願いがかないますように…

kitahara

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つきつけられた立場。

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オリビアが何となく気づまりを感じていると、ロードが

「オリビア様は…」

 「え?」

 「オリビア様は…この婚約をどうされるおつもりですか?」

 婚約をどうする…?

トウゴが生きていた事も婚約が継続していた事も昨日知ったばかりのオリビア。

 知りえたばかりの情報で、考えも纏まっている訳ではなく、尋ねられている事が解らず首を傾げた。

それをみてロードが更に言葉を付け加える。

 「わが国では、内戦が終結して日も浅く、この時期に将軍であるトウゴが国を離れることを反対しました。況してや、セレス王国に行くとなると…」

セレス王国に行くと?

 「?」

オリビアの困ったような表情に

「…数年前、王の命令を背いて、トウゴが勝手に取り交わしたこの婚約を正直、わが国では歓迎していません」

…。


トウゴが勝手に取り交わした婚約。
 歓迎していない?

トウゴの父王が望んだ姉たちとの縁談をあっさり放棄して自分との縁談をごり押しして結んだ婚約は、当事者のトウゴ以外誰も望んでいなかった…?

ロードの言葉は…軍事に重きをおいた国では、オリビアとの婚約をその程度の認識として捉えていたことが知れる事で…。

 昨日から丁寧に説明をしてくれてはいても何となく素っ気なく冷たく感じたロードの態度にオリビアは、彼からいい印象を持たれていないことを解っていた。

まあ、面と向かって歓迎していないと聞くとは思ってはいなかったが…。


 「セレス王国とわが国は、トウゴとオリビア様の婚約のみで繋がっている関係であり、同盟国ではありませんでした」

 同盟国…持つ意味は、有事の際の協力体制と抑止力。

 軍事に重きをおいた国と同盟国ではない。

これは、相互に何があっても関係ない事で、3年以上にわたるトウゴの国での内乱にもセレス王国は、我関せず、預かり知らぬことで通した。

 何一つ変わりのなかったセレス王国の日常。


 誰も望んでいなかった。

 「ぁ…」

ロードの言葉は、やっと再会して、気持ちを伝えあって間もないオリビアを戸惑わせるには十分で…。

 事実を突きつけ、何も考えついていない状態でのオリビアに今後の決断を迫っていた。

 

「ロード、やめろ」

 突然トウゴの声が聞こえ、対峙したロードのと間に悩むオリビアの目の前を大きな身体が視界を遮った。



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