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第二章 少年編

第十七話 悲劇

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 「......はぁ。はぁ。はぁ。」

 夜の森をリリアとタマと走っている。

 リリアの表情は何が起きたのか分かってないような顔だった。

 タマはよくわからない。

 俺達はこの日を境に村をでた。

 
 ~その日の朝~

 俺がここに来てもう少しで、一年になる。

 もう少しで家に帰る予定だ。

 双子の妹の成長も楽しみだ。

 それに、今回帰ったらリリアとタマも一緒に帰ることになっている。

 リリアは単純に暇だから行くらしい。

 タマは、今回俺のペットが出来た報告する為と、普通に俺の家にも行ってみたいらしい。

 俺の家庭教師生活ももう少しで終わると思う。

 あれから、リリアは一気に成績が伸びた。やはり、一日に魔法の勉強を入れたのが良かったのだろう。

 俺もリリアも上級魔法を扱えるようになった。

 俺に関しては、混合魔法で、雷の魔法を多少扱えるようになった。

 まだ、少し相手をしびらせるぐらいのものしか打てないが。

 今回の家庭教師を受けたのは大正解だったと思う。

 おかげで、上級魔法や雷魔法も扱えるようにもなったし、剣の方も、フラウスさんと戦ったおかげで少しずつ成長していけていると思う。

 フラウスは剣を感覚で振っているため、模擬戦で技を盗むしかないため、成長が少し遅い。

 まあ、こればっかりは、文句を言ってもしょうがないと思う。

 教えてもらえているだけありがたいしな。

 今日は、休息日だった為、授業はない。リリアは村長とタマで村を散歩をいている。

 俺はそれを断って庭で自主練をする。これだけは欠かせない。

 俺が自主練を終える頃にはもう夕方だった。

 俺は村長の家に入ろうとしたとき事件が起こった。

 いきなり、村の警報の鐘がなった。

 この鐘は、村に何か起こる時にだけなるらしい。

 その鐘がなったということは、村で何か起きたのかもしれない。

 今のところ見えるような被害が出てる様子はない気はするが。

 俺は村の様子を見ようとしたところに村長達が帰ってきた。

 「急いで、家に避難しよう。まだ、何が、起きているか分からないし」

 俺達は村長の意見に従い、家に入った。

 家に入ると、アンリがいた。

 「何が起こったのですか?」

 「それがわしにもまだ分からんのんじゃよ」


 それから、村に様子を見に行ったのか、フラウスさんが帰ってきた。

 フラウスの説明によると、この村に、魔物の大群が押し寄せているらしい。

 どうしてこんなことになったのかは、まだ分からないらしい。

 今、村の人達が総出で倒しているらしい。

 俺も行くべきか迷ったが、ここに残ることにした。

 ここは、村の人達に任せた方がいいと思う。

 その瞬間いきなりドアが壊された。

 フラウスが、

 「伏せて!」

 と叫び、いきなり襲い掛かってきた一人の男の剣を塞いだ。

 「奇襲出来て、一人ぐらいやれると思ったんだがな」

 男は意外そうに言ったが口元に笑みを浮かべていた。

 俺はその男の顔もそうだが、発言自体が恐ろしかった。

 こいつは平然と人殺しをしようとしていたのだ。

 その後アンリがすぐに魔法で援護し、何とか男は少し引いた。

 村長は俺の方に振り向き、

 「レイ君。君にお願いがある」

 「なんですか?」

 「リリアを連れて逃げてくれ」

 村長は真剣な顔で言った。

 「おじいちゃんは逃げないの?」

 リリアが不安そうな顔で言った。

 「わしはこの村の村長じゃ。この村の皆を避難させてからわしも逃げる」

 笑顔でそんな事を言った。

 リリアはまだ何か言いたそうな顔をしていたが、

 「リリア。逃げるぞ」

 俺は村長の意見を尊重して言った。

 あれは、ちゃんと覚悟を決めて言っていることだ。

 だから、俺も覚悟を決めてこの子を逃がす。

 俺とリリア、タマは村長の家から逃げ出した。

 俺は魔物が押し寄せてきている方向と真逆の森に入った。

 冒頭に戻る。

 やはり、逃げるなら森の方がいいと思う。今なら反対に魔物が大勢いるから、こっちにはそんなにいないはずだ。

 俺の予想は当たり、やはりここにはあまり魔物がいなかった。

 魔物は今の俺の力でまだ何とか倒せる。

 それから、大分森を走っていた事で、相当深く入ったところで、一度休憩することにした。

 「今ならこの辺は魔物の気配はないニャー」

 タマはそう言った。

 「お前その力があるならさっきの男がくることもわかったんじゃないのか?」

 俺は少し責めるような、口調で言った。

 「私は気配を遠くまで把握することは出来るの。けどあの男は気配を消して現れたから分からなかったの」

 タマは平然と言った。

 それならしょうがないか。俺も相当イラついている。一度落ち着つこう。

 もう夜になっていたから木を拾って焚火をした。

 しかし、全員無言だった。いつもよくしゃべるタマでさえ静かにしていた。

 「どうして」

 リリアは独り言のように呟いた。

 俺はあれから落ち着いて状況を整理したことで、大分分かってきた。

 だが、これをリリアに言うか迷った。

 今のリリアは精神的に相当きついのかもしれない。

 だけど、落ち着いた時に俺の話を聞いて、また落ち込んだらそれこそきついと思う。

 だから、

 「リリア、俺の予想でいいなら聞かせてやるが、聞く気はあるか?」

 リリアは驚いていたがすぐに真剣な顔になり、頷いた。

 だから、俺は話すことを決めた。

 
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