異世界に吹っ飛ばされたんで帰ろうとしたら戦車で宇宙を放浪するハメになったんですが

おっぱいもみもみ怪人

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惑星アクア編 終章

第3話 作戦内容

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 ―― お昼前

 「たっだいまー」

 「帰ったぞ」

 あれから2人は他愛もない世間話をしてから貞宗宅へと戻った。
 心なしか貞宗は機嫌が良さそうな感じだった。

 「あら、お帰りなさい」

 クリスがリビングのテーブルに食事を並べながら、振り向かずもせず迎えてくれた。
 そこへスイもキッチンからお皿を運びながらやって来た。

 「お帰りなさいませです」

 ソファーでは正秀を挟んでマヨーラとユーナが睨み合っている。

 「ありゃりゃ、まだやってたのマサ」

 「うっさいわねタメツグ。あんたには関係ないでしょ」

 「タメツグは居なくていい」

 帰って早々にマヨーラとユーナから邪険にされてしまう為次。
 更には恨めしそうに正秀から睨まれてしまう。

 「くそぅ、説明するの大変だったんだぜ」

 「そりゃ自業自得だって、ハーレムで有頂天になってりゃね。精霊界でもぉー」

 「うぉぃ! それ以上言うんじゃねぇよっ!!」

 「ちょっとぉ何よそれ…… ハーレムって…… 聞いてないわよマサヒデ」

 「あ、いや…… だから色々と事情があってだな」

 「そうね。なら、もう少し聞かせてもらおうかしら」

 「私も精霊界のこと聞きたい」

 「あ、うぐっ。ユーナちゃんまで……」

 2に詰め寄られる正秀の様子からして、もうしばらくは修羅場が続きそうだ。

 お昼ご飯の準備もできたらしいので、距離を取ってソファーに座る為次。
 騒がしい食卓であるが、これはこれで悪くはないかなと思うのであった。

 ※  ※  ※  ※  ※

 ―― その日の夜

 「なんだよ為次、こんな所に呼び出して。俺は疲れてんだよ」

 「だから、それは自業自得だとなんど言えば……」

 「どれだけ苦労したと思ってんだよ……」

 為次と正秀は建物の内側にある中庭に居た。
 壁に囲われた空には色鮮やかな無数の星々とリングが浮かぶ。

 「んま。とにかく、たまには綺麗な星空を見上げるのも悪くないかなって」

 「はぁ? ロマンチックなシチュエーションなら俺じゃなくてスイちゃんを誘えよ。気持ち悪りぃな」

 「前にもここで夜空を見てたよね」

 「ん? ああ、ゴブリンが沢山攻めてきた時だったな」

 「そうそう、俺はタクシー代わりにさせられて」

 「そんなことで文句を言いに俺を呼んだのか?」

 「いや。今日は話を合わせてもらったことでの礼でも言おうかなと」

 「はぁぁぁ? 為次が礼だ? 益々気持ち悪りぃな」

 正秀達は貞宗と為次の会話を聞いていたので、家に帰ってから魔獣制作に関しての否定的なことは言わなかった。
 逆に褒め称えたくらいである。
 おかげで貞宗は実に満足そうで、ご機嫌であった。

 「気持ち悪いついでに、お願いもあってね」

 「今度はなんだよ」

 「これは断定じゃなくて、予想なんだけどさ。可能性は極めて高いと思うんだよね」

 「もったいぶってないで、さっさと言えよ」

 「はいはい。バハムートは既に発生しているのは隊長の話からして間違い無いかもね」

 「おう」

 「場所の検討はだいたい付いてる」

 「サイクスの塔の地下だろ」

 「そうだね」

 「問題は地下の奴隷を食べさせてるかも知れないってこと」

 「なんだそりゃ? 何言ってんだ為次。ターナがそんなことするわけないだろ」

 「だといいけどね」

 「…………」

 「俺達がリングの向こうへ行ってから1ヶ月ちょい。そのかんに急成長させるには上質な魂が必要になるってね。しかし、現状はその形跡はない、ゴブリン襲撃のようなエレメンタルストーンをバラ撒いり人を食わせた形跡がね」

 「それで奴隷なのか? 考え過ぎだろ」

 「もちろん考え過ぎなら、それはそれで結果オーライだよ問題無い。でもね、イフリートと違ってバハムートはかなりの巨体だと思う。アンカーの中に隠すなら最下部にある格納庫くらいしかない」

 「まあ…… な」

 「奴隷の収容スペースと位置的に同じだよねぇ。それとも初めからそのつもり……」

 「ふざけるなっ!!」

 正秀は為次の言葉をさえぎると怒りをあらわにして叫んだ。

 「ちょ」

 「適当なことばかり言ってんじゃねーぞ、為次! あの優しいターナが人間を餌にする分けないだろ!!」

 「分かった、分かった。分かったから落ち着いてってば」

 「俺はいつでも落ち着いてるだろっ」

 「いやもう…… 毎度毎度、何回も同じことで興奮しないでよ」

 「同じことってなんだよ」

 「もう知ってるでしょ」

 「……そ、そりゃぁ」

 「問題はターナが奴隷をどうこうじゃないの、マサが問題な分け」

 「お、俺がか?」

 為次の考えていた1つの懸念。
 それは、バハムートに奴隷を食べさせているかも知れないことではなかった。
 もし仮に事実であり、それを知った正義感溢れる正秀が怒ったり怒鳴ったりするのが問題であった。

 「今の内に好きなだけ怒っといてもらおうかと思ってさ」

 「別に俺は怒ってる分けじゃ……」

 「なんでもいいよ。少し前にアイちゃんにも連絡しといたけどさ、バハムートが起動する前に退治しようかって考えてるの」

 「へぇ、そうなのか」

 「当然、マサにも話とこうかなって」

 「おう」

 「あのさ……」

 為次の考えている、これからの予定はこうであった。

 喫茶店での話から分かったのは、貞宗は既に洗脳されていること。
 バハムートはそれなりに成長しているが、どの程度かは不明。
 シムリはスレイブに夢中で、シャルと一緒にサイクスへ行っている。

 それらを踏まえて、面倒臭いのがバハムートを解き放たれることである。
 神獣クラスとはどの程度の強さを有するのかは、まったく分からなかった。
 1つ分かっているのは千年前退治する時に、超大型船であるミストラルの質量を必要としたことだ。
 かなりの持続的エネルギーの照射が必要と予測される。

 ならば外に出てしまう前に核を破壊するのが手っ取り早い。
 自分達もバハムートは神の使いであると騙して、見学せてもらおう。
 その隙きに頭部ごと吹っ飛ばしてしまえばいいのだ。

 マインドジェネレーターを起動し皆の思考を正常に戻してから、ゆっくり退治するのも考えてはいたのだが、こちらは不確定要素が多い。
 第一、本当に正常になるのか?
 本当に元に戻るとしても、途中の過程で意識の錯乱も有り得るのではないか?
 その拍子にバハムートを解放されてしまっては、たまったものではない。
 故にマインドジェネレーターの起動には慎重を期した方が良いとの考えに至ったのだ。

 シャルやシムリに取り入って、退治してもらうのはさすがに難しそうだ。
 スレイブとべったりならば無理に決まっている。
 結局は自分達で殺るしかない。

 「……ってことなの」

 「なるほどな、だから喫茶店で隊長に嘘を付いたのか」

 「そゆこと」

 「いいんじゃないのか、それで」

 「んで、さっきも言ったように問題なのがマサでしょ」

 「なんで俺なんだよっ」

 「バハムート見学に行った時に奴隷の死骸が散乱してたらどうすんのさ?」

 「えっ。そ、そりゃぁ……」

 「今みたいに発狂して、嘘がバレたら困るの」

 「ぬぐっ」

 「だから今の内に、ここで暴れといてって言ってるの」

 「暴れねーし、怒らねーよっ」

 「まっ、そういうことだからよろしくね。仏滅斬だかでバハムートをぶっ飛ばしてよ、ヒーローさん」

 そう言いながら、正秀の肩をポンと叩いた。

 「必殺滅殺撲殺斬な」

 「なんでもいいよ」

 「へっ、任せときな」

 「明日はレオの最終調整するから明後日ね」

 「すぐに行かないのか? 下手したら明日にもバハムートが復活するかも知れないぜ」

 「魔導機関に関しては隊長やマヨ頼みだからねぇ。作戦が失敗したりマインドジェネレーターで記憶がどうなるかも定かじゃないし、早目にやっときたい」

 「はぁ、ホントお前は何より戦車が優先なんだな」

 「そりゃそうでしょ、俺達のマインドジェネレーターはレオに搭載してある。これから広大な宇宙を彷徨さまようにはレオが必要不可欠。無ければ何もできずに、ここで朽ち果てるだけだ」

 「ふっ、だな。レオとは一蓮托生だったか」

 「うん」

 「これが解決したら、そこからが俺達のスタートラインってことか……」

 「タメツグ様ぁー」

 と、そこへスイが駆け寄って来た。

 「お。スイどうかしたの?」

 「サダムネ様がお呼びなのです。明日の打ち合わせをするからタメツグを連れて来るようにと」

 「ああ、そうだった」

 「隊長と何かあるのか?」

 「魔導機関の図面だけ今夜の内に仕上げとくんだったわ。明日、スイとマヨがすぐに作業できるようにって」

 「それなら早く行けよ」

 「はいはい」

 為次は適当な返事をすると、スイと一緒に家の中へと入って行ってしまった。
 残された正秀は宇宙を見上げ、何かを掴み取るかのように片腕を掲げる。

 「必ず戻ってみせるからな。待っててくれ」

 地球に残してきた彼女に思いを馳せる。

 二度と出会えることは叶わぬ願いと分かっていても……

 懐から婚約指輪を取り出し空に向かって叫ぶのだ。

 「こんな俺で良ければ結婚して下さいっ!!」

 ……と。

 「えっ!? いきなりね。戻って来たその日にプロポーズって。も、もちろんオッケーよっ」

 「マヨーラ。今のは私に言ったから」

 「はぁ。何言ってんのよ、あたしに決まってるでしょっ」

 2人の女性の会話に恐る恐る視線を戻す正秀。
 目の前には睨み合うマヨーラとユーナが居た。

 「ぎゃぁぁぁっ! い、いつの間に!? 今のは違うんだぜぇぇぇー!!」

 と、正秀は走り出す。

 「あ、逃げた。待ちなさいマサヒデ」

 「マサヒデ逃がさない」

 「勘違いだってばー、もう勘弁してくれぇぇぇ」

 「「待てー」」

 夜の街に楽しそうな叫び声が木霊するのであった……
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