異世界に吹っ飛ばされたんで帰ろうとしたら戦車で宇宙を放浪するハメになったんですが

おっぱいもみもみ怪人

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異世界編 2章

第92話 着替その1

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 貞宗が怒って気が狂っていた、その頃……

 スイとマヨーラ、それと例の姉妹は服屋さんへとヘコヘコ歩いてた。
 シムリが「オヌヌメのショップがあるんだよ」と言うので、そこへ案内してもらっていたのです。

 「ヌヌヌとか言ってないんだよ」

 なんでもいい、とにかくそんな感じで行きますー!

 「疲れたわ、最近レオに乗ってばかりだから」

 「もう少しなんだよ、頑張ってマヨーラさん」

 「この街、広すぎるのよ……」

 「マヨマヨ様、よろしければ抱っこしますよ?」

 「遠慮するわスイ、今度はビックリ噴水人間じゃ済まなそうな気がするわ」

 「なんだい? それは」

 シャルは訊いた。

 「聞かないでちょうだい、思い出したくもないわ」

 思い出したくないと言いつつも、マヨーラは初めて正秀の所へ遊びに行った日のことを思い出していた。
 酔ったスイにベアハッグをされて、ゲロと血……
 それに、なんだか分からない体液っぽいのを吐き出したことを。
 そんな記憶を、ひたすら忘れようと眉間に指をあてがい頭を振るマヨーラであった。

 「なぅ~?」

 「ふむ、誰にでも触れられたくはない過去はあるか……」

 そして、彼女達は歩きだす。
 辛い過去を糧として、未来に向かって進むのだ!

 ※  ※  ※  ※  ※

 しばらく歩くと、目的の店の前までやって来た。
 看板には『雌豚の懺悔ざんげ』と書いてある。

 「着いたんだよ、ここだよ」

 「酷い名前の店ね」

 「女性専用で、カワイイ服がいっぱい売ってるんだよ」

 「そう、じゃあ入りましょ」

 「はいです」

 入店ぎわにふと横を見ると同じ建物には、もう一つ店舗が入っていた。

 「あら、隣は……」

 「お隣さんは男性専用の服屋さんなんだよ」

 看板には『糞野郎の悔恨かいこん』と書いてある。

 「同じ系列店なのかしら? あっちも酷い名前ね」

 「我が妹のオススメの店だ、店名はともかく入ろうじゃないか」

 「そうね」

 チリン チリン

 マヨーラが扉を開けると、取り付けられている鈴が鳴った。
 その音に反応するように、女性の店員が出迎えてくれる。

 「いらっしゃいませぇー」

 「お邪魔するわよ」

 「お邪魔しますです」

 「お邪魔する」

 「お邪魔なんだよ」

 入店すると、店員は馴れ馴れしく話し掛けてくる。

 「ゆっくり見てってねぇー」

 店内を見渡すと、かなりの広さがある売り場だ。
 ポンタの街は住人に対して、建物が異様に大きいので何処の店も同じような広さである。
 そのせいで客は、それなりに入っている割には、閑散としたイメージであった。

 「広いわね」

 「広いです」

 「では、どこから見て周ろうか?」

 そう言いながらシャルは半分腕を組み、顎に指を当てながら店内を見渡した。

 「こっちなんだよ、マヨーラさんが好きそうな可愛い服は」

 「そう」

 シムリに案内された3人は、カワイイ服売り場へと連れて来られた。
 そこには確かに、カワイイ服が沢山置いてある。
 どれもこれも、ヒラヒラとかリボンとか付いて確かに可愛らしい。

 「どうどう? どれも可愛いんだよ」

 「あら、なかなか素敵じゃないの」

 「でしょ! でしょ!」

 今日のシムリは朝かハイテンションであった。
 マヨーラ達はシムリのことを、気が弱く誰とでも上手く話せない内気な女の子のイメージであった。
 しかし、今は普通にお喋りしている。
 なので、マヨーラは気になった。

 気になる木に実る、なんとも……♪

 「そこまでよ、黙りなさい」

 ……で。

 「ねえシムリ」

 「マヨーラさん、なんなのかな?」

 「あんた普通に話せるじゃない」

 「あぁ、それね…… そうなんだよ」

 「え?」

 「我が妹は友達以外には上手く話せないのだ、特に男性ともなればな」

 「友達って?」

 「だから、お友達とは普通に話せるんだよ」

 「友達…… そ、そうね、友達なら当然よね!」

 「一緒にメテオで街を守った仲だもんね」

 予想外にも友達認定されているのを知ったマヨーラは、内心とても嬉しかった。
 なぜなら、今まで友達が居なかったのだ。

 生まれて物心が付いた頃には、既に神官ターナの仲間であった。
 実質この国…… 否、ガザフの手記によれば、この大陸にある三カ国を含めたトップなのだ。
 そんなターナを呼び捨てにする仲でありながら平民であるマヨーラ。
 しかも、性格があまり素直ではないのもあり、皆は話しかけ辛いのであろう。
 好んで近づいて来る人は殆ど居なかった。

 もっぱら話し相手と言えば、母親代わりのターナとちょっと切れやすいスレイブだけだった。
 正秀と為次がやって来るまでは……

 「あれ?  でも、確かタメツグには普通に話してなかったかしら?」

 「それは当然なんだよ、だって私の正義の王子様だからね」

 「そ、そうなのね……」

 「ではでは、私は……」

 と、スイも嬉しそうに言った。

 「ああ、スイさんは監視対象なんだよ、私の王子様にチョッカイ出さないようにね」

 「監視…… ですか…… はぅ~」

 「すまないなスイ君。妹は誰か素敵な人を見つけるたびに、少々行き過ぎた行動ををしてしまうのだ」

 「あらら…… タメツグが初めてじゃないのね……」

 「女は恋に生きる者なんだよ、マヨーラさん!」

 「だからと言っても、恋は盲目が過ぎるぞシムリ」

 「そんなこと無いんだよ、それにタメツグさんは今まで出会った人でも一番素敵なんだよ」

 「まったく、スイにしろシムリにしろ、あんなバカの何処がいいんだか」

 「助けていただいた、ご主人様を好きになるのは当然なのです。それに、とーっても優しいのですよ」

 「私だってそうだよ! 助けてもらったのは、きっと運命の出会いなんだよ」

 「はいはい、そうね」

 「そう言うマヨマヨ様は、どうしてマサヒデ様が好きなのですか?」

 「へっ!?」

 唐突な質問に、マヨーラは焦ってしまう。

 「なんだマヨーラ君はマサヒデ君が、お気に入りなのか」

 「ちょ、ちょっとスイ! あんたは突然何を言い出すのよ!」

 「違うのですか?」

 「ち、ち、ち、ちが…… 違わない…… けど……」

 「へー、マヨーラさんそうなんだー。もっと聞かせて欲しいんだよ」

 「そうだな、妹の暴走気味な恋の参考になるかも知れんしな」

 「お姉ちゃん、酷いよ……」

 「あ…… えっ……」

 マヨーラは困ってしまった……

 まともに自分の相手をしてくれた人は、ターナとスレイブを除けば正秀と為次が初めてだったなどとは、とても言えない。
 もしかしたら、別の世界からやって来た彼らが本当初めてなのかも知れない。
 でも、それは考えないようにしていた。
 事実を知れば、本当に一人になりそうな気がするから……

 彼らが加護を受けた翌日、勇気を出して遊びに行ってみた。

 あの日から……

 何も言わなくとも、自然と自分を受け入れてくれた。
 それがとても嬉しかった。
 だから、二人のことは大好きなのだ。
 只、正秀と為次、どちらかと言えば正秀の方が顔が好みである。
 それに、為次はちょっとウザイしムカつく。
 それだけの理由で正秀をを選んだ。

 本当にそれだけだった……

 もし、初めから正秀に婚約者が居ることを知っていたら……

 そこで、マヨーラは考えるのをやめた。
 何故か為次の顔が思い浮かんでしまったから。

 「あ、あたしのことはいいのよっ!」

 マヨーラは頬を赤く染めながら、焦って誤魔化そうとした。

 「えー、どうしてなのかな?」

 「スイも知りたいのです」

 「いいったら、いいのよ! スイ、あんたは少し黙りなさい」

 「はぅー」

 「ふふっ、純真な恋する乙女とはかくある者なのか」

 「何言ってんのよシャルまで…… もぅ」

 「仕方無いなー。話したくないなら、また今度でいいんだよ」

 「今度があるかも分からないけどね」

 「まあ、いいのかな ……それじゃあ、服を選ぼうよ」

 「そうね、そうしましょ」

 「では、とりあえずスイ君の服を選ばないとだな」

 「スイは今着ている、これでもいいのですが」

 スイは、まだ素っ裸に為次のパーカーだけを着ていた。
 パンツもお尻のとこが焼けてしまったので、履いてない。

 「むしろ、ご主人様の臭いが付いた、これがいいのです」

 「臭いはともかく、他に服は買って貰ってないの? スイ」

 「ありますです、ターナ様の別荘に置いてあるのです」

 「……そう、忘れて来たのね」

 「忘れたような気もしますが、置いて来たのです」

 「……とにかく、もっとカワイイ服を着ないとタメツグに嫌われるわよ」

 「なななっ! それは一大事なのです!」

 「タメツグさんはカワイイ服が好みなのかな?」

 「そうよ、男は誰だって可愛くてセクシーな服が好きなのよ」

 「そうなんだー、でも肌が出ていると恥ずかしいんだよ」

 「そんなんじダメよ、もっと攻めないとバカな男どもは落とせないわ!」

 「私は動き易い服装が一番であると思うが」

 「シャル…… だからと言って、普段着までレオタードなのは……」

 「ん? ビキニにした方がいいか?」

 「違うわ…… そうじゃないのよ……」

 「あぅぅ、お姉ちゃんのことは気にしないでほしんだよ……」

 「そうね、そうするわ……」

 シャルは剣術にしか興味が無かった。
 だから服装は見た目よりも、機能性を重視しているのだ。

 「ふむ?」

 「ではでは、マヨマヨ様に、ご主人様が喜びそうな服を選んで欲しいのです」

 「それじゃあ、私もお願いしたいんだよ」

 「ふふ、仕方ないわね……」

 「この愛の魔道士マヨーラ様が、あんた達にお似合いのコスチュームを特別に選んであげるわっ!」

 「おお! 流石マヨマヨ様ですぅ」

 「やったぁ! じゃあ、お願いなんだよ」

 「まかせなさい! オーホッホッホッ!」

 マヨーラは得意気な顔で手の甲を口元にあてがい、高らかな笑い声を上げた。
 それを見るスイとシムリは拍手喝采だ。

 パチ パチ パチ パチ

 「やった、やったのです!」

 「マヨーラさん、カッコいいんだよ!」

 甲高い笑い声が広い店内に木霊する。
 他の買い物客は、変人を見るようにマヨーラ達を見ていた。

 「君達、もう少し場所をわきまえた方が……」

 他人の迷惑などかえりみず、少女達は店内の物色を始めるのであった……
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