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異世界編 1章
第43話 焼肉
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30年前にこの異世界へとやって来た人物、サダムネ。
彼は一体何者だろう? と思う正秀と為次ではあった。
しかし、目の前で美味しそうな食べ物がモリモリ出て来る機械を見ていると、やっぱりそっちの方が気になる。
だって今日は朝ごはんをまだ食べていないもの。
「あれだは」
唐突に為次は言った。
「どれだよ」
「よくわからん冒険者より、この機械にレシピって俺達でも登録できんの?」
「お前料理できるのか?」
「焼そばくらいなら」
「焼きそば? そんなの料理の内に入る…… 入るっちゃ、入る…… かな? 微妙なとこつくんじゃねーよ!」
「えー…… なんでマサまでキレてるの……」
「なんでもいいだろ!」
「……どうなんすか? 管理人さん」
「なんじゃわりゃあ! おどれが飯作るんかい!? ああ!?」
「あう、ダメなの?」
「誰がダメゆーたんじゃこらぁ! はよ、この食陣で登録せんかぁ!」
そう言いながら、少年おっさんはまたもや操作パネルをバンバン叩くのだ。
「えっと…… 食陣って今叩いてる食物管理魔法陣のことでいいのかな?」
「あったりめーじゃろが! 何ボケたことゆーとんじゃぁ! おどれはケンカ売っとんか? あ?」
「い、いえ…… すんません」
「ほいじゃ、ボケっとしとらんと、さっさと入力しーや! ヴォケ!」
「あ、はい」
為次は操作パネルを見ると、画面らしきものに円で囲まれた図形が描かれており、その中に開始と書かれた模様が映っている。
それ以外にも小さなボタンらしき模様が幾つか表示されているが、開始と書かれたサークル一番大きいので、とりあえず、そのサークルに触れてみる。
すると、為次の前に複数の文字とボタンの並んだ映像が空中に映し出される。
「うぉ、すげぇ……」
ビックリした為次が少し後退すると、それに合わせてその映像も移動するのだ。
どうやら、使用する人に合わせて動く空中投影の操作メニューのコンソールらしい。
それを見た正秀も驚く。
「どうなってんだ……」
「びっくりだお」
「どうじゃ! すげーじゃろ! びっくりしろやコラッ!」
少年おっさんは、なんだか自慢げだ。
だが、少し慣れてきた為次は少年おっさんをスルーして操作メニューらしき映像を読んでみる。
「えーっと、原材料登録、食材料登録、食品登録…… 何が違うんだ……」
どうしていいのか分からない為次は、少年おっさんに聞きたかったが鬱陶しいのでやっぱりやめた。
仕方ないので、原材料登録に触れてみる。
すると、タンパク質・アミノ酸・糖質類・脂質類・食物繊維…… 等々、栄養成分が表示される。
「なんじゃこりゃ?」
「たーーーけがぁぁぁ!!」
またしても叫ぶ少年おっさん。
「うぉっ」
為次は、ちょっとびっくり。
「分からんなら、素直に聞かんかいボゲェ! どたまかち割ったろか! あ!?」
「あ、はい…… ごめんなさい…… えと、じゃあ教えてもらえますか……」
「しゃーねーのー! その腐った脳みそかっぽじってよー聞けよっ!」
「あ、はぃ……」
「うひょひょひょ」
「…………」
少年おっさんは突然ご機嫌になると意気揚々と説明してくれるのだ。
説明によると、栄養成分の配合率などを組み合わせると『原材料』が作れるらしい。
好きな栄養成分を選んで、肉や卵が作れると言う寸法だ。
しかし、卵なら卵そのものが作れるかといえば、そうではない。
成分の違う部分は別々で合成してやる必要があるのだ。
例えば、卵なら黄身、白身、殻を個別で作らなくてはならない。
それが終わると更に分量、形状、配置、等々を設定して組み合わせてやると、ようやく卵が完成する。
他にも米が作りたければ、水・でんぷん・タンパク質・脂肪・リン酸・カリウム・マグネシウムなどを適切な量で合成して、形状や大きさを決めれば完成だ。
つまり、凄く面倒臭いのだ。
次に『食材料』だが、これはもう少し簡単になる。
先程作った原材料の加工方法を入力すればよい。
米>砕く>粉末で登録すれば米粉ができる。
つまり原材料を加工したものが食材料となる。
肉などは形状と大きさだけが登録してあり、原材料の肉よりも大きいサイズが登録してあるだけで食材料扱いになっているなどと意外と適当だ。
しかも殆どの食材が四角い形状で登録してあるので、お店で売っている肉なども四角い……
それと肉の原材料は脂身や赤身など部位ごとに別々に登録してあるせいで、霜降り肉や骨付き肉とかは無く、他の食材も似たような感じでバラバラで登録してあった。
極めつけは野菜すら四角い形で登録してあるので、もはや見ただけでは何か分からない始末だ。
これでは、正秀と為次が何か分からない食べ物と思いながらこの異世界で食事を摂るのも当然のことであった。
最後に『食品』だが、これは原材料と食材料を使って調理加工の工程を入力してやれば、いわゆる普通の料理が作れる。
ソースなどの単体の品を作ることもできれば、様々な食材を組み合わせて完成した料理も登録できると言った具合だ。
飲料も登録できるので、その中には日本酒もあった。
しかも、ご丁寧なことにパッケージやラベルも作れて、きちんと詰め込んでくれる。
まさに、至れり尽くせりなのです。
「つーことじゃ! わーったか!?」
「あ、はい」
「ほな、ぼさっとしとらんと、はよ作らんかいっ!」
「はいはい」
為次は適当に返事をしとくと、さっそく自作料理を作り始める。
流石に原材料は作れそうにもないので、食材を作ってから調理することにした。
「何作るんだ?」
正秀は訊いた。
「肉」
「流石、ご主人様ですぅ」
「うむ」
「肉って…… もうあるじゃない」
「俺の作る肉はパーフェクトなんだよ! びっくりしろ! マヨ」
「はいはい、精々がんばってちょうだい」
「まかせんしゃい」
変な返事をしながら、さっそく為次は作業に取り掛かるのだ。
まず、肉の赤身を選んで形を成形する。
四角じゃつまんないので、歪んだ楕円形のステーキっぽい形にするのだが、これがまた面倒だ。
映像に表示されているワイヤーフレームを、摘んだり引っ張ったりして形にしていくのだが慣れないと結構難しい。
それができたら、次は完成した赤身に編みの目状に脂身を注ぎ足していく。
こうして食材が完成したら、今度は熟成濃度や加熱温度や時間など、その他諸々を設定して食品化をしなければならない。
そうやって、為次はせっせと霜降りステーキを作りに励むのであった。
※ ※ ※ ※ ※
―― 3時間後
「できた」
もう、為次の周りには誰も居ない。
皆は暇を持て余してそこら辺で遊んでいた。
マヨーラは「キューリを克服するわ」などとほざき、スイを連れて2人で他人のキューリを勝手に突っついていた。
だが、逆に突っつかれたようで、マヨーラは頭から血を流しているのであった。
正秀はと言えば、何故か大剣を持って少年おっさんと戦っていた。
戦うと言うよりは模擬戦なのだが、どうやら大剣の使い方を指南してもらっているらしい。
しかし、プラント内で暴れ回っているせいで、荷入れや荷受けをしている人達はもの凄く迷惑そうにしているのだ。
そんな迷惑そうな周りの人達も、少年おっさんの鬱陶しさは知っているのであろう…… 誰も何も言わなかった。
せっかくパーフェクトステーキが完成したのに、誰も気が付いてくれない……
為次はちょっといじけていた。
尚、パーフェクトステーキと言う名の料理として登録したのだ。
「ぬううう、誰も相手にしてくれない…… まあ、いいか」
仕方ないので為次はテスト出力と書いてあるボタンがあったから、実際に作ってみることにした。
「せっかくだから大きくしよう、そうしよう」
横幅の大きい所で5メートルくらいにした…… 付け合わせの野菜も大きくした。
本当はもっと巨大ステーキにしたかったが、サイズオーバーらしく、それ以上の大きさを入力するとエラーが出てしまう。
また、そのまま大きくすると、脂身とかも巨大化するのでブロック単位での拡大にする。
昔のテレビゲームで8×8ドットを1ブロックとして、それを並べて画面いっぱいの背景にする感じなのです。
「こんなもんでいいなか、皿は登録済みのでいっかな。それでは、ぽちっとな」
押したと言うか、光のボタンに触れるとカウントダウンが始まる。
映像には扉のナンバーが表示され3番だ。
どうやら、その番号のシャッターみたいな扉から出て来るらしい。
為次は3番扉の近くに行ってみようと思ったが、ちょっと怖いので少し離れて見守ることにした。
【 3…… 2…… 1…… 完成 】
カウントダウンが終わると3番扉が開く……
そして、扉の奥からデリシャスな香りと共に巨大なステーキが出て来た。
テーレッテレー♪
「す、すげぇ……」
湯気の立つ横幅5メートルのステーキは正に圧巻だ!
食物プラント内が静寂とステーキの香りに包まれる……
皆がそのステーキに目はクギ付けであった。
そんな静寂を打ち破ったのは少年おっさんだ。
「ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
謎の奇声を発すると、ステーキまっしぐらダ!
周りの人々もステーキに続々と集まって来る。
「なんじゃこりゃぁぁぁ!」
興奮する少年おっさんに向かって、為次は得意げに言う。
「熟成知多牛霜降りステーキ。名付けて、パーフェクトステーキだ!」
正秀も大歓喜である。
為次に向かって親指を立てながらグッジョブする。
「知多牛か…… いいな、グッドだぜ!」
「うむ」
血の滴るステーキ……
「ちょっと大き過ぎない?」
マヨーラの頭から流れる血がステーキに垂れているだけだ。
ちょっと汚いが、5メートルもあるステーキなので、些細なことに過ぎない。
「いい匂いですぅ、ゴクリなのです」
「たまらんのぅ、たまらんのぅ、早く食べさせんかい!」
スイと少年おっさんは、もう我慢できない様子だ。
「ああ、分かってますよ…… さぁ。レッツ! イーティング!」
為次の掛け声と共に、皆が一斉に巨大ステーキに取り付いた。
プラント内で作業している人々も、ステーキににむさぼり付く。
そして、ステーキの内部があらわになってくると驚愕の事実が分かった……
なんと、パーフェクトステーキは完璧なミディアムレアで焼かれていたのだ!
彼は一体何者だろう? と思う正秀と為次ではあった。
しかし、目の前で美味しそうな食べ物がモリモリ出て来る機械を見ていると、やっぱりそっちの方が気になる。
だって今日は朝ごはんをまだ食べていないもの。
「あれだは」
唐突に為次は言った。
「どれだよ」
「よくわからん冒険者より、この機械にレシピって俺達でも登録できんの?」
「お前料理できるのか?」
「焼そばくらいなら」
「焼きそば? そんなの料理の内に入る…… 入るっちゃ、入る…… かな? 微妙なとこつくんじゃねーよ!」
「えー…… なんでマサまでキレてるの……」
「なんでもいいだろ!」
「……どうなんすか? 管理人さん」
「なんじゃわりゃあ! おどれが飯作るんかい!? ああ!?」
「あう、ダメなの?」
「誰がダメゆーたんじゃこらぁ! はよ、この食陣で登録せんかぁ!」
そう言いながら、少年おっさんはまたもや操作パネルをバンバン叩くのだ。
「えっと…… 食陣って今叩いてる食物管理魔法陣のことでいいのかな?」
「あったりめーじゃろが! 何ボケたことゆーとんじゃぁ! おどれはケンカ売っとんか? あ?」
「い、いえ…… すんません」
「ほいじゃ、ボケっとしとらんと、さっさと入力しーや! ヴォケ!」
「あ、はい」
為次は操作パネルを見ると、画面らしきものに円で囲まれた図形が描かれており、その中に開始と書かれた模様が映っている。
それ以外にも小さなボタンらしき模様が幾つか表示されているが、開始と書かれたサークル一番大きいので、とりあえず、そのサークルに触れてみる。
すると、為次の前に複数の文字とボタンの並んだ映像が空中に映し出される。
「うぉ、すげぇ……」
ビックリした為次が少し後退すると、それに合わせてその映像も移動するのだ。
どうやら、使用する人に合わせて動く空中投影の操作メニューのコンソールらしい。
それを見た正秀も驚く。
「どうなってんだ……」
「びっくりだお」
「どうじゃ! すげーじゃろ! びっくりしろやコラッ!」
少年おっさんは、なんだか自慢げだ。
だが、少し慣れてきた為次は少年おっさんをスルーして操作メニューらしき映像を読んでみる。
「えーっと、原材料登録、食材料登録、食品登録…… 何が違うんだ……」
どうしていいのか分からない為次は、少年おっさんに聞きたかったが鬱陶しいのでやっぱりやめた。
仕方ないので、原材料登録に触れてみる。
すると、タンパク質・アミノ酸・糖質類・脂質類・食物繊維…… 等々、栄養成分が表示される。
「なんじゃこりゃ?」
「たーーーけがぁぁぁ!!」
またしても叫ぶ少年おっさん。
「うぉっ」
為次は、ちょっとびっくり。
「分からんなら、素直に聞かんかいボゲェ! どたまかち割ったろか! あ!?」
「あ、はい…… ごめんなさい…… えと、じゃあ教えてもらえますか……」
「しゃーねーのー! その腐った脳みそかっぽじってよー聞けよっ!」
「あ、はぃ……」
「うひょひょひょ」
「…………」
少年おっさんは突然ご機嫌になると意気揚々と説明してくれるのだ。
説明によると、栄養成分の配合率などを組み合わせると『原材料』が作れるらしい。
好きな栄養成分を選んで、肉や卵が作れると言う寸法だ。
しかし、卵なら卵そのものが作れるかといえば、そうではない。
成分の違う部分は別々で合成してやる必要があるのだ。
例えば、卵なら黄身、白身、殻を個別で作らなくてはならない。
それが終わると更に分量、形状、配置、等々を設定して組み合わせてやると、ようやく卵が完成する。
他にも米が作りたければ、水・でんぷん・タンパク質・脂肪・リン酸・カリウム・マグネシウムなどを適切な量で合成して、形状や大きさを決めれば完成だ。
つまり、凄く面倒臭いのだ。
次に『食材料』だが、これはもう少し簡単になる。
先程作った原材料の加工方法を入力すればよい。
米>砕く>粉末で登録すれば米粉ができる。
つまり原材料を加工したものが食材料となる。
肉などは形状と大きさだけが登録してあり、原材料の肉よりも大きいサイズが登録してあるだけで食材料扱いになっているなどと意外と適当だ。
しかも殆どの食材が四角い形状で登録してあるので、お店で売っている肉なども四角い……
それと肉の原材料は脂身や赤身など部位ごとに別々に登録してあるせいで、霜降り肉や骨付き肉とかは無く、他の食材も似たような感じでバラバラで登録してあった。
極めつけは野菜すら四角い形で登録してあるので、もはや見ただけでは何か分からない始末だ。
これでは、正秀と為次が何か分からない食べ物と思いながらこの異世界で食事を摂るのも当然のことであった。
最後に『食品』だが、これは原材料と食材料を使って調理加工の工程を入力してやれば、いわゆる普通の料理が作れる。
ソースなどの単体の品を作ることもできれば、様々な食材を組み合わせて完成した料理も登録できると言った具合だ。
飲料も登録できるので、その中には日本酒もあった。
しかも、ご丁寧なことにパッケージやラベルも作れて、きちんと詰め込んでくれる。
まさに、至れり尽くせりなのです。
「つーことじゃ! わーったか!?」
「あ、はい」
「ほな、ぼさっとしとらんと、はよ作らんかいっ!」
「はいはい」
為次は適当に返事をしとくと、さっそく自作料理を作り始める。
流石に原材料は作れそうにもないので、食材を作ってから調理することにした。
「何作るんだ?」
正秀は訊いた。
「肉」
「流石、ご主人様ですぅ」
「うむ」
「肉って…… もうあるじゃない」
「俺の作る肉はパーフェクトなんだよ! びっくりしろ! マヨ」
「はいはい、精々がんばってちょうだい」
「まかせんしゃい」
変な返事をしながら、さっそく為次は作業に取り掛かるのだ。
まず、肉の赤身を選んで形を成形する。
四角じゃつまんないので、歪んだ楕円形のステーキっぽい形にするのだが、これがまた面倒だ。
映像に表示されているワイヤーフレームを、摘んだり引っ張ったりして形にしていくのだが慣れないと結構難しい。
それができたら、次は完成した赤身に編みの目状に脂身を注ぎ足していく。
こうして食材が完成したら、今度は熟成濃度や加熱温度や時間など、その他諸々を設定して食品化をしなければならない。
そうやって、為次はせっせと霜降りステーキを作りに励むのであった。
※ ※ ※ ※ ※
―― 3時間後
「できた」
もう、為次の周りには誰も居ない。
皆は暇を持て余してそこら辺で遊んでいた。
マヨーラは「キューリを克服するわ」などとほざき、スイを連れて2人で他人のキューリを勝手に突っついていた。
だが、逆に突っつかれたようで、マヨーラは頭から血を流しているのであった。
正秀はと言えば、何故か大剣を持って少年おっさんと戦っていた。
戦うと言うよりは模擬戦なのだが、どうやら大剣の使い方を指南してもらっているらしい。
しかし、プラント内で暴れ回っているせいで、荷入れや荷受けをしている人達はもの凄く迷惑そうにしているのだ。
そんな迷惑そうな周りの人達も、少年おっさんの鬱陶しさは知っているのであろう…… 誰も何も言わなかった。
せっかくパーフェクトステーキが完成したのに、誰も気が付いてくれない……
為次はちょっといじけていた。
尚、パーフェクトステーキと言う名の料理として登録したのだ。
「ぬううう、誰も相手にしてくれない…… まあ、いいか」
仕方ないので為次はテスト出力と書いてあるボタンがあったから、実際に作ってみることにした。
「せっかくだから大きくしよう、そうしよう」
横幅の大きい所で5メートルくらいにした…… 付け合わせの野菜も大きくした。
本当はもっと巨大ステーキにしたかったが、サイズオーバーらしく、それ以上の大きさを入力するとエラーが出てしまう。
また、そのまま大きくすると、脂身とかも巨大化するのでブロック単位での拡大にする。
昔のテレビゲームで8×8ドットを1ブロックとして、それを並べて画面いっぱいの背景にする感じなのです。
「こんなもんでいいなか、皿は登録済みのでいっかな。それでは、ぽちっとな」
押したと言うか、光のボタンに触れるとカウントダウンが始まる。
映像には扉のナンバーが表示され3番だ。
どうやら、その番号のシャッターみたいな扉から出て来るらしい。
為次は3番扉の近くに行ってみようと思ったが、ちょっと怖いので少し離れて見守ることにした。
【 3…… 2…… 1…… 完成 】
カウントダウンが終わると3番扉が開く……
そして、扉の奥からデリシャスな香りと共に巨大なステーキが出て来た。
テーレッテレー♪
「す、すげぇ……」
湯気の立つ横幅5メートルのステーキは正に圧巻だ!
食物プラント内が静寂とステーキの香りに包まれる……
皆がそのステーキに目はクギ付けであった。
そんな静寂を打ち破ったのは少年おっさんだ。
「ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
謎の奇声を発すると、ステーキまっしぐらダ!
周りの人々もステーキに続々と集まって来る。
「なんじゃこりゃぁぁぁ!」
興奮する少年おっさんに向かって、為次は得意げに言う。
「熟成知多牛霜降りステーキ。名付けて、パーフェクトステーキだ!」
正秀も大歓喜である。
為次に向かって親指を立てながらグッジョブする。
「知多牛か…… いいな、グッドだぜ!」
「うむ」
血の滴るステーキ……
「ちょっと大き過ぎない?」
マヨーラの頭から流れる血がステーキに垂れているだけだ。
ちょっと汚いが、5メートルもあるステーキなので、些細なことに過ぎない。
「いい匂いですぅ、ゴクリなのです」
「たまらんのぅ、たまらんのぅ、早く食べさせんかい!」
スイと少年おっさんは、もう我慢できない様子だ。
「ああ、分かってますよ…… さぁ。レッツ! イーティング!」
為次の掛け声と共に、皆が一斉に巨大ステーキに取り付いた。
プラント内で作業している人々も、ステーキににむさぼり付く。
そして、ステーキの内部があらわになってくると驚愕の事実が分かった……
なんと、パーフェクトステーキは完璧なミディアムレアで焼かれていたのだ!
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