転落令嬢と辺境公爵の開墾スローライフ~愛と勇気と知恵で、不毛の地に楽園を築きます!

紅葉山参

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反撃の蒼光、帝都崩壊編

決意の旅立ち、辺境から中心へ

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 バルザムの朝は、いつになく厳かな空気に包まれていました。村の広場には、開拓の苦楽を共にしてきた村人たちが全員集まり、わたくしたちの出発を静かに見守っていました。

 わたくし、ミーシアは、旅装に身を包み、慣れ親しんだこの家を一望しました。不毛の地と言われたこの場所で、わたくしは人生で最も大切なものを見つけました。ラッシュ様との揺るぎない愛、リリカさんという大切な家族、そして、大地と共に生きる誇り。

 奥様、お荷物の準備はすべて整いました。……蒼の月草の苗も、特別な保温箱に入れて、しっかり運びますわ‼

 リリカさんの声が、少しだけ震えていました。彼女もまた、この地を離れる寂しさと、未知なる帝都への恐怖、そして何よりわたくしたちを守りたいという使命感に突き動かされていました。

 リリカさん、ありがとう。……大丈夫よ、わたくしたちは必ず、このバルザムに戻ってきますわ。ここはわたくしたちの、かけがえのない楽園なのですから。

 わたくしは彼女の手を握り、優しく微笑みかけました。

 ラッシュ様は、村の代表であるグレンさんと固い握手を交わしていました。 グレン、私が留守の間、村のことは頼んだよ。帝都からの嫌がらせは、ミーシアの残した防衛植物が退けてくれるはずだ。もし何かあれば、すぐに狼煙を上げてくれ。

 公爵様……。どうか、お気をつけて。……俺たちは、ここで信じて待っています。奥様が咲かせたこの蒼い花を、命がけで守り抜きますからな‼

 グレンさんの目には、涙が浮かんでいました。 村人たち全員が、わたくしたちに感謝の言葉を投げかけてくれます。追放された身でありながら、これほどまでに愛される場所を築けたこと。その事実が、わたくしの背中を強く押してくれました。

 馬車に乗り込む直前、ベルンハルト先生がわたくしの元へ歩み寄ってきました。先生は高齢のため、バルザムに残り、研究の継続と村の知恵袋としての役割を担ってくださることになったのです。

 ミーシア、迷うことはない。君の知恵は、すでに帝都のどの魔導師よりも高く、清らかだ。……マカリスタが作り出した闇など、君の蒼い光の前では影に過ぎない。

 はい、先生。……行ってまいります。

 わたくしは、先生に深く一礼しました。

 馬車が動き出すと、窓の外を流れるバルザムの景色が、ゆっくりと遠ざかっていきました。蒼の月草が揺れる青い絨毯、サフラスの木々が作る優しい木漏れ日、そして、わたくしたちが汗を流して耕した黄金色の麦畑。

 ラッシュ様が、わたくしの手をそっと握りしめてくれました。 ミーシア、怖くはないかい⁉

 わたくしは、彼の逞しい腕に寄り添い、静かに首を振りました。 いいえ、ラッシュ様。あなたの隣にいられるのなら、どんな嵐の中へも飛び込んでいけますわ。……それに、わたくしは知りたいのです。あの方たちが、自分たちの犯した過ちに気づいた時、どのような顔をするのかを。

 ラッシュ様の瞳に、鋭い狩人のような光が宿りました。 ああ、見届けてやろう。……君を傷つけ、追放した代償がどれほど重いものか。帝国そのものを賭けて、彼らに支払わせてやる。

 馬車は、バルザムの境界を越え、帝都へと続く街道へと入りました。それは、かつて絶望と共に辿った道。けれど、今のわたくしたちが運んでいるのは、世界を救うための奇跡と、不屈の意志です。

 道中、わたくしたちは何度か、帝都から逃げ出してきたという難民たちに出会いました。マカリスタの重税と、不自然な魔導実験による環境汚染……。帝都は今、わたくしたちが来るのを待っているかのように、悲鳴を上げているようでした。

「ざまぁ」なんて言葉では、もはや足りないのかもしれません。 わたくし、ミーシア・フォン・バルザムが、今から行うこと。 それは、帝国の膿をすべて出し切り、愛と知恵に満ちた新しい夜明けをもたらすための、聖なる手術です。

 第3章、帝都反撃編がいよいよ本格的に幕を開けました。 立ちはだかるのは、狂気に満ちた皇太子と、嫉妬に狂った毒花、そして帝国の古い因習。 けれど、わたくしたちのワンダフルライフは、誰にも邪魔させない。 蒼い奇跡の輝きが、今、帝都の闇を照らし始めようとしていたのです……‼
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