あの日の花冠が僕を王子にしてくれた。

豆腐屋

文字の大きさ
1 / 1

しおりを挟む
    幼稚園児だった頃、遠足で行ったどこかの大きな公園で、好きだった女の子から、シロツメグサの花冠を貰った。

    「ユウ君は、マリナの王子様だから。」

    そう言って、手作りの冠を僕の頭にのせてくれた。

    
    あれから12年・・・。


    僕達は、18歳になった。
僕の好きな女の子は今では、「マリナ」という名前が良く似合う、ちょっとギャルぽい女子高生になっている。
    幼い頃からませていて、オシャレが大好きで少し・・・だいぶ?気が強く、学年で一番可愛いと評判だった彼女は高校三年になった今、とても10代には見えないほど、大人びた美人だ。

    僕は厳しい進学校、マリナは女子高の家政科、高校は違っても、たまに頼まれて勉強を教えたり、お礼に手作りのお菓子を貰ったりしている。
 
    
   「ねぇ、ユウイチ・・・私、この前、勉強教えて貰った時に見ちゃったんだけど・・・四葉のクローバーの栞・・・」

   四葉のクローバーの栞、それは僕が参考書に挟んで使っている自作の栞だ。
   特にオシャレなデザインでもないから、彼女の気に召さなかったのだろうか?

「あぁ、あの栞・・・もぅずっと使ってるお気に入りなんだ。もっと可愛く作れたら良かったんだけど、地味でごめんね。」

「栞のデザインなんてどうでもいいのよ!!あれって、あのクローバーでしょ!?」

    そう、あのクローバーだ。
12年前に、好きな女の子から貰ったシロツメグサの花冠には四葉のクローバーが一緒に編み込まれていた。それを見つけた僕はクローバーを押し花にして、ずっと持っている。
   そして、栞にして使っている。

    あれから12年というか・・・、付き合って12年になる。僕の方は、あの遠足の日が交際のスタートという意識はなかったが、その歳のバレンタインに彼女からチョコレートを貰って、

「マリナはユウ君の彼女だから、チョコレートもユウ君にだけあげるの。今年からパパにもあげてない。」

   なんて言われた時、子供ながらに自分たちが恋人同士であると認識した。
   本当にませた子だったなぁと思う・・・。それに、まさか12年も付き合いが続くとも思わなかった。どこかで、適当に自然消滅のような形で終わるんだと思ってた。
 


    マリナは、今日、期末テストの勉強を見てくれたお礼だと言って、スコーン焼いて持ってきてくれた。
    絶対、校則違反であろう長めに伸ばした爪で器用なものだ。
     マリナは、いつも強気で積極的な行動で僕を驚かせてくるくせに、後から僕が話題に出すと恥ずかしがって顔を赤くし、やめろと怒る。
     
    高校受験を控えた三年前の日
「引かないで聞いて欲しいんだけど・・・私が、本命の家政科に受かったらお嫁さんにして欲しい・・・」

    いつも、強気で積極的な彼女が泣きそうな顔と震える小さな声で、僕に言った。

「だったら、絶対受かって欲しい・・・」

     僕もつられて泣きそうになって、随分、図々しいことを言った。流石に高校生になったら、二人の関係は終わるだろうと覚悟していたからだ。
     だって、 あの頃の僕達は付き合っているといっても恋人らしいことなんて何もない、あまりにも健全な関係で、もはや付き合ってないじゃないかと思うぐらいだった。
    思い返せば、僕が自信がなくてウジウジしてるだけだったんだけど・・・

    僕は彼女に受かって貰うため一緒に勉強して、自分も将来を見据え有名進学校を受験した。お互い、無事、本命高校に合格した後も勉強会は続いていた。
    
「そうだよ。僕を王子様にしてくれた花冠のクローバーだよ。」

   僕は大学進学が決まり、マリナは専門学校に進むことになった。
   今回こそは絶対に僕からと意気込み、彼女に同棲の約束は取り付け済みだ。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

幼馴染に告白したら、交際契約書にサインを求められた件。クーリングオフは可能らしいけど、そんなつもりはない。

久野真一
青春
 羽多野幸久(はたのゆきひさ)は成績そこそこだけど、運動などそれ以外全般が優秀な高校二年生。  そんな彼が最近考えるのは想い人の、湯川雅(ゆかわみやび)。異常な頭の良さで「博士」のあだ名で呼ばれる才媛。  彼はある日、勇気を出して雅に告白したのだが―  「交際してくれるなら、この契約書にサインして欲しいの」とずれた返事がかえってきたのだった。  幸久は呆れつつも契約書を読むのだが、そこに書かれていたのは予想と少し違った、想いの籠もった、  ある意味ラブレターのような代物で―  彼女を想い続けた男の子と頭がいいけどどこかずれた思考を持つ彼女の、ちょっと変な、でもほっとする恋模様をお届けします。  全三話構成です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

勇者様がお望みなのはどうやら王女様ではないようです

ララ
恋愛
大好きな幼馴染で恋人のアレン。 彼は5年ほど前に神託によって勇者に選ばれた。 先日、ようやく魔王討伐を終えて帰ってきた。 帰還を祝うパーティーで見た彼は以前よりもさらにかっこよく、魅力的になっていた。 ずっと待ってた。 帰ってくるって言った言葉を信じて。 あの日のプロポーズを信じて。 でも帰ってきた彼からはなんの連絡もない。 それどころか街中勇者と王女の密やかな恋の話で大盛り上がり。 なんで‥‥どうして?

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

処理中です...