願いがかないますように…

kitahara

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トウゴ迫られる。

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 二人の間に穏やかな時間が流れ、オリビアも落ち着きを見せた頃、優しく撫でていたトウゴの手が腰で止まった。


 「なあ、オリビア」

トウゴに呼びかけられ、顔を上げて「?」目線で問いかける。

 「生きてほぼ、3年ぶりに会いにきた許嫁に」

 少し間を置いて、思わぬことが聞こえた。

 「ご褒美は?」

 「えっ?ご褒美?」

ご褒美????何?

 「そう、ご褒美。くれてもいいと思うんだけど」

ニッコリ…大人なのに思惑無さそうに本当にニッコリ笑ったトウゴ。

ただ、腰で止まっていた手をゆっくり動かし始めた。

 「何をあげればいいの?」

なんか、手が…

「そうだな…挨拶が欲しいな。大人の。」

 大人の挨拶って…。

 「大人の…でもあれは」

 「昔、話していただろ。あれが欲しい」

大人の挨拶…。

 当時、城に滞在中のトウゴを避けていたオリビアが、偶然目撃した出来事が発端だった。

 例え、婚約者のいる身であっても成人に達していない年端のいかないオリビアは、夜会はもちろん社交界の場には、出席が許されていない。

そんなオリビアが出れない夜会には、他国の王子であるトウゴは、当然の如く礼儀と義務として出席しなければならず、時には考えさせられる事にあうことも多々ある。

 例の如く侍女に隠れて懲りずに自室を抜け出したオリビアが庭園で月を観ようと、歩いていると誰かがいる気配に咄嗟に木の陰に隠れた。

誰?


離宮の庭園は通常では誰も入れなかったが、トウゴの滞在中は、限られた者だけ通行が許されていた。
その場所に人が居るならば、トウゴ関係か、家族だけだった。
うっかり忘れていたオリビアであったが、それでも通常であれば、一貴族が入れる場所ではなかった。

その中の誰?と思っていると、先を歩いていた人に走ってきた人がぶつかる様に飛び込んだ。

 「王子…」

と、トウゴの腕に垂れかかる女性とその女性を支えるトウゴがいた。
 見つめる先で女性がトウゴに口づけていた。

あっ…。

 重なり合った二人のシルエットに驚きのあまり、固まったままオリビアは立ち尽くしていた。

 背の高い整った精悍な顔立ちのトウゴは、御婦人方にモテた。

 第3王女の婚約者であっても相手がまだ少女であるため。
その年齢を事ある毎に引き合いに出され、トウゴの身分からも側妃の座を狙って、未亡人は元より未婚の令嬢からも、はたまた既婚者である婦人たちから常に秋波を送られていた。


モテると噂は聞いていた。

 一応、婚約者であった為、教えてくれる者もいたから。

しかし、聞いて知ってはいた事と実際に見る事では大きく意味合いも衝撃も違う。



 自国の王女の婚約者である事を知っていて王子に想いを告げる女性を前に眉をひそめる。

 「あ?」

 「一時、一時でいいのです。王子のお時間を私に下さい。」

 可憐な姿で押せ押せの一手を持って王子に迫る女性。

 「はあ…仮に。時間を持ったとして?」

その姿に呆れながらも問いかけると、

 「王子のお側において頂ければ…それだけで…」

 「…側におく?」

 「それは…王子の良き様にして頂ければ…」

 自分の容姿に自信を持っているのか、言葉に性的なニュアンスを含ませて頬を染めてトウゴを見上げた。

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