40 / 128
第三章 魔法学校編
第三十八話 魔法学校入試
しおりを挟む
~三ヶ月後~
今日は、魔法学校の入試の日だ。
入試は今出来る魔法を披露、軽く面接をし、そこで合格が出た者は、別室で算数のテストを受けられる。
算数のテストは、殆ど飾りの様なもので、余程悪い点数を取らない限り、落ちる事は無い。
俺は改めて気を取り直し、家を出ようとしたのだが、
「忘れ物ない?鉛筆は持った?」
先程から母さんがずっとこの調子だ。
持って行くものは、鉛筆だけだと言うのに。
「大丈夫だから!もう何回忘れ物確認するんだよ!」
俺はそう言って、家を出た。
母さんは、心配性すぎる。
家を出ると、すぐ目の前には、学校がある。
魔法学校は、非常にでかい。
前世での高校の倍以上はあるでかさだ。
俺は、余裕と思っていたが、改めて気を引き締める。
俺は学校に入り、一人の女性に、部屋へと連れて行かれた。
そこには、色んな人がいた。
多分、全員ここを受けに来たのだろう。
すると、部屋から一人ずつ、減っていく。
多分、入試を受けに行ったのだろう。
「レイロード君。こちらに来てください」
俺は呼ばれ、部屋の前まで来た。
~校長視点~
最近、この学校もつまらないものになってしまった。
面白い人材は、確かに学校にいるが、それもほんの一握りだけだ。
昔は誰も、彼もがそんな可能性があったのに。
今年は、一人しか面白そうな人材はいない。
最近では、貴族の連中がお金で先生を買収して、入らせようとしている者もいる。
そういう人達で、入試を行わないよう、私が直接面接をしているのだが、いまいちだ。
初め、この学校は魔法をもっと詳しく極めてもらえるように作ったものだったのに。
今では、ただ、魔法で遊んでいる学校になってしまった。
何処かに面白い人材はいないだろうか。
そう思いながら、次の人の名前を見る。
名前は、レイロード君。
年齢は七歳か。
こんな早い段階で、学校に入るのも珍しいものだ。
そう思っていると、ドアがノックされた。
「どうぞ」
「失礼します」
レイロード君は、意外と礼儀正しい人だ。
今は、入って何も言わず、勝手に椅子に座る人が多いので、他の教師からも意外と好印象だろう。
彼が椅子に座ったことで、面接を開始する。
「この学校に入る前は何をしていましたか?」
「冒険者をしていました」
.......ん?
私は不思議に思い、もう一度彼の年齢を見る。
七歳のはずだ。
その歳で、冒険者はどういうことだろうか。
一応、気になり私は聞いた。
「最近はどんなクエストを受けたんですか?」
「最近は行ってないんですが、一番最後に受けたのは、リザードマンの群れを討伐するクエストですね」
レイロード君は普通に言うが、それは確かAクラス冒険者のクエストのはずなんですけどね......。
それに、確かそのクエストは、どこかで聞いた事がある気がしますね。
「君は、もしかして、『ドラゴンスレイヤーレイ』と呼ばれている人物かな?」
他の先生が、気になり聞いた。
そういえば、そのクエストで、何故かドラゴンが現れたと有名になっていましたね。
「ドラゴンはそのリザードマンの群れのクエストの時に、倒しましたけど、そのあだ名は知りませんね」
.......天才だ。
私は、そう思ってしまった。
他の先生が私を見るので頷いておいた。
私は、長年生きてきたので、人の嘘が見抜けるようになったので、こういう面接の時偶に、嘘を言う人もいるので、否定の場合は、首を横に振る様にしていますが、彼は嘘を言ってないので、しません。
私は、この子にもう夢中になってしまった。
「君は、魔法は何級まで使えるのかな?」
私は一番気になっていたことを聞いた。
「火魔法が超級で、他は上級です」
私は笑いそうになるのを必死に我慢する。
まさか、ここまでの逸材がいたとは。
「披露してもらってもいいですか?」
「はい」
レイロード君は頷き、全部の魔法を披露した。
「君。詠唱は?」
他の先生が、思わず聞いていた。
「していませんけど」
レイロード君は、普通とばかりに答えている。
「合格です」
私は、即決断した。
もし、他の先生が全員反対しても、私はこの子を入学させただろう。
他の先生は、私が即合格にしたのを少し驚いていましたが、誰も彼の合格には、反対しませんでした。
「これから、別室で算数のテストを受けてもらうので、別室で待っていてください」
「わかりました。失礼します」
そうして、レイロード君が退出していき、それからも色んな人が受けてきましたが、特に目ぼしい人はいなかった。
~レイロード視点~
緊張した。
俺は一度面接を前世で受けたが、こればっかりは何度やってもなれないな。
そう思いながら、別室に先程の女性に道案内された。
「ここで、暫く待っていてください」
「分かりました」
俺はそう答え、部屋の中に入る。
そこにいる人達は、最初の部屋の時とは皆雰囲気が違っていた。
大分リラックスしている。
これだけで、算数のテストが、どれだけ楽なのか分かってくる。
だが、一応頭の中で、数学までは復習しておく。
それから、何人か集まって、先程面接をした人も入ってきた。
「先程、面接をした校長です。これから算数のテストを受けてもらいます。これをクリアすれば、魔法学校へ入学することが出来るので頑張ってください」
やっぱり先程の人は校長だったか。
校長はそう挨拶をした後一人ずつ問題用紙を配った。
「制限時間は五十分です。では、初めて下さい」
校長の合図で、試験が始まった。
俺は問題用紙に目を通す。
親父の言った通り、問題は楽勝だった。
小説などでは、ここで本当の力を隠したりする奴らもいるだろう。
だが、俺はそんな事はしない。
それは、この問題を作ってくれた人に対して失礼だし、ここにいる人は全力で取り組んでいるんだ。
俺も全力で取り組んだ。
全力で取り組んだ事で、二十分ぐらいで終わった。
俺はテストが終わったので、面接の時から気になっている校長を見た。
この校長になんか違和感があるんだよな。
俺は面接の時からそれが気になってしょうがなかった。
すると、校長と目が合った。
だが、目は逸らさず、じっと見たことで、ようやく違和感の正体に気付いた。
けれど、これが合っているか分からない。
どうにかして、知りたい。
俺はそこでふと思いついて、答案用紙に書いた。
「そこまでです」
俺が丁度書き終わった所で、テストが終わった。
そして、校長が、一人ずつ、答案用紙を回収していく。
俺の答案用紙を回収した所で、
「俺の答案用紙をよく見てください」
俺はこっそり校長に伝えた。
校長は、俺に一瞬目を向けたが、何事もなかったかのように、他の人達の答案用紙も回収して、答えを確認した。
全員の答えを見終わり、
「皆さんおめでとうございます。合格です。明日入学式の時に、必要な物を渡すので、貰ってください」
その言葉で、俺は魔法学校に入学することが出来た。
それから、俺は家に帰り、合格した事を報告した。
皆、合格すると思っていたらしく、驚いてはいなかった。
俺は、明日の学校が楽しみで、早めに寝た。
~翌日~
俺は、早めに学校に来て、門で制服を貰った。
制服は青で、ネクタイがあるカッコイイ制服だった。
女子は、上は一緒で、下がスカートだった。
俺はそのカッコイイ制服に着替え、教室に向かおうとした所で、背中を叩かれた。
案外強く叩かれて、結構痛かった。
俺は何が起きたのか確認する為、後ろを振り向くと、
「久しぶりね」
そう言われた。
~校長視点~
「はっはっはっは」
私は可笑しくてしょうがなかった。
目の前にはレイロード君の答案用紙がある。
その点数は満点だった。
このテストだけ、私の独断で、少し難しくしたのにも関わらずだ。
それだけじゃない。
最後に、レイロード君に言われた通り、答案用紙をよく見ると、そこにはこんな事が書かれていた。
『変身魔法を使ってますよね?』
これが笑わずにいられるだろうか。
私は、今までこの変身魔法がばれたことが無かった。
それを七歳の子供にばれるとは。
その校長室では一人で笑っている、変身魔法を解いた、エルフの青年がいた。
今日は、魔法学校の入試の日だ。
入試は今出来る魔法を披露、軽く面接をし、そこで合格が出た者は、別室で算数のテストを受けられる。
算数のテストは、殆ど飾りの様なもので、余程悪い点数を取らない限り、落ちる事は無い。
俺は改めて気を取り直し、家を出ようとしたのだが、
「忘れ物ない?鉛筆は持った?」
先程から母さんがずっとこの調子だ。
持って行くものは、鉛筆だけだと言うのに。
「大丈夫だから!もう何回忘れ物確認するんだよ!」
俺はそう言って、家を出た。
母さんは、心配性すぎる。
家を出ると、すぐ目の前には、学校がある。
魔法学校は、非常にでかい。
前世での高校の倍以上はあるでかさだ。
俺は、余裕と思っていたが、改めて気を引き締める。
俺は学校に入り、一人の女性に、部屋へと連れて行かれた。
そこには、色んな人がいた。
多分、全員ここを受けに来たのだろう。
すると、部屋から一人ずつ、減っていく。
多分、入試を受けに行ったのだろう。
「レイロード君。こちらに来てください」
俺は呼ばれ、部屋の前まで来た。
~校長視点~
最近、この学校もつまらないものになってしまった。
面白い人材は、確かに学校にいるが、それもほんの一握りだけだ。
昔は誰も、彼もがそんな可能性があったのに。
今年は、一人しか面白そうな人材はいない。
最近では、貴族の連中がお金で先生を買収して、入らせようとしている者もいる。
そういう人達で、入試を行わないよう、私が直接面接をしているのだが、いまいちだ。
初め、この学校は魔法をもっと詳しく極めてもらえるように作ったものだったのに。
今では、ただ、魔法で遊んでいる学校になってしまった。
何処かに面白い人材はいないだろうか。
そう思いながら、次の人の名前を見る。
名前は、レイロード君。
年齢は七歳か。
こんな早い段階で、学校に入るのも珍しいものだ。
そう思っていると、ドアがノックされた。
「どうぞ」
「失礼します」
レイロード君は、意外と礼儀正しい人だ。
今は、入って何も言わず、勝手に椅子に座る人が多いので、他の教師からも意外と好印象だろう。
彼が椅子に座ったことで、面接を開始する。
「この学校に入る前は何をしていましたか?」
「冒険者をしていました」
.......ん?
私は不思議に思い、もう一度彼の年齢を見る。
七歳のはずだ。
その歳で、冒険者はどういうことだろうか。
一応、気になり私は聞いた。
「最近はどんなクエストを受けたんですか?」
「最近は行ってないんですが、一番最後に受けたのは、リザードマンの群れを討伐するクエストですね」
レイロード君は普通に言うが、それは確かAクラス冒険者のクエストのはずなんですけどね......。
それに、確かそのクエストは、どこかで聞いた事がある気がしますね。
「君は、もしかして、『ドラゴンスレイヤーレイ』と呼ばれている人物かな?」
他の先生が、気になり聞いた。
そういえば、そのクエストで、何故かドラゴンが現れたと有名になっていましたね。
「ドラゴンはそのリザードマンの群れのクエストの時に、倒しましたけど、そのあだ名は知りませんね」
.......天才だ。
私は、そう思ってしまった。
他の先生が私を見るので頷いておいた。
私は、長年生きてきたので、人の嘘が見抜けるようになったので、こういう面接の時偶に、嘘を言う人もいるので、否定の場合は、首を横に振る様にしていますが、彼は嘘を言ってないので、しません。
私は、この子にもう夢中になってしまった。
「君は、魔法は何級まで使えるのかな?」
私は一番気になっていたことを聞いた。
「火魔法が超級で、他は上級です」
私は笑いそうになるのを必死に我慢する。
まさか、ここまでの逸材がいたとは。
「披露してもらってもいいですか?」
「はい」
レイロード君は頷き、全部の魔法を披露した。
「君。詠唱は?」
他の先生が、思わず聞いていた。
「していませんけど」
レイロード君は、普通とばかりに答えている。
「合格です」
私は、即決断した。
もし、他の先生が全員反対しても、私はこの子を入学させただろう。
他の先生は、私が即合格にしたのを少し驚いていましたが、誰も彼の合格には、反対しませんでした。
「これから、別室で算数のテストを受けてもらうので、別室で待っていてください」
「わかりました。失礼します」
そうして、レイロード君が退出していき、それからも色んな人が受けてきましたが、特に目ぼしい人はいなかった。
~レイロード視点~
緊張した。
俺は一度面接を前世で受けたが、こればっかりは何度やってもなれないな。
そう思いながら、別室に先程の女性に道案内された。
「ここで、暫く待っていてください」
「分かりました」
俺はそう答え、部屋の中に入る。
そこにいる人達は、最初の部屋の時とは皆雰囲気が違っていた。
大分リラックスしている。
これだけで、算数のテストが、どれだけ楽なのか分かってくる。
だが、一応頭の中で、数学までは復習しておく。
それから、何人か集まって、先程面接をした人も入ってきた。
「先程、面接をした校長です。これから算数のテストを受けてもらいます。これをクリアすれば、魔法学校へ入学することが出来るので頑張ってください」
やっぱり先程の人は校長だったか。
校長はそう挨拶をした後一人ずつ問題用紙を配った。
「制限時間は五十分です。では、初めて下さい」
校長の合図で、試験が始まった。
俺は問題用紙に目を通す。
親父の言った通り、問題は楽勝だった。
小説などでは、ここで本当の力を隠したりする奴らもいるだろう。
だが、俺はそんな事はしない。
それは、この問題を作ってくれた人に対して失礼だし、ここにいる人は全力で取り組んでいるんだ。
俺も全力で取り組んだ。
全力で取り組んだ事で、二十分ぐらいで終わった。
俺はテストが終わったので、面接の時から気になっている校長を見た。
この校長になんか違和感があるんだよな。
俺は面接の時からそれが気になってしょうがなかった。
すると、校長と目が合った。
だが、目は逸らさず、じっと見たことで、ようやく違和感の正体に気付いた。
けれど、これが合っているか分からない。
どうにかして、知りたい。
俺はそこでふと思いついて、答案用紙に書いた。
「そこまでです」
俺が丁度書き終わった所で、テストが終わった。
そして、校長が、一人ずつ、答案用紙を回収していく。
俺の答案用紙を回収した所で、
「俺の答案用紙をよく見てください」
俺はこっそり校長に伝えた。
校長は、俺に一瞬目を向けたが、何事もなかったかのように、他の人達の答案用紙も回収して、答えを確認した。
全員の答えを見終わり、
「皆さんおめでとうございます。合格です。明日入学式の時に、必要な物を渡すので、貰ってください」
その言葉で、俺は魔法学校に入学することが出来た。
それから、俺は家に帰り、合格した事を報告した。
皆、合格すると思っていたらしく、驚いてはいなかった。
俺は、明日の学校が楽しみで、早めに寝た。
~翌日~
俺は、早めに学校に来て、門で制服を貰った。
制服は青で、ネクタイがあるカッコイイ制服だった。
女子は、上は一緒で、下がスカートだった。
俺はそのカッコイイ制服に着替え、教室に向かおうとした所で、背中を叩かれた。
案外強く叩かれて、結構痛かった。
俺は何が起きたのか確認する為、後ろを振り向くと、
「久しぶりね」
そう言われた。
~校長視点~
「はっはっはっは」
私は可笑しくてしょうがなかった。
目の前にはレイロード君の答案用紙がある。
その点数は満点だった。
このテストだけ、私の独断で、少し難しくしたのにも関わらずだ。
それだけじゃない。
最後に、レイロード君に言われた通り、答案用紙をよく見ると、そこにはこんな事が書かれていた。
『変身魔法を使ってますよね?』
これが笑わずにいられるだろうか。
私は、今までこの変身魔法がばれたことが無かった。
それを七歳の子供にばれるとは。
その校長室では一人で笑っている、変身魔法を解いた、エルフの青年がいた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
514
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる