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辺境に地へ
収穫の喜び、愛の誓い
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待ちに待った、セリスの麦の収穫の日が訪れました。 村中が総出で畑に集まり、朝早くから活気ある声が響き渡っています。
ザクッ、ザクッ。 小気味良い鎌の音が、あちらこちらから聞こえてきました。 黄金色の穂が次々と刈り取られ、積み上げられていく光景は、圧巻の一言です。
「すごい……。本当に、こんなにたくさん獲れるなんて‼ 」
若者たちの歓声が、突き抜けるような青空に吸い込まれていきます。 わたくし、ミーシアも、慣れない農作業着に身を包み、皆のために腕を振るいました。
わたくしの役割は、炊き出しです。 サフラスの油で炒めた野菜と、乾燥肉をじっくり煮込んだ特製スープ。 そこに、わたくし特製のハーブを加え、疲れた体に染み渡る味に仕上げました。
「さあ、皆さん‼ 温かいうちに召し上がってくださいね」
わたくしが声をかけると、汗だくの村人たちが次々と集まってきました。 「奥様のスープを飲むと、力が湧いてくるんだ」 「本当に、公爵様たちが来てくれてから、この村は変わったよ……」
そんな言葉を耳にするたび、わたくしは心の中でマカリスタやモンローに告げたくなります。 あなたたちが与えた「絶望」という名の追放は、わたくしたちにとって「真の幸福」への入り口だったのだと。
ラッシュ様は、誰よりも先頭に立って脱穀作業をこなしていました。 シャツの袖を捲り上げ、逞しい腕を動かす彼の姿。 帝都の舞踏会で、華麗にステップを踏んでいた頃の彼も素敵でした。 けれど、今の、土に汚れ、仲間と共に汗を流すあなたの姿の方が、何倍も情熱的で、愛おしく感じられます。
「ミーシア、顔に粉がついているよ」
ふと、ラッシュ様がわたくしのそばに寄り、優しく指で頬を拭ってくれました。 その指先の温もりに、わたくしは顔が赤くなるのを感じます。
「あ、ありがとうございます……。ラッシュ様も、あまりご無理なさらないでくださいね⁉ 」
「大丈夫だ。君が作ってくれたスープを飲んだからね。力が有り余っているよ」
彼はわたくしの耳元でそう囁き、悪戯っぽく微笑みました。 あんなにクールだったあなたが、最近ではこんな風に冗談を言われるようになられたのですね。 そんな変化も、わたくしにとっては嬉しい発見なのです。
夜になり、広場ではささやかな収穫祭が催されました。 新しい麦を石臼で挽き、その粉で焼いたパン。 ふっくらと焼き上がったパンの香りは、どんな高級香水よりも素晴らしい芳香でした。
「さあ、ラッシュ。一口食べてみてください……」
わたくしは、焼きたてのパンをちぎって彼の口へと運びました。 彼はそれをゆっくりと噛み締め、深く、深く頷きました。
「美味しいな……。こんなに力強くて、温かい味のパンは、初めて食べたよ」
あなたの瞳に、うっすらと光るものが見えたような気がしました。 それはきっと、わたくしたちが共に乗り越えてきた困難と、努力が報われた喜びの涙なのでしょう。
「わたくしも……。この味を、一生忘れませんわ」
祭りの喧騒を少し離れ、わたくしたちは二人きりで夜空を見上げました。 満天の星が、バルザムの不毛地を優しく照らしています。
「ねえ、ラッシュ様。帝都での生活が懐かしくなることはありませんか⁉ 」
わたくしは、ふとした拍子にずっと気になっていたことを尋ねました。 公爵という地位、莫大な富、そして名声。 彼はそれらをすべて、わたくしのせいで失ったのではないかと、心のどこかで負い目を感じていたのです。
ラッシュ様は、わたくしの肩をぐいと引き寄せ、強く抱きしめてくれました。
「ミーシア。私は、今が人生で一番幸せだよ……」
「地位や名声など、実体のない影のようなものだ。だが、ここにあるのは、君が育てた麦、君が見つけた薬草、そして、君の笑顔だ」
彼はわたくしの瞳を真っ直ぐに見つめ、愛の誓いを口にしました。
「私はこの地で、君と共に新しい帝国を築く。誰にも邪魔させない、私たちの楽園を」
「ラッシュ様……。わたくしも、あなたと一緒にどこまでも参ります」
二人の影が、月明かりの中で重なります。 マカリスタやモンローが、再び魔の手を伸ばしてくるかもしれません。 けれど、今のわたくしたちには、愛する伴侶と、信頼できる仲間、そして知恵があります。
不毛の地に咲いた奇跡の種は、これからもっともっと大きく育っていくはず。 私たちのワンダフルライフは、まだ始まったばかりなのですから‼
わたくしたちは、収穫の喜びに沸く村の音を聞きながら、静かに、そして熱く口づけを交わしました。 明日からの日々が、どんなに厳しくても、あなたといればすべてが輝いて見える……。
わたくしは、そう確信しながら、あなたの腕の中で目を閉じました。
ザクッ、ザクッ。 小気味良い鎌の音が、あちらこちらから聞こえてきました。 黄金色の穂が次々と刈り取られ、積み上げられていく光景は、圧巻の一言です。
「すごい……。本当に、こんなにたくさん獲れるなんて‼ 」
若者たちの歓声が、突き抜けるような青空に吸い込まれていきます。 わたくし、ミーシアも、慣れない農作業着に身を包み、皆のために腕を振るいました。
わたくしの役割は、炊き出しです。 サフラスの油で炒めた野菜と、乾燥肉をじっくり煮込んだ特製スープ。 そこに、わたくし特製のハーブを加え、疲れた体に染み渡る味に仕上げました。
「さあ、皆さん‼ 温かいうちに召し上がってくださいね」
わたくしが声をかけると、汗だくの村人たちが次々と集まってきました。 「奥様のスープを飲むと、力が湧いてくるんだ」 「本当に、公爵様たちが来てくれてから、この村は変わったよ……」
そんな言葉を耳にするたび、わたくしは心の中でマカリスタやモンローに告げたくなります。 あなたたちが与えた「絶望」という名の追放は、わたくしたちにとって「真の幸福」への入り口だったのだと。
ラッシュ様は、誰よりも先頭に立って脱穀作業をこなしていました。 シャツの袖を捲り上げ、逞しい腕を動かす彼の姿。 帝都の舞踏会で、華麗にステップを踏んでいた頃の彼も素敵でした。 けれど、今の、土に汚れ、仲間と共に汗を流すあなたの姿の方が、何倍も情熱的で、愛おしく感じられます。
「ミーシア、顔に粉がついているよ」
ふと、ラッシュ様がわたくしのそばに寄り、優しく指で頬を拭ってくれました。 その指先の温もりに、わたくしは顔が赤くなるのを感じます。
「あ、ありがとうございます……。ラッシュ様も、あまりご無理なさらないでくださいね⁉ 」
「大丈夫だ。君が作ってくれたスープを飲んだからね。力が有り余っているよ」
彼はわたくしの耳元でそう囁き、悪戯っぽく微笑みました。 あんなにクールだったあなたが、最近ではこんな風に冗談を言われるようになられたのですね。 そんな変化も、わたくしにとっては嬉しい発見なのです。
夜になり、広場ではささやかな収穫祭が催されました。 新しい麦を石臼で挽き、その粉で焼いたパン。 ふっくらと焼き上がったパンの香りは、どんな高級香水よりも素晴らしい芳香でした。
「さあ、ラッシュ。一口食べてみてください……」
わたくしは、焼きたてのパンをちぎって彼の口へと運びました。 彼はそれをゆっくりと噛み締め、深く、深く頷きました。
「美味しいな……。こんなに力強くて、温かい味のパンは、初めて食べたよ」
あなたの瞳に、うっすらと光るものが見えたような気がしました。 それはきっと、わたくしたちが共に乗り越えてきた困難と、努力が報われた喜びの涙なのでしょう。
「わたくしも……。この味を、一生忘れませんわ」
祭りの喧騒を少し離れ、わたくしたちは二人きりで夜空を見上げました。 満天の星が、バルザムの不毛地を優しく照らしています。
「ねえ、ラッシュ様。帝都での生活が懐かしくなることはありませんか⁉ 」
わたくしは、ふとした拍子にずっと気になっていたことを尋ねました。 公爵という地位、莫大な富、そして名声。 彼はそれらをすべて、わたくしのせいで失ったのではないかと、心のどこかで負い目を感じていたのです。
ラッシュ様は、わたくしの肩をぐいと引き寄せ、強く抱きしめてくれました。
「ミーシア。私は、今が人生で一番幸せだよ……」
「地位や名声など、実体のない影のようなものだ。だが、ここにあるのは、君が育てた麦、君が見つけた薬草、そして、君の笑顔だ」
彼はわたくしの瞳を真っ直ぐに見つめ、愛の誓いを口にしました。
「私はこの地で、君と共に新しい帝国を築く。誰にも邪魔させない、私たちの楽園を」
「ラッシュ様……。わたくしも、あなたと一緒にどこまでも参ります」
二人の影が、月明かりの中で重なります。 マカリスタやモンローが、再び魔の手を伸ばしてくるかもしれません。 けれど、今のわたくしたちには、愛する伴侶と、信頼できる仲間、そして知恵があります。
不毛の地に咲いた奇跡の種は、これからもっともっと大きく育っていくはず。 私たちのワンダフルライフは、まだ始まったばかりなのですから‼
わたくしたちは、収穫の喜びに沸く村の音を聞きながら、静かに、そして熱く口づけを交わしました。 明日からの日々が、どんなに厳しくても、あなたといればすべてが輝いて見える……。
わたくしは、そう確信しながら、あなたの腕の中で目を閉じました。
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