュン死……)
玄武は香子のことがわからないから言葉にしてほしいと言うが、その実香子のことをよく見ている。人と四神にはお互い理解できない部分はあるし、どうしても譲れない部分はあるが寄り添ってくれようとする玄武を香子は改めて好きだと思う。
香子は玄武の胸に頬を寄せた。
(最初から、玄武様のこと好きだもんね……)
もちろん朱雀のことも同じような熱量で香子は想いを寄せている。だから余計に、どうしたらいいのかわからないのだ。
『香子』
『え?』
抱き上げられている身体を少し持ち上げられた香子は、その口唇を塞がれた。
『んんっ!?』
玄武の舌が香子の口腔内を舐めると、香子は身を震わせた。
眷属たちが見ているのに、と香子の顔が恥ずかしさで真っ赤になった。玄武の口づけは巧みで香子はすぐに息が上がってしまう。
トン、トンと抗議の意味も籠めて、香子は玄武の胸を叩いた。
『んっ……はぁ……』
『香子が愛しすぎる』
『……っ……!?』
香子は口唇を解放されたことで文句を言おうとしたが、とても嬉しそうに玄武に言われてしまえば何も言うことができなくなってしまった。
『……外では嫌です』
玄武の胸に顔を埋めて、香子はどうにかそれだけ伝えた。
『……そなたが愛しくてたまらぬ』
『~~~~っっ!』
人の話を聞け、と香子は内心ツッコミを入れた。玄武が苦笑する。そういえばこうしてくっついていると、香子の心情も相手に伝わるのであったということを香子はやっと思い出した。どうも己はうかつが過ぎると、香子は内心反省した。
『……我はそんなそなたが好ましい』
『……勝手に人の心を読まないでください……』
くっついているのだからしかたないのだが、玄武が香子を下ろしてなどくれようはずがない。そうでなくても玄武の領地で玄武の腕から降りるわけにはいかないので、照れ隠しにどこかへ逃げることもできなかった。
『あ……』
視線を池に向ければ、池の中を蛇が泳いでくるのが見えた。身体を揺らすようにして泳いでくる姿は優雅である。
『蛇がいますね』
『そのようだ』
蛇は岸に上がると、玄武の前で一瞬鎌首をもたげた。そしてつぶらな瞳を香子に向ける。
『何用か?』
玄武が蛇に問うた。
蛇は頭を下げ、しずしずと草の中へ消えていった。
『? どうかしたのですか?』
『香子に礼を言いたかったようだ』
『そんな!』
蛇に礼を言われるようなことはしていないと香子は思う。それもまた玄武の領地の気候がらみであったが、香子は首を傾げることしかできない。玄武の領地は特に寒いので、香子が思っているよりも何倍も領民やそこに住まう生き物たちは感謝していた。
『私は何もしていません』
『花嫁様の存在そのものが尊いのです』
黒流にさらりと言われて、香子はやっぱり困ってしまった。玄武が池の周りの散策を再開した。
『あれ?』
玄武が歩を進める度に、花が一輪、また一輪と咲いていくのを見て、香子は目を丸くした。植物までも香子を歓迎しているようだった。
『今、花が咲きませんでしたか?』
『……ちょうど花が咲く時だったのだろう』
『……ですかねえ……』
もう突っ込んでもしょうがないと香子はため息を吐く。花に罪はない。むしろ玄武が領地に戻ってきたことを歓迎しているのだろうと思うことにした。
そうして玄武は池をぐるりと回った。改めて池の全体を見れば、周りにいろとりどりの花が咲いていてとても綺麗だった。最初からこんなに咲いていただろうかと香子は首を傾げた。
『綺麗……』
香子は思わず呟いた。
『……他の方の領地では、このようなことはありませんでした』
『そうか。何かしたいことはあるか?』
『そうですね……街へ出たいです。玄武様の領地が、どのようなところか知りたいです』
『わかった。……手配せよ』
『はっ』
眷属たちが外出の準備を整えている間、香子は玄武にねだって館内の庭園を見せてもらった。館自体も大きいが、庭園もとても広い。そしていろんなところに池があり、更には温泉もあるようだった。
『火山が近くにあるのですか?』
『はい、五大連池と呼ばれる火山地帯がございます。見に行かれますか?』
黒流に聞かれ、香子は首を振った。
『いいえ、温泉があると聞いたから火山があるのではないかと思ったの』
そう言うと、黒流はとても嬉しそうに笑んだ。
『……玄武様、おわかりですね?』
『……そなたに言われずとも』
『?』
二人の会話の意味がわからなくて、香子は不思議そうな顔をした。
『準備が整ったようだ。参ろうか』
『はい』
外出の準備ができたらしい。街はどんなかんじなのだろうと香子はわくわくするのを感じた。
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絶対にゲットしろと圧をかけられる玄武様(笑)
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