異世界に吹っ飛ばされたんで帰ろうとしたら戦車で宇宙を放浪するハメになったんですが

おっぱいもみもみ怪人

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惑星アクア編 終章

第10話 最終決戦その2

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 為次達がバハムートとたわむれていた頃……

 正秀は、まだスレイブと遊んでいた。
 お互いに、このままではケリが付かないことなど百も承知であったが楽しくてやめられない。
 踏み荒らした奴隷の死骸など気にもせずに大剣をぶつけ合うのであった。

 「どうだスレイブ! 俺も意外とやるようになっただろ!」

 「へっ、腕を上げたのは認めてやるぜ」

 ガキン カキンッ

 大剣が交錯し合う度に激しく火花が飛び散る。
 両者は一歩も引かず、鳴り響く大剣の音に酔いしれていた。

 「スレイブもずいぶんと動きが良くなってるぜ」

 「なんでか分かんねーけど、頭の中がスッキリしてるだよっ」

 「へー、そりゃアレかもな」

 「なんだよ? アレって」

 「マインドなんちゃらで自分を取り戻してるかもな」

 「はぁ? なんだそりゃ?」

 「さあな、俺もよく分かんないぜ。後で為次に聞くといいかもな」

 「タメツグだぁ? ……そういやアイツともキチンとケリを付けないとな」

 「ああ…… 負けたって言ってたな」

 「うるせーっ!!」

 などとお話をしながら遊んでいた。

 ピピー ピピー

 と、そこへ通信が入ってきた。

 『もしもしぃ? 聞えるー?』

 A.A.S.に内蔵される端末で変身はしなくとも使用可能であり、わざわざ携帯端末を持つ必要がないので便利だ。
 当然、脳波コントロールによってハンズフリーで使用できる。

 「なんだ為次か。どうした? 今、忙しいんだぜ」

 『まだ遊んでんの?』

 「遊んでないぜ。勝負だよ、勝負」

 『なんでもいいわ、それより問題が発生したは。バハムートのシールドを貫通できんの』

 「んん? スイちゃん居ないのか?」

 『や。スイはおるけど、なんでもシールドが3重に貼られてるってターナが』

 「へー」

 『なんでマサのなんちゃら斬で殺ってみようかと』

 「おう、まかせな」

 『じゃ、上空におるからすぐに来て』

 「今すぐか?」

 『うん』

 「しょうがねーな、少し待ってな」

 『りょかーい、早目にね』

 「おう」

 通信を終えると、スレイブとの距離を取る正秀。

 「どうした? さっきから一人でぶつぶつと」

 為次の声は正秀にしか聞こえないので、端から見れば独り言をいっている変な人に思えてしまう。

 「悪りぃな、ちょっと急用ができたぜ」

 「はぁ?」

 「次で決めさせてもらうぜ」

 そう言うと正秀は上段の構えから、銃剣の構えと大剣を持ち換えた。

 「持ち方を変えても意味ないだろ」

 「どうかな、行くぜっ!」

 と、突進する正秀。
 それに合わせてスレイブは上段から一気に振り下ろす。

 ガキンィン

 上から来る大剣を斬り上げで受け止めると、力を抜き左下へいなす。
 スレイブは再び振り切った大剣を上げようとするが正秀も動き合わせるように大剣を上げ、更に巻き取る動作も加える。

 「はりゃっ」

 「なっ!?」

 ガコン カラン……

 1本の大剣は主の元を離れ床に転がってしまった。

 「悪りぃなスレイブ。勝負あったみたいだな」

 「どうゆうことだよ…… 気を使ったのか?」

 首元には剣先が突き付けられていた……

 「使ってないぜ、ただ得意な構えでやっただけだ。これでシャルにも全戦全勝だったから、あまり使いたくはなかったが」

 「ふざけるな…… 手加減してたのかよ!」

 「そいつは違うぜ。勝つだけなら気を使ってたし、これから見せる力も使ってたぜ」

 「……これから?」

 「俺は対等な条件でスレイブとやり合いたかっただけなんだ」

 「…………」

 「もう行くぜ。バハムートを倒さなくちゃだからな」

 正秀は、そう言いうと大剣を背に背負い変なポージングをする。

 「ジャスティスっ!! セットアァァァップっ!!」

 ぴかぁぁぁん!!

 「うおぅ!? なんだっ!?」

 「…………」

 体全体が光り、大剣マスター水谷マンへと変身した。
 無言で人差し指と中指で敬礼モドキをすると重力スラスターを作動させ宙に浮く。

 正秀はニヤリと笑みを浮かべるだけだ。

 何事かと呆気にとられるスレイブ。
 一瞬で加速し飛び去る正秀を見てポツリと呟く。

 「嘘だろ……」

 と……

 ※  ※ レオパルト2車内 ※  ※

 レオパルト2はバハムートに有効な攻撃手段が無く、フラフラと牽制射撃をするに留めていた。
 とりあえず逃げてもいいが、そうするとまた街の方へと降りて行ってしまいそうなので惹き付けているのだ。

 「マサ、まだかな、まだかなー」

 「やっぱり最後にキメるのはマサヒデね。あ…… でもそうすると報酬は貰えないのかしら?」

 「マヨはお金大好きだね」

 「マヨ姉様は金の亡者なのです」

 「失礼ね。あたしはマサヒデとの将来の為に稼いでおくだけよ」

 「…………」

 マヨーラは自分の言葉に何も言わないユーナを少し怪訝に思った。
 昨日はあんなの正秀の取り合いをしたというのに……

 「ちょっとユーナ。どうかしたの? やけに静かね」

 「どうもしない」

 「中々、生えてこないから拗ねてるの?」

 「違う」

 「飯食わんと生えてこんよ」

 為次の説明に納得することにしたマヨーラ。
 お腹が空いてるので大人しいのだと。

 「後でお腹いっぱい食べなさい」

 と、そこへ……

 「あ、タメツグ様。来られましたよ」

 正秀の反応がサテライトアンカーから出て来たのを確認したスイは言った。

 「やっと来たか」

 『待たせたな』

 高速飛行で戦車に近寄る正秀から通信が入った。

 「とりあえず上に乗ってよ」

 『おう』

 一旦、バハムートから距離を取るレオパルト2の砲塔に降りる。

 『で、俺はどうすりゃいいんだ?』

 「レオで近づくから、後は変な必殺技で頭部を粉砕してよ」

 『俺だけでも、じゅうぶんだぜ。あと変じゃないぜ』

 「いや、スーツは防御力が弱すぎる。ノーマルモードとはいえ一発でパワーシールドを30パーも削られたから、ヤバイかも」

 『そんなに強いのか……』

 「シールド全開で突っ込んでゼロ距離砲撃するから、同時にマサもよろ」

 『おう』

 適当に作戦を説明し終わると、皆は早速準備に取り掛かる。
 砲弾は先程と同じく徹甲弾にし、当然アンチマジックを付与した物を装填した。
 マヨーラにはスティックトリガーによる射撃を教え、タイミングはユーナに取ってもらう。
 正秀といえば、砲塔の上で霞の構えをしながらカッコ付けている。
 後はデルタシールドも使って奴の頭を目掛けて飛び込むだけだ。

 尚、デルタシールドとは円盤状の小型シールドである。
 3枚まで同時に使用可能で車体の周りを動き回り、ピンポイントな攻撃を反射してくれる代物だ。
 しかも、名前の由来として三角形のフォーメーションを取り、その内側に強力なシールドを形成することもできる。
 何かと便利ではあるが車体全体をカバーすることができないし、シールドバッファエネルギーの消費が多いなどの欠点もあった。

 「じゃあ行くわ」

 『へへっ、ここがヒーローの見せ所だぜ』

 バハムートの周りを旋回しながら様子を伺う。
 チェーンガンと同軸ビームを撃ちながら相手をイライラさせる作戦だ。

 ダラララララッ!!

 ズビャァァァー……

 チェーンガンがマジックシールドを叩くと同時にビームが照射される。
 動きは速いが図体がデカイので的を外すようなことはない。

 ブチギレ気味なバハムートは叫ぶ。

 《我に歯向かう愚か者よ、滅するがいい》

 『おい為次、アイツ何か言ってるぜ』

 「あーうん、攻撃する時に喋るんだって。同じセリフしか言わないみたい」

 『なんだそりゃ……』

 ビームブレスが襲い来るが、攻撃タイミングがバレバレなので避けるのも容易だ。
 急上昇からの水平走行に移るコブラ機動で回避と同時に後ろへと回り込む。

 「当たらんってね」

 再び回頭しバハムートを正面に捉える。
 奴も振り向きこちらへと突進して来た。

 「喋ってないね、行くお」

 『おう』

 両者は正面から猛スピードで急接近する。

 「スイ! シールド!」

 「はいです。デルタシールド展開」

 車体前方に三角形のシールドが張られた。

 「いっけぇぇぇ!!」

 ズババババッ!! ビシビシビッ!!

 シールドとマジックシールドが干渉し合い激しい音と光を放つ!
 まるで連続する花火のように七色の光が美しく青空を照らし出す。
 地上から見上げれば、さぞ綺麗であろう。

 「マヨーラ、今」

 「ええ、これを引くのね。えいっ」

 カチッ

 ドコーン!!

 発射された砲弾がマジックシールドを貫き2枚目に当たると一瞬で融解し飛散する。
 そこへ正秀は重力スラスター全開で突撃するのだ!!

 「はりゃぁぁぁ!! 行くぜ!! これがヒーローの渾身の一撃だ!!」

 霞の構えから弧を描くよう大剣を上にあげ、一気に振り下ろす。

 「喰らえ。必殺っ! 滅殺っ! 撲滅っ! 斬ぁぁぁぁぁんっ!!」

 ドドドドドォォォンッ!!

 人間業とは思えない大爆発が炸裂だ!
 気がマジックシールドを貫き爆炎を纏った大剣がバハムートの頭を叩く。

 《ブギャァァァァァェェェ》

 激しい衝撃に咆哮にならない叫びが周囲を木霊する。

 そして……

 透き通るような空に浮かぶ煙の中から一羽の巨大な鳥が堕ちてゆく……

 『キマッタぜ……』

 正秀が大剣を一振りすると煙が吹き飛んだ。

 「よっしゃ、今度こそ終わりだね」

 「あたしも攻撃したんだから報酬は貰えるわよね」

 「マヨーラお金大好き」

 「別にいいでしょ、ユーナにも分け前あげるわよ」

 皆は勝利を確信していた……

 スイを除いて……

 「タメツグ様……」

 「何? スイ」

 「ターゲット生体反応健在、ダメージ軽微、僅かな頭部の裂傷のみ…… です」

 「は……?」

 恐る恐るセンサースクリーンを見つめる為次。
 画面には再び舞い上がるバハムートの姿が映っていた。
 情報欄を見ると確かにスイの報告した通りであった。

 「くそっ」

 ドンッ

 思わずコンソールパネルを叩き付けてしまう。

 『おい為次、まだ生きてるぜ』

 「生きてるわね」

 「生きてる」

 「多分、マサと同じだ」

 『俺と?』

 「爆属性だな」

 『ああ、なるほどな。んで、どうすんだ?』

 「もう手段は選ばん、闇にほうむる。アクアには悪いけど多少の痛みは覚悟してもらおうかな」

 『何する気だよ……』

 「俺達と同じ目に合わせてやる! スイっ!」

 「は、はい!」

 「超次元振動砲弾装填」

 「はい…… いえ…… でもこれは……」

 「装填っ!」

 「なぅー、はいです……」

 「マヨ、ユーナ、これで最後だ外すなよ」

 「うん」

 「何よ、タメツグのくせに偉そうに。まあ、報酬の為にやってあげるけど」

 ちょっとキレ気味の為次は笑っていた。
 美濃加茂戦や火竜の戦いと同じように。

 ガコン

 超次元振動砲弾が装填された……
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