魔術師の仕事

阿部うりえる

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3章

2 銀色の記憶

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その頃ルカはうなされ続けるネリーを付きっ切りで見守っていた
「いったい何が君におきたんだ…」
ルカはネリーの手をきつく握り締めた

どのくらい時間が過ぎたのだろう…ネリーは暗闇の中目を覚ました
しかし目が慣れるにつれ、そこがまたルカの部屋ではないどこか知らない場所だと悟ると彼女はため息をついた
そしてふらつきながら立ち上がるとすこし頭痛のする頭を抑え歩き出した
「ここどこだろう…」
そこはどこかの建物の中らしく、置物や内装からきっと裕福な人の家であることが容易に想像できた
長い廊下に出た彼女はふらふらと歩いているうちに一つの明かりの漏れる部屋を見つけ立ち止まった
(どうしよう…勝手に入った事になってるから怒られるだけじゃ済まないかも…)
ネリーが家主に見つからないうちに近くの窓から外に出ようとしたその時、鍵を回す音とともに部屋の扉がいきなり開き中からシルバーブロンドの長髪の少女が飛び出して来たので、ネリーは慌てて少女に事情を説明しようとした
しかしその少女の顔を見た瞬間ネリーは血の気が一気に引きその場に凍りついた
「私…?」
なぜならその少女はさっき自分が引き止めようとした少女で、その顔は近くで見ると自分とうり二つだったからだ
少女は手を赤く染め、片手にべっとりと血のついたナイフを握り締め出て来た部屋を振り向き怯えたような表情で見たのち後ずさりながら何かうわ言のように呟くと、ナイフを床に投げ落とし泣きながらネリーの横を走り抜けどこかへ行ってしまった
どうやらその少女にはネリーの姿は見えていないようだ
ネリーは少女が出て来た部屋へ恐る恐る近づいた
入り口付近には先ほどの少女が投げ捨てた凶器が転がっている
彼女は恐る恐る見覚えのあるそれを拾い上げる
「これ…あの短剣に似ている…」
部屋はどうやら寝室らしく大きなベッドと高価そうな家具が蝋燭の明かりに照らされ閑散としていた
そして床には生々しい無数の血痕が絨毯にシミをつくっていた
その血痕を目で追って行くと誰かがベッドの横に倒れているのを見つけネリーははっとし急いでその人に駆け寄った
「大変!大丈夫ですか!?」
ネリーは腹を押さえてうつ伏せ状態のその人に駆け寄ると、息を確認するために仰向けにした
「!!」
しかしその顔を見てネリーは酷く驚いた
そう、彼は髪の色は違えどいつか市場で会ったことのある男に酷似していたからだ
「この人…あの時の?」
彼女がそう呟くと男は苦痛に顔を歪めながら目を開きネリーの方を見上げ、血で濡れた片手で彼女の頬を触り息を切らしながら口を開いた
「…戻って来たのか…私の可愛い娘…
私はお前を誰にも渡したくなかったんだ…ゾフィアもう一度…もう一度私に…」
男はそう言いながらネリーの胸元を力なく引っ張ると血を吐き出しぐったりとうな垂れた
「や、だめ…」
ネリーは男の手を握り返したが、すでに彼は息絶えていた
彼の言った事からさっきの少女はどうやら彼の娘だということが分かりネリーは彼女の後を追おうと立ち上がった
「あ…」
しかし再びあの眩暈が襲いネリーは倒れかける
が、後ろから誰かに支えられネリーは倒れずにすんだ
なぜかその感じが市場で男に支えられ転ばずにすんだあの時とだぶった
ネリーは支えられたまま後ろを確認すると、そこには今確かに死んだはずの男が自分を支え微笑んでいたのでネリーは酷く驚き男の腕から離れた
「どうしたんだ?ゾフィア」
男は何事もなかったように微笑み、腹からは血さえ出ていない
「どうして…」
ネリーは壁際に後ずさりながら混乱した
だってさっき確かにこの男の死を自分は見たはずだ、まるで夢でも見ているかのような…しかしそれを夢と片付けるにはあまりにはっきりしすぎてやはり彼女には現実にしか思えないのだった
「ゾフィアなぜ私から逃げる?さあこっちへ来なさい」
男はネリーに詰め寄ると腰に手を回し自分の方へ引き寄せ、ドレスの上から彼女の尻を撫で回すようにさわった
「きゃ!」
ネリーは男の突然の行為驚き彼を突き飛ばした
「どうした?いつもしているだろ?」
男はははと笑うと再び彼女に触れようと手を伸ばす
「いや!触らないで!」
ネリーは恐怖から男の手を強く払い除けた
男は脅えるネリーをきっと睨みつけると平手で彼女の頬を叩いて
「どうやら仕置きが必要だな?さあ来い!」
男は嫌がるネリーの腕を掴むとズルズルと引きずりベッドに押し倒し馬乗りになった
「い、いや!何するの!?止めて!」
抵抗しジタバタもがくネリーの両手首を頭の上の方で押さえつけながら男は彼女の片足に自身の片足を絡ませ自由を奪う
「分かってるだろ?」
男は息を切らしながらネリーのスカートを捲り上げる
「な…だめ!」
捲り上げられたスカートからは白い足が露わになり、ネリーは恐怖から一層力を入れて抵抗した
「止めてお願い!人違いなの!私はあなたの娘じゃないの!」
その言葉を聞いていないように男は首をかしげ鼻で笑うと彼女の内太ももを指の腹で撫で回した
「!!」
ネリーはその感覚に目を見開きびくんと身体を反応させる
「その気になってきただろ?」
男は抵抗するネリーをの両手を押さえつけながら、予めベッドの両端に備え付けられていたらしき手枷で彼女の両手の自由を奪った
「たまには趣向を変えるのも悪くないな」
男は手枷につながれたネリーを見下ろしながらにやにやと笑うと彼女の股ぐらに顔を埋め太ももや膨らみにキスをほどこしながら服を脱ぎ、興奮し高くそそり立つそれを露出させた
「!!」
ネリーは初めて見る硬そうで巨大なそれに恐怖し、手枷を外そうと手を動かしたり触れられまいと足をきつく閉じるが男はそんな彼女の足を軽々胸元まで持ち上げると膨らみを隠す布を短剣で切り裂いた
哀れ繋がれた状態で秘所丸出しの少女は恐怖に怯え顔を赤らめることしかできなかった
(誰か…怖い!怖い!誰か助けて…助けて!)
彼女は心の中で強く訴えた
その時、片方の手枷が緩み右手の自由が戻ったことに彼女は気付く
男に視線を戻すとどうやらまだ気づいていないようだ…
ネリーはベッド横のテーブルに男が置いたあの短剣を見つけると、彼女の膨らみをかき分け入念に舐め回す事に夢中になっている彼を気にしながらそっと右手を短剣に伸ばした
男から受ける初めてのいやらしくて生々しい刺激に意識が何度も飛びそうなりながらも彼女は必死に短剣を手にしようとした
そして指先で引き寄せた短剣がついに彼女の手に握られたその瞬間、彼女はまた激しい頭痛に襲われ意識をなくしてしまった
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