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第10章 城山における最後の戦い
第9話
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山県有朋参軍が川村純義参軍と共に鹿児島に到着したのは、全てが終わったと言える9月3日になっていた。
それまでに、生き残っていた全ての西郷軍の兵は政府軍に投降していた。
海兵旅団長の大鳥圭介は、西郷隆盛以下の最後の戦い(後に城山の戦いと呼ばれる)で戦死したり、自決したりした西郷軍の幹部の遺体を鄭重に取り扱っており、到着した山県参軍らと対面させた。
その取扱いは、士は礼をもって遇するとはこのことか、と犬養毅を始めとする新聞記者達から、賞賛の声が上がる有様だった。
山県参軍は川村参軍と共に、西郷隆盛の遺体と対面することになった。
山県参軍は、戦争が勝利の内に終わったことの喜びを感じつつも、一代の英雄ともいえる西郷隆盛が、このような最期を迎えたことに哀惜の念を抱かざるを得なかった。
山県参軍は、ふと横の川村参軍を見た。
川村参軍も、同様の思いを抱いた、いや自分よりも哀惜の念が強いのか、涙をこらえた表情をしていた。
どうにも言葉が出ず、無言のまま、山県参軍は西郷隆盛の遺体に敬礼し、遺体の側を去った。
川村参軍も、同様に敬礼して立ち去った。
この時、海兵隊の面々にとっては、戦争が勝利に終わった喜びよりも、最後の戦いで土方少佐をはじめとする面々を失ったことによる悲しみの方が大きかった。
自分たちにとって、戦争は終わったと思っていたところに、西郷軍が来襲し、最後の戦いを行ったのである。
勝利を結果的には収められたとはいえ、高い代償を払ったという思いが大きかったのだ。
だが、西郷軍の降伏した兵に対しては、それなりの対応が、海兵隊では採られていた。
大鳥旅団長を始めとする海兵隊の幹部は、戊辰戦争の際に降伏した際、薩長軍がそれなりに対応してくれたことを覚えていたのだ。
そのことから降伏した兵等に対する過酷な取り扱いは避けるべきと考え、それを兵にも徹底させていたからだ。
そのために助かった者も数多いた。
小倉処平が気が付いたのは、9月3日になってからだった。
右ふくらはぎの傷は思ったより深く、海兵隊の軍医は右膝下からの切断を決断して、小倉が気を失っているうちに切断手術を実施していた。
そのために小倉は意識を取り戻したときに思わず慌てたが、予想外の喜びもあった。
「小倉先生、生きておられたのですね」
小倉先生に最後まで付き従うと言い張った飫肥隊の2人が生きて、小倉に会いに来たのだった。
最後の乱戦の中ではぐれてしまい、2人とも傷を負ってはいたが、命は取り留めて降伏していた。
小倉先生はどうしたのか、2人で懸命に探していると、意識不明の入院患者に似た人がいると聞き、身元確認のために会わせてほしい、と海兵隊の幹部に直談判して会いに来たとのことだった。
小倉は涙を浮かべた。
多分、しばらく牢に入ることに自分はなるだろう。
だが、2人の部下は生き残ったし、自分も生き延びた。
自分は生き恥をさらすことにするか、小倉は2人の部下が嬉し泣きをする顔を見ながら、そう決意した。
生き延びて投降した西郷軍の兵の多くも、小倉と同様に考えた。
その一方、
林忠崇大尉は、永倉新八や島田魁、斎藤一といった新選組の生き残りの面々と、土方歳三少佐の遺体の取り扱いについて協議した。
火葬した土方少佐の遺骨を、土方少佐の妻である琴のもとに持参する役は、永倉が引き受けることになった。
それと共に、ある申し入れを琴に対して行うことになった。
林大尉は説得のための手紙を永倉に託した。
島田や斎藤らも同様の手紙を書いて、永倉に託した。
大鳥旅団長に退役許可の願いを永倉は提出し、大鳥旅団長はそれを許可した。
「では、行ってくる」
永倉は、林らに一時の別れを告げて、鹿児島から出立した。
それまでに、生き残っていた全ての西郷軍の兵は政府軍に投降していた。
海兵旅団長の大鳥圭介は、西郷隆盛以下の最後の戦い(後に城山の戦いと呼ばれる)で戦死したり、自決したりした西郷軍の幹部の遺体を鄭重に取り扱っており、到着した山県参軍らと対面させた。
その取扱いは、士は礼をもって遇するとはこのことか、と犬養毅を始めとする新聞記者達から、賞賛の声が上がる有様だった。
山県参軍は川村参軍と共に、西郷隆盛の遺体と対面することになった。
山県参軍は、戦争が勝利の内に終わったことの喜びを感じつつも、一代の英雄ともいえる西郷隆盛が、このような最期を迎えたことに哀惜の念を抱かざるを得なかった。
山県参軍は、ふと横の川村参軍を見た。
川村参軍も、同様の思いを抱いた、いや自分よりも哀惜の念が強いのか、涙をこらえた表情をしていた。
どうにも言葉が出ず、無言のまま、山県参軍は西郷隆盛の遺体に敬礼し、遺体の側を去った。
川村参軍も、同様に敬礼して立ち去った。
この時、海兵隊の面々にとっては、戦争が勝利に終わった喜びよりも、最後の戦いで土方少佐をはじめとする面々を失ったことによる悲しみの方が大きかった。
自分たちにとって、戦争は終わったと思っていたところに、西郷軍が来襲し、最後の戦いを行ったのである。
勝利を結果的には収められたとはいえ、高い代償を払ったという思いが大きかったのだ。
だが、西郷軍の降伏した兵に対しては、それなりの対応が、海兵隊では採られていた。
大鳥旅団長を始めとする海兵隊の幹部は、戊辰戦争の際に降伏した際、薩長軍がそれなりに対応してくれたことを覚えていたのだ。
そのことから降伏した兵等に対する過酷な取り扱いは避けるべきと考え、それを兵にも徹底させていたからだ。
そのために助かった者も数多いた。
小倉処平が気が付いたのは、9月3日になってからだった。
右ふくらはぎの傷は思ったより深く、海兵隊の軍医は右膝下からの切断を決断して、小倉が気を失っているうちに切断手術を実施していた。
そのために小倉は意識を取り戻したときに思わず慌てたが、予想外の喜びもあった。
「小倉先生、生きておられたのですね」
小倉先生に最後まで付き従うと言い張った飫肥隊の2人が生きて、小倉に会いに来たのだった。
最後の乱戦の中ではぐれてしまい、2人とも傷を負ってはいたが、命は取り留めて降伏していた。
小倉先生はどうしたのか、2人で懸命に探していると、意識不明の入院患者に似た人がいると聞き、身元確認のために会わせてほしい、と海兵隊の幹部に直談判して会いに来たとのことだった。
小倉は涙を浮かべた。
多分、しばらく牢に入ることに自分はなるだろう。
だが、2人の部下は生き残ったし、自分も生き延びた。
自分は生き恥をさらすことにするか、小倉は2人の部下が嬉し泣きをする顔を見ながら、そう決意した。
生き延びて投降した西郷軍の兵の多くも、小倉と同様に考えた。
その一方、
林忠崇大尉は、永倉新八や島田魁、斎藤一といった新選組の生き残りの面々と、土方歳三少佐の遺体の取り扱いについて協議した。
火葬した土方少佐の遺骨を、土方少佐の妻である琴のもとに持参する役は、永倉が引き受けることになった。
それと共に、ある申し入れを琴に対して行うことになった。
林大尉は説得のための手紙を永倉に託した。
島田や斎藤らも同様の手紙を書いて、永倉に託した。
大鳥旅団長に退役許可の願いを永倉は提出し、大鳥旅団長はそれを許可した。
「では、行ってくる」
永倉は、林らに一時の別れを告げて、鹿児島から出立した。
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