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星のない夜だとしても  2

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「アーテル様」
「ん?」

 オレはおもむろに立ち上がるとアーテルの膝の上に、向かい合わせになるように座った。足はアーテルをまたぐような形だ。

「え、ちょ、アルバートくん!?」

 オレの意図が分からないのだろう、アーテルは落ち着きなく狼狽し始めた。動揺しているアーテルを見るのは気分がいい。
 さらにオレは、アーテルの首元に手を回して、口づけた。

「んっ……」

 驚いている舌を、引きずり出す。
 くちゅ、くちゅ……。
 静かな夜の庭で、響いているのはキスの水音だけだった。
 唇が触れるか触れないかのところで囁いて甘くねだる。

「ね、アーテル様? あなたからもオレにキスして」

 アーテルの手がオレの腰に回る。
 オレから仕掛けたキスにアーテルが火をつけられないはずもなく。すぐに激しく舌を絡ませてくる。
 離してはまた口づけて、幾度も幾度も唇を重ねる。
 はためから見ていたらどれだけ熱烈に愛し合っている恋人同士だと思うだろう。
 若干酸欠になったところでキスを終える。オレは大きく肩で息をした。キスやりすぎた……。
 アーテルはオレを力強く抱きしめると、首筋にぐりぐりと額を押し付ける。

「ああー! アルバートもう、君はなんでそんなに可愛いかなー! 君からキスされるとかレアすぎてお兄さん興奮しちゃった! どうしよう、普段のツンな君も可愛いのに、今日のアルバートは本当に可愛い……」

 気持ちが溢れてつい言葉にしちゃったみたいな。いつもみたいなわざとらしい、冗談っぽい言葉じゃないから、オレの心に響いた。
 それはいいのだが、あのですね。オレの足の間に固いものが。

「……あの。あたってます」

 アーテルは恥ずかしげもなく、

「そりゃあ可愛い恋人がひざにのってきて、普段めったにしてくれないキスしてくれるんだもん。健全な男だったら勃つってば。てか」
「あっ、ん……」

 猛った熱を、ぐいぐいとオレのものに押し付け、耳元でささやいてくる。

「君こそ固くなってるんだけどー? オレとのキス、そんなに気持ちよかった?」
「う……」

 アーテルじゃないが、あんなにエロいキスしつこくされたら勃つって。

「アルバート。今夜の君は本当にどうかしてる。このオレに自分からキスするなんて、普段の君ならありえない。シーズベルトじゃなく、このオレに。
 今を逃したらこんなこと二度と訪れないんじゃないかってくらい、君はどうかしてる」

 うん。それはオレも一言一句同じことを考えているよ。今のオレはどうかしているって。

「だからこんな千載一遇のチャンス絶対逃せない」

 アーテルがシャツの裾から手を差し入れた。
 いきなりすぎて驚いたオレは、思わず声を上げる。

「あひゃっ!」

 アーテルは喉の奥でくッと笑った。

「……色気ない声」

 オレの首に舌をはわせながら、アーテルは胸の尖りを指先で転がした。
  
「あ、んっ……」
「もうここもこりこりになってるねー?」
「っうるさい。ほっとけ! あ……、ふ……っ、てかアーテル様、したいなら部屋行きましょうよ!」

 あれこれやり始めてるが、まさかこの人ここでおっぱじめる気じゃないよな!?
 やること自体嫌ではないが、外はありえないんですが?

「あんた外でするの大好きですね! 前は路地裏だったけど、だからいいってわけじゃないんですが、ここ何のディフェンスもない庭ですよ!? 人が来たら確実にすべて見られるって!」

 夜の闇の中とはいえ、満天の星空の下。意外と明るい。
 いや、仕掛けたのはオレだけども!
 キスは見られても大したダメージないが、本番はアウトだろう。

「大丈夫、大丈夫。うちの使用人口が堅いしー。てか、こんな夜中は休んでるって。うちはクリーンな職場なんだから」
「たまたま目が覚めて『ちょっとお茶でも飲むか』ってなったらどうするんですかぁー! んっ……」
「可愛い声が聞こえなくなるのは残念だけど、いいこだからこれ噛んでてね?」
「はぁ!? だからあんた話聞いてんのかよ、むぐっ」

 アーテルはオレのシャツの裾を持ち上げると、そのまま口に突っ込んできた。反射的に噛んでしまう。
 胸の飾りを舌で転がしたり甘噛みしつつ、トラウザーズが緩められた。

「んっ」

 そのまま下ろされて、オレの色々な大事な部分が外気にさらされて冷やりとする。
 おいおい、本当にそこまでするか!?
 焦ったオレが抵抗する間もなく、窄まりにアーテルは自身を押し当てた。

「あっ、ん……痛っ」

 そのまま無理やり突っ込まれて、痛いわ腹立つわで拒みたいのに、さんざん慣らされてきたオレのそこは、猛ったアーテルをあっさりと受け入れた。むしろ欲しがっているかのように収縮を繰り返して、やすやすと飲み込んでいく。

「痛い? ごめーん。お兄さん我慢できなかった」

 謝っても許さん!
 マジでクソ野郎だな!
 前戯しないやつは挨拶しないのと同じだから!
 入ったとしても痛いもんは痛い。

「とにかく一回抜……、んっ」

 一度腰を引いたアーテルは、再び勢いよく奥まで突っ込んだ。

「だ、から、痛っ。やめ、……あっ」

 やめるどころかオレの奥をガンガンつき続けるアーテル。最初は引っかかりがあったのに、アーテルの先走りが潤滑液がわりになっているのか、だんだんと滑りが良くなっていく。
 普通にがつがつやられても気持ちいいわけないし、今回は前準備されてないから痛くて仕方ない。
 なのに。
 アーテルが耳元でささやく。

「無理やりされるの好きだもんね? てか、痛いの気持ちいいでしょ?」
「やぁっ……! 好きじゃないし、気持ちいいわけ……」

 そうは言ったものの、確かにオレのモノは全く萎えていなくて。

「……ごめん、一回イカせて」

 息を荒げたアーテルが、熱い飛沫を放った。

「あ……んっ」

 ほぼ同時にオレも達してしまう。

「ん……。うわっ」

 吐精後の疲労感に浸る間もなく、オレの出したものがアーテルの頬に飛んでいることに気づく。
 
「すみません、すぐ拭くので!」 
 
 色々な意味で恥ずかしすぎる!
 慌ててオレはテーブルに置いてあるナフキンを手に取った。アーテルの頬に手を伸ばすが、

「いいよ」

 アーテルは自分の指ですっとぬぐった。そのままその指をぺろりと舐める。

「あはは。……苦い」

 うわー何するんだこの人!
 じ、自分が出したものな、舐められるとか嫌すぎるんだけどー!!

「何してるんですか、あんた! ほら、ぺっしてください、ぺっ!」

 ティーポットから注いだお茶を、慌ててぐいっとアーテルの口元に押し当てる。

「んぐっ」 

 お茶を飲み干すと、アーテルはごほごほせき込んだ。器官かどこかに入ったのだろう。本当はうがいしてほしかったんだが。

「もうっ。あんなもん舐めないでくださいよ!」

 オレが怒り狂っているというのに、アーテルはへらへらしている。

「だって舐めたくなったからー。それより」
「んっ」

 オレの中に入ったままだったアーテルが大きくなった。
 回復するまでが短すぎでは?
 アーテルはすうっとオレのわき腹を指でなぞる。

「続きしていい?」



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