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第4話 夢中説夢-4
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「おはようございます」
「おー、おはよう高坂くん。元気にしてるか?」
店の更衣室に入るなり、店長の中崎さんに声をかけられた。そういえば、昨日は中崎さんにも心配をかけてしまったな。
「はい、おかげさまで。昨日は余計な心配をおかけして、すみませんでした」
「いやいや、高坂くんが元気ならいいんだよそれで。でも、無理はしないようにね」
「はい。ありがとうございます」
頭痛はまだあるが、気分はかなり楽になった。むしろhighだ。ここに来る道中、美幸にメッセージを送ったところ、すぐに返事がきた。明日の午前中なら時間が取れるとのことだったので、10時に会う約束を取り付けた。
最悪、返事がこないと考えていたので、すぐに返事がきたのには驚いた。
「そういえば高坂くん、今日は神田のバカ野郎来てるよ。文句の一つでも言ってやりな」
「あー。あいつこそ、もう大丈夫なんすかね?」
昨日風邪で休んだ神田。今日は来てるらしい。今にして思えば、あいつが休んでくれたおかけで美幸と会えた訳だから、別に文句はない。
「ホントに風邪だったのかっていうくらい元気だったよ。あの子、愛嬌はあるんだけどね」
「頭がね」
「頭がね~。ちょっと緩いんだよね~」
「誰の頭が緩いんですか!!!」
バンっ!と男子更衣室の扉が開いた。男子更衣室の扉が。
開いた扉の先にいたのは、神田だった。女。
「おい神田。ここ男子更衣室だぞ」
「それが何か!? 人の悪口を言っておいて何を言ってるんですか!!」
「誰か着替えてたらどうすんだよ……」
「あっ……」
そこでようやくことの重大さに気づいたらしい神田は、顔を茹でダコのように赤くした。
「変なもの見せないでください!!」
「お前が入ってきたんだろ!!!」
「失礼しました!!」
バタンッ!とまた大きな音を立てて扉は閉まった。何だあいつ……。めっちゃ元気やん。絶対昨日の仮病だろ。
「中崎さん、今日あいつ何分遅刻ですか?」
「今日は5分だったよ、珍しく」
神田は見ての通りアホ丸出しだが、さらに欠点がある。社会人としては最低最悪の遅刻グセがあるということだ。
いつもは10,15分遅れるのは当たり前。普通ならクビにされても文句は言えないが、中崎さんは「10分遅刻でも1時間分給料引いてるから大丈夫」と何だかんだ許している。
昨日美幸と会えたのはあいつのおかげだが、風邪で休んだ次の日も遅刻するとは言語道断だ。しかも、普通に男子更衣室入ってきやがって。
「中崎さん、あいつしばいてきます」
「特別キツめによろしく」
「はい」
「あ、それから」
「はい?」
「昨日言ってたお見合いの話なんだけど、いい話があって」
「はい?」
「高坂くんも昨日色々あったみたいだけど、辛いことは忘れて、新しい可能性広げてみようよ」
俺は更衣室を後にした。
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「おはようございます」
「おー、おはよう高坂くん。元気にしてるか?」
店の更衣室に入るなり、店長の中崎さんに声をかけられた。そういえば、昨日は中崎さんにも心配をかけてしまったな。
「はい、おかげさまで。昨日は余計な心配をおかけして、すみませんでした」
「いやいや、高坂くんが元気ならいいんだよそれで。でも、無理はしないようにね」
「はい。ありがとうございます」
頭痛はまだあるが、気分はかなり楽になった。むしろhighだ。ここに来る道中、美幸にメッセージを送ったところ、すぐに返事がきた。明日の午前中なら時間が取れるとのことだったので、10時に会う約束を取り付けた。
最悪、返事がこないと考えていたので、すぐに返事がきたのには驚いた。
「そういえば高坂くん、今日は神田のバカ野郎来てるよ。文句の一つでも言ってやりな」
「あー。あいつこそ、もう大丈夫なんすかね?」
昨日風邪で休んだ神田。今日は来てるらしい。今にして思えば、あいつが休んでくれたおかけで美幸と会えた訳だから、別に文句はない。
「ホントに風邪だったのかっていうくらい元気だったよ。あの子、愛嬌はあるんだけどね」
「頭がね」
「頭がね~。ちょっと緩いんだよね~」
「誰の頭が緩いんですか!!!」
バンっ!と男子更衣室の扉が開いた。男子更衣室の扉が。
開いた扉の先にいたのは、神田だった。女。
「おい神田。ここ男子更衣室だぞ」
「それが何か!? 人の悪口を言っておいて何を言ってるんですか!!」
「誰か着替えてたらどうすんだよ……」
「あっ……」
そこでようやくことの重大さに気づいたらしい神田は、顔を茹でダコのように赤くした。
「変なもの見せないでください!!」
「お前が入ってきたんだろ!!!」
「失礼しました!!」
バタンッ!とまた大きな音を立てて扉は閉まった。何だあいつ……。めっちゃ元気やん。絶対昨日の仮病だろ。
「中崎さん、今日あいつ何分遅刻ですか?」
「今日は5分だったよ、珍しく」
神田は見ての通りアホ丸出しだが、さらに欠点がある。社会人としては最低最悪の遅刻グセがあるということだ。
いつもは10,15分遅れるのは当たり前。普通ならクビにされても文句は言えないが、中崎さんは「10分遅刻でも1時間分給料引いてるから大丈夫」と何だかんだ許している。
昨日美幸と会えたのはあいつのおかげだが、風邪で休んだ次の日も遅刻するとは言語道断だ。しかも、普通に男子更衣室入ってきやがって。
「中崎さん、あいつしばいてきます」
「特別キツめによろしく」
「はい」
「あ、それから」
「はい?」
「昨日言ってたお見合いの話なんだけど、いい話があって」
「はい?」
「高坂くんも昨日色々あったみたいだけど、辛いことは忘れて、新しい可能性広げてみようよ」
俺は更衣室を後にした。
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