12 / 32
アリーシャ sideストーリー
憧れの王子様の正体は…。
しおりを挟む
颯爽と…幾分早くいや…駆け足で………猛スピードで!走り去った彼は、見る間に彼女たちの前から消え去る…。
後に残されたのは、舞い上がる木の葉と何やら折れる音と地響き…。
……。
コホンッ…立ち去っていった彼の名は、近衛隊所属・ダグラス・ギールズ。
エリート集団・近衛隊の一員にして有名人。
皇太子直属の近衛騎士に任命され、弱冠20歳で隊長職を拝したほどの実力者。
普通なら、花形職だけでもモテモテなのに…彼に与えられるのは、歓喜の悲鳴ではなく、恐怖の悲鳴だった…(笑)
彼を真近で対面した者は、恐ろしさのあまりほぼ悲鳴を上げるか立ち尽くし失神か逃げ出すかのどれかに該当した。
そして、今もまた、王女の無事を純粋に喜ぶでもなく、噂に違わぬと…彼との遭遇に、恐怖に固まって立ち尽くし、泣き崩れている侍女たち。
だからなのか、そんな自分の置かれた状況をよく知る彼は、王女を助けながら、そそくさと、立ち去っていった…と乳母は憂いだ。
実際は…単に勤務時間に遅刻しそうになっていたダグラスは、通常ルートを外れて通ってはいけない道を抜け道代わりに使っていた事にばつが悪く…慌ててその場を走り去ったに過ぎなかったのだが、そんなことを知らない乳母は、深く深く彼に感謝する。
…乳母の心、ダグラス知らず。
まあ、それだけではなく、己の評判をよく解っていた彼は、混乱を招く前に立ち去ったのは遠からず感じるものがあったのか…。
古くから城勤めをする乳母は、幼い頃のダグラスを知っていた。
無口で表情の変化があまりないものの穏やかで思慮深い子供だった。
そんな子供は、年の近い子には敬遠されていたが、古参の城勤めの者達には可愛がられていた。
生れつき目つきが鋭く強面で人より恵まれた体格は、成長するに従って拍車をかけて、周囲の者に威圧感を与え、元々口数が少ない彼の言動は、更に誤解を生んでいた。
そんな彼を不憫に思いながら、この場で只一人現状を把握していた乳母は、王女を助けてくれたダグラスに、大事に至らず済んだ事へ感謝の思い込めて走り去っていく彼の……去った後を見つめていた。
危険な事はもちろん…王女に怪我をさせてしまえば、自分たちお付き者は、ただでは済まない処か一族郎党に咎が下りたであろう事を乳母は、十分理解していた。
そして…ここに乳母と違う意味で彼を…視た者が一人。
それは彼によって、助けられた幼い王女。
乳母の腕の中で、彼女は小さくつぶやく…。
「…見つけた」
目の前を硬い胸とくガッシリした腕で包まれた…優しく抱きしめる彼を、思い出し、見開いた彼女の瞳は、まるで憧れの王子を見つけたようにキラキラと光っていた。
この時、彼女は 4歳。
将来の伴侶をみつける…。
後に残されたのは、舞い上がる木の葉と何やら折れる音と地響き…。
……。
コホンッ…立ち去っていった彼の名は、近衛隊所属・ダグラス・ギールズ。
エリート集団・近衛隊の一員にして有名人。
皇太子直属の近衛騎士に任命され、弱冠20歳で隊長職を拝したほどの実力者。
普通なら、花形職だけでもモテモテなのに…彼に与えられるのは、歓喜の悲鳴ではなく、恐怖の悲鳴だった…(笑)
彼を真近で対面した者は、恐ろしさのあまりほぼ悲鳴を上げるか立ち尽くし失神か逃げ出すかのどれかに該当した。
そして、今もまた、王女の無事を純粋に喜ぶでもなく、噂に違わぬと…彼との遭遇に、恐怖に固まって立ち尽くし、泣き崩れている侍女たち。
だからなのか、そんな自分の置かれた状況をよく知る彼は、王女を助けながら、そそくさと、立ち去っていった…と乳母は憂いだ。
実際は…単に勤務時間に遅刻しそうになっていたダグラスは、通常ルートを外れて通ってはいけない道を抜け道代わりに使っていた事にばつが悪く…慌ててその場を走り去ったに過ぎなかったのだが、そんなことを知らない乳母は、深く深く彼に感謝する。
…乳母の心、ダグラス知らず。
まあ、それだけではなく、己の評判をよく解っていた彼は、混乱を招く前に立ち去ったのは遠からず感じるものがあったのか…。
古くから城勤めをする乳母は、幼い頃のダグラスを知っていた。
無口で表情の変化があまりないものの穏やかで思慮深い子供だった。
そんな子供は、年の近い子には敬遠されていたが、古参の城勤めの者達には可愛がられていた。
生れつき目つきが鋭く強面で人より恵まれた体格は、成長するに従って拍車をかけて、周囲の者に威圧感を与え、元々口数が少ない彼の言動は、更に誤解を生んでいた。
そんな彼を不憫に思いながら、この場で只一人現状を把握していた乳母は、王女を助けてくれたダグラスに、大事に至らず済んだ事へ感謝の思い込めて走り去っていく彼の……去った後を見つめていた。
危険な事はもちろん…王女に怪我をさせてしまえば、自分たちお付き者は、ただでは済まない処か一族郎党に咎が下りたであろう事を乳母は、十分理解していた。
そして…ここに乳母と違う意味で彼を…視た者が一人。
それは彼によって、助けられた幼い王女。
乳母の腕の中で、彼女は小さくつぶやく…。
「…見つけた」
目の前を硬い胸とくガッシリした腕で包まれた…優しく抱きしめる彼を、思い出し、見開いた彼女の瞳は、まるで憧れの王子を見つけたようにキラキラと光っていた。
この時、彼女は 4歳。
将来の伴侶をみつける…。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,035
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる