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第3章 そこにいるのは不穏な影
第26話 ドロシーの幸せを
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──冒険者ギルド内にて。
「そうだ! 今日は一緒に寝ない?」
ドロシーがそんなことを言ったのは、クエスト報酬の精算を終えた頃だった。
「え? 一緒にって?」
「あ、いや! あのベッドって二人でも寝れそうじゃない? ほら、お金の節約!」
なるほど。どうやら、報酬を受け取った際の渋い顔を見られていたらしい。
確かに二人でも寝られそうだけど、ドロシーは本当にそれでいいのだろうか。
「無理しないでもいいんだよ? もうしばらくはお金に余裕あるからさ」
「私は本当に大丈夫! ……あ、逆にクロエは嫌だったりする?」
「私は……うーん、まぁ別にいいかな──あ」
ここでふと思い出した。リリアンのことだ。
彼女は『また会いにくるかも』と言っていた。
いつ、ってのは分からないけど、もしかしたら今日もまた来るかもしれない。
でも……昨日のあの様子じゃ、来ないかもしれないな、とも思う。
「クロエ? やっぱり厳しそう?」
黙り込む私に、ドロシーは不安げな調子で声を飛ばした。
「あ……えっとー」
昨日のことをドロシーに話すべきだろうか。
少し悩んでから、別にそんな隠すことでもないか、と結論に至る。
「実は昨日、あの第二王女様が私の部屋に来てさ」
言ってみる、が無反応。
ギルド内の喧騒で聞こえなかったのだろうか。
と思った矢先、ドロシーは信じられないことでも聞いたような顔で、
「待って。え? 王女様が??」
「やっぱりびっくりだよね。だから今日の夜も、来るかもしれないの」
「どうして!? ……あ、元々知り合いなんだっけ?」
「そう、なんだけど。同年代の友達が欲しいみたいで、だからドロシーとも話したいみたい」
「へー……そういうことなら、良かったけど。王女様が部屋にくるって凄くない?」
「だよねー。なんで私たちなんだろう、っていうのはあるけど……」
「まぁ、それが聞けてよかった。尚更二人で寝ないとね!」
何が尚更なのかは理解が難いが、そんな会話を経て私たちは宿へと戻るのだった。
ドロシーの部屋はキャンセルしないとな。
※
夜までは、ある店を探そうと王都を見て回った。
そのある店とは、化粧品店のことである。
忘れがちだけど、私は強く、そして可愛くもなりたいのだ。
ドロシーはそのままでも十分可愛いと言ってくれるけど、私は納得いっていない。
そのためのお化粧なのだけど、ようやく見つけた店は今日は定休日だった。
だから明日の予定はまず、お化粧を見にいく、ということに決定し帰路に就いた。
風呂と食事を済ませ、共に同じ部屋へと舞い戻り、私たちはベッドに潜る。
「なんか、お泊まり会みたいだね」
ドロシーはやけに楽しそうだった。
ちなみに私は窓側の方で寝させて貰っている。
「お泊まり会か……。私、したことないな」
「私も!」
あ、ドロシーも無いのか。
ずこーって感じだが、確かにドロシーもあの家庭環境だ。
もしかしたら、こういうのに憧れを抱いていたのかもしれない。
今日はすぐに寝ようと思っていたけど、ならもう少し起きておこうかな。
「そういえば王女様は何時頃にきたの?」
「あーそれが凄い遅い時間で、それこそ魔王軍が攻めてきたくらいだったかな」
「それってもう夜明け前じゃない?」
「そ。だから来るまで寝てていいと思うよ」
「私、まだまだ起きてるられるからね!」
「はいはい」と、まるで子供をあしらうみたいに答える。
ドロシーは「なにその返し」と、不機嫌そうにしながらも笑っていた。
それからは本当に他愛もない話が続いた。けど、良い時間だった。
お互いの好きなもの、嫌いなもの。昔の思い出、等々。
そんな話を小一時間ほどが続けた頃──。
「ねぇクロエ」
とろーんとした声。
流石にもう眠いのかもしれない。
ちょんちょんと、ドロシーの手が私の手に触れる。
温かい感触だった。
「どうしたの?」
「私今、幸せかも」
ドロシーは、夢見心地に口にした。
ドロシーを連れ出してよかったな、と心底思った。
じゃなきゃ、ドロシーはまだあの家にいたのだから。
「……なら、よかったよ。ほんと」
返事は来なかった。
代わりに隣から、穏やかな寝息が聞こえてきた。
「そうだ! 今日は一緒に寝ない?」
ドロシーがそんなことを言ったのは、クエスト報酬の精算を終えた頃だった。
「え? 一緒にって?」
「あ、いや! あのベッドって二人でも寝れそうじゃない? ほら、お金の節約!」
なるほど。どうやら、報酬を受け取った際の渋い顔を見られていたらしい。
確かに二人でも寝られそうだけど、ドロシーは本当にそれでいいのだろうか。
「無理しないでもいいんだよ? もうしばらくはお金に余裕あるからさ」
「私は本当に大丈夫! ……あ、逆にクロエは嫌だったりする?」
「私は……うーん、まぁ別にいいかな──あ」
ここでふと思い出した。リリアンのことだ。
彼女は『また会いにくるかも』と言っていた。
いつ、ってのは分からないけど、もしかしたら今日もまた来るかもしれない。
でも……昨日のあの様子じゃ、来ないかもしれないな、とも思う。
「クロエ? やっぱり厳しそう?」
黙り込む私に、ドロシーは不安げな調子で声を飛ばした。
「あ……えっとー」
昨日のことをドロシーに話すべきだろうか。
少し悩んでから、別にそんな隠すことでもないか、と結論に至る。
「実は昨日、あの第二王女様が私の部屋に来てさ」
言ってみる、が無反応。
ギルド内の喧騒で聞こえなかったのだろうか。
と思った矢先、ドロシーは信じられないことでも聞いたような顔で、
「待って。え? 王女様が??」
「やっぱりびっくりだよね。だから今日の夜も、来るかもしれないの」
「どうして!? ……あ、元々知り合いなんだっけ?」
「そう、なんだけど。同年代の友達が欲しいみたいで、だからドロシーとも話したいみたい」
「へー……そういうことなら、良かったけど。王女様が部屋にくるって凄くない?」
「だよねー。なんで私たちなんだろう、っていうのはあるけど……」
「まぁ、それが聞けてよかった。尚更二人で寝ないとね!」
何が尚更なのかは理解が難いが、そんな会話を経て私たちは宿へと戻るのだった。
ドロシーの部屋はキャンセルしないとな。
※
夜までは、ある店を探そうと王都を見て回った。
そのある店とは、化粧品店のことである。
忘れがちだけど、私は強く、そして可愛くもなりたいのだ。
ドロシーはそのままでも十分可愛いと言ってくれるけど、私は納得いっていない。
そのためのお化粧なのだけど、ようやく見つけた店は今日は定休日だった。
だから明日の予定はまず、お化粧を見にいく、ということに決定し帰路に就いた。
風呂と食事を済ませ、共に同じ部屋へと舞い戻り、私たちはベッドに潜る。
「なんか、お泊まり会みたいだね」
ドロシーはやけに楽しそうだった。
ちなみに私は窓側の方で寝させて貰っている。
「お泊まり会か……。私、したことないな」
「私も!」
あ、ドロシーも無いのか。
ずこーって感じだが、確かにドロシーもあの家庭環境だ。
もしかしたら、こういうのに憧れを抱いていたのかもしれない。
今日はすぐに寝ようと思っていたけど、ならもう少し起きておこうかな。
「そういえば王女様は何時頃にきたの?」
「あーそれが凄い遅い時間で、それこそ魔王軍が攻めてきたくらいだったかな」
「それってもう夜明け前じゃない?」
「そ。だから来るまで寝てていいと思うよ」
「私、まだまだ起きてるられるからね!」
「はいはい」と、まるで子供をあしらうみたいに答える。
ドロシーは「なにその返し」と、不機嫌そうにしながらも笑っていた。
それからは本当に他愛もない話が続いた。けど、良い時間だった。
お互いの好きなもの、嫌いなもの。昔の思い出、等々。
そんな話を小一時間ほどが続けた頃──。
「ねぇクロエ」
とろーんとした声。
流石にもう眠いのかもしれない。
ちょんちょんと、ドロシーの手が私の手に触れる。
温かい感触だった。
「どうしたの?」
「私今、幸せかも」
ドロシーは、夢見心地に口にした。
ドロシーを連れ出してよかったな、と心底思った。
じゃなきゃ、ドロシーはまだあの家にいたのだから。
「……なら、よかったよ。ほんと」
返事は来なかった。
代わりに隣から、穏やかな寝息が聞こえてきた。
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