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アリーシャ sideストーリー
侍女の鑑
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その後も懲りない王女のやらかしは続く。
その度に、乳母は肝を冷やし寿命を縮めていく。
それらの出来事を、乳母は頭を抱え、言葉を濁し、決して語らず黙したまま各所に頭を下げた続けた。
数年後、老いを理由に職を辞するまで影日向になって王女を守った彼女の姿に感銘を受けていたごく限られた者たちは、最高位の礼をもって見送った。
彼女は、例え身内であっても王女の名誉のため多くの事を秘匿したまま去った。
彼女の後を継いで、王女付き侍女になった自身の娘に、幾つかの注意事項を記したメモを与えたのは、せめてもの親心であった。
王女取扱説明書…彼女が残したメモは後に、託された彼女の娘によってこう呼ばれる。
王女の乳母であった為、母でありながら接することなく成長した彼女の娘は、あまり乳母に対して思い入れがなかった。
侍女である彼女は、年の割に妙に冷めていた。
成長して城で対峙した母は、格上の侍女。
確実に登り始めた有能な娘に対しても、一線をかしての接し方は、徹底して決して甘い言葉などかけなかった。
辞していく乳母の姿を目にしても先輩同僚の退職として淡々と受け止め見送ったほどで。
けれど、その後母である乳母に深い感謝と共に、尊敬の念を持つ。
図らずも、自分と母を引き離さす原因となった王女によって。
王女をサポートする上で、大事な心得。
最初に目に飛び込んできたのは、デカデカと書かれた…「何よりも、柔軟で豪胆であれ」という一文。
何を馬鹿げた…助言だと、最初は驚きと共にあまり呆れる。
しかし、直ぐにその意味を知る事に。
今も母の残した一文は、胸にしっかりと肝に銘じている。
「何よりも、柔軟で豪胆であれ」
…それは、目の前の王女と対する上で何よりも大事な事だったから。
数年たって大分ましになったとはいえ、それは常人に範囲内での事。
事この王女に関しては、気を緩めてはいけなかった。
この規格外れの王女という生き物と折り合っていくには、柔軟な思考と豪胆な精神がなければ、務まらない。
真面目にまともにしていれば身体を壊すか、人格が崩壊してしまう。
そうならない為にも、ここは心してかかっていく。
キラキラと瞳を輝かす王女を前に…王女付き侍女、シーラの戦いは続く…。
その度に、乳母は肝を冷やし寿命を縮めていく。
それらの出来事を、乳母は頭を抱え、言葉を濁し、決して語らず黙したまま各所に頭を下げた続けた。
数年後、老いを理由に職を辞するまで影日向になって王女を守った彼女の姿に感銘を受けていたごく限られた者たちは、最高位の礼をもって見送った。
彼女は、例え身内であっても王女の名誉のため多くの事を秘匿したまま去った。
彼女の後を継いで、王女付き侍女になった自身の娘に、幾つかの注意事項を記したメモを与えたのは、せめてもの親心であった。
王女取扱説明書…彼女が残したメモは後に、託された彼女の娘によってこう呼ばれる。
王女の乳母であった為、母でありながら接することなく成長した彼女の娘は、あまり乳母に対して思い入れがなかった。
侍女である彼女は、年の割に妙に冷めていた。
成長して城で対峙した母は、格上の侍女。
確実に登り始めた有能な娘に対しても、一線をかしての接し方は、徹底して決して甘い言葉などかけなかった。
辞していく乳母の姿を目にしても先輩同僚の退職として淡々と受け止め見送ったほどで。
けれど、その後母である乳母に深い感謝と共に、尊敬の念を持つ。
図らずも、自分と母を引き離さす原因となった王女によって。
王女をサポートする上で、大事な心得。
最初に目に飛び込んできたのは、デカデカと書かれた…「何よりも、柔軟で豪胆であれ」という一文。
何を馬鹿げた…助言だと、最初は驚きと共にあまり呆れる。
しかし、直ぐにその意味を知る事に。
今も母の残した一文は、胸にしっかりと肝に銘じている。
「何よりも、柔軟で豪胆であれ」
…それは、目の前の王女と対する上で何よりも大事な事だったから。
数年たって大分ましになったとはいえ、それは常人に範囲内での事。
事この王女に関しては、気を緩めてはいけなかった。
この規格外れの王女という生き物と折り合っていくには、柔軟な思考と豪胆な精神がなければ、務まらない。
真面目にまともにしていれば身体を壊すか、人格が崩壊してしまう。
そうならない為にも、ここは心してかかっていく。
キラキラと瞳を輝かす王女を前に…王女付き侍女、シーラの戦いは続く…。
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