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嫉妬したんですね?
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なぜ佑にあんなことをしたのかと言うと、なんとなくだ。
基本的に佑の穏やかな笑顔しか見たことがないため、ああすれば怒るなり何かしら別の表情が、見られると思ったのだ。
最悪な男に聞こえるし、実際佑の意思を無視した最悪な行為だと思う。
謝るべきだと思うが、何事もなかったかのようにふるまったほうがいいかもしれない。
樹は後者を取ることにした。
佑なら多分水に流してくれるだろう。
(本当、最低だな)
社員証をタッチし、ゲートを抜ける。エレベーターに乗り込むと、中に瀬奈がいた。他にも数人乗っている。
「あ、樹先輩。おはようございます」
「はよー、瀬奈ちゃん。てなに?」
瀬奈がいつもの清楚な仮面のような笑顔と違う、にやにやとした顔で樹を見つめてくる。
「最近小鳩先輩と仲がいいみたいですねー?」
「え?まあ、それなりに」
瀬奈が何を考えているのか分からないので、警戒しながら答える。
そうだとしてそのことで、なにをにやつけるのかまったく分からない。
「オレも瀬奈ちゃんに、聞きたいことあんだよねー」
「はい。どうぞ?」
そこで樹たちの課のあるフロアに到着し、二人はエレベーターから降りた。
「……小鳩さん、部屋に呼んだの」
少し声を落として、樹が尋ねる。
「はい」
笑顔を崩さないまま、瀬奈は肯定した。
樹は自分でも分かるくらいいら立ちを隠せないまま、さらに聞く。
「瀬奈ちゃん小鳩さん狙ってたの?
……どこまで―ーってここまで聞くのは、さすがに野暮だな。悪い」
しばらく黙っていた瀬奈は、たまらず吹き出す。
「ふふ。すいません。小鳩さんはストーカーに絡まれてた私を、心配して送ってくれただけです。
『お茶でもどうぞ』って誘いましたけど、紳士だから断られました。部屋番号も知らないですよ」
「あ、そう。そう、なんだ」
瀬奈の言葉に樹は、ほっとする。
部屋までは、あがってなかったのだ。
瀬奈はいたずらっぽい顔で、樹をのぞき込む。小さな声でささやいた。
「樹先輩。
私に、嫉妬したんですね?」
基本的に佑の穏やかな笑顔しか見たことがないため、ああすれば怒るなり何かしら別の表情が、見られると思ったのだ。
最悪な男に聞こえるし、実際佑の意思を無視した最悪な行為だと思う。
謝るべきだと思うが、何事もなかったかのようにふるまったほうがいいかもしれない。
樹は後者を取ることにした。
佑なら多分水に流してくれるだろう。
(本当、最低だな)
社員証をタッチし、ゲートを抜ける。エレベーターに乗り込むと、中に瀬奈がいた。他にも数人乗っている。
「あ、樹先輩。おはようございます」
「はよー、瀬奈ちゃん。てなに?」
瀬奈がいつもの清楚な仮面のような笑顔と違う、にやにやとした顔で樹を見つめてくる。
「最近小鳩先輩と仲がいいみたいですねー?」
「え?まあ、それなりに」
瀬奈が何を考えているのか分からないので、警戒しながら答える。
そうだとしてそのことで、なにをにやつけるのかまったく分からない。
「オレも瀬奈ちゃんに、聞きたいことあんだよねー」
「はい。どうぞ?」
そこで樹たちの課のあるフロアに到着し、二人はエレベーターから降りた。
「……小鳩さん、部屋に呼んだの」
少し声を落として、樹が尋ねる。
「はい」
笑顔を崩さないまま、瀬奈は肯定した。
樹は自分でも分かるくらいいら立ちを隠せないまま、さらに聞く。
「瀬奈ちゃん小鳩さん狙ってたの?
……どこまで―ーってここまで聞くのは、さすがに野暮だな。悪い」
しばらく黙っていた瀬奈は、たまらず吹き出す。
「ふふ。すいません。小鳩さんはストーカーに絡まれてた私を、心配して送ってくれただけです。
『お茶でもどうぞ』って誘いましたけど、紳士だから断られました。部屋番号も知らないですよ」
「あ、そう。そう、なんだ」
瀬奈の言葉に樹は、ほっとする。
部屋までは、あがってなかったのだ。
瀬奈はいたずらっぽい顔で、樹をのぞき込む。小さな声でささやいた。
「樹先輩。
私に、嫉妬したんですね?」
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