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2章
1 悪魔の住む家
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ネリーが助手として働くようになってすでに二か月が過ぎようとしていた
洗濯が片付いたネリーはルカの部屋の掃除に取り掛かっていた
(いつも思ってたけど…本当、いっぱいあるなぁー…)
ネリーは本棚の本の多さに感心しながらはたきで掃除していた
その時ある本が目に留まる
それは魔術の本らしくネリーにも分かる字で書かれてあったので彼女は好奇心からそれを手に取った
「私にも読める字の本があったなんて今まで知らなかった…」
ネリーはパラパラとページをめくると掃除を忘れ読みいってしまった
「ルカもこんな事してるのかな…?」
彼女が独り言をいいながら本に夢中になっていると、そこにルカが入って来てネリーから本を取り上げてしまった
「おい、掃除はどうした?それに勝手に人のものを見るんじゃない」
ルカは本を棚に戻しながらネリーに注意する
「だって、つい…それに私、助手なのに全然魔術教えてもらってないから…」
彼女は脚立から下りると箒で床をはきながら不満そうに言う
「はあ…何度言ったら分かるんだ、僕は助手に魔術を教えるつもりはない」
彼はため息をつきながら引き出しから何かを取り出すと、ぐちぐち言いながら掃除をするネリーの頭をぽんぽんし一枚の複雑な絵柄の描いてある紙切れを手渡した
「?これ…何?」
それがなんなのか分からないネリーは不思議そうに彼に問うすると彼は
「それは護符だ
君が危険にさらされた時それが身代わりとなって助けてくれるだろう
まあ、護符の作り方くらいなら今度時間がある時にでも教えてやってもいいけどな…」
「護符…こんな紙切れが本当に守ってくれるのかなぁ…でもそれが本当なら役に立つ魔術よね、ありがとう
でも私が危険な目に…?どういうこと…?」
ルカの言ったことに疑問を抱いたネリーは不安そうに彼に聞いてみた
「全く、自分が今までどんな危険にあってきたのか忘れたのか?」
ルカは呆れたように頭をかかえた
「あー…そう言えば…」
ネリーはこれまでの事を思い巡らせた
妖精に騙され魔物に襲われたことや、見知らぬ男に襲われそうになったこと…そして納得したようにうんうんと頷く
「一応用心に越したことはないだろう…」
彼はそう言うと帽子を被りどこかへ出掛ける支度を始めたので、ネリーは護符をポケットにしまうとエプロンを外しながら
「ルカ?どこかに行くの?それなら私も…」
と言ったがルカは
「いや、今日はいい…どうせこの辺だしすぐ帰るから…」
と言って部屋を後にした
「あ、そう…行ってらっしゃい」
ネリーは少し残念そうに呟き、二階の窓から彼を見送るとエプロンをかけなおし
「はあ…さっさと終わらせるか」
と言い腕まくりをし箒を握り締めると掃除の続きに取り掛かった_____
その頃ルカは町外れの森の中ゲルハルトと会っていた
「早く終わらせてくれ」
ゲルハルトは嫌そうに言うルカの顎を軽く引くと腰を抱き寄せ、固く閉じられた彼の唇に自身の唇を重ねると閉じられた唇を舌で無理くりこじ開けキスをし始めた
そして自身の胸板で力なく拒絶を示すルカの手に指を絡ませると静かに唇を離し言った
「冗談、こっちはずっとこの日を楽しみにしてたんだ…」
ゲルハルトはにやりと笑いながらそう言うと、ルカの弱い部分を服の上から掴み上げた
「っ…おまえなんか…」
誰もいない森に二つの不浄な影が重なりあい、ざわつく木々の音でその声はかき消されていった_____
彼が何をしているかなんて露知らず、ネリーは夕食の支度をしていた
「ジャガイモの皮は剥いたから次はっと…」
ネリーがそんな独り言を言っていると、突然ドアを叩く音が聞こえたので彼女はこんな時間にお客かと窓の外に目をやり思ったが
「はーい!」
と手を拭くきながら答え、料理を一時中断し急いで扉口へと向かった
戸を静かに開けるとそこには品の良さそうな若い男と、ブロンドの髪をもつ可愛らしい少年がつんとすまし立っていた
「こんばんは、失礼ですが魔術師シュタインマイヤー様のお宅はこちらで合っております
か?」
男は帽子を脱ぎ軽く会釈すると静かな口調でそう言った
「え…?ええ…そうですが…」
ネリーは今までルカを魔術師と呼ぶ人には会ったことがなかったので不審そうに男と少年を見つめた
「それで…女、魔術師は居るのか?」
少年はずいっとネリーの前に踏み出すと偉そうな口調でルカの所在を聞いてきた
「あ…今留守なんです…(女って…何この子…)」
ネリーは少年の態度にイラっとしたが表情には出さないよう困り顔で答えた
「それは困りましたね…」
男と少年は困り顔でお互いの顔を見あった
「あ、でももうちょっとしたら戻って来るかも知れないんで中で待っていては?」
彼女は暗くなってから来た客は断れとルカに言われていたが、二人がとても不敏に思えたのでその言いつけを破り二人を中へと招き入れた
ルカの帰りを待つ二人にネリーはまだ馴れない手つきでハーブティーを入れはじめた
「どうぞ」
二人にお茶をあてがいながらネリーが言う
「いい香りのお茶ですね…」
男はカップを持って深く香りを嗅ぐと美味しそうに飲み始めた
「ああ、それはえーと…レモングラスとレモンバーベナというハーブのお茶なんです」
ネリーは最近覚えたハーブの名前を思い出すように言うと照れ臭そうに頭をかいた
「なるほど…」
「………」
それから気まずい沈黙が流れたのでネリーは疑問に思っていたことを男から聞き出そうと口を開いた
「そう言えば、何でルカが魔術師だってこと知っているんですか?
一応表向き翻訳家と薬草療法士って事にしてるはずですが…」
ネリーの問いに男はコップをテーブルに置くと静かな口調で話し始めた
「ええ…実は知人に彼を詳しく知るものがおりまして、聞いたところ彼は悪霊払いにも
長けているとの事でしたので…」
悪霊払いをルカが…とネリーは驚くとともに、この二人の依頼が悪霊の関わる依頼なのだと思い不安になった
その時玄関の戸が開きルカが帰って来た
「もう今日は閉めたはずですが…?」
入って来るなり二人の存在に気付いた彼はそう言うと不機嫌そうにネリーを睨みつけた
「(やばい…)あ…ごめんなさい…でも二人ともルカの帰りを長いこと待ってたんだよ?だから話だけでも…」
ネリーが少し話を盛り彼を説得していると今まで黙っていた少年が急に立ち上がりルカの方に進み出た
「お願いだ!もうあなたしか頼れる人がいないんだ!
短期間の内に何人も殺されている…このままじゃ僕らも同じように悪魔に殺されてしまう…」
少年は今にも泣き出しそうな面持ちでそう言うと拳を強く握りしめうつむいてしまった
悪魔という言葉にルカ眉を引きつらせ
「話しを聞こうか」
と言い少年の目線にまでしゃがむと彼の頭を優しく撫でてやった
「あ…ありがとう…」
その言葉に少年の表情はぱーっと明るくなったのでネリーほっと胸を撫で下ろした
「そう言えば自己紹介がまだでしたね…
こちらは亡き先代の後を継いで若くして領主になられたユリウス・ベルンシュタイン伯爵でございます
私めはベルンシュタイン家で家令をしてりますアルベルト・バウアーといいます…以後お見知り置きを…」
アルベルトはそう言うと礼儀正しく一礼した
(貴族だったんだ…だからルカと同じで偉そうだったのかな…?)
二人の顔を見比べながらそんな事を思っていると、まるで見破られたかのようにルカに睨まれネリーはびくりと体を震わすと気まずそうにキョロキョロと視線を泳がせた
「最初は不審な音から始まりまして…家鳴りのような…屋敷のものは誰も気しておりませんでしたが…そんな些細な音だったのです
それから数日後、事態は急変しました…今まで何事もなく働いていたものたちが次から次と事故に遭ったり病気になったりと中には気を病んで自害するものまででる始末…」
アルベルトは今まで屋敷で起きた不可思議なことの数々を語った
それに続くようにユリウスも言葉を切り出す
「そしてそれからが酷かった…あの惨たらしい殺人事件だ…
最初はマリアという侍女、その次は従僕のハンネス…他にも数人…みんな目を潰され心臓を抜き取られていた…
しかしその中で同じく従僕のヨアヒムはどうにか逃れて生き延びたんだ…彼はマリアの知り合いの息子として家に来た使用人だ
助かった彼も二人の被害者同様目を鋭い刃物で切られ潰されたが、彼は目を潰される前に犯人を見たそうなんだ…
その男は漆黒の髪に燃えるような赤い瞳を持ち自らを悪魔と名乗ったそうだ…
使用人達の間には呪われた屋敷だの悪霊の住処だのと噂が立ち辞めて行ったものもいる…
一応残った使用人達には休みを与えているが…このままあの家に住み続けるのは僕としても不安なんだ…」
ユリウスは震えながらそのように言うとうつむき黙り込んだ
「酷い…」
ネリーはあまりにもおぞましいその内容にショックを受けた
「警察にも捜査を依頼したのですが、何せ目撃証言がそれだけですしね…これといった手がかりも見つからずで…
ならば悪魔という可能性もあると司祭にも悪魔祓いをお願いしたのですがなんら変わりもないまま…
そんな中知り合いからシュタインマイヤーさん、あなたの噂を聞いたのです
屋敷は早くに病気でお亡くなりになった旦那様と奥様がユリウス坊っちゃまと過ごされた思い出の場所…そして歴代領主が守り抜いた貴重な財産…我ら使用人にとってもそれは同じなのです…
悪魔の脅威でベルンシュタインの名を途絶えさせる訳にはいきません…どうかお願いします!あなたのその力で…」
身を乗り出して必死に訴えるアルベルトにルカは少し考えるような表情を見せたのち頷くと
「わかりました、ではそちらでの準備もありますから今から伺いましょう
明日からは誰も犠牲者を出さぬようこちらも手を尽くしてみます」
ルカの言葉に二人は安心したように顔を見合わせた
洗濯が片付いたネリーはルカの部屋の掃除に取り掛かっていた
(いつも思ってたけど…本当、いっぱいあるなぁー…)
ネリーは本棚の本の多さに感心しながらはたきで掃除していた
その時ある本が目に留まる
それは魔術の本らしくネリーにも分かる字で書かれてあったので彼女は好奇心からそれを手に取った
「私にも読める字の本があったなんて今まで知らなかった…」
ネリーはパラパラとページをめくると掃除を忘れ読みいってしまった
「ルカもこんな事してるのかな…?」
彼女が独り言をいいながら本に夢中になっていると、そこにルカが入って来てネリーから本を取り上げてしまった
「おい、掃除はどうした?それに勝手に人のものを見るんじゃない」
ルカは本を棚に戻しながらネリーに注意する
「だって、つい…それに私、助手なのに全然魔術教えてもらってないから…」
彼女は脚立から下りると箒で床をはきながら不満そうに言う
「はあ…何度言ったら分かるんだ、僕は助手に魔術を教えるつもりはない」
彼はため息をつきながら引き出しから何かを取り出すと、ぐちぐち言いながら掃除をするネリーの頭をぽんぽんし一枚の複雑な絵柄の描いてある紙切れを手渡した
「?これ…何?」
それがなんなのか分からないネリーは不思議そうに彼に問うすると彼は
「それは護符だ
君が危険にさらされた時それが身代わりとなって助けてくれるだろう
まあ、護符の作り方くらいなら今度時間がある時にでも教えてやってもいいけどな…」
「護符…こんな紙切れが本当に守ってくれるのかなぁ…でもそれが本当なら役に立つ魔術よね、ありがとう
でも私が危険な目に…?どういうこと…?」
ルカの言ったことに疑問を抱いたネリーは不安そうに彼に聞いてみた
「全く、自分が今までどんな危険にあってきたのか忘れたのか?」
ルカは呆れたように頭をかかえた
「あー…そう言えば…」
ネリーはこれまでの事を思い巡らせた
妖精に騙され魔物に襲われたことや、見知らぬ男に襲われそうになったこと…そして納得したようにうんうんと頷く
「一応用心に越したことはないだろう…」
彼はそう言うと帽子を被りどこかへ出掛ける支度を始めたので、ネリーは護符をポケットにしまうとエプロンを外しながら
「ルカ?どこかに行くの?それなら私も…」
と言ったがルカは
「いや、今日はいい…どうせこの辺だしすぐ帰るから…」
と言って部屋を後にした
「あ、そう…行ってらっしゃい」
ネリーは少し残念そうに呟き、二階の窓から彼を見送るとエプロンをかけなおし
「はあ…さっさと終わらせるか」
と言い腕まくりをし箒を握り締めると掃除の続きに取り掛かった_____
その頃ルカは町外れの森の中ゲルハルトと会っていた
「早く終わらせてくれ」
ゲルハルトは嫌そうに言うルカの顎を軽く引くと腰を抱き寄せ、固く閉じられた彼の唇に自身の唇を重ねると閉じられた唇を舌で無理くりこじ開けキスをし始めた
そして自身の胸板で力なく拒絶を示すルカの手に指を絡ませると静かに唇を離し言った
「冗談、こっちはずっとこの日を楽しみにしてたんだ…」
ゲルハルトはにやりと笑いながらそう言うと、ルカの弱い部分を服の上から掴み上げた
「っ…おまえなんか…」
誰もいない森に二つの不浄な影が重なりあい、ざわつく木々の音でその声はかき消されていった_____
彼が何をしているかなんて露知らず、ネリーは夕食の支度をしていた
「ジャガイモの皮は剥いたから次はっと…」
ネリーがそんな独り言を言っていると、突然ドアを叩く音が聞こえたので彼女はこんな時間にお客かと窓の外に目をやり思ったが
「はーい!」
と手を拭くきながら答え、料理を一時中断し急いで扉口へと向かった
戸を静かに開けるとそこには品の良さそうな若い男と、ブロンドの髪をもつ可愛らしい少年がつんとすまし立っていた
「こんばんは、失礼ですが魔術師シュタインマイヤー様のお宅はこちらで合っております
か?」
男は帽子を脱ぎ軽く会釈すると静かな口調でそう言った
「え…?ええ…そうですが…」
ネリーは今までルカを魔術師と呼ぶ人には会ったことがなかったので不審そうに男と少年を見つめた
「それで…女、魔術師は居るのか?」
少年はずいっとネリーの前に踏み出すと偉そうな口調でルカの所在を聞いてきた
「あ…今留守なんです…(女って…何この子…)」
ネリーは少年の態度にイラっとしたが表情には出さないよう困り顔で答えた
「それは困りましたね…」
男と少年は困り顔でお互いの顔を見あった
「あ、でももうちょっとしたら戻って来るかも知れないんで中で待っていては?」
彼女は暗くなってから来た客は断れとルカに言われていたが、二人がとても不敏に思えたのでその言いつけを破り二人を中へと招き入れた
ルカの帰りを待つ二人にネリーはまだ馴れない手つきでハーブティーを入れはじめた
「どうぞ」
二人にお茶をあてがいながらネリーが言う
「いい香りのお茶ですね…」
男はカップを持って深く香りを嗅ぐと美味しそうに飲み始めた
「ああ、それはえーと…レモングラスとレモンバーベナというハーブのお茶なんです」
ネリーは最近覚えたハーブの名前を思い出すように言うと照れ臭そうに頭をかいた
「なるほど…」
「………」
それから気まずい沈黙が流れたのでネリーは疑問に思っていたことを男から聞き出そうと口を開いた
「そう言えば、何でルカが魔術師だってこと知っているんですか?
一応表向き翻訳家と薬草療法士って事にしてるはずですが…」
ネリーの問いに男はコップをテーブルに置くと静かな口調で話し始めた
「ええ…実は知人に彼を詳しく知るものがおりまして、聞いたところ彼は悪霊払いにも
長けているとの事でしたので…」
悪霊払いをルカが…とネリーは驚くとともに、この二人の依頼が悪霊の関わる依頼なのだと思い不安になった
その時玄関の戸が開きルカが帰って来た
「もう今日は閉めたはずですが…?」
入って来るなり二人の存在に気付いた彼はそう言うと不機嫌そうにネリーを睨みつけた
「(やばい…)あ…ごめんなさい…でも二人ともルカの帰りを長いこと待ってたんだよ?だから話だけでも…」
ネリーが少し話を盛り彼を説得していると今まで黙っていた少年が急に立ち上がりルカの方に進み出た
「お願いだ!もうあなたしか頼れる人がいないんだ!
短期間の内に何人も殺されている…このままじゃ僕らも同じように悪魔に殺されてしまう…」
少年は今にも泣き出しそうな面持ちでそう言うと拳を強く握りしめうつむいてしまった
悪魔という言葉にルカ眉を引きつらせ
「話しを聞こうか」
と言い少年の目線にまでしゃがむと彼の頭を優しく撫でてやった
「あ…ありがとう…」
その言葉に少年の表情はぱーっと明るくなったのでネリーほっと胸を撫で下ろした
「そう言えば自己紹介がまだでしたね…
こちらは亡き先代の後を継いで若くして領主になられたユリウス・ベルンシュタイン伯爵でございます
私めはベルンシュタイン家で家令をしてりますアルベルト・バウアーといいます…以後お見知り置きを…」
アルベルトはそう言うと礼儀正しく一礼した
(貴族だったんだ…だからルカと同じで偉そうだったのかな…?)
二人の顔を見比べながらそんな事を思っていると、まるで見破られたかのようにルカに睨まれネリーはびくりと体を震わすと気まずそうにキョロキョロと視線を泳がせた
「最初は不審な音から始まりまして…家鳴りのような…屋敷のものは誰も気しておりませんでしたが…そんな些細な音だったのです
それから数日後、事態は急変しました…今まで何事もなく働いていたものたちが次から次と事故に遭ったり病気になったりと中には気を病んで自害するものまででる始末…」
アルベルトは今まで屋敷で起きた不可思議なことの数々を語った
それに続くようにユリウスも言葉を切り出す
「そしてそれからが酷かった…あの惨たらしい殺人事件だ…
最初はマリアという侍女、その次は従僕のハンネス…他にも数人…みんな目を潰され心臓を抜き取られていた…
しかしその中で同じく従僕のヨアヒムはどうにか逃れて生き延びたんだ…彼はマリアの知り合いの息子として家に来た使用人だ
助かった彼も二人の被害者同様目を鋭い刃物で切られ潰されたが、彼は目を潰される前に犯人を見たそうなんだ…
その男は漆黒の髪に燃えるような赤い瞳を持ち自らを悪魔と名乗ったそうだ…
使用人達の間には呪われた屋敷だの悪霊の住処だのと噂が立ち辞めて行ったものもいる…
一応残った使用人達には休みを与えているが…このままあの家に住み続けるのは僕としても不安なんだ…」
ユリウスは震えながらそのように言うとうつむき黙り込んだ
「酷い…」
ネリーはあまりにもおぞましいその内容にショックを受けた
「警察にも捜査を依頼したのですが、何せ目撃証言がそれだけですしね…これといった手がかりも見つからずで…
ならば悪魔という可能性もあると司祭にも悪魔祓いをお願いしたのですがなんら変わりもないまま…
そんな中知り合いからシュタインマイヤーさん、あなたの噂を聞いたのです
屋敷は早くに病気でお亡くなりになった旦那様と奥様がユリウス坊っちゃまと過ごされた思い出の場所…そして歴代領主が守り抜いた貴重な財産…我ら使用人にとってもそれは同じなのです…
悪魔の脅威でベルンシュタインの名を途絶えさせる訳にはいきません…どうかお願いします!あなたのその力で…」
身を乗り出して必死に訴えるアルベルトにルカは少し考えるような表情を見せたのち頷くと
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