現代文の模試に出そうな評論たち

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ハラスメントハラスメント

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セクハラ、パワハラ、マタハラ、世の中ではどうやらなんとかハラスメントと名付けるのがブームのようだ。なかにはブラッドハラスメント(希少な血液型であるAB型への社会的な不当評価にまつわる迫害のこと)あとはヌードルハラスメント(日本人が麺類をすする音にまつわる周囲への騒音被害のこと)なるものまでこの世の中には存在している。この大量のハラスメントの実例が示すのは現代社会は、精神的に窮屈だということだろう。私はこれを「ハラスメント・ハラスメント」と名付けたい。

「ハラスメント・ハラスメント」。
すなわちハラスメントのような利益侵害、権利侵害の保護をしすぎることによって権利以前の人間の社会生活がおびやかされる状態とでも定義しよう。
ここ近年、急速にこの「ハラハラ」の状態は恒常化に近づいていると思う。
そもそも「ハラハラ」の状況はいかにして生まれるのだろうか。


これは人間が、ある種柔軟すぎる、知能が高すぎることに問題がある。普通、人間のこの知能の異常な発達は我々の文明社会構築において有用であり、必要不可欠なものだ。だが、君たちの柔軟なその適応能力と高度な倫理観が我々の社会生活の阻害となっているのが今の現状である。では、どのように我々のこの高等知能が阻害しているのだろう。

これは内在的なストレス、表面化されない、体感できない、内在化したストレスが本質的な阻害要因となっていると説明できる。

では、例えを使いながら詳しく考えてみよう。例えばここに美少女と言われるのが嫌でたまらないAさんと、しつこくそれを言う女子たちの集団Uがあると仮定しよう。Aはなかなかそれについて言い出せないが、そのうち社会の潮流で「美少女ハラスメント」が定義され彼女のもとにもその潮流が流れてきたとする。そのときに「ハラハラ」は生まれる。すなわち、集団Uは時代の潮流によって、今までよりも神経質に発言について気をつけなければならなくなり、また本来気持ちよく過ごせるようになるはずのAでさえも、集団Uに気を使わせている罪悪感やらなにやらで、結局さほど心地よさは依然と変わらない。というか、むしろ全体としては集団Uが快くこの時代の流れに許容してくれたとしても、
神経質にならなければならず精神的負担はより大きくなるだろう。

このようにして、人間が時代の潮流にあまりにも簡単に適用できるという、人間の精神的な強みがここにきて我々の心理的な圧迫を生んでいる。少数者の権利を尊重しすぎるがあまり、社会生活の心的充足を欠如しているのが現代人なのである。

「誰かのために、しょうがない。」
という人間の素晴らしい高度な倫理観が
自分の首を絞めているとはなんとも滑稽なことだと思う。だがしかし、これで本当に良いのだろうか。

保守的な観点にたてば、ハラスメントの概念が我々の社会生活の窮屈さに繋がっているのだから、これは否定すべきなのかもしれないがそういうわけにもいかない。

かといって、ハラスメントを遵守するいわゆる側の人にとってすれば、このまま行くとこの精神的な人間社会の収縮は止められなくなり、最後には人間社会はモラルが飽和した状態になってしまうだろう。はて、どうするべきなのか。ここでこのハラハラの解消点というのは考えにくいものであることがわかる。


私が一つ思うのは、
ハラスメントのこの曖昧な概念こそが
我々の社会生活の心理的、精神的な
負担になっているのだからこの今の精神に「依存した」倫理観をシフトさせるのが一つの方法だと思う。もっともその方法は精神から法へと概念を移行させることだ。

人々が心地よく社会生活を送る基盤になっているものこそ、法律による厳粛であり流体的な制限である。(普通の国では)だから、法律というのは人間の精神に依存するよりも大幅に負担を減らしながら、「ハラスメント・ハラスメント」の恒常化を防げると私は思う。だって君たちは法律にいちいち神経質になって普段生きてはいないだろう?(よっぽどの法曹か、詐欺師じゃないかぎり)だから、法律化は人間の精神的収縮を止めることができるはずだ。

しかし、これにも問題はある。
制定に時間がかかりすぎる点である。
しかし、ここにいかに時間をかけるかで、その効果は格段に変わる。


全ての諸国家に手間をかけることを
求めたい。
諸国民の精神的圧迫から解放するために。







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