異世界に吹っ飛ばされたんで帰ろうとしたら戦車で宇宙を放浪するハメになったんですが

おっぱいもみもみ怪人

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異世界編 2章

第74話 貞宗その2

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 何故かクリスが話し出す……

 「では、私とこの人の出会いを、お話しましょうかね。うふふ」

 「お、おい、おまえが話すのか?」

 「あら? あなたが話てさしあげるのかしら?」

 「是非、詳しく聞かせてちょうだい」

 「いや…… 俺はちょっと…… それに別段、面白い話じゃないぞ……」

 「いいから早く、早く」

 色濃い沙汰の匂いを嗅ぎつけ、急かすマヨーラ。

 「それじゃあ、話すわね。あれはまだ、私もこの人もサイクスに住んでいた頃なのよ。最初に出会ったのは、まだこの人が加護を受けていない時だったの。隣の大きな小屋に置いてある、ヒトマルって名前の陸上艇でモンスターと戦って、冒険者をしていたのよね」

 「ああ、その通りだ」

 「私は、と、あるパーティーと一緒に近隣を荒らしていた、魔獣の討伐に向かっていたの。あ、そうそう、私は聖魔道士なのよ。あの頃は私も、まだまだ駆け出しの新米冒険者だったわ。同じ、新米冒険者の仲間達と名を上げようと、無謀にも魔獣に挑んだのよね…… 相手はトロールだったわ」

 「トロールって、毛むくじゃらで巨大なおっさんの?」

 為次は訊いた。

 「そうよ、魔獣でも知能の低いモンスターなら、なんとかなると思ったのね。もちろん、それは浅はかな考えだったわ。パーティーには戦士が1人しか居なかったの。その戦士が倒されてからは悲惨だったわ。いくら、知能が低いと言っても、相手は魔獣。魔法なんて、これっぽっちも効かないのよ。ベテランの冒険者なら、同じ魔法でもダメージを与えられるけど、新米では…… 逃げようとした時にはもう手遅れなのよ。あんな巨大な体でも、走る速さは人間の比じゃないわ。他の仲間も叩き潰され、踏みつぶされ…… 最後に残った私と、もう1人の魔導士は恐怖に怯えながら必死に逃げたわ。だけど、私は転んでしまって、あと少しで死にそうになった時に、彼女が庇ってくれたの。彼女…… もう1人残った聖魔導士…… 咄嗟に転んだ私を投げ飛ばしてくれたの。彼女は私の代わり死んだわ……」

 「クリス…… 何もそこまで話す必要は無いだろう」

 「ごめんなさい…… だけど、思い出しちゃって」

 「はいはい、まあ、なんとなく分かるわ」

 「そうなのか? 為次」

 「どーせ、何とか生き残れたけど、やっぱ死にそうになったとこを、隊長に助けられたんでしょ」

 「まぁ、その通りよタメツグさん」

 「はぁ…… ほんとタメツグはアホねぇ。クリスさんに失礼でしょ」

 「ベタな話はどうでもいいよ」

 「なんだ、その言い方は山崎」

 「ふふ、いいのよ。ありがとうタメツグさん」

 「え?」

 「さすが為次は嫌われるのが得意なだけはあるな」

 ニタニタしながら正秀は言った。

 「得意じゃないし……」

 「タメツグさんの言ように、逃げ切れなくて、あの時はもうダメかと思ったわ。だけど、複数の閃光と共に私は助けられたの」

 「重機関銃のM2だな」

 と、貞宗は補足した。

 「その閃光がトロールに当たると、私を叩き潰そうとしていた手から血飛沫が舞ったわ。そして、持っていた棍棒を地面に落とすと悶え始めたの。次の瞬間、爆音と共にトロールの上半身は吹き飛んでいたわ。そう! 今でこそ伝説の武器、サダムネキャノンに助けられたの!」

 「出たっ! サダムネキャノン、うは」

 あまりにも馬鹿っぽい名前に、当然の如くバカにする為次。

 「クリス、その名前で呼ばないでくれと…… 教えただろう? 戦車砲だって」

 「私を助けてくれたこの人は、颯爽とヒトマルから出てくると私に近づいて言ったの。大丈夫か? 君のような可憐で美しい女性にはこんな戦いよりバラの方がお似合いだぜって。そう言われちゃったのー、きゃぁ」

 「言ってないぞ、言ってないからなっ!」

 「きゃぁぁぁ、ステキ! まるで白馬の王子様ね!」

 「ね、そうでしょ、うふふふ」

 もう貞宗は呆れて聞くしかなかった。
 それでも為次はネタを追加してあげるのだ。

 「後で10式をUNカラーで塗ってあげます」

 「やめろ!」

 「では、私の王子さまはタメツグ様ですね」

 「違います」

 「レオも白で塗っといてやるよ」

 「やめて下さい、マサまで……」

 「そんな訳でね。それからは、この人とずっと一緒なのよ。一緒にクエストに出かけたり、一緒にご飯を食べたり、一緒にお風呂に入ったり……」

 「もういい、クリス。後は俺が話す」

 「あら? これからがいいとこですよ?」

 「人に話すようなことじゃない」

 「まあ、あなたったら恥ずかしがっちゃって。ふふ」

 「ま、だいたいの内容はクリスの話した通りだ。一部、語弊もあるがな。それからは、すっかりクリスに懐かれちまってな、一緒に行動したんだ。それで、しばらくの間は2人で冒険者稼業ってやつさ。さっきも話したように、弾薬が有る内は良かったが…… 仕方なく転生の加護を受けたんだ、クリスの強い押しもあったしな」

 「んで、その少年っぽい見た目の趣味は、クリスさんのっスか?」

 「当然だろう……」

 「まぁっ、その方が素敵よ。あなた」

 「んんっ、で、困った問題が起きたわけだ」

 「少年の姿だと何か問題であるんですか?」

 「いや、見た目の年齢のことではないぞ水谷。無能力者になってしまったことだ。いくら、あの本を読んだからと言っても、直ぐに気功士の能力が使えるようになった分けではない。しばらくは特訓をしたのだがな…… どうにも上手く使えなかった。弾薬も無く、能力も無いのでは商売上がったりだ」

 「分かったわ! それで、強力な魔獣退治にクリスさんを追いかけて行った話になるのね!」

 「なんだ、知っているのか? マヨーラは」

 「ターナから少しだけ話を聞いてるわ」

 「そうか…… ま、それなら話は早いが、あれはクラーケン退治のときだった」

 「クラーケン? 巨大イカの?」

 昔、本で見た船を襲う巨大なイカを為次は思い出していた。

 「ああ、そうだ」

 「イカ? イカって何よ?」

 イカを知らないマヨーラは訊いた。

 「海に生物は居ないんじゃ……」

 水の中に生物が居ないのは聞いていたので為次はそう呟いた。
 マヨーラが水生生物を知らないのも仕方がない。

 「魔獣だけは、極稀に出没するようだな。しかも、陸上に上がって来やがるし池の中に逃げ込むのだ。おかげで、討伐隊は無残なものさ。巨大な上に、10本触手を使い水の中だ、そうそうに手に負えるものじゃない。クリスが討伐隊に選ばれた時には焦ったものだ。だがな、クリスには悪いが、それもチャンスだと思ったのだ。自分を極限まで追い込めば、気功士の能力が使えるはずだともちろん、それは賭けだった。失敗すれば自分の命を失う…… 迷ったさ、だが、あと少し遅ければクリスを失うとこだった。俺は賭けに勝てた、クラーケンを倒し、クリスを助け、能力を手に入れた。その時、決心したんだ…… この異世界を第二の故郷にしようと……」

 「それから、しばらくして私達は一緒になったのよ。身も心もね」

 「身も心も……」

 「はわわわ、身も、身も」

 少女二人は頬を赤らめて、ちょっと興奮気味だ。

 「その言い方はやめてくれ、クリス」

 「あら? 事実だからいいじゃありませんの。ね、マヨーラさん?」

 「え? あ、あたし!? そ、そ、そうね、もっと詳しく……」

 「も、もういいから…… と、とにかく、ここで暮らすことを決めた俺は、この異世界のことをもっと知ろうと思ったのさ。まずは異世界特有の力である魔法を調べた。その結果、エレメンタルストーンをエネルギー源として使用できることを発見して、魔道機関を開発し魔道艇を造った。スクロールの応用だな」

 「スクロール?」

 聞き慣れない言葉に為次は訊いた。

 「あら、スクロールを知らないの?」

 「知らないよ」
 
 「スクロールってのは、魔法を込めた巻物のことだ。魔法の術式が書いてあり、注入した魔法を保持しておくことができる。後は、僅かな魔力を与えれば、魔法が使えない戦士でも魔法が使えるって寸法さ。しかし、俺は使えない。多分、お前達もだろう。この異世界の人間は戦士は勿論むろん、加護を受けてない人間でも僅かながらマナを持っているようだ。しかし、こっちの世界から見れば異世界人の俺達は、どうやらマナがまったく無いらしい。スクロールに込められた魔法を発動するだけの魔力が無い。つまり、トリガーとなるものが無いのだ。あの本にも書いてあった、スクロールが使えないとな。魔法を使いたがっていた、隊員Bはとても残念そうだったらしい。だが、俺は更に考えた。トリガーとなる別の物を作ればいいのではないかと。それが、エレメンタルストーンだ。あれは大量のマナを貯め込んでいる上に、マナを自然と吸収する性質もある。エレメンタルストーンに直接術式を書き込んで、エレメンタルストーンのマナを使ってスクロールに魔力を流し込みながら魔法を発動させる。本来ならば、1度しか使えないスクロールもこれならば繰り返し使える。これが、魔道機関の元となる原理だ」

 「流石、隊長ですね」

 「分かってないでしょ、マサ」

 「んー。 まあ、あれだ。なんか凄いのは分かったぜ」

 「あ、はい。そんで、天高く上がったんすね」

 「ああ、この星がどうなっているの見たくてな」

 「どうでした?」

 「知りたいか?」

 「はい」

 「モノポールリングに行くんだろ? ならば自分の目で見て見るといい」

 「えぇー…… 教えてくれないんだ……」

 「ま、話はこんなものだな。それからは、色々な場所を見て回ったり、モンスターを討伐したり、日本酒を作ったりもしたぞ。元の世界の技術も取り入れたし、魔道艇の開発も進んだ。その功績もあってな、街を1つ貰えたんだ」
 
 「街まで貰えるんですか!?」

 「そうよマサヒデ。あれだけターナのお願いを聞いてたものね」
 
 マヨーラ当然だと言わんばかりだった。

 「やっかいな、魔獣討伐もよく頼まれたしな」

 「凄いですね」

 「それで、貰った街がポンタっスか?」
 
 「そうだ。元は街というよりも、村みたいなものだったがな。もっと街のみんなが安全に便利に暮らせるようにと、改良していったらこうなったんだ。街の壁も高く頑丈にしたし、陸上艇も走りやすくした」

 「隊長さんの功績ッスか……」

 「にわかには、信じられない話だぜ」

 「うん」

 「他にも聞きたいことはあるか?」

 「あ…… いや、喋ってばかりだと食事も進まないし」

 と、為次。

 「そうよ、温かい内に食べてちょうだいね」

 「はい。頂きます、クリスさん」

 「スイちゃんは、もう食べ終わったみたいね」

 「はいです」

 「って、スイ。また洗面器に詰め込んで……」

 「後で、ご主人様と一緒に食べるです」

 「今、食べてよ……」

 「スイちゃん……」

 そんな、洗面器に詰め込まれた料理を見ながら為次は思うのだ。

 ターナや神様に関しては、マヨーラの居ない時にでも聞くか……
 なんにせよ、モノポールリングに行けそうな感じはしてきたかな。

 と……
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