転落令嬢と辺境公爵の開墾スローライフ~愛と勇気と知恵で、不毛の地に楽園を築きます!

紅葉山参

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不毛の地に咲く新たな絆

乙女の休息と、深まる溺愛の夜

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 防衛準備が進む中、バルザムの村には奇妙な「連帯感」が生まれていました。 以前はよそよそしかった村の婦人たちも、今ではわたくしを「奥様」と慕い、リリカと共に薬草の加工を手伝ってくれています。

「奥様、このハーブの根、これでよろしいでしょうか⁉ 」

「ええ、完璧ですわ、マーサさん。それを細かく刻んで、サフラスの油に漬け込んでくださいね」

 笑い声が絶えない作業場。 帝都の冷酷な社交界では考えられない、温かな共同体の姿がそこにありました。 けれど、連日の激務は、わたくしたちの体力を確実に削っていきます。

 特にリリカは、自分の過去を振り払うかのように、寝る間も惜しんで働いていました。 夕暮れ時、ふと見ると、彼女が資料の束を抱えたまま、テラスの椅子でうたた寝をしているのを見つけました。

「……ふふ、頑張りすぎよ、リリカさん」

 わたくしはそっと毛布をかけようとしましたが、その時、彼女が小さく「……おかあさん……」と寝言を漏らしたのです。 その幼い声に、胸が締め付けられるような思いがしました。 彼女が背負ってきた孤独と苦しみ。それを癒やすことができるのは、もうわたくしたちしかいないのだと。

 そこへ、一日の作業を終えたラッシュ様が戻ってきました。 泥に汚れながらも、その瞳には充実感と、わたくしへの深い愛情が溢れています。

「リリカは眠ってしまったのか。本当に、よくやってくれているね」

「ええ……。この子には、これからたくさんの幸せを経験させてあげたいですわ」

 わたくしたちは、リリカを起こさないように静かに家の中へと入りました。 室内には、暖炉の火がパチパチとはぜる音と、サフラスの心地よい香りが漂っています。

「ミーシア。君も少し、休みが必要だ」

 ラッシュ様はわたくしの腰を抱き寄せると、そのまま抱き上げるようにしてソファーへと誘いました。 「ラ、ラッシュ様……⁉ まだお夕食の準備が……」

「そんなものは後でいい。今はこうして、君を独り占めしたいんだ」

 あなたの逞しい腕がわたくしを包み込み、耳元で甘い吐息が囁かれます。 帝都にいた頃よりも、あなたの愛情表現は真っ直ぐで、情熱的なものになっていました。 公爵という肩書きを捨て、一人の男として、わたくしを愛してくれている。 その事実が、わたくしの心を何よりも熱く、そして甘く溶かしていくのです。

「ミーシア……。君がいなければ、このバルザムも、今の私も存在しない。君が私の世界を変えてくれたんだ」

「ラッシュ様……。わたくしも、あなたといられるから、不毛の地さえ愛せるようになったのですわ」

 わたくしは、彼の広い胸に顔を埋めました。 外はもう、カシアンが放った偵察兵たちの影が、森の奥に潜んでいるかもしれません。 帝都では、モンローがわたくしへの嫌がらせを、次の段階へ進めようと画策していることでしょう。

 けれど、今のわたくしには、恐れるものなど何もありません。 この温かな胸の中にいれば、どんな冷たい風も、どんな悪意の刃も、届くことはないのだから。

「愛しているよ、ミーシア。永遠に、君だけを」

 重なり合う唇。 それは、これから始まる激動の季節に向けた、神聖な誓いのようでもありました。 わたくしたちのワンダフルライフは、誰にも邪魔させない。 この夜の温もりを力に変えて、わたくしたちは明日、さらに高く、さらに強く、希望の旗を掲げるのです……‼
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