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反撃の蒼光、帝都崩壊編
地下に響く嘆き、汚された命の根
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帝都の華やかな大通りの真下には、古くから張り巡らされた広大な地下水道が広がっています。かつては都の清潔を保つための大動脈であったその場所は、今やマカリスタ皇太子が主導する禁忌魔導の汚泥に染まり、吐き気を催すような死の臭いに満ちていました。
わたくし、ミーシアは、リリカさんと共にルナール伯爵が手配してくれた隠し通路を通り、その深淵へと足を踏み入れました。ラッシュ様が地上で派手な陽動を仕掛けてくださっているおかげで、地下の警備は手薄になっているはず。ですが、わたくしを包み込むこの不穏な空気は、兵士の有無などよりも遥かに恐ろしい「何か」を告げていました。
「……奥様、この匂い、ただの排水ではありませんわ。まるで、生き物が腐りながらも無理やり生かされているような……。バルザムの森の、あの清々しい風が恋しくてたまりません」
リリカさんが鼻をハンカチで押さえながら、震える声で言いました。彼女の持つ魔導ランタンの光が、湿った壁を青白く照らします。そこには、異常な成長を遂げた黒い蔦が、血管のように壁を這い回っていました。
わたくしはその蔦に、そっと手を触れてみました。その瞬間、脳裏に直接、数え切れないほどの悲鳴が流れ込んできたのです。
「ああ……。なんてことでしょう。これ、すべて蒼の月草の『なり損ない』ですわ。マカリスタ様は、わたくしたちが大切に育てた月草の種を、禁忌の魔導で歪め、無理やり増殖させたのです。……愛も光も与えられず、ただ殺戮の道具として改造されるために」
わたくしの目から、自然と涙が溢れました。植物は、育てる者の心を映す鏡です。この黒い蔦からは、マカリスタの歪んだ野望と、他者を見下す冷酷な意志しか感じられません。彼らは、苦しみの中で、ただ死を望んでいました。
「許せませんわ……。植物をこんな風に扱うなんて。……奥様、あっちです! 奥の方から、もっと強い魔力の拍動が聞こえてきます!」
リリカさんの指差す先、巨大な鉄の扉の奥から、地響きのような唸り声が響いてきました。わたくしたちは覚悟を決め、その扉を押し開けました。
そこに広がっていたのは、まさに地獄の光景でした。巨大な培養槽が並び、その中には重厚な黒い鎧を纏った兵士たちが、無数の蔦に繋がれた状態で浮かんでいました。不死の軍団、黒騎士。彼らはもはや人間としての意識はなく、植物の生命力を動力源として動く、生ける屍の兵器と化していたのです。
「ようこそ、ミーシア。……いや、今はバルザムの魔女と呼ぶべきかな?」
冷笑を浮かべてわたくしたちを迎えたのは、影から現れたカシアン伯爵でした。彼は以前の敗北で負った傷を魔法で隠しているようでしたが、その瞳には隠しきれない怯えと、それを塗り潰すための狂信的な色が混じっていました。
「カシアン様。まだこのような、愚かなことを続けておいでなのですか? この兵士たちは皆、かつて貴方に忠誠を誓った部下たちなのでしょう? 彼らをモノのように扱うことが、貴方の仰る貴族の誇りなのですか?」
わたくしの問いかけに、カシアンは顔を歪めて叫びました。
「黙れ! 誇りなどで腹は膨れん! マカリスタ殿下こそがこの帝国の絶対的な支配者だ。殿下がお望みならば、この世のすべてを生贄に捧げるのも厭わん。……さあ、見ろ! 君が愛した月草が、今、最強の死神として目覚める瞬間を!」
カシアンが手元の水晶に魔力を流し込むと、培養槽の中の液体が激しく泡立ち始めました。黒騎士たちの目が紅く光り、鋼の拳がガラスを内側から叩き割ります。
「リリカさん、下がって! わたくしが彼らを鎮めます!」
わたくしは、懐から最高純度の蒼の雫が入った瓶を取り出しました。 「闇に落ち、苦しむ命たちよ。……わたくしの声を聞きなさい。貴方たちが本来あるべき姿は、破壊ではなく、再生の光の中にあるのです!」
わたくしが祈りを込めると、瓶から溢れ出した蒼い光が、地下室全体を浄化するように広がっていきました。黒騎士たちの動きが一瞬止まります。けれど、カシアンが発動させた禁忌の魔導陣は、それさえも飲み込もうと不気味な黒霧を噴き出しました。
地上では、ラッシュ様の剣が騎士団を薙ぎ払い、正義の叫びが響き渡っているはず。 わたくしもまた、この地下の闇を払い、植物たちの悲鳴を止めるために、持てるすべての知識と愛を注ぎ込む決意を固めました。
マカリスタ様。貴方の「ざまぁ」は、ここでわたくしが、最も美しく、最も残酷に、書き換えて差し上げますわ。
わたくし、ミーシアは、リリカさんと共にルナール伯爵が手配してくれた隠し通路を通り、その深淵へと足を踏み入れました。ラッシュ様が地上で派手な陽動を仕掛けてくださっているおかげで、地下の警備は手薄になっているはず。ですが、わたくしを包み込むこの不穏な空気は、兵士の有無などよりも遥かに恐ろしい「何か」を告げていました。
「……奥様、この匂い、ただの排水ではありませんわ。まるで、生き物が腐りながらも無理やり生かされているような……。バルザムの森の、あの清々しい風が恋しくてたまりません」
リリカさんが鼻をハンカチで押さえながら、震える声で言いました。彼女の持つ魔導ランタンの光が、湿った壁を青白く照らします。そこには、異常な成長を遂げた黒い蔦が、血管のように壁を這い回っていました。
わたくしはその蔦に、そっと手を触れてみました。その瞬間、脳裏に直接、数え切れないほどの悲鳴が流れ込んできたのです。
「ああ……。なんてことでしょう。これ、すべて蒼の月草の『なり損ない』ですわ。マカリスタ様は、わたくしたちが大切に育てた月草の種を、禁忌の魔導で歪め、無理やり増殖させたのです。……愛も光も与えられず、ただ殺戮の道具として改造されるために」
わたくしの目から、自然と涙が溢れました。植物は、育てる者の心を映す鏡です。この黒い蔦からは、マカリスタの歪んだ野望と、他者を見下す冷酷な意志しか感じられません。彼らは、苦しみの中で、ただ死を望んでいました。
「許せませんわ……。植物をこんな風に扱うなんて。……奥様、あっちです! 奥の方から、もっと強い魔力の拍動が聞こえてきます!」
リリカさんの指差す先、巨大な鉄の扉の奥から、地響きのような唸り声が響いてきました。わたくしたちは覚悟を決め、その扉を押し開けました。
そこに広がっていたのは、まさに地獄の光景でした。巨大な培養槽が並び、その中には重厚な黒い鎧を纏った兵士たちが、無数の蔦に繋がれた状態で浮かんでいました。不死の軍団、黒騎士。彼らはもはや人間としての意識はなく、植物の生命力を動力源として動く、生ける屍の兵器と化していたのです。
「ようこそ、ミーシア。……いや、今はバルザムの魔女と呼ぶべきかな?」
冷笑を浮かべてわたくしたちを迎えたのは、影から現れたカシアン伯爵でした。彼は以前の敗北で負った傷を魔法で隠しているようでしたが、その瞳には隠しきれない怯えと、それを塗り潰すための狂信的な色が混じっていました。
「カシアン様。まだこのような、愚かなことを続けておいでなのですか? この兵士たちは皆、かつて貴方に忠誠を誓った部下たちなのでしょう? 彼らをモノのように扱うことが、貴方の仰る貴族の誇りなのですか?」
わたくしの問いかけに、カシアンは顔を歪めて叫びました。
「黙れ! 誇りなどで腹は膨れん! マカリスタ殿下こそがこの帝国の絶対的な支配者だ。殿下がお望みならば、この世のすべてを生贄に捧げるのも厭わん。……さあ、見ろ! 君が愛した月草が、今、最強の死神として目覚める瞬間を!」
カシアンが手元の水晶に魔力を流し込むと、培養槽の中の液体が激しく泡立ち始めました。黒騎士たちの目が紅く光り、鋼の拳がガラスを内側から叩き割ります。
「リリカさん、下がって! わたくしが彼らを鎮めます!」
わたくしは、懐から最高純度の蒼の雫が入った瓶を取り出しました。 「闇に落ち、苦しむ命たちよ。……わたくしの声を聞きなさい。貴方たちが本来あるべき姿は、破壊ではなく、再生の光の中にあるのです!」
わたくしが祈りを込めると、瓶から溢れ出した蒼い光が、地下室全体を浄化するように広がっていきました。黒騎士たちの動きが一瞬止まります。けれど、カシアンが発動させた禁忌の魔導陣は、それさえも飲み込もうと不気味な黒霧を噴き出しました。
地上では、ラッシュ様の剣が騎士団を薙ぎ払い、正義の叫びが響き渡っているはず。 わたくしもまた、この地下の闇を払い、植物たちの悲鳴を止めるために、持てるすべての知識と愛を注ぎ込む決意を固めました。
マカリスタ様。貴方の「ざまぁ」は、ここでわたくしが、最も美しく、最も残酷に、書き換えて差し上げますわ。
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