魔術師の仕事

阿部うりえる

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4章

6 迫る期日、新たな脅威

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「やっぱり君は女の子のかっこの方が似合ってるよ」
ゲルハルトがネリーに抱きつきながら愛おしそうに言う
「って、女の子なんだから当たり前じゃないですか!」
ゲルハルトに抱きつかれることにも慣れてしまったネリーが呆れたように言う
護符はというとあれから侍女がドレスを洗濯してしまったため、使い物にならなくなってしまったのである
「はあ…それにしてもおまえ、どこまで着いて来る気だ?」
ルカは二人の行動を呆れたように見ながらゲルハルトに聞いた
「そうだな…どうせやることもないしこのままおまえたちについていこうかな?」
ゲルハルトはルカの横に回り込みにこにこしながらそのように言った
「だめだ!」
ルカが即答する
「ネリーと何かいいことする予定があるからか?」
ゲルハルトはルカの耳元でそのように囁くと悪戯っぽくクスクスと笑った
「そんなわけないだろ!!」
ゲルハルトのその言葉にルカは顔を真っ赤にして大声で否定した
ルカの意外な反応にゲルハルトは目を丸くし、ネリーもまた突然大声を上げたルカに驚きびくりと体を震わせた
「ルカ…突然どうしたの!?」
ネリーがルカの顔を覗き込みながら心配そうに聞く
「あ…何でもない…」
ネリーの顔を見てルカはさらに顔を赤らめた
「ん?もし俺が一緒に住んだら迷惑だよな?って言ったらルカの奴そんな事ないって大声で歓迎してくれたんだよ」
調子に乗ったゲルハルトがそんな作り話をネリーに言って聞かせる
「は!?」
何を言い出すんだと言った感じでルカがゲルハルトの方に振り向く
「えー!?じゃあゲルハルトさんも家に住むの!?…でもさっきルカがダメみたいなこといってたような…ルカ本当なの!?」
ゲルハルトがにやりと笑いながら何かを企んでるような悪魔の目でルカを見たので、ルカは一瞬背筋が凍るような感覚を覚えた
そして諦めたように大きくため息をつくと
「ああ…」
とネリーに背を向け言った
「えー!?そんなぁー…まあ、ルカが言うなら仕方ないよね…ルカのお家なんだし…」
ネリーは先が思いやられるといった風にため息をついた
「これでネリーの手料理が毎日食べれるな」
ゲルハルトはネリーの肩を抱き愉快そうに笑う
「だからそうやってすぐに触ったりとかしないで下さい!それに自分の家はどうしたんですか!?」
ネリーはべたべたしてくるゲルハルトを払いのけ頬を膨らませた
「実は女に追い出されたんだよ…」
これもまたゲルハルトの作り話なのだが、どうやらネリーはそれを真に受けているらしい
(またこいつは嘘ばかり…それにしてもいったい何を考えてるんだ?一緒に住むなんて…もしかして…)
彼と交わした約束、愛する者を奪われる日が近づいてることにルカは焦りを感じた
そして何よりも自分と悪魔の繋がりも知らされていないネリーへの罪悪感に心が痛むのだった_____

その頃ナベリウスはというと、ある町の酒場でフードを深くかぶり顔を隠すようにして誰かを待っていた
彼は地上で人間の姿を取らないので人前ではいつもこのようなかっこをしていた
しばらくすると二階から若い女の笑い声とともにブロンドで目鼻立ちのいい若い男の声が聞こえてきたので、ナベリウスは少し顔を上げて赤い目で声のする方を見上げた
階段から下りてくる男の両腕には若い娼婦たちがまとわりついっている
男はへらへらと笑いながら彼女たちと喋っていたが、ナベリウスの存在に気付くと女たちに別れを告げ彼とともに酒場を出て人気のない路地裏へと移動した
「人買いが謝礼に色を付けてくれたんだ、断るのもなんだからな…そのせいで昨日は一日中彼女らに付き合わされたよ
おまえの分もあったのに女には興味ないんだもんな?」
その男は笑いながらナベリウスの肩を抱いた
「私だって女くらい抱くさ、誰でもいいってわけではないだけで
それより、ハーメルンで会った契約者のことだが…部下もやられて笛も壊されたよ」
肩に置かれた手を苦笑しながらどかしナベリウスが言う
「ふーん…それじゃあもう人さらいで商売は出来ないな、で?その魔術師はどんな奴だった?」
「歳はおまえより下のようだったな…悪魔の方は元人間の奴で、調べてみたら一緒にいた女や魔術師の方と何か前世で繋がりがあった奴だった」
腕を組み壁にもたれかかりながらナベリウスが言う
「へー、面白そうだ…一度彼らに会ってみようか…」
男は少し考えるようなしぐさを見せたのち、何か企んでいるかのような怪しい笑みを浮かべ呟くようにそう言った_____
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