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第4部 四神を愛しなさいと言われました
150.好きなのは間違いないのです
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香子は泣きながら空腹を訴え、おいしい料理をたんまりと食べた。
そうしてほっとすると同時に、香子はお茶を啜った。まだ春巻が残っていたのでそれももりもり食べる。春巻だけは絶対に全ていただくと香子は決めている。青龍も上品な所作でもりもり食べているので用意された料理を残すということはありえないのだが、香子は春巻を残すなんてとんでもないと思っていた。どれだけ春巻が好きなのかとツッコミが入りそうだが、四神宮はツッコミ不在である。
『あー……おいしかった!』
人心地ついて、香子はやっと満足した。
青龍の膝に乗せられているので食べづらいことこの上ないのだが、そんな食事の仕方も香子は慣れてしまっている。
『香子、空腹の後の食事はたまらないのではないか?』
青龍に意地悪そうに聞かれて、香子はムッとした。
『……ただの空腹ではありませんから、嫌です』
『途中で白湯は何度か与えているのだがな』
『それで足りるわけないじゃないですか……』
見よ、この空の皿の量を、と香子は手で示した。片付けられた皿もあるので、はっきり言って二人で平らげる量ではないのである。香子の想像では、絶対に厨師たちが引いているだろうと思っている。
実際には、たくさん食べてくれる香子のことを厨師たちは大好きである。今まで四神宮の厨師として腕をふるえなかった分、これでもかと喜んで作っているのだ。もちろんそれが香子に伝わることはない。
『……残念だな。我はいつだってそなたを抱いていたいというのに……』
香子は身震いした。
そんなことをされたら本当にわけがわからなくなってしまいそうだから勘弁してほしかった。
『……私、青龍様のことは好きですけど、それは勘弁してほしいです』
香子はきっぱりと告げた。
『それは本当に残念だな』
青龍はそう言って口元に笑みをはいた。衣服を簡単に整えられ、香子は青龍に抱かれて部屋に送ってもらった。
そうして部屋の長椅子に丁寧に下ろされ、『また夕飯時にな』と言われて手の甲に口づけられた。
青龍が部屋を出て行った後、香子は両手で顔を覆った。
「あーもうっ、あーもーーーーーーっっ!!」
叫ばずにはいられなかった。その声は青龍の耳にも届いていたので、青龍は機嫌よく己の室に戻ったのだった。
夕方に目覚めて先ほど食事をしたので夕飯までそれほど間はない。けれど香子はもう人ではないのでいくらでも食べられる。
それは四神宮全体に周知されているので、厨房ではいつも通りの量で調理されていた。
『……書の練習がしたいです』
香子は夕飯時にそうポツリと呟いた。
張錦飛にもそろそろ四神の領地に向かうことを報告する必要がある。皇太后にも挨拶をしなければと香子は思っていた。
四神は頷いた。白雲がスッと食堂を出ていく。主官である趙文英に伝えにいったのだろう。
香子はいつもの料理を眺めて、ほうっとため息をついた。
いつも豪華な料理なのだが、何故飽きないのだろうかと香子は思う。
それは香子が中華料理を好きすぎるが故なのだが、香子自身は全くわかっていない。いつだって四神宮のごはんはおいしい。
水餃子の具は海老と卵だった。いくらでも食べられると香子は思った。
白雲が戻ってきた。今から張に連絡をすることになる為、今日の明日というわけにもいかない。
『花嫁様、皇太后から文が届いております』
白雲にそう伝えられて、香子は目を丸くした。皇太后の行動力の速さには脱帽である。
『ありがとう。夕玲に預けてくれる?』
『かしこまりました』
今夜はいつも通り玄武と朱雀と過ごすことになっている。一日中抱かれていたような形なので、香子としては今夜は勘弁してほしいのだが、二神が聞いてくれることはない。
疲れるから嫌だと言った時は延々ゆるゆるとした快感で満たされて、それはそれで死んでしまいそうだと思ったものだった。
『玄武様、朱雀様、先に老仏爺からの文を確認させてください』
二神は頷いた。
部屋に戻って、皇太后からの文を延夕玲に読んでもらう。
果たしてお茶を共に、という誘いであった。
日時は明日の午後である。
また周りが振り回されているなと香子は苦笑した。皇太后は思いつきでこういうことをするので、いつも唐突だ。
『参りますと伝えてちょうだい』
『かしこまりました』
夕玲は急いで文をしたため、それを部屋の前で控えていた侍女に託した。それと同時ぐらいに玄武が香子を連れにきた。
『……玄武様、まだ早いです』
『待ちきれなくてな』
『もう……』
夕飯の後で、まだ髪も衣裳も整えていないし入浴もまだだ。
『今夜ぐらい入浴は一人でしたいです』
『そなにつれないことを言ってくれるな』
香子はムッとした。四神はいつも香子と一緒にいたがるが、香子はたまには四神と離れたいと思うのだ。
『入浴は別で、お願いします』
『……わかった。だがせめて浴室までは運ばせてくれぬか?』
『……中には入ってこないでくださいよ』
あからさまにシュンとした様子の玄武を、香子は拒むことはできなかった。
『……努力しよう』
『……一人で参ります』
『香子!』
神様なのに、自分に振り回されてるなんて、と香子はクスッと笑ったのだった。
そうしてほっとすると同時に、香子はお茶を啜った。まだ春巻が残っていたのでそれももりもり食べる。春巻だけは絶対に全ていただくと香子は決めている。青龍も上品な所作でもりもり食べているので用意された料理を残すということはありえないのだが、香子は春巻を残すなんてとんでもないと思っていた。どれだけ春巻が好きなのかとツッコミが入りそうだが、四神宮はツッコミ不在である。
『あー……おいしかった!』
人心地ついて、香子はやっと満足した。
青龍の膝に乗せられているので食べづらいことこの上ないのだが、そんな食事の仕方も香子は慣れてしまっている。
『香子、空腹の後の食事はたまらないのではないか?』
青龍に意地悪そうに聞かれて、香子はムッとした。
『……ただの空腹ではありませんから、嫌です』
『途中で白湯は何度か与えているのだがな』
『それで足りるわけないじゃないですか……』
見よ、この空の皿の量を、と香子は手で示した。片付けられた皿もあるので、はっきり言って二人で平らげる量ではないのである。香子の想像では、絶対に厨師たちが引いているだろうと思っている。
実際には、たくさん食べてくれる香子のことを厨師たちは大好きである。今まで四神宮の厨師として腕をふるえなかった分、これでもかと喜んで作っているのだ。もちろんそれが香子に伝わることはない。
『……残念だな。我はいつだってそなたを抱いていたいというのに……』
香子は身震いした。
そんなことをされたら本当にわけがわからなくなってしまいそうだから勘弁してほしかった。
『……私、青龍様のことは好きですけど、それは勘弁してほしいです』
香子はきっぱりと告げた。
『それは本当に残念だな』
青龍はそう言って口元に笑みをはいた。衣服を簡単に整えられ、香子は青龍に抱かれて部屋に送ってもらった。
そうして部屋の長椅子に丁寧に下ろされ、『また夕飯時にな』と言われて手の甲に口づけられた。
青龍が部屋を出て行った後、香子は両手で顔を覆った。
「あーもうっ、あーもーーーーーーっっ!!」
叫ばずにはいられなかった。その声は青龍の耳にも届いていたので、青龍は機嫌よく己の室に戻ったのだった。
夕方に目覚めて先ほど食事をしたので夕飯までそれほど間はない。けれど香子はもう人ではないのでいくらでも食べられる。
それは四神宮全体に周知されているので、厨房ではいつも通りの量で調理されていた。
『……書の練習がしたいです』
香子は夕飯時にそうポツリと呟いた。
張錦飛にもそろそろ四神の領地に向かうことを報告する必要がある。皇太后にも挨拶をしなければと香子は思っていた。
四神は頷いた。白雲がスッと食堂を出ていく。主官である趙文英に伝えにいったのだろう。
香子はいつもの料理を眺めて、ほうっとため息をついた。
いつも豪華な料理なのだが、何故飽きないのだろうかと香子は思う。
それは香子が中華料理を好きすぎるが故なのだが、香子自身は全くわかっていない。いつだって四神宮のごはんはおいしい。
水餃子の具は海老と卵だった。いくらでも食べられると香子は思った。
白雲が戻ってきた。今から張に連絡をすることになる為、今日の明日というわけにもいかない。
『花嫁様、皇太后から文が届いております』
白雲にそう伝えられて、香子は目を丸くした。皇太后の行動力の速さには脱帽である。
『ありがとう。夕玲に預けてくれる?』
『かしこまりました』
今夜はいつも通り玄武と朱雀と過ごすことになっている。一日中抱かれていたような形なので、香子としては今夜は勘弁してほしいのだが、二神が聞いてくれることはない。
疲れるから嫌だと言った時は延々ゆるゆるとした快感で満たされて、それはそれで死んでしまいそうだと思ったものだった。
『玄武様、朱雀様、先に老仏爺からの文を確認させてください』
二神は頷いた。
部屋に戻って、皇太后からの文を延夕玲に読んでもらう。
果たしてお茶を共に、という誘いであった。
日時は明日の午後である。
また周りが振り回されているなと香子は苦笑した。皇太后は思いつきでこういうことをするので、いつも唐突だ。
『参りますと伝えてちょうだい』
『かしこまりました』
夕玲は急いで文をしたため、それを部屋の前で控えていた侍女に託した。それと同時ぐらいに玄武が香子を連れにきた。
『……玄武様、まだ早いです』
『待ちきれなくてな』
『もう……』
夕飯の後で、まだ髪も衣裳も整えていないし入浴もまだだ。
『今夜ぐらい入浴は一人でしたいです』
『そなにつれないことを言ってくれるな』
香子はムッとした。四神はいつも香子と一緒にいたがるが、香子はたまには四神と離れたいと思うのだ。
『入浴は別で、お願いします』
『……わかった。だがせめて浴室までは運ばせてくれぬか?』
『……中には入ってこないでくださいよ』
あからさまにシュンとした様子の玄武を、香子は拒むことはできなかった。
『……努力しよう』
『……一人で参ります』
『香子!』
神様なのに、自分に振り回されてるなんて、と香子はクスッと笑ったのだった。
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