異世界に吹っ飛ばされたんで帰ろうとしたら戦車で宇宙を放浪するハメになったんですが

おっぱいもみもみ怪人

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異世界編 1章

第39話 狂人その4

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 サーサラを捕獲する為に、為次と肉…… ではなく、ニクミは屋台の並ぶ通りをブラブラと歩いていた。
 そこら辺にはバーサーカーとなったサーサラにヤられたのであろう、部位欠損したケガ人が何人か倒れている。
 だが、死人はほとんど居ないようで、皆は聖魔道士による手当を受けていた。

 「うぉー、結構スゲーことになってるねー」

 「そうねぇ、バーサーカーになった人が現れるのは随分と久しいから、対応が遅れたのねきっと。それに、サーサラがバーサーカーになるなんて…… 予想外ね」

 「ふーん」

 「あらぁ? あまり興味無さそうねぇ」

 「バーサーカーはどうでもいい、それよりサーサラと3バカに仕返しをせねば」

 「3バカ? 誰かしら?」

 「んっと、あっ…… ほらアイツら」

 前から3バカ…… 正秀、スイ、マヨーラが走って来る。
 なんと、都合よく見知った3人が来たのだ。

 「おーい、マサー…… ぁ」

 為次が声をかけるも気が付いていない様子だ。
 そして、彼らはそのまま走って、反対方向へと行ってしまった……

 「あら…… 行っちゃったわぁ、何か急いでる様子ねぇ」

 「クソっ、俺様を無視するとは」

 「あの人達に何かされたの? タメツグちゃん」

 「シバかれて、這いつくばって、床を舐めさせられたんだよっ」

 「まぁ、タメツグちゃんったら、そういうのが趣味なのね。うふふふ」

 「なぜ、そうなる…… まあいい、行くぞニク」

 「ニクミよ…… それより何処へ行くの? タメツグちゃん。サーサラが居るのは、さっき通り過ぎた角を左みたいよ」

 「俺が行ったって、なんもできんよ。屋台街を抜けたとこに戦車あるから取りに行く。もうすぐかも」

 「センシャ?」

 「陸上艇ってやつだよ」

 「タメツグちゃん、陸上艇を持ってるの? 凄いわね」

 「まあ、拾ったやつだけど……」

 「拾った…… 落ちてる物かしら?」

 「細かいことはいいんだよっ」

 「…………」

 ※  ※  ※  ※  ※

 それから、為次とニクミは少し歩くと屋台街を抜け、レオパルト2の駐車してある木の陰までやって来た。

 「着いた」

 ニクミは鉄の塊である戦車を見ると言う。

 「これが陸上艇なの?」

 「面倒くさいので、そう言うことにしとくわ」

 「適当ねぇ……」

 「それより、はよ入って」

 「入るって、何処からかしらぁ?」

 「んあ…… そうね、とりあえず上に登ってよ」

 「この上に登ればいいのね」

 そう言うと、ニクミは砲塔の上によじ登った。

 だが、それは、為次の大失態であった。
 ニクミはガチムチ兄貴でありながら、町娘の服を着ているのだ!
 戦車に登るニクミを見ていた為次は男のさがであろう、見ては成らぬと頭では分かっていても、目線は自然とそっちへ行ってしまう……
 そして、見えてしまった…… ニクミのスカートの中が見えてしまったのだ!

 「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

 為次は驚愕し絶叫した。
 中身も女性モノであったのだ! ハミ出る異物、正にモンスターだ!
 この世の物とは思えない、異形の光景……

 「あら? どうしたのタメツグちゃん」
 
 「うぉぇぇぇ……」

 思わず、胃の中に残っていた紫汁を吐き出してしまった。

 「大丈夫ぅ? 気分悪いの?」

 「悪すぎるわ! 俺を殺す気かっ!?」

 「んんー?」

 「もういい、バケモノがっ」

 そう言うと、為次も砲塔へと登り装填手ハッチを開ける。

 「んじゃ、ここに入って」

 「この穴に、れればいいのね。穴に」

 「穴を2回も言わなくていい。後、れるんじゃいない! 入れ!」

 「んもぅ、分かったわよぉ」

 ニクミは言われた通り穴に入る。
 為次も車長ハッチから車内に入るとニクミの方を向く。

 「お前デカイな、邪魔なんだが」

 「まぁ酷いわ、タメツグちゃんがれろって言ったのよ」

 「れろとは言ってないが…… まあ、いい、ちょっとよけて」

 そう言うと、為次も装填手席の方へと移動する。

 もの凄く窮屈だ…… ガチムチだけでも狭いのに野郎2人は凄く狭い。

 「まぁ、タメツグちゃんったら…… ポッ」

 「ポ。じゃねーよっ! 変なところ触るなよ!」

 「お楽しみは、後からなのね……」

 「クソがっ」

 とりあえず捨て台詞を吐くと、為次は砲弾を探し始める。

 「タメツグちゃん、何を探しているの?」

 「なんでもいい!」
 
 為次は狭い車内で、ガチムチオネェにイライラしながら弾薬庫を漁り始めた。

 ……………
 ………
 …

 「あった、これこれ」

 ようやくお目当ての砲弾を探し当てた。
 密着するムキムキ野郎から染み出る汗に耐えながら探したのだ。

 砲弾を見たニクミは先っぽを擦りながら言う。

 「まあ、立派なモノねぇ。うふふ」

 「コイツは……… ぬぐぐぐ…… 落ち着け俺よ……」

 微妙に落ち着いたことにした為次は砲弾をニクミに渡して、さっさと車長席に戻った。
 そしてニクミに向かって言う。

 「それに、バインドとヒールを付与して」

 「それはいいけど、これは何かしらぁ?」

 「なんでもいいだろ」

 「分からないと、かけたくないわぁ…… イヤだわぁん」

 「ぐぬぬぬ…… 落ち着け俺よ……」

 「うふふぅ」

 「分かった、分かった、そりゃ榴弾だよ」

 「リューダン?」

 「それが飛んで行って爆発するの」

 為次が探したのは、『DM11HE』プログラマブル信管の付いた榴弾だ。
 発射時に設定した任意の距離で爆発させることが可能である。
 物自体は榴弾のなで、炸薬の他にタングステン球が入っており、周囲数十メートルに人的被害を与えることができる。

 「まぁ、これが爆発するのね…… それならエクスプロージョンも付与しようかしら?」

 「やめろ! お前は街を殲滅する気か!」

 「タメツグちゃん、怒ってばかりねぇ」

 「誰のせいだと……」

 「うふふ」

 「くそっ! まあいい、付与したらそっちの穴に入れてくれ」

 為次は自分のセリフに、しまったと思ったが既に遅かった。

 「うふ、うふふふ…… この穴ね、穴なのね」

 ニクミは装填口を嬉しそうに見ながら言った。
 為次は必死に聞こえない振りをする。

 「…………」

 「でもね、タメツグちゃん……」

 「…………」

 「あたしは入れるより、入れられる方が得意なのよ!」

 「誰もそんなこと聞いとらんわっ!」

 無視しようとしたが、耐えれずにツッ込んでしまう為次。

 そんなこんなで、ニクミにハッチの開閉のやり方だけ教え、魔法を付与した榴弾の装填が完了した。
 ようやく為次は戦車を動かし始めるのだ。
 
 「タメツグちゃん! タメツグちゃん!」

 「なんだよ……」

 「何処へ向かうのかしら?」

 「上級国民区画だ。あそこは高台になってるからな、そこから狙う」

 「この陸上艇で街に入るの?」

 「当たり前でしょ」

 「大丈夫なのかしら……」

 「その為に、ニクを連れて来たんだからな。王族設定なら後始末くらいできるでしょ!」

 「人使い荒いわね…… タメツグちゃん……」
 
 そして、レオパルト2は街中を進む。
 屋台をなぎ倒し、石畳を粉砕して……

 後、ニクミに車体を軽くさせようとも考えた為次であったが、飛んで行くほど軽くさせられそうなので、やめといた。

 ※  ※  ※  ※  ※

 ―― その頃

 正秀達の3人は為次を探していた。
 瓦礫となった冒険者ギルドで……

 「ご主人様が無くなったのです…… うぇぇぇ」

 置いといたあるじが居なくなっていたので、スイは泣きそうになっていた。

 「為次の奴、何処に行ったんだ?」

 「動ける状態じゃなかったわよね…… 誰か持って行ったのかしら?」

 「うぇぇぇん…… 私のご主人様が盗まれたのですぅ」

 「下半身丸出しの変態なんて、盗む人居ないわよ…… あ、でもニクミ様なら持って行きそうね」

 「誰だそれ?」

 「知らなくていいわ、むしろ知らない方がいいのよ」

 「そうか……」

 そんな時であった、向こうから何やら騒々しい音が聞こえて来る……

 「ん? なんの音だ? 聞き覚えがあるぜ……」

 「はわ! つばい様なのです!」

 その音はレオパルト2のエンジン音と履帯が石畳を粉砕する音であった。
 音のする方を見ると、レオパルト2が街を破壊しながら走って来る。
 日本ならゾーン30であろう道を、結構な速度で走っているのだ。
 道幅が狭いので左右に並んでいる屋台を引っ掛けているが、お構いなしの様子だ。

 「まさか…… 為次か?」

 「な、な、何やってんのよ、あのバカはっ」

 「ご主人様なのです。こっち来ますよ」

 だが、戦車は手前の路地を曲がってしまった。

 「あっちに行っちゃったわ」

 「あっちに行ったのです」

 「あっちだな」

 「「「…………」」」

 「お、追いかけるぞ!」

 「また、走るのね……」

 「早くご主人様を捕まえますです」

 そして、皆は再び走り出すのであった……
 
 ※  ※  ※  ※  ※

 爽快に走るレオパルト2は、車体に屋台の残骸を載せたまま冒険者区画へと通じる階段の手前まで来ていた。
 そこには、いつもの門兵が2人居る、だが門は無い。
 兵士は驚いた表情で戦車を見ていた……

 「おい、ニク、顔出して通すように言ってくれ」

 「この階段を登るの?」

 「その為に来たんだからな」

 「……あたし、ちょっと不安になってきたわぁ」

 「はよ、はよ」
 
 ニクミはしぶしぶハッチから顔を出して言う。

 「はぁい、あなた達」

 ニクミを見た兵士達は更に驚いた顔をしている。

 「これは、これは、ニクミ様」

 「いかがされました?」

 「ちょっと通してもらうわ」

 「それは構いませんが…… その陸上艇で上がられるのでしょうか?」

 「そうよ」

 「しかし……」

 「ニクミ様……」

 2人の兵士は困惑気味だが、それは当然のことである。
 戦車で石段を登ろうなどと、逝かれた思考としか思えない。

 「あらぁ? ダメとおっしゃるのかしらぁ?」

 ニクミの笑顔に、門兵は恐怖する。

 「いやいや、そんなことは御座いません」

 「ど、どうぞお通り下さい」

 「うふっ、ありがと」

 「「…………」」

 門は無いが、2人の門兵が道を空けると為次は階段を戦車で登るり始める。

 「意外とニクは役に立つな」

 「うふ、タメツグちゃんのお礼が楽しみだわぁ」

 「お礼などせんわ」

 「あらー、照れたタメツグちゃんも可愛いわねぇ」

 「……くそっ、脳みそまで筋肉かよ」

 「あらぁ? 何か言いまして?」

 「なんでもないわ、行くぞ」

 そして、レオパルト2は石段も粉砕し上級国民区画へと駆け上がる。
 砲塔を後ろに旋回させ忘れ、55口径の長い砲身を階段にぶつけそうになったのを除けば難なく登れた。

 そこから冒険者区画の街を見下しながら為次は言う。

 「さーて、いっちょやりますか」

 なんだか楽しそうな為次であった……
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