義姉妹百合恋愛

沢谷 暖日

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姉妹の三日間

駅へ向かう

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 家を出て、駅に向かう道中。
 お姉ちゃんは、当然かのように私と手を繋ぐ。

「お姉ちゃん? 今日は前みたいに暗く無いよ?」
「まぁまぁてんちゃん。今日は交流会なんでしょ? 仲良くしないと」
「そういうもん?」
「うんうん。そういうもん」

 そう言って指と指の間に、お姉ちゃんの指が絡まる。
 この繋ぎ方、どうも仲よすぎな人がやるイメージがあるんだけどな。
 手汗もかくし、お姉ちゃんに迷惑がかかってないのか、少し心配。
 まぁ、お姉ちゃんの頰、だらしなく緩んでいるから、大丈夫かなと安心する。

「ねね。お姉ちゃん。水族館って魚以外になんかあるっけ? 私、昔そこの水族館行ったことあるけど、完全に記憶が無くて」

 少しくらいは覚えていてもいいかもしれないけど、行ったという事実以外は本当に覚えていない。
 私って忘れっぽいのかもしれない。
 お姉ちゃんのことを、あんだけ覚えてた私は多分すごい。
 と勝手に自分を褒めていたら、お姉ちゃんが答える。

「どうだろう。あまり行ったことないから分からないけど、田舎の水族館だし、大したものは無さそう」
「ふーん。あ! イルカショーとかあるかな? あったらいいな~」
「ふふ。てんちゃん、子どもっぽくて可愛い」

 ……。
 お姉ちゃん、何かあったらとりあえず可愛いって言ってないか。
 最初は恥ずかしかったのに、だんだんなんとも思わなくなっているような。
 いや、嬉しくはあるけど。

 確かに、イルカショーを望むのは小学生っぽいかもしれないけど、私って小学生と約2歳差だぞ。
 大して差があるわけでもないし、ショーを望んでも自然だろう。

「私は子どもだけど」
「そ、そうだね。でも、可愛い」
「……お姉ちゃん。お姉ちゃんっていつの間にか、私に可愛いって言いたいだけの生物と化してない?」
「……! そんなに。可愛いって言ってる?」

 あれ。無自覚なの。
 なんか、もじもじしてるし、本当に自覚なしだったっぽい。
 お姉ちゃんの手汗で、どんどん手がベタベタになっていくのを感じる。

「……言ってるよ。それはもうたくさん」
「き、気づかなかった。ま、まぁしょうがないよね、てんちゃん可愛いし」
「しょうがあるよ! ちょっと恥ずかしいの!」
「照れ臭いってこと?」

 お姉ちゃんが、私の顔を覗いてくる。

「んー、まぁ。そういうことかな」
「じゃあ、もっと言う。可愛い可愛い可愛い可愛い」

 お姉ちゃんは、別に思ってなさそうな顔で可愛いを連呼した。

「うわぁ。可愛いのゲシュタルト崩壊だよ」
「ごめんごめん。本当に可愛いよ。……あ。もう、駅だね」
「おぉ。20分くらいで着いた、早い早い。じゃあ。いこー」

 少し駆け足で、駅の中へと入る。
 そこそこ田舎の駅なので、人はあまりいない。
 というか、ほとんどいなかった。
 
 切符を買う時、手を離してしまったので、お姉ちゃんは少し膨れ顔だった。

 ……お姉ちゃんも、子どもっぽくて可愛いな。
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