17 / 41
第2章 アレクシス王国、王都
第15話 第2王女、リリアン・フォン=アレクシス
しおりを挟む
目を覚ませば、まだ夢の中では無いのかと自分を疑った。
半身を起こしながら見る光景は、あまりにも非現実的で。
豪華なベッドに、鮮やかな絨毯。光り輝く装飾品に、部屋の隅に佇む甲冑。
私、どうしてこんなところにいるんだっけ?
確か私は、森の中で、誰かに助けて貰って、それで……。
「クロエ、大丈夫!?」
聞き慣れた声がどこからか飛んできて、不思議と肩の荷が降りる。
声の方を向くと、ドロシーが笑みを浮かべながらこちらに近付いてきていた。
前のめりに私の手を取ると、そのままぎゅっと力強く握ってくる。
ドロシーはパジャマだったはずだけど、私の予備の衣服に着替えていた。
「無事でよかった!」
「……あ、あぁうん。よかった。けど、何がなんやらで……ここは?」
「そうだよね。私もびっくりなんだけど、ここ、王都の城内だって」
「王都の城内!? どうして? いや、どうして!?」
ドロシーのサラリとした発言に、私は否応無しと言った風に大声をあげる。
「うん。なんか色々とあって」
「色々とあって!? え、ほんとにここは城の中?」
「私もびっくりなんだけど、そうみたい」
ドロシーは、ぎゅっと握った手を離して「ほら」と窓の外を指した。
豪華な枠組みの窓の外には、活気ある街並みが広がっている。
確かにここは目的地の王都で間違いない。
そしてその街並みが広がっているのは、白い城壁の奥の方で……。
つまりここは本当に、王都の城内?
──ギィ。
と、未だ現実を受け入れられずにいると、奥のドア音を立てて開かれた。
出てきたのは、一人の女騎士。そのまま、私たちの元へとやってくる。
その上品な足取りは背格好は、思わず目を奪われてしまいそうなくらいだ。
女騎士はベッドに辿り着くと私たちに視線を行き交わせる。
ベッドから降りた方がいいかな、なんて思った矢先、女騎士は口を開いた。
「身体の調子はどうだ?」
「は、はい! 大丈夫です!」
その凜とした声に、思わず肩に力が入る。
やっぱりベッドで半身を起こしている状態っていうのは失礼だろうか。
と思ったが、彼女は特に気にする様子もなく一つ頷く。
「それはよかった。早速で悪いのだが、今から君たちには部屋を移動をして貰いたい。向かうのは、第二王女、リリアン・フォン=アレクシス様のお部屋だ。……と、その前に、軽く説明をさせて頂こう」
彼女は私たちの言葉も待たずに説明を始めた。
情報整理が追い付かない。
というか今、第二王女って?
※
女騎士の話を纏めると。
あの時、魔物から私たちを守ってくれたのがアレクシス王国の第二王女だった。
そしてその第二王女様は、私たちにお礼を伝えたい。そして色々と話を聞きたいとのことらしい。だから私が起きるまで城内のベッドで寝かせてくれた……と。
という訳で、私は今、その第二王女様の部屋へと向かっていたのである。
今更だが、ここは本当に王都の城内らしい。
実感が湧かない。
私はどうしてこんな大層な場所に。
それに王族相手に、私はどうすればいいんだ。
無礼を働くなと言われても、礼なんて分からないし。
下手したら首を飛ばされる、なんてこともあるかもしれない。
現に女騎士との話し方でさえも、よく分かっていないのだ。
ただドロシーはかなり礼儀を弁えているらしく、言葉の一つ一つが洗練されている。
だから大方の会話はドロシーの方に任せっきりだった。
「ここだ」
現実に焦点を戻せば、一つの扉の前まで辿り着いていた。
恐らくここが、第二王女様の自室なのだろう。
しかし、その割には警備体制がしっかりとしていない気もする。
そもそも、私みたいな一般人が入っていいようなものなのだろうか。
「ここが、第二王女リリアン・フォン=アレクシス様のお部屋だ。無礼の無いよう」
女騎士は淡々とした口調で私たちに告げ、ドアをノックし、部屋の扉をゆっくりと開く。
「…………」
飛び込んだ景色に対しての最初の感想は『えらい質素な部屋だな』だった。
別に馬鹿にしている訳じゃない、一般人とは比較にならないほどの部屋ではある。
でもさっき私が寝ていた部屋と比べても装飾はほとんどないし、部屋の前に番はいない。
華やかさの無い内装。それなりのベッドに、これはやはり高級そうな天井の照明。
そして部屋の隅の椅子に腰を掛ける、金髪の王女様。一つ一つが繊細なその金色の髪は、やはりここが王族の部屋なのだと再認識させてくれる。
「リリアン様、客人をお連れ致しました」
女騎士の言葉に、呼ばれた王女様は立ち上がり、こちらを真っ直ぐ見た。
「初めまして。私はアレクシス王国第二王女、リリアン・フォン=アレクシスと申します。先程は、ありがとうございました」
王女様は丁寧に頭を下げ、金色の髪を揺らす。
ドロシーはごくりと喉を鳴らし、深々と頭を下げた返した。
それなのに、私は何も返せない。返さないと、そう思っても何も言えない。
言葉が詰まって、息が詰まって、視界が狭くなる感覚を覚える。
「……って、あの、大丈夫?」
王女様は、心配そうに首を傾げた。
だけど私は、それどころじゃなかった。
既視感を覚えたのだ。その王女様に。
そしてすぐ既視感の正体は暴かれて、心臓がドクンとなった。
見間違い? いや、そんなはずはない。確信があった。
彼女はあの日、私に夢を抱かせてくれた──強くてカワイイ魔法使いだった。
半身を起こしながら見る光景は、あまりにも非現実的で。
豪華なベッドに、鮮やかな絨毯。光り輝く装飾品に、部屋の隅に佇む甲冑。
私、どうしてこんなところにいるんだっけ?
確か私は、森の中で、誰かに助けて貰って、それで……。
「クロエ、大丈夫!?」
聞き慣れた声がどこからか飛んできて、不思議と肩の荷が降りる。
声の方を向くと、ドロシーが笑みを浮かべながらこちらに近付いてきていた。
前のめりに私の手を取ると、そのままぎゅっと力強く握ってくる。
ドロシーはパジャマだったはずだけど、私の予備の衣服に着替えていた。
「無事でよかった!」
「……あ、あぁうん。よかった。けど、何がなんやらで……ここは?」
「そうだよね。私もびっくりなんだけど、ここ、王都の城内だって」
「王都の城内!? どうして? いや、どうして!?」
ドロシーのサラリとした発言に、私は否応無しと言った風に大声をあげる。
「うん。なんか色々とあって」
「色々とあって!? え、ほんとにここは城の中?」
「私もびっくりなんだけど、そうみたい」
ドロシーは、ぎゅっと握った手を離して「ほら」と窓の外を指した。
豪華な枠組みの窓の外には、活気ある街並みが広がっている。
確かにここは目的地の王都で間違いない。
そしてその街並みが広がっているのは、白い城壁の奥の方で……。
つまりここは本当に、王都の城内?
──ギィ。
と、未だ現実を受け入れられずにいると、奥のドア音を立てて開かれた。
出てきたのは、一人の女騎士。そのまま、私たちの元へとやってくる。
その上品な足取りは背格好は、思わず目を奪われてしまいそうなくらいだ。
女騎士はベッドに辿り着くと私たちに視線を行き交わせる。
ベッドから降りた方がいいかな、なんて思った矢先、女騎士は口を開いた。
「身体の調子はどうだ?」
「は、はい! 大丈夫です!」
その凜とした声に、思わず肩に力が入る。
やっぱりベッドで半身を起こしている状態っていうのは失礼だろうか。
と思ったが、彼女は特に気にする様子もなく一つ頷く。
「それはよかった。早速で悪いのだが、今から君たちには部屋を移動をして貰いたい。向かうのは、第二王女、リリアン・フォン=アレクシス様のお部屋だ。……と、その前に、軽く説明をさせて頂こう」
彼女は私たちの言葉も待たずに説明を始めた。
情報整理が追い付かない。
というか今、第二王女って?
※
女騎士の話を纏めると。
あの時、魔物から私たちを守ってくれたのがアレクシス王国の第二王女だった。
そしてその第二王女様は、私たちにお礼を伝えたい。そして色々と話を聞きたいとのことらしい。だから私が起きるまで城内のベッドで寝かせてくれた……と。
という訳で、私は今、その第二王女様の部屋へと向かっていたのである。
今更だが、ここは本当に王都の城内らしい。
実感が湧かない。
私はどうしてこんな大層な場所に。
それに王族相手に、私はどうすればいいんだ。
無礼を働くなと言われても、礼なんて分からないし。
下手したら首を飛ばされる、なんてこともあるかもしれない。
現に女騎士との話し方でさえも、よく分かっていないのだ。
ただドロシーはかなり礼儀を弁えているらしく、言葉の一つ一つが洗練されている。
だから大方の会話はドロシーの方に任せっきりだった。
「ここだ」
現実に焦点を戻せば、一つの扉の前まで辿り着いていた。
恐らくここが、第二王女様の自室なのだろう。
しかし、その割には警備体制がしっかりとしていない気もする。
そもそも、私みたいな一般人が入っていいようなものなのだろうか。
「ここが、第二王女リリアン・フォン=アレクシス様のお部屋だ。無礼の無いよう」
女騎士は淡々とした口調で私たちに告げ、ドアをノックし、部屋の扉をゆっくりと開く。
「…………」
飛び込んだ景色に対しての最初の感想は『えらい質素な部屋だな』だった。
別に馬鹿にしている訳じゃない、一般人とは比較にならないほどの部屋ではある。
でもさっき私が寝ていた部屋と比べても装飾はほとんどないし、部屋の前に番はいない。
華やかさの無い内装。それなりのベッドに、これはやはり高級そうな天井の照明。
そして部屋の隅の椅子に腰を掛ける、金髪の王女様。一つ一つが繊細なその金色の髪は、やはりここが王族の部屋なのだと再認識させてくれる。
「リリアン様、客人をお連れ致しました」
女騎士の言葉に、呼ばれた王女様は立ち上がり、こちらを真っ直ぐ見た。
「初めまして。私はアレクシス王国第二王女、リリアン・フォン=アレクシスと申します。先程は、ありがとうございました」
王女様は丁寧に頭を下げ、金色の髪を揺らす。
ドロシーはごくりと喉を鳴らし、深々と頭を下げた返した。
それなのに、私は何も返せない。返さないと、そう思っても何も言えない。
言葉が詰まって、息が詰まって、視界が狭くなる感覚を覚える。
「……って、あの、大丈夫?」
王女様は、心配そうに首を傾げた。
だけど私は、それどころじゃなかった。
既視感を覚えたのだ。その王女様に。
そしてすぐ既視感の正体は暴かれて、心臓がドクンとなった。
見間違い? いや、そんなはずはない。確信があった。
彼女はあの日、私に夢を抱かせてくれた──強くてカワイイ魔法使いだった。
0
あなたにおすすめの小説
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
凶器は透明な優しさ
楓
恋愛
入社5年目の岩倉紗希は、新卒の女の子である姫野香代の教育担当に選ばれる。
初めての後輩に戸惑いつつも、姫野さんとは良好な先輩後輩の関係を築いていけている
・・・そう思っていたのは岩倉紗希だけであった。
姫野の思いは岩倉の思いとは全く異なり
2人の思いの違いが徐々に大きくなり・・・
そして心を殺された
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる